来週の金融市場見通し(2021年4月5日~2021年4月9日)

■来週の見通し

米バイデン政権は8年間で2兆ドル超となるインフラ投資計画を発表しましたが、さらに、育児や医療、教育に関する第2弾の計画を4月中に発表する予定です。投資家の不安心理を表すVIX指数は警戒水準の20を下回ってきており、投資家のリスク選好姿勢が強まっています。他方、国内では、新型コロナウイルスの感染再拡大を受けて、政府が「まん延防止等重点措置」を、大阪府、兵庫県、宮城県に適用することを決定しました。投資家心理は改善していますが、コロナの動向には引き続き注意が必要です。

◆株価 :緩やかな上昇か

日本株は、緩やかな上昇が予想されます。足元、米長期金利の上昇が一服していることが、投資家心理を支える見通しです。米国の経済対策などを受け、世界景気の回復が見込まれることも、内外の株高を後押ししそうです。ただ、米景気の過熱による米金利上昇懸念も根強いため、株価の一方的な大幅上昇は想定しにくい状況です。また、国内で新型コロナの感染がさらに急増した場合、景気の先行きをめぐり不透明感が高まるため、注意が必要です。

◆長期金利 :引き続き居所を探る展開

日銀が4月の国債買入れ予定額を一部減額したことがサプライズになり、長期金利は0.10%に乗せました。ただ、10年国債入札が順調な結果になり、良好な需給が確認されたことから、一段の上昇は限定的でした。米政権によるインフラ投資計画では米国債増発に頼らない方針が示され、米金利上昇圧力はやや和らいでいます。米長期金利の動向に加え、30年国債、5年国債入札なども確認しながら、居所を探ることになりそうです。

◆為替 :堅調地合いは継続

ドル円は、米長期金利の動向に相関性の高い状況が続いていることから、堅調な地合いが継続しそうです。ただ、米景気の早期回復見通しや米国債の需給懸念を背景に、米長期金利は上昇基調にあるものの、その動きに一服感が出れば、当面、110円を挟んだ水準での神経質な展開となりそうです。他方、米雇用統計発表後も、米株高、米長期金利上昇のリスク選好優勢の状況が継続した場合、ドル円は111円台に上昇する可能性もありそうです。

◆Jリート :底堅い動きが継続

東証REIT指数は、2,000ポイントを挟んだ一進一退の動きが続いています。長期金利が0.10%を若干上回っていますが、一段の金利上昇は限定的とみられます。投資家心理が改善する中、Jリートの相対的に高い分配金利回りに着目した買いなどから、底堅い推移が見込まれます。利益確定売りに押されながらも2,000ポイント台が定着してくると、上昇余地も広がりそうです。とはいえ、新型コロナの感染拡大が重しになる可能性があります。

来週の注目点

景気ウォッチャー調査(3月) 4月8日(木)午後3時発表

景気ウォッチャー調査の現状判断指数(DI)は、2月に前月差10.1ポイント上昇の41.3と、依然50を下回っているものの、4か月ぶりに改善しました。新型コロナウイルスの感染減少などを背景に、家計動向関連、企業動向関連、雇用関連のすべてのDIが上昇しました。

3月の現状判断DIも、改善が見込まれます。3月中旬以降、新型コロナの感染は増加傾向に転じていますが、それにもかかわらず、21日に緊急事態宣言が全面的に解除されました。また、外出の動きも活発化している模様です。そのため、緊急事態宣言が再発令される状況にならない限り、今後も当面、景況感の改善が続く見通しです。

ISM非製造業景況指数(3月) 4月5日(月)午後11時発表

米供給管理協会(ISM)が発表した2月の非製造業景況指数は、市場予想を下回る55.3となり、9か月ぶりの低水準となりました。サービス関連企業の多くが引き続き新型コロナウイルス感染に伴う活動制限に縛られたうえ、大寒波により一部で経済活動が悪影響を受けたためとみられます。とはいえ、米国では大規模追加経済対策が成立し、新型コロナウイルスのワクチン接種が進展しています。また、すでに宿泊施設、フードサービスなどに改善の兆しもみられ、今後、状況は徐々に改善していくと見込まれます。3月の同指数は58.5を想定しています。

 

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