グラフィコ<4930> 主に女性向けの 8 つのミリオンセラー商品を展開

◆ 健康食品、化粧品、日用雑貨、医薬品のファブレス企業
グラフィコ（以下、同社）は 94 年に創業で、当初は商品デザインやクリエイテ ィブ制作を行っていたが、04 年に自社オリジナル商品の企画開発及び販売 を始めてからは、現在のようなファブレス企業注としてのビジネスモデルで事 業を拡大してきた。取り扱う商品は自社商品が中心だが、海外商品の日本 国内での独占販売権を取得して展開する商品もある。また、17 年にみらい ファーマを吸収合併したことで、医薬品の取り扱いも始まった。

◆ 5 つの商品カテゴリー
同社は健康食品、化粧品、日用雑貨、医薬品の企画及び販売を主たる事 業とする単一セグメントだが、売上高は 5 つの商品カテゴリーに分類される。 最も売上高が大きいのはハウスホールドで、増収が続き、20/6 期は全体の 6 割に迫る売上構成比となった。ヘルスケアやビューティケアは減収が続き、 20/6 期は両カテゴリーとも売上構成比が 2 割を切る水準まで低下した。医薬 品はまだ 3～4%台の売上構成比である。

ヘルスケアはダイエット関連の健康食品が中心で、2 つのブランドを有して いる。

ビューティケアは化粧品を中心に 6 ブランドを有しており、フットケアやスキン ケア、温活といった比較的ニッチ分野を狙った商品が多い。

ハウスホールドは日用雑貨で、酸素系漂白剤の「オキシクリーン」の 1 ブラン ドを展開している。自社商品の開発が基本の同社にあって、「オキシクリー ン」については、米国の Church & Dwight Co., Inc.から独占販売権を取得し て販売している商品である。

医薬品は、第 3 類医薬品の商品が中心である。「消毒用エタノール 「TX」」 や「ビタミン C2000」等のみらいファーマを吸収合併する前からの商品のほ か、女性の肩こりを対象とした「鎮痛消炎ミニ温膏」という医薬品カテゴリーで の初の自社商品がある。

その他は、植物石鹸等の上記のカテゴリーに分類されない商品が含まれて いる。

◆ ミリオンセラー
新ブランドを投入する際、同社は、最初から大きく勝負をかけず、小さく始め て育てていくという方針をとっている。その方針に基づき、ひとつの新ブラン ドを投入した後は派生商品を積み上げていきながら、累計出荷数が 100 万 個を超えるミリオンセラー商品にしていく。

20 年 6 月末時点で、同社は 8 つのミリオンセラー商品を有している（図表 2）。 「オキシクリーン」や「フットメジ」のように、1 つのブランドで複数のミリオンセラ ー商品を作り上げているほか、8 つのうち 6 つが販売開始から 10 年以上経 過した商品であり、商品の定番化を進めていることがうかがえる。

◆ ファブレス企業としての展開
同社はファブレス企業として、製造と物流のプロセスを外部に委託し、調査、 企画、開発、宣伝、販売の 5 つのプロセスを自社で行っている。製造の委託 先は複数あり分散されている。

同社の商品に共通する特徴として、（1）メインターゲットが女性である、（2） 市場が必要としている（市場の潜在需要が強い）、（3）効果実感が高いとい う 3 点が挙げられる。こうした商品を生み出すために、商品企画を行う企画 部門は全員が 30～50 代の女性としており、ターゲットユーザーに近い視点 からニーズをくみ上げる体制を構築している。

同社の商品が販売されているのは、主にドラッグストア、バラエティストア、ホ ームセンターであり、国内の小売店舗約 28,000 店に商品が行き渡っている。 これらの多くは国内の問屋を経由して供給されており、同社の主な販売先 には、あらた（2733 東証一部）やＣＢグループマネジメント（9852 東証 JQS） の子会社である中央物産（東京都港区）が名を連ねている。ただ、一部の小 売店舗には、同社から直接販売されることもある。また、同社からの直販とし て EC 通販も行っているが、その売上構成比は高くない。

同社は宣伝に力を入れるものの、売上高広告宣伝費率は 19/6 期で 0.67% と高くない。これはテレビ CM 以外でのプロモーションのノウハウの蓄積があ るためである。具体的には、商品のユニークさを前面に出すことでメディア 露出を増やしたり、効果実感を強調する商品とすることにより SNS で取り上 げられる機会を増やしたりするなど、多くの工夫がなされている。

◆ 海外展開
海外では、中国、韓国、香港、台湾、タイ等の国と地域で販売をしている。 主に国内の専門商社を経由する販売となっている。

◆ グラフィコの強み
同社の特色及び強みとして以下の点が挙げられる。

1. ミリオンセラー商品を 8 商品保有しているという実績がある
2. ミリオンセラー商品のジャンルが幅広く、商品ポートフォリオとしてある程 度のリスク分散ができている
3. 全社員の約 6 割が女性で子育て中の女性も多いという状況に代表される ように、女性目線での商品開発やプロモーションを行うことができる体制 が構築できている
4.  社外の製薬会社や小売会社から需要に関する情報を吸い上げ、商品開 発に活用するオープンイノベーションの体制になっている

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