来週の金融市場見通し(2021年4月19日~2021年4月23日)

■来週の見通し

投資家の不安心理を表すVIX指数は16ポイント台まで低下、日本版VIX指数である日経平均ボラティリティー・インデックスも17ポイント前後と、警戒水準の 20を下回ってきています。もっとも、コロナ禍前の10ポイント台前半まではまだ距離があり、僅かながらも警戒感は残っている状況です。国内では政府が、東京都など3都府県に続き、埼玉、千葉、神奈川、愛知の4県に「まん延防止等重点措置」を適用する方針です。コロナの動向に加え、内外の経済指標や主要企業の決算発表なども確認したいところです。

◆株価 :底堅い展開か

日本株は、底堅い展開が予想されます。米長期金利の上昇一服や米企業の好業績観測などが、内外の株式市場を支える見通しです。米国や中国の景気拡大を背景に、日本の輸出が回復傾向を示すと見込まれることも、日本株の好材料となりそうです。ただ、国内では新型コロナの感染が拡大する中、ワクチン接種は遅れています。それによる内需の低迷懸念などのため、当面、日経平均株価が3万円を大きく上回る可能性は低いとみられます。

◆長期金利 :一段の低下は限定的か

米金融当局者が金融緩和の縮小に慎重な姿勢を示す中、米国債を買い戻す動きなどから、米長期金利が低下し、国内の長期金利も0.10%を割り込みました。もっとも、新型コロナウイルス対応で、さらなる財政出動により国債が増発されるとの観測が浮上していることや、日銀が国債買入れを減額するとの見方から、一段の低下は限定的とみられます。コロナの動向や20年国債入札なども確認しながら、居所を探ることになりそうです。

◆為替 :方向感乏しい

米景気は力強い回復基調にあるとみられますが、米長期金利は一時1.5%台前半まで低下するなど、これまでの上昇は一服しており、方向感の乏しい状況です。それを受け、ドル円も108円台後半まで下落しています。しかし、米株価や原油価格は堅調に推移しており、米国のインフレ期待も強く、ここからの米長期金利の低下幅は限定的とみられます。ドル円は当面、108円から110円程度のレンジ内で方向感の乏しい展開が続きそうです。

◆Jリート :スピード調整に注意しながら上値を探る

東証REIT指数は、日米の長期金利低下は買い材料も、利益確定売りにも押され、高値圏での一進一退の動きが続きました。予想分配金利回りは3.5%前後まで低下していますが、低金利が継続する中、相対的に高い分配金利回りに着目した買いは根強そうです。株価の上値が重くなると、Jリートに資金を振り向ける可能性もありそうです。高値圏でもみ合いながら上値を探ることになりそうですが、スピード調整には引き続き注意が必要です。

来週の注目点

貿易統計(3月) 4月19日(月)午前8時50分発表

日本の輸出は2月に前年比4.5%減と、米国向け自動車輸出の減少などのため、3か月ぶりに減少しました。一方、輸入は同11.8%増と、中国からの通信機や衣料の輸入増などを受け、大幅な増加となりました。また、輸出額から輸入額を差し引いた貿易収支は、2,159億円の黒字となりました。

3月の輸出は、世界的に製造業の堅調が鮮明となる中、中国向けと米国向けを中心に、増加を示す見込みです。また、輸入については、中国からの輸入増などにより、増加傾向が続く見込みです。ただ、3月も輸出額が上回るとみられることから、貿易収支は黒字が続く見通しです。

ユーロ圏製造業PMI(4月)  4月23日(金)午後5時発表

3月のマークイットユーロ圏製造業PMIは62.5と市場予想を大きく上回りました。同指数は、昨年の7月以来、活動の拡大縮小の境目となる50を超える状況が続いています。また、総合PMIも、53.2と市場予想を上回るとともに、5か月ぶりに50を上回りました。

ユーロ圏では新型コロナ感染拡大に伴う行動制限が主要国で継続しており、また、ワクチン接種も米国に比し、遅れています。とはいえ、米中を中心に外需が改善する中、製造業は今後も堅調な回復となりそうです。4月の製造業PMIは62.2程度、総合PMIは53.7程度となる見通しです。

 

図表、スケジュール入りのレポートはこちら

https://www.skam.co.jp/report_column/weekly/02/

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