来週の金融市場見通し(2022年1月17日~2022年1月21日)

■来週の見通し

米連邦準備理事会(FRB)のパウエル議長やブレイナード理事が、議会証言でインフレ抑制を強調するなど、FRBはインフレとの戦いに軸足を移しています。今年3月に利上げを開始し、米国債などの保有資産の縮小を夏場にも開始する可能性も出てきました。米金融当局者が金融政策に関して踏み込んだ発言を控えるブラックアウト期間に入るため、来週は米金融当局者の発言に振らされることはなさそうです。経済指標に加え、新型コロナウイルスの動向などを確認しながら、方向感を探ることになりそうです。

◆株価 :方向感を欠く展開か

日本株は、明確な方向感を欠く展開が予想されます。引き続き米国の早期利上げ観測や、新型コロナウイルスの世界的な感染拡大が、株価を圧迫する見通しです。また円安の一服も、日経平均株価の重しとなりそうです。一方、日米などにおける企業業績の回復期待は根強いことなどが、株価を下支えする見込みです。ただし、本格化する米国企業の決算発表や、内外経済指標の結果次第では、株価の上下変動が大きくなる場面もありそうです。

◆長期金利 : 日銀は金利上昇を容認するか

長期金利は0.125%まで低下したものの、週末はFRBの早期金融引締め観測が広がる中、日銀が物価目標2%を達成する前に利上げが開始できるか議論していると報じられたことから、一時0.155%まで上昇しました。来週の日銀金融政策決定会合では、政策変更が議論されているか、また日銀はこれまでのところ足元の金利上昇を静観していますが、一段の上昇を容認するかも、会合後の黒田総裁の記者会見などで確認したいところです。

◆為替 : 上値の重い展開

ドル円は、下値余地は限定的とみられるものの、上値の重い展開となりそうです。主要な米インフレ指標が市場予想ほど強くなかったことなどから、米長期金利の上昇に一服感があります。また、3月利上げ開始など米金融政策の早期正常化観測は市場にかなり織り込まれているとみられます。他方、日米実質金利差は依然大きいこと、これまでのドル高の調整が想定されることなどから、当面、ドル円は上値の重い展開が続きそうです。

◆Jリート :持ち直しを探る

新型コロナの感染拡大や米金融引締めへの警戒から、Jリート市場は軟調な動きが続きました。長期金利が0.1%台で推移していることも重しになったとみられます。ただ、東証REIT指数が2,000ポイント割れの水準では値ごろ感からの買いも広がりそうです。12月時点の東京都心のオフィス空室率が2か月連続で低下したことも安心材料です。新型コロナの動向や長期金利の動きをにらみながら、持ち直しを探ることになりそうです。

来週の注目点

全国・消費者物価指数(12月)  1月21日(金)午前8時30分発表

11月の全国消費者物価指数(生鮮食品を除くコアCPI)は前年比0.5%上昇と、10月の同0.1%上昇から伸びが拡大しました。特に、電気やガソリンなどエネルギーの価格が大きく上昇しました。一方、携帯電話通信料は大幅な下落が続きました。

12月のコアCPIは前年比0.6%上昇と、伸びがさらに拡大する見込みです。引き続き、エネルギー価格の上昇が物価上昇に寄与した模様です。ただ、原油高が鈍化する兆しもみられるため、1月以降は、物価に対するエネルギー価格の寄与度低下が予想されます。とはいえ、携帯電話通信料の値下げの一巡などを受け、物価上昇圧力は今後も残る見通しです。

ユーロ圏消費者物価指数(12月改定値) 1月20日(木)午後7時00分発表

昨年12月のユーロ圏消費者物価指数の速報値は、欧州中央銀行(ECB)が、現在のインフレ高進は一時的との見方を維持する中、総合で前年比5.0%の上昇と市場予想を上回り、過去最高の伸びとなりました。また、変動の大きい食品(アルコール飲料含む)、エネルギーを除くコア指数は同2.6%上昇と、やはり市場予想を上回りました。

前月と比較すると、12月は財価格の上昇が加速した模様です。オミクロン株の感染拡大やサプライチェーンの混乱が続いており、供給不足の影響などから、同改定値も高水準となる可能性が高そうです。

 

 

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