来週の金融市場見通し(2021年6月14日~2021年6月18日)

■来週の見通し

欧州中央銀行(ECB)は、パンデミック緊急購入プログラム(PEPP)の購入を速いペースで続けると表明しました。他方、米国の5月の消費者物価指数(CPI)が大幅な伸びを記録しましたが、前年に物価が落ち込んだ反動は、6月以降は薄れていくとの見方から、金融緩和の縮小(テーパリング)観測は広がりませんでした。来週は米連邦公開市場委員会(FOMC)で、テーパリングの議論が開始されるか注目されます。経済指標に加え、東京などへの緊急事態宣言が20日で終了するかも確認したいところです。

◆株価 :膠着感の強い展開に

日本株は、膠着感の強い展開が予想されます。米国のインフレに対する過度な警戒は和らいでいるものの、世界景気の回復観測については相当程度、市場に織り込み済みとみられます。これらを受け、日米などの株価は、上下ともに大幅な変動を見込みにくい状況です。また、国内のワクチン接種期待は好材料ですが、新型コロナの収束には程遠いとみられます。そのため、日経平均株価は、2万9千円前後で小動きとなる場面が増えそうです。

◆長期金利 :FOMCにらみ

米国の雇用回復の鈍さを背景に、米連邦準備制度理事会(FRB)はテーパリングを急がないとの見方が強まる中、米CPIの上振れは一時的との見方も加わり、米長期金利の低下とともに、国内の長期金利は0.0%台前半まで低下しました。米国では過度なインフレへの警戒や金利上昇観測が大きく後退している模様です。とはいえ、FOMCでテーパリングの議論が開始されると、内外の金利に再び上昇圧力がかかる可能性があります。

◆為替 :ドル円やや弱含み

米消費者物価指数(CPI、5月)が市場予想比上振れました。しかし、インフレの高進は一過性との見方から、FRBによる金融緩和維持観測は根強く、米長期金利は1.4%台まで低下しています。それを受け、ドル円は109円台前半で推移しています。今後の展開は、来週15,16日に行われるFOMCの結果に注目ですが、足元、米名目・実質金利はともにやや低下しており、ドル安円高の進みやすい地合いになっているとみられます。

◆Jリート :堅調地合いも、スピード調整には注意

新型コロナウイルスのワクチン接種が進展し、経済活動が正常化に向かうとの観測などから堅調な地合いが続き、東証REIT指数は年初来高値を、配当込みの東証REIT指数は過去最高値を更新しました。FTSE指数へのJリートの組み入れが18日に予定されていることも押上げ材料とみられます。また、長期金利が低下していることも安心材料です。とはいえ、5月半ば以降大きく上昇しており、スピード調整が入ることには注意が必要です。

来週の注目点

機械受注(4月) 6月16日(水)午前8時50分発表

機械受注統計によると、設備投資の先行指標である「船舶・電力を除く民需」の受注額は、3月に前月比3.7%増の7,981億円となりました。3か月ぶりに増加したものの、四半期ベースでは、昨年10-12月期に前期比12.9%増となった後、1-3月期は同5.3%減となりました。

4月の機械受注は、小幅な増加が見込まれます。世界景気の拡大に伴う輸出の増加が、製造業の投資を促進している模様です。非製造業についても、オンライン化や省力化に向けた投資意欲は、依然根強いとみられます。ただ、新型コロナによる国内景気の先行き不透明感のため、投資の伸びは当面、緩やかなものにとどまる見通しです。

米小売売上高(5月) 6月15日(火)午後9時30分発表

4月の米小売売上高は前月比横ばい(±0.0%)となり、市場予想を下回りました。前月は、経済対策に伴う個人への直接給付に伴い、小売売上高が急増していたことが背景にあるとみられ、4月の家計支出も依然旺盛な状況です。飲食・娯楽などサービス業の再開の動きに伴って、飲食店や自動車ディーラーなどの売上高が増加しました。

とはいえ、個人への直接給付の影響は一巡しており、5月の同指標は前月比0.4%減程度が予想されます。しかし、ワクチン接種が進展し、米経済の正常化が進展する中、今後も堅調な消費支出が見込まれます。

 

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