FM 今月のポイント(2016年7月)
*短期的には「ブレグジット」(6月24 日の英国の国民投票でEU離脱票が過半数を上回ったこと)の嵐は収束したようです。辞任を表明したキャメロン英首相は、EU離脱の正式な手続は後任に委ねるとしています(ジョンソン前ロンドン市長は保守党党首選に不出馬を表明)。また、今回の国民投票に法的拘束力はなく、英国政界からは、正式にEU離脱の手続を開始するためには議会での決議が必要であるという声も出ています⇒英政府のウェブサイトで行われている国民投票のやり直しを求める請願には、わずか2日間で300 万人以上が署名しているもようで「ブレグジット」の熱気は「リグレジット」に変化しています。
*世界のマーケットも概ね24 日以前に戻っています(英FT100 指数は国民投票前日に比較して3.78%上昇)。日経平均株価は急落前高値の16389.17 円(24 日前場)から4.3%ディスカウントです(7月1日終値ベース)。それでも24 日の安値からは5.57%上昇していますが、英米株式市場に比べて見劣りします。日本株が戻りきれない要因は円高です。国民投票前にドル円相場は106 円台後半で推移していましたが、7月1日時点で102 円台後半です(24 日の国民投票結果判明後、一時99 円まで円高進行)。日銀短観(6月調査:7月1日公表)の大企業製造業のドル円前提は111.41 円であり、現時点の為替水準とは格差が大きすぎます。さらに方向感は円高で(米国の利上げが難しい)、下期にかけての業績下方修正幅拡大が懸念される状況です。円高=業績悪化が日本株の上値を重くしていることは間違いありません。
*そのような状況の中で、東証マザーズ指数が順調に戻りを試しています(7月1日終値は6月15 日レベルを回復)。英国国民投票の結果を懸念して利益確定&ポジション調整を急いでいたものと思われますが(通常、世界的なショックが発生した場合、流動性が枯渇する新興市場等の小型株が大きく売られる)、ブレグジット・ショックが発生しなかったために再度、資金が流入しているようです。2月の急落後の反転局面で東証マザーズ指数が85%以上上昇したことは記憶に新しいところで、今回も想定外の高値示現を考えておくべきです(7月19 日のマザーズ先物上場は波乱要因として要注意)。当面のキーワードはグロース・内需・小型株です(相対的好業績)。
*大型バリュー系の切り返しは円安修正を待つ他ありません(当面は円高基調継続を想定)。円安修正の条件は、世界経済の落ち着き(ブレグジットの影響見極めを含め)と米国景況感の拡大を背景とした米国政策金利の複数回の引き上げ観測、そして参院選の大勝利を背景とした安倍政権の政治力増大による国内政策発動期待の高まりです。日本の円安政策を米国が容認するには力強い米国経済に加えて世界経済に貢献できる日本の内需拡大が必要だからです(安倍政権の政治力・求心力が高まれば大規模かつ有効な政策発動が期待できる)。残念ながら現状において、このシナリオの確率は低そうですが、示現した場合は割安な大型バリューの急上昇につながると思われます。想定外が起こりやすいマーケット環境です⇒頭の片隅に置いておきます。
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