テンダ<4198> 「ワークスタイル変革」への需要増で22年5月期は増収増益に転じる見込み

2021/06/15

「ワークスタイル変革」をコンセプトに IT サービスを提供
「ワークスタイル変革」への需要増で22年5月期は増収増益に転じる見込み

業種: 情報・通信業
アナリスト: 藤野 敬太

◆ 「ワークスタイル変革」をコンセプトに各種 IT サービスを提供
テンダ(以下、同社)は、システムの受託開発や技術者派遣(SES 注 1 )等の IT サービスを展開し、自社で開発したソフトウェアの販売も行っている。「ワ ークスタイル変革」をコンセプトにサービスを提供していることが特徴で、ラボ 型開発モデル(後述)による案件の実績も蓄積してきている。

また、過去にモバイル事業を展開していた経緯から、オンラインゲームの開 発、運用も行っている。

同社は、20/5 期までは IT ソリューション事業、オンラインゲーム事業の 2 つの 報告セグメントとしていたが、21/5 期から IT ソリューション事業、ビジネスプロ ダクト事業、ゲームコンテンツ事業の 3 つの報告セグメントに変更した。IT ソリ ューション事業に含まれていたビジネスパッケージの販売をビジネスプロダク ト事業として分離し、オンラインゲーム事業をゲームコンテンツ事業へと改称し た。

IT ソリューション事業とビジネスプロダクト事業が「ワークスタイル変革」に直接 関係する事業であり、両事業合計で全体の売上高の約 8 割を占めている(図 表 1)。

◆ IT ソリューション事業
21/6 期第 3 四半期累計期間の売上高の 61.6%を占める IT ソリューション事 業は、主にホワイトカラーのワークフローの改善や業務の改革を支援する事 業で、システム開発・運用の受託(以下、受託開発)や技術者派遣(SES)の 形態でサービスを提供している。

受託開発は 01 年にモバイル事業に取り組み始めてから本格化し、21 年 1 月末時点で累計 1,000 件以上の案件の実績がある。従来の請負開発だけ でなく、アジャイル型開発手法注 2 を積極的に取り入れていることが特徴で、 「テンダラボモデル」と呼ばれるラボ型開発モデルによって、上流工程から 関わる開発案件を増やしてきている。

システム開発をアウトソーシングする際の手法としては、請負型開発とラボ型 開発がある。請負型開発は、顧客企業が発注する仕様や要件に従って開 発する従来からの開発手法で、顧客企業は開発プロセスにあまり関与しな い。そのため、開発を発注する前に、要件定義プロセスで詳細な要件を定 めておくことが必須となる。

一方、ラボ型開発は、顧客企業が必要とするスキルを持つ専属のエンジニ アチームを社外に編成し、開発を行う開発手法である。アジャイル型開発手 法との親和性が高く、開発途中でも要件や仕様を柔軟に変更できることが 特徴である。(1)DX に関係する案件では要件定義が不明確なまま開発を 始めることが多い、(2)ラボ型開発では IT エンジニアの編成や変更を柔軟 に行うことができるという理由により、ラボ型開発への関心は高まっている。

ラボ型開発を標榜する企業は、海外にラボ型開発のエンジニアチームを置 くことが多い。一方、同社は国内でラボ型開発のエンジニアチームを編成す ることが多く、この点も同社の特徴となっている。同社が動員できる IT 人材 は 238 人で、その内訳は、社内エンジニア 129 人。ニアショアエンジニア 26 人、オフショアエンジニア 13 人、外部パートナー70 人となっている。

これらの特徴により、同社の案件の 50%以上が直取引の案件であり、リピー ト率も 85%と高い。また、後述するビジネスプロダクト事業で、業務効率化に 関係する自社プロダクトを展開していることで、ソリューションの付加価値の 向上や顧客獲得の効率化を図ることができている。

◆ ビジネスプロダクト事業
21/6 期第 3 四半期累計期間の売上高の 17.7%を占めるビジネスプロダクト 事業は、「ホワイトカラーの業務効率化」をコンセプトとした自社開発ソフトウ ェアの開発、販売を行う事業である。

08 年にリリースされ 2,600 社以上の累計導入実績を持つマニュアル自動作 成ソフト「Dojo(ドージョー)」を筆頭に、「Dojo」の上位プロダクトに位置づけ られるマニュアルナビゲーション「Dojo Sero(ドージョーセロ)」、RPA 注 3 導入 ソリューションプラットフォーム「D-Analyzer(ディーアナライザー)」、ビジネス 向けチャットサービス「TE ん WA(テンワ)」といったプロダクトがある。「Dojo Sero」は特許取得済み、「D-Analyzer」は特許出願中であり、技術的な裏付 けも確かである。

◆ ゲームコンテンツ事業
21/6 期第 3 四半期累計期間の売上高の 20.8%を占めるゲームコンテンツ事 業は、IT ソリューション事業から派生した事業である。01 年以降、コンテンツ の制作や運用を行い、14 年からは自社ゲームの提供も行っている。そうした 経緯から、現在は、自社でゲーム化権を持つ自社タイトルと、他社がゲーム 化権を持ち同社が開発と運用を受託する他社タイトルとがある。

ゲームは他社が運営するプラットフォームに載せられ、ユーザーには無料で 提供されるが、アイテムを購入する際の課金が発生することで同社は収益を 得る。

ゲームの分類としては、「カードバトル RPG」と呼ばれるジャンルのソーシャ ルゲームが中心となっている。自社タイトルでは、「ヴァンパイア†ブラッド」、 「からくりサーカス~Larmes d’un Clown(ラームズ ダン クラウン)~」、他社 タイトルでは、「宇宙戦艦ヤマト 2202 遥かなる旅路」、「ろくでなし BLUES~ 激闘クロニクル~」といったものが代表的なコンテンツである。

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