FM 今週のポイント(12月25日)
*今年も残すところ後わずかとなりました。掉尾の一振で日経平均株価が 23,000 円の大台を超えるのか?(あまり意味はありませんが)⇒来年の相場を占う上で重要な一週間かもしれません。米国では税制改革法案が成立(税制改革法案の減税規模は 10年間で1.5 兆ドル(約 170 兆円)、法人税率を 2018 年に 35%から 21%に引き下げ、個人所得税も幅広く引き下げる。ただ、富裕層ほど優遇幅が大きいとの批判や、経済成長による税収増を加味しても、財政赤字が今後 10 年で 1 兆ドル(113 兆円)に膨らむとの試算もあり、効果を疑問視する声もある)、景気を一段と上振れさせる期待が膨らんでいます。米 10 年債利回りは一時、2.49%まで上昇、米国景気の拡大が中国等の新興国経済を支えるとの思惑から原油価格、資源価格も上昇しています。
*そうなると、これまで世界的に株価上昇の背景となっていたフレームワークが消滅する懸念が高まります(比較的低金利持続による債券代替による株高)。現状の株価の位置は景況感の拡大では説明できない水準まで上昇していると思われ(リーマンショック以降の株高は世界的な過剰流動性の拡大で説明がつく)、過度な金利上昇=過剰流動性の縮小は世界的なリスク資産上昇を屈折させる可能性が高まります。まだまだ、楽観論蔓延=ゴーディロックスバイアスが強化されている最中にあり、テールリスクの顕在化以外では大きな下落の危険性は少ないと思いますが、長期金利の上昇が継続する場合には注意が必要です(米長期金利 2.7%程度までは容認か?)。
*長期金利の上昇は物価の上昇によってもたらされることになりますが、物価の上昇には 2つの経路が想定されます。一つは賃金の上昇です⇒法人税減税が決まって、米金融大手のウェルズ・ファーゴは減税効果を還元するために従業員の最低賃金を 11%引き上げると表明しました。今後、中小企業を含めて賃金を引き上げる企業が相次げば、物価上昇期待が高まります。そして、原油等の資源価格の上昇です⇒原油価格が 70 ドルの水準を上抜けしてくれば、これまた、インフレ期待に火がつく可能性があります。2つの物価上昇ルートには目を凝らしておく必要があります。
*ただし、物価上昇には懐疑的な見方が依然として多いことは間違いありません。一般的にアマゾン効果と言われる現象です⇒現状において米国個人消費に占めるネット取引のシェアは 9%ですが、2020 年には 20%近くなる予想があります。ネットでの購買単価はリアル店舗に比べて約 6%低いと言われています(リアル店舗の値引き要因でもある)。これにより、現状で PCE デフレータを 9bp、2020 年には 20bp 程度押し下げる効果が推定されています(アマゾン効果)。また、大幅な減税が行われたとしても株主を意識した利益拡大至上主義は変わらず、労働分配率の低下傾向が続くものと思われ、賃金上昇によるインフレ期待は幻に終わるかもしれません。いずれにしても、PCE コアデフレータの推移に目を凝らすことが重要です(2017 年 11 月の最新指標は前年比 1.5%上昇)。
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