来週の金融市場見通し(2021年12月20日~2021年12月24日)

■来週の見通し

米連邦準備理事会(FRB)は、米国債などを買い入れる量的緩和を来年3月に終了する方針を示すとともに、政策金利見通しを引き上げました。欧州中央銀行(ECB)は、新型コロナウイルス危機対応で導入した緊急の資産購入を来年3月で終了することを、英中銀は利上げを決めました。他方、日銀はコロナ禍に対応した資金繰り支援策の縮小を決めたものの、大規模な金融緩和は維持しました。来週は金融政策変更の影響に加え、経済指標やコロナの動向などを確認しながら、方向感を探ることになりそうです。

◆株価 :底堅い展開か

日本株は、底堅い展開が予想されます。米国の金融政策をめぐる不透明感がひとまず和らいでいることが、株価を支える見通しです。新型コロナウイルスの新しい変異株に対する過度な懸念が後退していることも、市場参加者に安心感を与えるとみられます。ただ、米国などのインフレが依然として警戒される中、株式市場では利益確定売りが広がる場面も想定されます。そのため日経平均株価は、2万9千円に近づくと上値が重くなりそうです。

◆長期金利 :低位もみ合い

FRBが量的緩和の終了を前倒しするとともに、来年の利上げ回数の予想を3回に引き上げたにもかかわらず、米長期金利の上昇は小幅にとどまり、国内の長期金利への影響も限定的でした。ある程度織り込んでいたことに加え、FRBが早めに動きインフレを抑制するとの見方や、オミクロン株への警戒が長期金利の上昇を抑制しているとの見方もできそうです。来年度の国債発行計画なども確認しながら、居所を探ることになりそうです。

◆為替 : 底堅い中一進一退

FRBはテーパリング(量的緩和の段階的縮小)ペースの加速に加え、2022年に3回の利上げを示唆するなど、市場予想よりややタカ派化した模様です。それを受け、ドル円は今後も底堅い展開が続きそうです。ただ、主要中銀がハト派色を弱めつつある中、市場ではややリスク回避の動きが優勢となっており、当面、ドル円の上値は限定的とみられます。ドル円は、オミクロン株の感染状況などもにらみながら、一進一退の動きが続きそうです。

◆Jリート :やや方向感を欠く動きか

東証REIT指数は4日続落したものの、週末は下げを埋めました。FRBが量的緩和の終了を前倒し、利上げ見通しを引き上げたにもかかわらず、波乱なく注目イベントを通過したとの見方や、内外の長期金利が安定して推移していることは安心材料です。ただ、東京都心のオフィス空室率の上昇が一服したことや経済活動再開への期待などから底堅いものの、上値では利益確定売りも広がることから、やや方向感を欠く動きが続きそうです。

来週の注目点

全国・消費者物価指数(11月) 12月24日(金)午前8時30分発表

10月の全国消費者物価指数(生鮮食品を除くコアCPI)は前年比0.1%上昇と、9月と同じ上昇率になりました。ガソリンなどエネルギーの価格上昇がCPIの上昇に寄与したものの、携帯電話通信料の値下げなどのため、小幅な上昇にとどまりました。

11月のコアCPIは、前年比0.3%の上昇が見込まれます。引き続きエネルギー高がCPIを押し上げたとみられるほか、宿泊料の上昇などもCPIの上昇に寄与する見込みです。今後も当面、小幅な物価上昇が予想されますが、来年春以降は、携帯電話通信料の値下げによる影響が薄れるため、CPI上昇率が高まる見通しです。

米個人消費支出(11月) 12月23日(木) 午後10時30分発表

10月の米個人消費支出(PCE)は、前月比1.3%増と市場予想を上回りました。また、物価指標として注目されるPCE総合価格指数は前年比5.0%上昇と1990年以来の大幅な伸びとなりました。米国ではインフレが高進する中でも、堅調な個人消費は継続している模様です。

米国では新型コロナのオミクロン株による感染拡大への懸念はあるものの、個人消費が堅調な中、サプライチェーンの混乱は長期化しており、インフレの高進は続きそうです。11月のPCEは前月比0.5%増程度、PCE総合価格指数は前年比5.7%程度の上昇が想定されます。

 

図表、スケジュール入りのレポートはこちら

https://www.skam.co.jp/report_column/weekly/02/

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