来週の金融市場見通し(2022年8月1日~2022年8月5日)

■来週の見通し

米連邦公開市場委員会(FOMC)では、2会合連続での0.75%の利上げが決定されました。大方の予想通りでサプライズはありませんでした。パウエル議長が今後は経済データ次第と、やや柔軟な姿勢を示したことに加え、4-6月期の米実質国内総生産(GDP)が2四半期連続のマイナス成長となったことから、米利上げペースが鈍化するとの観測が広がっています。来週は米ISM製造業景況指数、米雇用統計などの経済指標や、本格化している企業決算などを確認しながら、方向感を探ることになりそうです。

◆株価 :緩やかな上昇基調

日本株は、緩やかな上昇基調が予想されます。米国の景気減速を受けFOMCによる利上げペースが鈍るとの見通しが、内外の株価を支える見込みです。また、米国では主要テクノロジー企業などの4-6月期決算が総じて底堅さを示していることも、株式市場の好材料となりそうです。ただし、円高の進行が輸出関連企業の株価を圧迫するとみられることに加え、国内での新型コロナウイルスの感染急拡大が日本株の上値を抑制する見込みです。

◆長期金利 :居所を探る

FOMC後のパウエル議長の発言がややハト派的と受け止められたことや、景気悪化懸念から米利上げペースが鈍化するとの観測が広がり、米金利とともに国内の長期金利も低下し、0.2%を下回りました。米金利が上昇しにくくなっていることや、日銀による金融政策修正観測が後退していることから、長期金利はやや低下しやすくなっています。来週は、米金利の動向や10年国債入札などを確認しながら、居所を探ることになりそうです。

◆為替 :方向感乏しい

7月のFOMCでは市場の想定通り、0.75%の利上げが決定されました。引き続き日米金融政策の方向性の違いを背景にドル円の下値余地は限定的とみられます。ただ、欧米の7月の購買担当者景況指数(PMI)が市場予想比で大きく下振れ、また、4-6月期の米実質国内総生産(GDP)が予想外の景気縮小を示すなど、欧米景気の減速懸念が高まっています。それを受け、ドル円は当面、上値も重く、方向感の乏しい展開が見込まれます。

◆Jリート :値固め

東証REIT指数は、一進一退の動きが続いていましたが、週末には買いが強まり、利益確定売りに阻まれていた2,000ポイントを明確に上抜けました。米金利とともに国内の長期金利が低下してきており、相対的に高いJリートの分配金利回りに着目した買いは押上げ材料です。利益確定売りに押されながらも2,000ポイント台で値固めができるか注目されます。とはいえ、感染が拡大している新型コロナの動向には引き続き注意が必要です。

来週の注目点

家計調査(6月) 8月5日(金)午前8時30分発表

家計調査によると、5月の実質消費支出(二人以上の世帯)は前年比0.5%減となりました。部品不足による自動車生産の低迷を受け自動車関係費の実質減が目立ったほか、食料や教育などの実質消費支出も減少しました。

6月の実質消費支出は、前年比で小幅な増加が見込まれます。新型コロナウイルスの感染者数が一旦減少傾向となったことから、外食などサービス消費が増加した模様です。とはいえ7月以降については、感染者数の急拡大を受け実質消費支出の低調な推移が予想されます。

米雇用統計(7月) 8月5日(金)午後9時30分発表

6月の米雇用統計では、非農業部門雇用者数は前月比37万2,000人増となり、市場予想を上回りました。また、失業率は4か月連続で3.6%となりました。米景気の減速懸念が高まる中でも、米国の労働市場が引き続きひっ迫した状況であることが示唆されました。

雇用者数は6月に引き続き、娯楽・ホスピタリティ、ヘルスケアなどの分野を中心に広範囲で伸びた模様です。とはいえ、米景気の減速懸念が高まる中、今後、次第に雇用者数の伸びは鈍化するものとみられます。7月の非農業部門雇用者数は前月比25万人増程度、失業率は3.6%程度を想定しています。

 

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