ブシロード<7803> 独自のプロモーション戦略及びメディアミックスによりIPをヒットさせることが得意

2019/08/07

IP(知的財産)の開発・取得・発展が主体
独自のプロモーション戦略及びメディアミックスによりIPをヒットさせることが得意

業種: その他製品
アナリスト: 副島 久敬

◆ IP(知的財産)の開発・取得・発展が主体
ブシロード(以下、同社)は、良質なIntellectual Property(知的財産、以下IP) を開発・取得・発展させるIP デベロッパーとして、「新世代のエンターテイメントを創出する」ことをミッションとし事業を展開している。

18/7 期の売上高構成比は、エンターテイメント事業が82.6%、スポーツ事業が17.4%となっている。

エンターテイメント事業は、トレーディングカードゲーム部門、モバイルオンラインゲーム部門、音楽部門(音楽ソフト販売や声優のマネジメント等)、MD 部門(自社・他社のIP に関連するグッズの企画・販売等)及びメディア部門(関連書籍の出版や広告代理店業務)の5 部門からなっている。

スポーツ事業は、12 年1 月に連結子会社化した新日本プロレスと、16 年8 月に設立した連結子会社のキックスロードの2 社において、興業部門、MD 部門(グッズの企画・販売等)、コンテンツ部門(映像コンテンツの企画・制作。配信等)を展開している。

◆ トレーディングカードゲーム部門
創業当時からの事業であるトレーディングカードゲーム部門の18/7 期の売上高は10,172 百万円、全体に占める割合は35.2%となっている(図表1)。

トレーディングカードゲームは、1対1の対面で遊べるアナログゲームであり、「カードファイト!!ヴァンガード」、「ヴァイスシュヴァルツ」、「フューチャーカード バディファイト」、「ラブライブ!スクールアイドルコレクション」の4タイトルを展開している。

「ヴァイスシュヴァルツ」は、自社、他社問わずアニメやゲーム等様々な有力IPを取り入れたプラットフォーム型トレーディングカードゲームであり、08年3月の発売以降、100を超えるIPが参入している。これは、「ヴァイスシュヴァルツ」への参入が単に商品を投入することによる売上の確保という側面だけでなく、ヒットしているトレーディングカードゲームに参入することで、IPの更なるプロモーションが期待できることが要因となっている。

また、「カードファイト!!ヴァンガード」は自社IPであり、発売以来国内のトレーディングカードゲーム市場で上位に位置している。有力IPの一つとして、アニメやコミック、MD等、様々なメディアへも展開しており、19年5月時点で60カ国以上で販売されている。

◆ モバイルオンラインゲーム部門
同社のモバイルオンラインゲーム部門の18/7期の売上高は7,393百万円、全体に占める割合は25.6%となっている(図表1)。

同社のモバイルオンラインゲームは「ブシモ」をブランド名とし、Google LLC.及びApple Inc.等が運営するプラットフォームでユーザーに対し無料で提供され、ユーザーが一部アイテムを購入する際に課金するビジネスモデルとなっている。

19年5月時点で、「バンドリ!ガールズバンドパーティ!」、「少女☆歌劇レヴュースタァライト-ReLIVE-」等の自社IPタイトルや、「ラブライブ!スクールアイドルフェスティバル」、「戦姫絶唱シンフォギアXDUNLIMITED」等、他社IPタイトル等、計13タイトルを提供している。

提供しているタイトルはすべて外部のパートナー会社と共同で展開しており、①同社がゲームの企画、製作、宣伝、配信を行い、パートナー会社に開発及び運営を外注又は委託する場合と、②同社がゲームの企画、製作、宣伝を行い、プロジェクトのパートナー会社が開発、運営、配信を行い収益を一定割合で配分するケースの2つがある。

◆ 音楽部門
同社の音楽部門は連結子会社のブシロードミュージックにおいて、自社IPを中心に音楽ソフトの販売や楽曲の権利開発、ライブやイベントの運営を行っている。音楽部門の18/7期の売上高は2,040百万円、全体に占める割合は7.1%となっている(図表1)。

◆ MD部門
同社のMD部門は同社と連結子会社のブシロードクリエイティブで展開している。同社は主催イベントでのグッズ販売やトレーディングカードゲーム関連のサプライ用品等を企画・販売し、ブシロードクリエイティブは自社及び他社の有力IPを使用したグッズを企画・製作し、全国のアニメショップや、カプセル玩具自動販売機向け等に販売している。

MD部門の18/7期の売上高は2,867百万円、全体に占める割合は9.9%となっている(図表1)。

◆ メディア部門
同社のメディア部門は連結子会社のブシロードメディアにおいて、自社IPを看板タイトルにした雑誌「月刊ブシロード」を制作・発行している。また、実写情報バラエティ番組の「月刊ブシロードTV」の制作・放映・配信も行っており、さらに連結子会社の響にてWEBラジオを配信している。雑誌にとどまらない複合的なプロモーションを可能にしており、特にWEBラジオは数少ないプラットフォームとして、業界の最新情報の取得や、有力IPの取得に貢献している。

◆ 新日本プロレス
同社は12年1月に新日本プロレスを連結子会社としている。新日本プロレスの18/7期の売上高は4,890百万円、全体に占める割合は16.9%となっている(図表1)。新日本プロレスの売上高の内訳は興業収入が50%程度、映像配信等のコンテンツ収入が20%程度、MDが30%程度となっている。

新日本プロレスは年間150試合程度開催し、18/7期の有料入場者数は39.1万人で、チケットの完売率は95%程度と高い水準にある。入場者の40%程度を女性、10%程度を子供が占めており、特に女性の観客は20歳代から30歳代が中心となっている。

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