AViC<9554> 自社開発のマーケティングDX ツールを活用して様々なサービスを提供

2022/07/14

クライアント企業の広告運用代行を行うインターネット広告事業が主力
自社開発のマーケティングDX ツールを活用して様々なサービスを提供

業種: サービス業
アナリスト: 佐々木 加奈

◆ インターネット広告サービスなどを提供
AViC(以下、同社)は、「マーケティングで人・企業・社会をより良くする」をミッションとし、クライアント企業の効率的なマーケティング活動を実現するためのデジタルマーケティングサービスを提供している。

同社は、インターネット広告サービス、SEO 注1 コンサルティングサービスを提供しており、21/9 期の売上構成比は、インターネット広告サービスが74.8%、SEO コンサルティングサービスが25.2%となっている(図表1)。

同社の前身は13 年7 月にBuySell Technologie s(7685 東証グロース)代表取締役社長である岩田匡平氏の配偶者が設立した風外堂で、14 年4 月に岩田氏が風外堂の株式を取得してマーケティングコンサルティング業を事業内容とするOWLに社名変更した。18 年3 月に岩田氏の知人で起業を志していた市原創吾氏を割当先 とする第三者割当増資を行い、市原氏が筆頭株主となり現社名に変更 して事業内容をデジタルマーケティング事業とした。同時に岩田氏は 退任して市原氏が代表取締役社長に就任している。22 年5 月時点の市 原氏の実質所有割合は48.3%、岩田氏は30.5%である。

◆ インターネット広告サービス
同社がインターネット広告サービスとして提供するのは、検索連動型広告(リスティング広告)注2、ディスプレイ広告注3、インフィード広告注4 などの運用型広告である。同社は、メディア運営会社から広告枠を仕入れ、クライアント(広告主)にコンサルティングを行ったうえで広告枠を販売し、対価として媒体費とコンサルティングに係る手数料を得ている(図表2)。また、同社はコンサルティングのみを行い、クライアント企業自身が広告枠を仕入れる場合もあり、その際にはコンサルティングに係る手数料のみが発生する。

運用型広告は、広告運用者が広告を配信するための設定を行い、配信結果を確認しながらほぼリアルタイムで設定変更を行うことが可能なため、運用者のスキルにより広告効果に差が出る。メディア運営会社は、広告主やターゲットとなるユーザーの満足度や自社の収益性を最大化するために機械学習などのテクノロジーを活用してアルゴリズム注5 の精度向上を図っており、運用者はそのアルゴリズムを理解したうえで適切な広告運用を行うことが重要となっている。

そのために同社は、3C分析注6を行ってターゲットとなるユーザーの意識を詳細に把握し、広告での訴求方法や表現方法をプランニングする。プランニングしたものを実現するために、各メディアのアルゴリズムの特徴を踏まえたうえで検索キーワードの選定、配信方法や目標の設定、媒体の特性に合わせた広告クリエイティブ(静止画、動画、テキスト)制作などを行っている。広告配信実施後には、独自のマーケティングDX注7ツールを用いた継続的なモニタリングにより広告効果を評価・分析し、より高い広告効果が得られるようにクリエイティブやターゲット等に変更・改善を加えている。

◆ SEOコンサルティングサービス
同社は、クライアント企業の抱えている課題を解決するために、検索順位を上げるための対策キーワードの選定、競合分析を踏まえた戦略の立案と実行、対象となるサイトの構造最適化、成果のシミュレーションなどのSEO施策を提供してコンサルティング手数料及び記事コンテンツ制作料を得ている。

具体的には、1)対策キーワード選定の分母となるキーワードの洗い出し、2)検索順位上昇のための要素特定と定量調査、3)定量的な根拠に基づいたポテンシャル注8算出、施策設計という手順でサービスを提供している。

1)対策キーワード選定の分母となるキーワードの洗い出し
Googleサジェストワード注9、Googleキーワードプランナー注10経由で取得するキーワード及び他社サイトの流入キーワードをもとに、マーケティングDXツールを用いて対策キーワード選定の分母となるキーワードを洗い出す。

2)検索順位上昇のための要素特定と定量調査
マーケット環境や競合企業の集客構造を分析するための「領域診断」、サイトのドメインパワー注11を簡易的に測る「サイト診断」、具体的なキーワードにおける順位を調査する「キーワード診断」という流れで判定を行い、対象キーワードの検索結果で上位に表示されるサイトと他サイトの差、検索順位結果と強い相関のある要素などを定量的に調査する。

3)定量的な根拠に基づいたポテンシャル算出、施策設計
キーワードの検索ボリュームや他サイトとの差の定量分析をもとにポテンシャルの精緻な見極めを行う。その後に検索順位を上昇させるための対策キーワードの選定、記事コンテンツの企画・制作などを行っている。

◆ クライアント企業の業種は多様
インターネット広告サービス、SEOコンサルティングサービスともに同社がクライアント企業に直接サービスを提供するケース(直接取引)と大手広告代理店経由で提供するケースがあり、同社によると直接取引の割合が7割程度を占めている。同社がメインターゲットとするのは、大手広告代理店がターゲットとする顧客層より広告予算の規模が小さい中小規模の顧客層で、クライアント企業は人材関連、食品関連、中古車販売、宝飾関連、金融関連など多様な業種にわたっている。

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一般社団法人 証券リサーチセンター
資本市場のエンジンである新興市場の企業情報の拡充を目的に、アナリスト・カバーが少なく、適正に評価されていない上場企業に対して、中立的な視点での調査・分析を通じ、作成されたレポートです。