来週の金融市場見通し(2021年12月13日~2021年12月17日)

■来週の見通し

新型コロナウイルスの「オミクロン株」について、重症化しにくいとの見方や、ワクチンの3回目接種に予防効果があると伝えられたことなどから、警戒感はやや後退しています。ただ、行動規制が広がることには注意が必要です。来週の米連邦公開市場委員会(FOMC)では、テーパリング(量的緩和の縮小)の加速、欧州中央銀行(ECB)理事会では、今後の資産購入プログラムについて議論されるとみられます。米利上げの前倒しが一段と意識され、内外の金融市場が不安定になることには注意が必要です。

◆株価 :やや軟調な展開に

日本株は、やや軟調な展開が予想されます。新型コロナウイルスの変異株に関する懸念後退を背景に、日経平均株価は一時大幅に上昇したものの、変異株などをめぐる不透明感は払しょくできず、投資家の慎重姿勢が優勢となりそうです。また、米国の早期利上げ観測が広がった場合には、日本株の下落基調が強まる可能性もあります。とはいえ、米国株などと比べた割安感が意識される中、日本株の下落場面では、買戻しの動きが増加しそうです。

◆長期金利 :FOMCにらみ

米連邦準備制度理事会(FRB)は、米国債などを買い入れる量的緩和について1月からの減額幅を月300億ドルに倍増させるとの見方も出ています。あわせて公表されるFOMC参加者の2022年の政策金利見通しが引き上げられると、利上げ前倒し観測から、米長期金利に上昇圧力がかかる可能性があります。国内の長期金利についても押し上げられる可能性がありますが、オミクロン株への警戒もくすぶり、上昇は限定的とみられます。

◆為替 :一進一退

ドル円はレンジ内で一進一退の動きが続きそうです。一部で既存ワクチンのオミクロン株に対する有効性が公表されるなど、同株への懸念はやや後退しています。しかし英国で再び行動制限が行われるなど、今後の景気への影響は予断を許しません。それを受け、米長期金利は1.5%程度の水準で動きにくい状況です。米国の早期利上げ観測は維持されており、ドル円の下値余地は限定的と見られるものの、当面は一進一退の動きが続きそうです。

◆Jリート :値固めをしながら上値を探る

東証REIT指数は、オミクロン株への警戒から週初は下落も、その後は買いが優勢になり、オミクロン株警戒前の2,000ポイント台後半に戻りました。11月の東京都心のオフィス空室率は、一部で大型成約があったことや解約の影響が小さかったことなどから、21か月ぶりに低下しました。今後については慎重な見方があるものの、上昇一服は安心材料です。コロナの動向に注意しつつ、値固めをしながら上値を探ることになりそうです。

来週の注目点

日銀短観(12月調査) 12月13日(月)午前8時50分発表

9月調査の日銀短観では、大企業・製造業の業況判断指数(DI)がプラス18、同・非製造業がプラス2となりました。6月調査に比べ、それぞれ4ポイント改善、1ポイント改善と、新型コロナウイルスの世界的な感染継続が重しとなったものの、いずれも小幅に改善しました。

12月調査では、大企業の業況判断DIは、製造業は前回比で横ばい程度、非製造業は小幅な改善が予想されます。製造業については、部品不足による自動車の生産・輸出の抑制が、引き続き景況感を圧迫したとみられます。一方、国内での感染者減少を受け、非製造業では宿泊・飲食サービスなどの景況感改善が見込まれます。

米小売売上高(11月) 12月15日(水)午後10時30分発表

10月の米小売売上高は前月比1.7%増と今年3月以来の大幅な伸びとなり、市場予想を上回りました。賃金上昇等を背景に、電気製品の売り上げが大幅に伸びるなど、堅調な個人消費が続いている模様です。

とはいえ、米国では新型コロナの新たな変異株の感染が広がりつつあり、飲食店などへの悪影響が懸念されます。また、インフレが高進する中、足元では消費者マインドの落ち込みがみられることから、今後の趨勢には注意が必要です。11月の米小売売上高は前月比0.8%増程度を想定しています。

 

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