共栄セキュリティーサービス<7058> 施設・巡回警備分野での案件の積み上がりによる業績拡大を見込む
施設警備を主力とする人的警備に特化した警備会社
施設・巡回警備分野での案件の積み上がりによる業績拡大を見込む
業種: サービス業
アナリスト: 藤野 敬太
◆ 施設警備を主力とする警備会社
共栄セキュリティーサービス(以下、同社)は、セコム(9735 東証一部)や総 合警備保障(2331 東証一部)が展開するような機械警備は行わず、警備員 を必要とする人的警備に特化した警備会社である。1985 年の創業以来、交 通誘導警備を主要業務としてきたが、2000 年に大型施設の施設警備を開 始したことをきっかけに、08 年頃の大手商業施設の急増の流れを追い風に 施設警備を拡大させてきた。また、02 年に開催されたサッカーワールドカッ プの 4 会場(宮城、埼玉、新潟、静岡)の警備を担当した実績も有する。
同社の事業は、警備事業の単一セグメントだが、売上高は、3 つの警備分 野に分類される。施設・巡回警備分野が全売上高の約 3 分の 2 を占めてい る(図表 1)。
◆ 施設・巡回警備分野
19/3期第3四半期累計期間の全売上高の約67%を占め、オフィスビルや商 業施設等に警備員を配備し、出入管理、巡回、緊急対応等を行う施設警備 を主力とする。施設警備以外では、女性警備員による企業受付業務や商業 施設のコンシェルジェを行うレセプション・コンシェルジェや駐車場業務、空 港消防業務がある。
◆ 雑踏・交通誘導警備分野
19/3 期第 3 四半期累計期間の全売上高の約 28%を占める分野である。同 社の創業来の警備分野で、路上工事現場や建築現場等での交通誘導警 備のほか、イベント会場での雑踏整理を行うイベント警備、高速道路やサー ビスエリア・パーキングエリアでの交通誘導警備や停車中の故障車の後方 警戒を行うハイウェイ・セキュリティティーがある。
◆ その他
19/3 期第 3 四半期累計期間の全売上高の約 5%を占め、要人の身辺警護 を行うボディーガード、駐車場運営管理、マンション代行管理、建物・設備 管理等が含まれる。駐車場運営管理には、コインパーキングでのトラブル発 生時に障害対応専門の機動隊員が現場に急行してトラブルを解決する駐 車場障害対応のサービスも含まれる。
◆ ストック型案件からの売上が中心
施設・巡回警備分野のほぼすべて、雑踏・交通誘導警備分野でも多くの割 合が、年間契約で契約に基づいて毎月売上を計上していくストック型の案 件であり、業績の安定性に寄与していると考えられる。
◆ 約 1,500 人の警備員を抱え広域に展開
同社の平均臨時雇用人員は、18/3 期末時点で 1,165 人、19/3 期第 3 四半 期末時点で1,198人となっており、全員警備員である。従業員でも管理部門 以外の多くは警備員であり、全体で約 1,500 人の警備員を抱えている。
なお、同社の警備員の定着率は業界平均と比べて高いと推察される。その 要因として、(1)他社に比べて建物の内部で警備する施設・巡回警備分野 が多いこと、(2)給与水準が高いこと、(3)資格手当が手厚いこと、(4)現場 で働く警備員をフォローするラウンダーがいて警備員の意見や要望を吸い 上げる仕組みがあることが挙げられる。
また、同社がカバーする地域は、西は大阪から北は北海道までと広域であ り、拠点数は、14営業所と本社で15拠点である(連結子会社の道都警備の 3 拠点を加えると 18 拠点)。同社のように人的警備を中心としながら広域に 展開している企業は、警備業界の中でも数少ないとみられる。
◆ 2つの子会社
同社は 2 つの子会社を持つ。ひとつは連結子会社の道都警備(北海道札 幌市)で、それまで拠点がなかった北海道に進出するために 15 年 12 月に 完全子会社化した。もうひとつはコインパーキングでの障害対応を行う持分 法適用子会社のCSPパーキングサポート(東京都渋谷区)で、新しい分野 への進出のために 16 年 11 月に出資した。
◆ 共栄セキュリティ―サービスの強み
同社の特色及び強みとして、(1)警備業界の中で、人的警備の分野に特化 して広域展開をしている数少ない企業であること、(2)ストック型の案件が中 心のため業績の安定性が高いこと、(3)警備員の定着率が高いことの 3 点 が挙げられよう。