FM 今週のポイント(6月20日)
*イベントリスクに翻弄されています。英国のEU離脱を巡る国民投票が今週23 日に迫ってきました。直近の予想では離脱派が優勢(16 日現在)で、世界の金融・株式市場はテールリスクの顕在化に揺れています。日本株は日経平均株価が一時、15500 円を下回り、ドル円相場は103 円台を示現しました(16 日の日銀金融政策決定会合で追加緩和が無かった影響が大きい)。3 日に離脱が決まれば、瞬間的にドル円相場が100 円割れ、日経平均株価は14500 円レベルに下落する可能性が喧伝されています。しかし、よくよく考えてみれば、英国がEUを離脱したとしても、世界経済のファンダメンタルズが大きく屈折することは無いと思います。イベント・テールリスク(事前に十分織り込むことは不可能)だけに、離脱が決定した瞬間にショートが走り、ポジションが調整され、マーケット参加者が真っ青になることが想定されますが、あくまでも瞬間のことと考えられます。残留であっても離脱であってもイベント通過後はニュートラルゾーンに向けてリスクマーケットは回復に向かうシナリオを描いています。
*離脱が決定した場合、英国債の格下げが予想されます(現在はS&Pが最高位のAA、ムーディーズがAa1(最上位から2番目)を付与しているが、もし離脱となれば、S&Pは2ノッチ引き下げる可能性があることを明らかにしている)。その場合、英国の銀行が投資不適格に近づく可能性があります(英国債の格付けは比較的高いが、英国の銀行格付け(S&P)は大手でA からBBB と大半が低い。国債が格下げされればドミノ倒しのように銀行にも波及するため、信用力低下によるカウンターパーティリスクが高まる)。そこで問題になるのは英国銀行が発行しているハイブリッド債です(12 兆円程度)⇒格下げがあれば、価格急落が警戒されます(ハイブリッド債とは、優先株や劣後債など、株と債券の中間の性格を持った商品:リーマン・ショック時は40%~50%下落する債券もあった)⇒これが新たな金融危機の引き金になるとの説もあります。しかし、リーマン・ショック、欧州債務危機の教訓もあり、世界の金融当局も十分に認識している事柄であり、ショックは発生しないと思います。6月決定会合で追加緩和を見送った日銀も、臨時会合を開催してバズーカを打ち鳴らすものと思われ、財務省も満を持した介入を行うことが想定されます。
*離脱による一時的な下落後は大型バリューのリバーサルが実現するものと思われますが、ニュートラルゾーンへの巻き戻し(日経平均株価17000 円レベルを想定)までの現象に過ぎないと考えています。円高傾向が続き、業績不安が払拭できない中ではこれまでと同様に内需グロース優位の展開が継続するものと思われます。特に先週、大きく下落した新興市場を中心とした小型株が再度、急速に値を戻す展開を予想します。先週の小型株の変調は離脱ショックによる全体相場の一時的下落を警戒したポジション調整に過ぎず、ファンダメンタルズを前提としたマーケットの方向感を覆すものではありません。
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