アイキューブドシステムズ<4495> 「CLOMO MDM」サービスの更なる拡大に加え新規事業領域の開拓を模索
法人向けにモバイル端末等を一元管理する「CLOMO MDM」サービスを提供
「CLOMO MDM」サービスの更なる拡大に加え新規事業領域の開拓を模索
業種: 情報・通信業
アナリスト: 藤野敬太
1.会社概要
・アイキューブドシステムズ(以下、同社)は、ビジネス用途で様々なモバイル端末を導入している法人に対し、それらの端末等を一元管理するMDM サービス(及び EMM サービス)を提供している。
2.財務面の分析
・サブスクリプション型に事業を転換した 15/6 期から 21/6 期まで、年平均21.7%のペースで増収となった。ただ、16/6 期までは投資を実施し、損益分岐点売上にも達しなかったために経常赤字が続いた。黒字転換した17/6 期以降、経常利益は利益率上昇を伴って拡大している。
・法人顧客向けに、サブスクリプション型のモデルで SaaS サービスを提供する他の上場企業と財務指標を比較してみると、売上高営業利益率に優位性があるくらいである。とは言え、特段悪い数値があるわけではなく、別の言い方をすれば、総じてバランスが取れているとも言える。
3.非財務面の分析
・同社の知的資本の源泉は、MDM サービスの提供を牽引した創業者(人的資本)と、自社で完結する開発体制(組織資本)である。MDM サービスにおける同社の先行優位性は自社開発体制を堅持した賜物であり、顧客の増加、ノウハウの蓄積、開発によるサービス向上から更なる顧客の増加につながるという好循環を描くことになった。
4.経営戦略の分析
・対処すべき課題として、対象顧客層の拡大、開発体制の充実、導入先との関係強化、新規事業領域の開拓が挙げられる。
・MDM 市場自体の拡大が続くという認識のもと、既存のCLOMO 事業の継続的な成長と、新たな収益源の創出の2 点を方針としている。数値目標としては、24/6 期まで年25%以上の増収率を継続し、中長期的に売上高営業利益率40%の高収益体制を確立することを掲げている。
5.アナリストの評価
・証券リサーチセンターでは、MDM サービスの競争ポイントが変わっていく中で、自社開発体制と、販売以外の業務の内製化は一層の優位性につながると評価している。一方、MDM 市場以外への事業領域拡大は未知数のため、当面は、投資事業の具体的な投資先に注目したい。