FM 今週のポイント(8月29日)

2016/08/29 <>

*歪な相場に拍車がかかってきました。先週末はジャクソンホールでのイエレン議長の講演待ちということもあり、実質的な市場参加者はほとんど居ない状況の中で日経平均採用銘柄の入替に伴う売りの影響が大きく、日経平均株価、TOPIX 共に大幅な続落となっています(ファミリーマートとユニーの経営統合に伴い、今週からユニーに代わりファミリーマートが日経平均採用銘柄となる:日経平均連動ファンドは、ファミリーマートを買うために、他の採用銘柄を売って買入資金を捻出する⇒この影響で1000 億円を超える規模の売りニーズが発生⇒全体相場の下押し圧力となったことは間違いなく、25 日、26 日と日銀によるETF 買入が行われたが、株価にインパクトがほとんど出なかったのは、これが大きな理由と考えられる)。そもそもファミリーマート株はユニーとの統合が発表されてから、約30%の上昇を見ています(ユニーに代わってファミリーマートが日経平均株価に採用されることが想定された)。このファンダメンタルズを伴わない需給要因だけの上昇は、日銀のETF 買いの悪影響?(マーケットを歪にさせていることは間違いない)そのものだと思われます。日銀のETF 買いの影響は新興市場に顕著に顕われています。日銀が購入するETF は当然ながら日経平均型かTOPIX 型かJPX400 型です(「設備・人材投資ETF」を除き)。新興市場銘柄はほとんど含まれません。短期投資家の性としては、日銀が買ってくれる底堅い銘柄を選好し新興市場を敬遠しがちになります。さらに、日経平均先物等を活用した売り崩しに血道を上げていたHF等は日銀買いによって収益の源泉を失いつつあります(裁定残高にも影響⇒差引の裁定残高が1.8 億株となり、18 年ぶりの少なさとなった7月8日の水準を更に下回ってきている:近い将来に、裁定残高(差引)がマイナスになる可能性がある)。収益の源泉を失ったHFは新興市場株のショートに活路を見出しています。市場全体のバリューシフトもあり割高な小型グロース株を売りたたいています。

*注目されたジャクソンホール会議ではイエレン議長よりもフィッシャー副議長のコメントに市場は大きく反応しました(CNBC のインタビューに答えて、9月を含む年2回の利上げの可能性を肯定、イエレン議長の講演も、その考えと整合的と語った)。マーケットの事前想定よりもFRBのタカ派的な印象で、ドル円相場は101 円台後半までドル高となり、NYダウは53 ドル安で終了しています(FF 金利先物からは、9月FOMC で利上げする可能性は、イエレンFRB 議長の講演前後で、21.0%から36.0%に上昇した。また、12 月13-14 日のFOMC でも、51.7%から63.7%と上昇している。市場では、「9月の利上げはほぼなく、可能性があるのは12 月」から「9月の利上げの可能性はあるが、本命は12 月」との見方に変化しつつある)。フィッシャー副議長もデータ次第を強調しています。したがって今週末の8月雇用統計が重要な意味合いを持つことになります。9月の利上げ、あるいは年内2回の利上げがもたらすものは、世界的なリスクオフに繋がらなければ円安修正です。トランプ大統領の目が無いとすれば、9月を起点とした日本株の上昇トレンド発生の可能性が高まります。その場合はバリューシフトの継続とともに過剰に売りたたかれている新興市場株のショートカバーラリーに期待です。日銀のETF 買いに頼らない正常化した相場が想定できるからです。さらに、ジャクソンホールで黒田日銀総裁は「マイナス金利政策によって(企業や家計の)資金需要が刺激され、幅広い借り入れ主体に恩恵を与えている」、「利下げの限界までには、まだかなりの距離がある」と述べ、必要に応じてマイナス金利を深掘りする考えを強くにじませました。9月の日銀金融政策決定会合前に長期金利低下が鮮明になれば、グロース株の復活が想定されます。

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