ギフト<9279> 当面は国内での直営店出店が成長の主な原動力となろう

2018/11/07

横浜家系ラーメンを主体としたラーメン事業を展開
当面は国内での直営店出店が成長の主な原動力となろう

業種: 小売業
アナリスト: 藤野 敬太

◆ 横浜家系ラーメンを主体に展開
ギフト(以下、同社)は、横浜家系ラーメン注1と呼ばれるジャンルのラーメンを主力に店舗展開している企業である。

横浜家系ラーメンは、1974年以降に登場した神奈川県横浜市発祥のラーメンで、豚骨や鶏骨等の生ガラから取ったダシに醤油のタレを混ぜた豚骨醤油ベースのスープと、中太麺を特徴とする。アレンジの容易さから、多くの横浜家系ラーメンを名乗るラーメン店が出店している。

同社の出店形態には、大きく直営店とプロデュース店がある。18/10期第3四半期末時点で、国内では、直営店52店舗、プロデュース店342店舗あり、業務委託店6店舗を含めて合計400店舗を有する。また海外にも出店しており、同期末時点で8店舗(直営店2店舗、プロデュース店6店舗)ある。

同社は、飲食事業の単一セグメントだが、直営店事業部門とプロデュース事業部門の2つの事業部門に分類される(図表1)。売上高の約70%が直営店事業部門によるものであり、その構成比は上昇傾向にある。

◆ 直営店事業部門:国内の店舗展開
直営店事業部門では、5つの業態(うち1つは海外展開用の業態)により、国内及び海外にて自社で店舗展開をしている。その主力となっているのが、「横浜家系ラーメン町田商店」である。

同社の横浜家系ラーメン業態は、個人客を主な対象とした駅近と、ファミリー層も対象とするロードサイドの両エリアへの出店が可能な業態に仕上がっている。ただし、エリアによってブランドを変えており、駅近エリアでは「地域名+商店」(例:池袋商店)という名称で地域密着型の店舗として出店する。一方、ロードサイドエリアでは「町田商店」に統一しており、一定品質を強調するチェーン型展開を行っている。

エリアによって初期投資額は異なるが、どちらのエリアに出店しても投資回収までの期間には大きな差がないものと推察される。また、最近は駅近エリアでの出店競争が厳しくなっているため、ロードサイドエリアの出店が増えている模様である。

なお、直営店事業部門には、業務委託店という業態が含まれる。経営リスクは委託先が負うもので、社内独立制度に対応するための店舗業態である。しかし、現時点では積極的に増やす方針にはない。

国内では、直営店の店舗数は、16/10期末36店舗、17/10期末41店舗、18/10期第3四半期末52店舗と増加が続いている。業務委託店の店舗数は、16/10期末5店舗、17/10期末6店舗、18/10期第3四半期末6店舗である(図表2)。

◆ 直営店事業部門:店舗網を支える体制
材料の調達について、麺は神奈川県平塚市に自社の製麺工場を有し、必要量の大半をカバーしている。また、タレやスープは、自社開発したプライベートブランド商品(以下、PB商品)として、外部に製造委託し、直営店及びプロデュース店の各店舗に供給されている。

横浜家系ラーメンは濃厚なスープが特徴のひとつで、小規模経営の店舗であれば、店舗で生ガラを焚き出してスープを作る。こうした店舗でのスープ作りと比べ、(1)廃棄ロスが少ない、(2)スープ職人の養成が必要なく、出店の制約条件にならない、(3)水道光熱費が低く抑えられる、(4)店舗で生ガラを焚き出す際に出る匂いがないため、出店の制約条件にならないといったメリットがある。

◆ 直営店事業部門:海外の展開
直営店として、海外には米国のニューヨークとロサンゼルスに出店しており、当面は米国での店舗数の増加を図っていく方針である。ブランドは「E.A.K. RAMEN」である。米国の直営店では、麺は国内の自社製麺と同等のものを

製麺メーカーから、タレはPB 商品の製造委託先からそれぞれ仕入れるが、
スープは店舗内で焚き出しており、スープの扱いが国内の直営店と大きく異
なっている。

◆ プロデュース事業部門
プロデュース事業部門は、新規にラーメン店の開業を予定している店舗オ
ーナーを対象とした事業である。一般的なフランチャイズとは異なり、加盟料
やロイヤリティは発生しない。同社は、店舗立ち上げ時のノウハウ提供等の
支援は無償で行うが、代わりに、開店後の一定期間以上、プロデュース店
は同社のPB 商品を継続的に購入することとなる。同社はPB 商品の販売に
より収益を得る。

海外を含むプロデュース店の店舗数は、16/10 期末313 店舗(うち海外は4
店舗)、17/10 期末337 店舗(同6 店舗)、18/10 期第3 四半期末348 店舗(同
6 店舗)と増加が続いている。

◆ ギフトの強み
同社の特色及び強みとして、(1)駅近とロードサイドの両方に対応できる直
営店のフォーマット、(2)主要材料を供給する仕組み、(3)他社には見られ
ないプロデュース店のビジネスモデルの存在、(4)採用・人材育成の仕組み
が挙げられる。

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一般社団法人 証券リサーチセンター
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