来週の金融市場見通し(2021年5月24日~2021年5月28日)

■来週の見通し

米連邦公開市場委員会(FOMC、4月開催)の議事要旨で、資産購入ペース修正の議論開始についての言及が初めてあったことを受け、量的緩和の縮小(テーパリング)が改めて意識されました。もっとも、米金融緩和の長期化方針は変わらないとの見方から、警戒感は後退しています。他方、株式市場は米長期金利に加え、ビットコインの荒い動きに振らされる展開が続いています。来週は内外の経済指標に加え、ビットコインの動向にも注意が必要です。また、東京都などへの緊急事態宣言が延長されるか注目されます。

◆株価 :方向感を欠く展開に

日本株は、明確な方向感を欠く展開が予想されます。世界景気の回復期待が株価を支える一方、米国のインフレ懸念に加え、国内における緊急事態宣言の延長観測などが、日本株を圧迫する見通しです。日米の企業業績は総じて改善しているものの、これは株価にほぼ織り込み済みとみられます。そのため、手掛かり材料難となる中、日本株は、国内外の経済指標や新型コロナウイルスの感染状況などをにらみつつ、神経質な動きとなりそうです。

◆長期金利 :低位もみ合い

長期金利は狭いレンジでの動きが続いています。米国債などの買入れを縮小するテーパリングへの警戒から、米長期金利が一時1.69%まで上昇しましたが、国内の長期金利の上昇は0.08%までと限定的でした。また、20年国債入札は無難な結果でした。コロナワクチン接種の進展期待は長期金利の押上げ材料も、緊急事態宣言が延長されると、長期金利の上昇を抑制しそうです。40年国債入札で超長期債の需給も確認したいところです。

◆為替 :レンジ継続

4月のFOMCの議事録要旨発表後に米長期金利は一時1.69%まで上昇したものの、早期テーパリング議論の機運が高まらない中、再び低下しています。それを受け、一時109円台まで上昇していたドル円も再び108円台に下落しています。足元、米長期金利は方向感の定まらない動きを継続しており、ドル円は、当面、米長期金利や米株価の動向をにらみながら、108-110円のレンジ内で方向感を模索する神経質な展開が続きそうです。

◆Jリート :高値もみ合い

東証REIT指数は、前週の下落を受け、値ごろ感が強まったことに加え、分配金利回りの高さに着目した買いなどから、堅調な地合いが続きました。コロナワクチンの接種進展への期待が強まると、安心感が広がりそうです。また、予想分配金利回りは3.5%程度と、引き続き相対的に高い水準です。ただ、2,100ポイントに近づくと、利益確定売りが広がることも想定されます。東京などへの緊急事態宣言が延長されることにも注意が必要です。

来週の注目点

失業率、有効求人倍率(4月) 5月28日(金)午前8時30分発表

3月の失業率は2.6%と、2月の2.9%から改善しました。また、有効求人倍率(求職者1人あたりの求人件数)は、2月の1.09倍から改善し1.10倍となりました。

しかし4月は、失業率、有効求人倍率とも、やや悪化する見込みです。新型コロナウイルスの感染が拡大する中、4月後半には、東京、大阪などを対象に緊急事態宣言が再発令されました。それらを背景に、特にサービス業の雇用が悪化傾向となっている模様です。こうした厳しい雇用環境は、当分の間、継続する見通しです。

米個人消費支出(4月) 5月28日(金) 21時30分発表

3月の米個人消費支出(PCE)は、前月比4.2%増と、昨年6月以来の大幅な伸びとなりました。また、米連邦準備制度理事会(FRB)がインフレ目標の基準としているPCE総合価格指数も前年比2.3%となり、2018年以来の大幅な伸びとなりました。3月の追加経済対策に伴う直接給付により、個人所得が増加したことで、個人消費が押し上げられたものとみられます。

4月のPCEは、前月比0.4%程度の小幅な伸びが予想される一方、PCE総合価格指数は、比較対象となる昨年は、消費が新型コロナの感染拡大の影響で大きく落ち込んでおり、前年比3.5%程度の大幅な伸びが見込まれます。

 

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