アイスコ<7698> 22 年 3 月期は減益計画だがフローズン事業の中期的な成長余力に期待

2021/04/21

フローズン商品に特化した食品卸と生鮮食品スーパーの二本柱で展開
22 年 3 月期は減益計画だがフローズン事業の中期的な成長余力に期待

業種: 卸売業
アナリスト: 藤野 敬太

◆ アイスクリーム及び冷凍食品の卸売と食品スーパーの 2 本柱
アイスコ(以下、同社)は、アイスクリームと市販用冷凍食品(以下、フローズ ン商品)に特化した食品卸を中心に事業を展開している。元々はアイスクリ ーム専門の卸売だったが、96年に市販用冷凍食品の卸売に参入した。また、 09 年 4 月に大我産業を吸収合併し、食品スーパーマーケットの運営を行う ようになった。

同社の事業は、アイスクリーム・冷凍食品の卸売を行うフローズン事業と、食 品スーパーマーケットを運営するスーパーマーケット事業の 2 つの報告セグ メントで構成される。フローズン事業が売上高の 70%超を占めるが、その売 上構成比の上昇が続いている。

◆ フローズン事業
フローズン事業では、関東及び東海エリアを中心に、フローズン商品に特 化した卸売を行っている。物流のリソースを自社で保有していることが特徴 である。13 カ所の物流拠点(物流センター2 カ所、営業所 11 カ所)と約 300 台の配送用トラックを所有し、また、配送と陳列を行う配送員(ドライバー等) は、約 9 割が自社社員である(残り約 1 割は協力会社等への委託)。

取り扱うフローズン商品は、常温の状態ではすぐに溶けてしまうという特性が ある。そのため、バックヤードが狭くて冷凍庫を置くことができない小規模の 店舗には、店舗のバックヤードに置いてくるだけの「ドロップ納品」は適さな い。こうした店舗には、配送員が顧客店舗の売り場に商品を直接陳列して 納品する「フルメンテナンスサービス」が求められるが、同社はこの「フルメン テナンスサービス」を得意としている。顧客企業の陳列業務を軽減すること で、人手不足という小売企業が抱える経営課題を解決することも同社は付 加価値としている。

この付加価値はバックヤードが狭い店舗を運営する顧客企業に受け入れら れている。ドラッグストアを運営するクリエイトSDホールディングス(3148 東 証一部)傘下のクリエイトエス・ディーと、総合ディスカウントストアを運営する パン・パシフィック・インターナショナルホールディングス(7532 東証一部)傘 下のドン・キホーテが同社の主要顧客となっている(図表 2)。両社の店舗の 増加は、フローズン事業の売上成長の原動力となっている。

◆ スーパーマーケット事業
同社のスーパーマーケット事業では、「スーパー生鮮館 TAIGA」8 店舗(神 奈川県 7 店舗、静岡県 1 店舗)とテナント店舗 2 店を運営している。

「スーパー生鮮館 TAIGA」は、鮮度と手頃価格にこだわることをコンセプトと している。店舗の売場面積は 150~320 坪で、生鮮 3 品(青果、鮮魚、精肉) に注力することで大手スーパーとの差別化を図っている。そのため、スーパ ーマーケット事業の売上高の過半が生鮮 3 品で占められている(図表 3)。

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一般社団法人 証券リサーチセンター
資本市場のエンジンである新興市場の企業情報の拡充を目的に、アナリスト・カバーが少なく、適正に評価されていない上場企業に対して、中立的な視点での調査・分析を通じ、作成されたレポートです。