FM 今週のポイント(11月7日)

2016/11/07 <>

*トランプリスクと言うよりもヒラリーリスクになっています。当然ながら世界のリスクマーケットにとって目先の最重要イベントは 8日の米大統領選挙であることは間違いありません。これま でクリントン氏当選の確度が高いと見られてきましたが、最終盤にきて不透明感が急速に高まっています⇒クリントン氏のメール問題に対するFBIの再捜査が決まった(10月28日)ことを契機にトランプ氏が追い上げており、3日時点でトランプ候補の当選確率は33%と、メール問題が再浮上する前の10%台から急上昇しています(「 FiveThirtyEight 」予測=ネイト・シルバー(NateSilver)氏は、独自の統計解析手法により、 2008年の大統領選挙で全米50州のうち49州の勝敗を的中させ、2012年の大統領選挙ではすべての州でその勝敗を的中させた人物。データ駆動型の分析を政治ジャーナリズムに取り入れた “データジャーナリズム”の先駆者として、広く知られている。 2008年にシルバー氏が個人で開設した政治ブログが「 FiveThirtyEight 」)。トランプ大統領誕生の確率が高まったといっても依然としてクリントン氏が優勢であることに変わりはありません。それでは、何故、マーケットが動揺するのか?⇒クリントン氏が勝利してもFBI の捜査は続き、弾劾裁判に発展する可能性もあります(弾劾裁判は下院が過半数の賛成に基づいて訴追し、上院が裁判し、上院出席議員の2/3以上の賛成多数で弾劾が決定される。1999年1月のビル・クリントン大統領の弾劾裁判では、2つの訴因に対し45:55 、50:50と有罪評決に必要な 2/3 には達しなかった)。今回もたとえ弾劾裁判が行われても前回同様に罷免される可能性は低いと思われますが、当面、政治的混乱は避けられず、クリントン大統領は誕生と同時にレームダックに陥る可能性が高くなります。世界のリスクマーケットはトランプリスクよりもヒラリーリスクを懸念しているようです。しかし、大統領選挙直前のメール問題再燃が想定外であったためにマーケットの動揺が大きくなっている可能性があります。従って、無事に8日の大統領選を通過すれば過度なリスクオフ(必要外のポジション調整)の反動から上昇相場に転じる可能性は十分にあると思われます(トランプリスクは厳然と存在するがヒラリーリスクを折り込むことは過剰反応)。

* FRBは11月のFOMCで現状維持を決定しました。声明文では「FF金利を引き上げる根拠は引き続き強まったと判断するが、当面は目標に向けて、さらにいくらかの証拠を待つことに決めた」として 、12月に利上げに踏み切る可能性が高いことを示唆しています。4日に発表された10月の雇用統計は非農業部門雇用者増加数が16万1000人となりました(予想の17万5000人を下回った)。しかし、8 ~ 9月分が上方修正され、失業率が低下したうえ、賃金の伸びも加速⇒雇用情勢の改善が続いたとして、FRBによる12月の利上げ判断を後押し する内容だったと受け止められています。労働生産性の悪化も懸念されていましたが、7 ~ 9月期はGDPの急回復から前期比年率+1.1%にプラス転換しています。しかも、期待インフレ率(10年ブレークイーブンレート)が上昇しており、FRBは12月に利上げをする肝を固めているものと思われます。クリントン政権誕生で政治的にも利上げ できる環境が整えばリスクオン転換に期待です。

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