セルソース<4880> 再生医療の知見を活かした化粧品も販売

2019/11/05

再生医療を提供している医療機関をサポートする事業を展開
再生医療の知見を活かした化粧品も販売

業種: 医薬品
アナリスト: 松尾 十作

◆ 再生医療関連法案施行でセルソースを設立
セルソース(以下、同社)は、再生医療をしている医療機関向けのサービスである再生医療関連事業と、一般消費者向けの化粧品等を販売しているコンシューマー事業を営んでいる(図表1)。

同社は15年11月に設立された。「再生医療等の安全性の確保等に関する法律(以下、再生医療安全性確保法)」と「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」が14年11月に施行されたことにより、再生医療にビジネスチャンスを見出し、同社設立に至った。

◆ 再生医療関連事業
再生医療安全性確保法は、従来医療機関で行われていた再生医療に用いる細胞の加工作業を、外部企業へ委託することを認めている。委託が認められる先は特定細胞加工物製造許可を取得している施設を持つ企業で、同社の再生医療センターが17年2月に同許可を取得している。

再生医療関連事業は、脂肪・血液由来の組織・細胞の加工受託サービスとして、①脂肪由来幹細胞注1加工受託サービス、②血液由来加工受託サービス、③FatBank サービスを行っている。これらのサービスに加えて④再生医療等法規対応サポートサービス、⑤医療機器販売も行っている。

脂肪由来幹細胞加工受託サービスでは、医療機関が患者から採取する脂肪組織を同社が預かり、脂肪由来幹細胞を抽出、培養、凍結保存する加工作業を行っている。

血液由来加工受託サービスでは、医療機関が患者から採取する血液を同社が預かり、その血液から多血小板血漿注2 を作成し、活性化させ、成長因子等を凝縮し、無細胞化した後に凍結乾燥したPFC-FD 注3 を作成する加工作業を行っている。多血小板血漿を加工し長期保管を可能にするフリーズドライ製法の特許を18 年8 月に同社は取得している。

FatBank サービスでは、医療機関が患者から採取する脂肪組織を同社が預かり、脂肪組織を劣化させない超低温の環境で長期間の保管を行なっている。医療機関は治療の都度、患者から脂肪組織を採取する必要がなくなり、医療機関と患者の負担を軽減させるサービスである。

医療機器の販売では、医療機関が患者から血液及び脂肪等の組織を採取するために必要な機器を扱っている。世界的に販売実績のある医療機器メーカーであるMedikan Co., Ltd(大韓民国)と国内における独占販売契約を締結している。

◆ コンシューマー事業
同社の脂肪由来幹細胞の研究に基づき開発された、美容液やクリーム、洗顔ジェル等を一般消費者向けに「シグナリフト」ブランドで製造販売している。また、美顔器の通信販売も行っている。化粧品はシャローム(山梨県南都留郡)に全ての製造を委託している。

◆ 加工受託サービス件数は増大傾向
同社が扱う加工受託サービスの疾患領域は整形外科が約9 割で、うち約9 割が変形性膝関節症注4 である。加工受託サービスのうち、19 年7 月末時点で脂肪由来幹細胞加工累計受託件数は1,204 件、血液由来加工累計受託件数は5,277 件である(図表2、図表3)。国内外での有効臨床データの発表や認知度の高まりにより増加傾向にある。

加工受託サービス件数の増大は、提携医療機関数の増加にも支えられている。提携医療機関数注5は19/10期第3四半期末時点で237院である(図表4)。内訳は病院が約2割、クリニックが約8割である。

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