来週の金融市場見通し(2021年3月22日~2021年3月26日)

■来週の見通し

米連邦準備制度理事会(FRB)は、16、17日の米連邦市場公開委員会(FOMC)で、大規模な金融緩和を維持するとともに、経済見通しを引き上げる一方、ゼロ金利政策を2023年末まで継続する見通しを示しました。他方、日銀は長期金利の変動幅を±0.2%から±0.25%に広げるとともに、上場投資信託(ETF)、Jリートの買入れを弾力化しました。来週は、米パウエルFRB議長の公聴会での証言など米金融当局者らの発言、3月の東京都区部消費者物価指数(CPI)などの経済指標も確認したいところです。

◆株価 :やや軟調な展開に

日本株は、やや軟調な展開が予想されます。特に日経平均株価については、日銀がETFの買入れ対象から日経平均型を除外したことが重しとなりそうです。また、米国の景気拡大観測に伴う米長期金利の上昇も、内外の株価を圧迫する見通しです。ただ、米国の景気拡大自体は、株価の好材料です。米国などで新型コロナウイルスのワクチン接種が進んでいることや、円安傾向も踏まえれば、日本株の下落幅は限定的とみられます。

◆長期金利 :居所を探る

FRBが米長期金利の上昇を静観する姿勢を示したことや、追加経済対策を受けた景気回復期待を背景に、米長期金利が上昇余地を探る動きになっており、国内の長期金利にも上昇圧力がかかりそうです。加えて、日銀は長期金利の変動幅を±0.25%に拡大し、一段の金利上昇を容認しました。もっとも、米国とは違い、景気の過熱やインフレへの懸念は生じていません。東京都区部CPIなども確認しながら、居所を探ることになりそうです。

◆為替 :小幅なドル高・円安か

ドル円相場は、小幅なドル高・円安が予想されます。米長期金利の上昇基調が当分継続するとみられることから、当面、ドル高の動きが優勢となる見通しです。米国の景気拡大が加速すると見込まれる一方、日本の景気回復は緩慢とみられることも、ドル高要因となりそうです。ただ、日銀が長期金利の変動幅に関し若干の拡大を容認したため、日本の金利にも上昇余地があります。よって、110円を超える大幅なドル高は想定しにくい状況です。

◆Jリート :上値を探る

東証REIT指数は、新型コロナウイルスのワクチン接種の普及による景気回復期待や、株式市場に比べた出遅れ感などから、18日まで7営業日続伸しました。週末は米長期金利が1.7%台まで上昇したことが重しになり下落したものの、東証REIT指数は一時2,000ポイントを上回りました。日銀はJリートの買入れを弾力化しましたが、市場への影響は限定的とみられます。利益確定売りに注意しながら、上値を探る展開が続きそうです。

来週の注目点

東京都区部・消費者物価指数(3月) 3月26日(金)午前8時30分発表

2月の東京都区部の消費者物価指数(生鮮食品を除くコアCPI)は、前年比0.3%の下落となりました。エネルギー価格の下落などを受け7か月連続の下落となったものの、下落幅は1月の0.5%から縮小しました。

3月は、同0.2%程度の下落が見込まれます。足元、原油価格が上昇していることから、物価指数の下落幅は、縮小傾向が示されそうです。なお、東京都区部の物価指数は全国の先行指数とされるため、下落基調にある全国の物価指数についても、徐々に下落幅が縮小する見通しです。

米個人消費支出(2月) 3月26日(金) 21時30分発表

1月の米個人消費支出(PCE)は、前月比2.4%増と、7か月ぶりの大幅な伸びとなりました。また、PCE総合価格指数は前年比1.5%となり、ほぼ1年ぶりの高い伸びとなりました。昨年12月、直接給付や失業保険上乗せ給付などが盛り込まれた経済対策が成立したため、それによる所得増が支出や物価を押し上げた模様です。

2月は、経済対策の効果が薄れたとみられることに加え、全米における寒波の影響もあり、消費支出は、前月比で小幅な減少を示す見込みです。とはいえ、寒波の影響は一時的であるほか、3月に1.9兆ドル規模の追加経済対策が成立したため、今後、個人消費の拡大基調が強まる見通しです。それに伴い、物価についても当面、上昇圧力が高まるものと予想されます。

 

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