ピックルスホールディングス(2935) 売上・利益とも予想を上回り順調な推移

2023/11/02
 

影山 直司 社長

株式会社ピックルスホールディングス(2935)

 

 

企業情報

市場

東証プライム市場

業種

食料品(製造業)

代表者

影山 直司

所在地

埼玉県所沢市東住吉7-8

決算月

2月

HP

https://www.pickles-hd.co.jp

 

株式情報

株価

発行済株式数(期末)

時価総額

ROE(実)

売買単位

1,170円

12,858,430株

15,044百万円

6.8%

100株

DPS(予)

配当利回り(予)

EPS(予)

PER(予)

BPS(実)

PBR(実)

22.00円

1.9%

91.40円

12.8倍

1,362.11円

0.9倍

*株価は10/12終値。発行済株式数、DPS、EPSは24年2月期第2四半期決算短信より。ROE、BPSは前期実績。

 

連結業績推移

決算期

売上高

営業利益

経常利益

当期純利益

EPS

DPS

2020年2月

41,417

1,871

1,973

1,290

100.83

15.00

2021年2月

46,020

2,711

2,829

1,832

142.96

17.50

2022年2月

45,006

2,942

3,068

2,128

165.59

20.00

2023年2月

41,052

1,538

1,650

1,138

88.80

22.00

2024年2月(予)

42,200

1,620

1,755

1,150

91.40

22.00

* 2022年2月期までは (株) ピックルスコーポレーションの実績、以降は (株)ピックルスホールディングスの実績及び予想。単位:百万円。当期純利益は親会社株主に帰属する当期純利益。以下、同様。EPS、DPSは2021年9月1日付で実施した1:2の株式分割を遡及して調整。23年2月期第1四半期から収益認識に関する会計基準(以下、「収益認識会計基準」という。)等を適用。

 

 

(株)ピックルスホールディングスの2024年2月期第2四半期決算概要などをご報告致します。

目次

今回のポイント
1.会社概要
2.2024年2月期第2四半期決算概要
3.2024年2月期業績予想
4.今後の主な施策
5.今後の注目点
<参考:コーポレート・ガバナンスについて>

 

今回のポイント

  • 24年2月期第2四半期の売上高は前年同期比8.5%増の231億11百万円。巣ごもり需要の反動減の影響が落ち着いたことに加え、コンビニエンスストア向けの売上が好調に推移した。営業利益は同9.3%増の12億80百万円。調味料、包装材などの原材料価格の上昇で売上総利益は同1.5%の増加にとどまったが、物流費の高騰などがあったものの販管費が同1.0%減少した。売上・利益とも予想を上回った。
  • 業績予想に変更は無い。24年2月期の売上高は前期比2.8%増の422億円、営業利益は同5.3%増の16億20百万円の予想。需要の回復や好調な惣菜製品の拡販などにより増収を見込む。原材料費等の高騰の影響は続くものの、製品の内容及び価格の見直しなどを実施し増益を計画している。配当は普通配当22.00円/株を予定(前期は普通配当20.00円/株、記念配当2.00円/株の合計22.00円/株)。予想配当性向は24.1%。
  • 24年2月期上期の進捗率は売上高54.8%、営業利益79.0%。どちらも例年と比較して高水準である。前期までの巣ごもり需要の反動減も一段落し、順調な推移となっているようだ。
  • 一方で、粗利率の低下が続いている。24年2月期第2四半期(6‐8月)の粗利率は19.7%と、ここ数年の最低水準となっている。収益認識基準適用に伴う物流費の計上方法変更もあり販管費率が低下傾向にあったため、営業利益率に大きな変化はないが、今後、人的資本強化や工場新設に伴う減価償却費増も予想される中、粗利率の改善は急務となろう。「製品開発強化」「販売エリア拡大」「販売先拡大」「新規事業」の4つの戦略による業容拡大とともに、野菜調達の見直しや、不採算アイテムの見直し及びアイテムの集約化などの取り組みに注目していきたい。 

1.会社概要

持株会社として、浅漬・キムチ・惣菜の製造・販売及び漬物等の仕入販売を行う(株) ピックルスコーポレーションを中心に、(株)ピックルスコーポレーション札幌、(株)ピックルスコーポレーション関西、(株)フードレーベル等のグループ会社により全国的な製造・販売ネットワークを構築している。
「野菜の元気をお届けします。」をスローガンに掲げ、コーポレートカラーの緑は新鮮感を表す。自社製品は、契約栽培によるトレーサビリティの確保された国産野菜(約80%が契約栽培)が中心で、保存料・合成着色料は使用しない。また、製造現場では、工場内での温度管理の徹底や入室前の全従業員の服装・健康チェック、5S活動への取り組み、更にはFSSC22000やJFS-Bの認証取得等、「安全な食へのこだわり」は強い。

 

【1-1 経営理念】

経営理念は「おいしくて安全、安心な商品を消費者にお届けし、同時に地球環境に配慮した企業経営を目指します」。その上で、①安全でおいしい製品を作るための品質管理、②地球環境に配慮した企業経営、③従業員のモラルアップと安全・健康を第一とした職場づくり、を経営方針として掲げている。この方針に則り、食品安全の規格であるFSSC22000、JFS-Bや環境管理の国際規格であるISO14001に取り組んでいる他、人事制度や教育制度等の充実を図る等で従業員教育にも力を入れている。
こうした経営理念をベースとして「SDGs」や「ESG経営」にも注力しており、ESGに関する取り組み・課題と、企業価値向上に向けたストーリーを伝えるためにESGレポートを作成している。

 

「ESG Bridge Report」
https://www.bridge-salon.jp/report_bridge/archives/2023/03/230328_2935.html

 

【1-2 事業内容】

2023年2月期の品目別売上構成は、製品(自社工場で生産)売上が66.6%(浅漬・キムチ40.1%、惣菜25.4%、ふる漬1.1%)、連結子会社(株)フードレーベル製品や他社仕入商品(自社工場以外での生産)売上が33.4%。

(同社資料基に㈱インベストメントブリッジ作成)

 

(製品・商品概要)
◎浅漬・キムチ
サラダ感覚で食べられる浅漬を野菜の旬の時期に合わせたラインナップで提供している。近年は、消費者の健康志向の高まりにより、従来製品より低塩な「減塩浅漬」なども販売。
「安全・安心」な食品の提供を重視する同社グループとして、主要原料の白菜、キュウリは国産を使用。保存料・合成着色料は一切使用していない。

 

2009年10月に販売を開始した主力商品「ご飯がススムキムチ」は、キムチは辛いという従来の基本概念を捨てて、主婦層が家族に食べさせたいキムチというコンセプトを打ち出し、日本人の嗜好に合わせて、甘みやうま味を際立たせるオリジナルの味として開発した。また、300~400グラムの容量が多いキムチ商品の中で、家族で食べ切れるようにと200 グラムに設定し、買いやすい量目と価格に設定。さらに、冷蔵庫内に収まりやすいスリムな形状とするとともに、赤やオレンジ色のデザインが多かったキムチ売場で、黒をメインカラーとしたパッケージデザインを採用した。この結果、当初の狙い通り女性や子供を中心に支持を集めている。
また、キャラクターや食品メーカーとのコラボレーション商品も開発するなど、ラインナップを充実させている。
現在、浅漬とキムチの漬物市場における構成比は約50%。漬物市場全体は縮小傾向にあるものの、浅漬やキムチの市場は安定している。
浅漬・キムチは野菜を主原料としており、食物繊維が豊富な低カロリー食品として見直され、今後の需要の伸びが期待されている。

 

 

 

 

ご飯がススムキムチ

叙々苑ポギキムチ

4種のぬか野菜

(同社資料より)

 

◎惣菜
2002年8月から惣菜の取扱いを開始し、着実に売上高を拡大している。近年は、消費者が節約志向を強めて外食を控え、惣菜を買って家庭内で食事をする中食の傾向が強まっているほか、高齢者・単身者世帯や共働き世帯の増加により食事のスタイルが変化しており、惣菜の需要は今後も拡大が見込まれている。
同社グループでは強みである「野菜」をキーワードに開発を行っており、現在は、サラダなどが好調。また、野菜の品種にこだわった製品を展開したり、サラダのドレッシングを自社開発したりするなど、惣菜にオリジナリティ・付加価値をつけ開発している。このほか、製品のpHコントロールによる緑色野菜の変色防止などの技術を活用している。

 

 

 

 

4種のナムルセット

棒棒鶏サラダ

キャベツのうま塩サラダ

(同社資料より)

 

(販売先)
全国の量販店、小売店、卸などが販売先であり、販路別構成(23年2月期)は、量販店・問屋等76.3%、コンビニ15.3%、外食・その他8.4%となっている。

(同社資料基に㈱インベストメントブリッジ作成)

 

【1-3 特長・強み・競争優位性】

同社は、以下のような特長・強み・競争優位性を有している。

 

(1)漬物業界でトップシェア
食品新聞記事を基に同社が作成した売上ランキングでは、同社は連結売上高411億円で、2位以下を大きく引き離し、シェア13.0%のトップである。以前から掲げている15%達成を目指しており、M&Aを含めてシェアアップを図っていく考えだ。

 

(同社資料より)

 

(2)独自性の高い商品開発力
製品開発を迅速かつ柔軟に実現するため、コンビニエンスストア、量販店、外食産業など、取引先ごとに開発担当と営業担当によるチーム体制を構築し、顧客の意見を反映することで他社とは違うオリジナリティあふれる商品を開発している。
野菜、調味料などの素材選びから、加工方法、味、パッケージなど、多面的に開発を推進している。
基礎研究を担う研究開発室は、独自に開発した植物由来の乳酸菌Pne-12(ピーネ乳酸菌)をはじめとした乳酸菌に関する研究など、将来を見据えた取り組みを行っている。

 

(3)全国をカバーする生産・物流体制
(株)ピックルスコーポレーションを中心としたグループ会社で全国を網羅。漬物業界で唯一、製造、物流、開発、営業機能の全国ネットワークを構築している。このため全国展開している顧客の各店舗に同一の浅漬・キムチや惣菜の提供が可能であり、営業上の大きな訴求ポイントにもなっている。
製造においては、食品安全の規格であるFSSC22000やJFS-Bを導入し、より安全・安心な製品を供給する体制を整えている。

(同社資料より)

 

(4)販売先に密着した提案型営業
全国に展開する販売拠点では、それぞれの地域・販売先に密着した提案型営業を実施している。
主力の浅漬、キムチをはじめ、惣菜売場向けの商品ラインナップの充実を進め、営業担当が販売方法を提案し、売場づくり・漬物フェアの開催など、消費者への様々なアプローチを販売先とともに考えている。加えて販売先とのコミュニケーションから得た情報を社内にフィードバックし、消費者動向を商品開発等に役立てている。

 

(5)販売先のニーズに対応するベンダー機能
浅漬、キムチ、惣菜等を自社で製造するメーカーとしての機能と、自社工場で製造できない梅干等の商品を全国各地の漬物メーカーから仕入れて販売する卸売機能の二つの機能を有している。自社製品、他社商品を同時に提供することができるベンダー機能を活かし、販売先のニーズに合わせたトータルな売場づくりを提案することが可能である。

 

【1-4 ROE分析】

17/2期

18/2期

19/2期

20/2期

21/2期

22/2期

23/2期

ROE(%)

6.5

8.6

8.0

10.4

13.3

13.7

6.8

 売上高当期純利益率(%)

1.53

2.32

2.26

3.11

3.98

4.73

2.77

 総資産回転率(回)

2.02

1.90

1.88

1.79

1.83

1.73

1.57

 レバレッジ(倍)

2.10

1.95

1.89

1.88

1.83

1.67

1.55

 

*(株)インベストメントブリッジが開示資料を基に作成。

 

22年2月期まで3期連続で10%を超えていたが、23年2月期は日本企業が一般的に目標とすべきとされている8%を下回った。

2.2024年2月期第2四半期決算概要

【2-1 連結業績】

23/2期2Q

構成比

24/2期2Q

構成比

前期比

予想比

売上高

21,308

100.0%

23,111

100.0%

+8.5%

+4.2%

売上総利益

4,722

22.2%

4,795

20.7%

+1.5%

販管費

3,550

16.7%

3,515

15.2%

-1.0%

-0.4%

営業利益

1,171

5.5%

1,280

5.5%

+9.3%

+8.9%

経常利益

1,232

5.8%

1,355

5.9%

+9.9%

+9.7%

当期純利益

831

3.9%

915

4.0%

+10.1%

+14.4%

* 単位:百万円。23年2月期第2四半期は(株) ピックルスコーポレーション、24年2月期第2四半期は(株)ピックルスホールディングスの決算短信より。

 

増収増益、予想を上回る
売上高は前年同期比8.5%増の231億11百万円。巣ごもり需要の反動減の影響が落ち着いたことに加え、コンビニエンスストア向けの売上が好調に推移した。
営業利益は同9.3%増の12億80百万円。調味料、包装材などの原材料価格の上昇で売上総利益は同1.5%の増加にとどまったが、物流費の高騰などがあったものの販管費が同1.0%減少した。
売上・利益とも予想を上回った。

①品目別・販路別動向
◎品目別売上高

22/2期2Q

構成比

23/2期2Q

構成比

24/2期2Q

構成比

前年同期比

製品

16,211

66.4%

14,535

68.2%

15,721

68.0%

+8.2%

浅漬・キムチ

10,368

42.5%

9,088

42.7%

8,852

38.3%

-2.6%

惣菜

5,580

22.8%

5,209

24.4%

6,608

28.6%

+26.8%

ふる漬

263

1.1%

237

1.1%

260

1.1%

+9.6%

商品

8,211

33.6%

6,773

31.8%

7,390

32.0%

+9.1%

売上高合計

24,423

100.0%

21,308

100.0%

23,111

100.0%

+8.5%

* 単位:百万円。23年2月期第1四半期から収益認識会計基準等を適用。

 

◎販路別売上高

22/2期2Q

構成比

23/2期2Q

構成比

24/2期2Q

構成比

前年同期比

量販店・問屋等

18,110

74.2%

16,293

76.5%

17,265

74.7%

+6.0%

コンビニ

4,168

17.1%

3,175

14.9%

3,691

16.0%

+16.2%

外食・その他

2,143

8.8%

1,839

8.6%

2,154

9.3%

+17.1%

売上高合計

24,423

100.0%

21,308

100.0%

23,111

100.0%

+8.5%

* 単位:百万円。23年2月期第1四半期から収益認識会計基準等を適用。

 

②売上総利益率と野菜価格の状況
(白菜価格)
23年3月から4月にかけて、主産地(茨城県)において、気温高や適度な降雨により生育が進み、5月の出荷が減少し価格が上昇したが、大きな影響はなく、ほぼ昨年並みで推移した。
(胡瓜価格)
23年6月頃に主産地(福島県)において降雨や低温等の影響により生産遅延が発生したことから価格が高騰し、昨年より高値となった。

 

引き続き契約農家の拡大や関係強化などにより、持続的な粗利率改善を図っている。

 

 

【2-2 財政状態】

◎財政状態

23年2月末

23年8月末

増減

23年2月末

23年8月末

増減

流動資産

11,249

13,823

+2,574

流動負債

7,257

7,830

+573

現預金

5,940

7,927

+1,987

仕入債務

2,922

3,999

+1,077

売上債権

4,251

5,000

+749

短期有利子負債

2,114

1,436

-678

たな卸資産

672

829

+157

固定負債

1,646

2,779

+1,133

固定資産

15,058

14,702

-356

長期有利子負債

539

1,658

+1,119

有形固定資産

13,387

13,067

-320

負債合計

8,904

10,609

+1,705

無形固定資産

463

399

-64

純資産

17,404

17,916

+512

投資その他

1,207

1,236

+29

負債・純資産合計

26,308

28,526

+2,218

資産合計

26,308

28,526

+2,218

自己資本比率

65.1%

61.7%

-3.4p

* 単位:百万円。有利子負債にはリース債務を含む。

 

*(株)インベストメントブリッジが開示資料を基に作成。

 

現預金の増加等で総資産は前期末比22億円増の285億円。仕入債務の増加等で負債合計は同17億円増加し106億円。
利益剰余金の増加等で純資産は同5億円増加の179億円。
自己資本比率は前期末より3.4ポイント低下し61.7%。

 

【2-3 トピックス】

◎新工場の建設
23年9月、新工場「茨城工場(仮称)」の建設を発表した。

 

(新工場建設の背景)
現在、主力製品の「ご飯がススムキムチ」をはじめとしたキムチ製品については、所沢工場の専用ラインや、各地区の工場で製造しているが、今後も継続して利益を確保するためには、製造工程の更なる機械化・省人化が必要である。また、新工場の建設予定地である茨城県結城郡八千代町はキムチの主原料である白菜の一大産地であり、原料調達において利点のある立地であることから、キムチ製品の製造に特化した専用工場として、茨城工場(仮称)を建設することとした。

 

(新工場概要)

所在地 茨城県結城郡八千代町大字菅谷
敷地面積 約1.5万㎡
建物 鉄骨造、延床面積 約5,300㎡
投資金額 建物、機械装置 約50億円
生産品目及び生産数量 キムチ、日産6.6万パック(稼働時点の生産数量)
完成時期 2024年12月引渡し予定

 

3.2024年2月期業績予想

【連結業績予想】

主要損益計算書

23/2期

構成比

24/2期(予)

構成比

前期比

進捗率

売上高

41,052

100.0%

42,200

100.0%

+2.8%

54.8%

売上総利益

8,633

21.0%

8,704

20.6%

+0.8%

55.1%

販管費

7,094

17.3%

7,084

16.8%

-0.1%

49.6%

営業利益

1,538

3.7%

1,620

3.8%

+5.3%

79.0%

経常利益

1,650

4.0%

1,755

4.2%

+6.3%

77.2%

当期純利益

1,138

2.8%

1,150

2.7%

+1.0%

79.6%

* 単位:百万円。

 

業績予想に変更無し、増収増益を予想
業績予想に変更は無い。売上高は前期比2.8%増の422億円、営業利益は同5.3%増の16億20百万円の予想。
需要の回復や好調な惣菜製品の拡販などにより増収を見込む。原材料費等の高騰の影響は続くものの、製品の内容及び価格の見直しなどを実施し増益を計画している。
配当は普通配当22.00円/株を予定(前期は普通配当20.00円/株、記念配当2.00円/株の合計22.00円/株)。予想配当性向は24.1%。

 

◎品目別売上高計画

23/2期

構成比

24/2期(予)

構成比

前期比

進捗率

製品

27,355

66.6%

27,905

66.1%

+2.0%

56.3%

浅漬・キムチ

16,478

40.1%

16,746

39.7%

+1.6%

52.9%

惣菜

10,411

25.4%

10,679

25.3%

+2.6%

61.9%

ふる漬

466

1.1%

479

1.1%

+2.8%

54.3%

商品

13,696

33.4%

14,294

33.9%

+4.4%

51.7%

売上高合計

41,052

100.0%

42,200

100.0%

+2.8%

54.8%

* 単位:百万円。

 

前期からの回復、全カテゴリー増収を計画している。

 

◎販路別売上高計画

23/2期

構成比

24/2期(予)

構成比

前期比

進捗率

量販店・問屋等

31,308

76.3%

32,188

76.3%

+2.8%

53.6%

コンビニ

6,303

15.4%

6,495

15.4%

+3.0%

56.8%

外食・その他

3,440

8.4%

3,515

8.3%

+2.2%

61.3%

売上高合計

41,052

100.0%

42,200

100.0%

+2.8%

54.8%

* 単位:百万円。

 

◎販管費計画

23/2期

対売上比

24/2期(予)

対売上比

前期比

販管費合計

7,094

17.3%

7,084

16.8%

-0.1%

物流費

2,170

5.3%

2,224

5.3%

+2.5%

人件費

3,260

7.9%

3,100

7.4%

-4.9%

広告宣伝費

33

0.1%

267

0.6%

+709.1%

その他

1,630

4.0%

1,491

3.5%

-8.5%

売上高

41,052

100.0%

42,200

100.0%

+2.8%

* 単位:百万円。

4.今後の主な施策

【4-1 今後の戦略】

自社の強みを活かし、「製品開発強化」「販売エリア拡大」「販売先拡大」「新規事業」の4つの戦略を推進し業容拡大を図る。

 

(1)製品開発強化
①浅漬・キムチ
(市場環境)
食品新聞記事を基に同社が作成した漬物業界における売上ランキングをみると、連結売上高411億円の同社がトップで、以下、東海漬物229億円、秋本食品128億円、備後漬物115億円、山本食品工業101億円となり、売上高が100億円を超えるのは、この5社のみである。
漬物市場全体は2000年の4,800億円から2022年には3,160億円まで縮小し、企業数も減少が続き集約が進んでいる。
2位以下を大きく引き離す同社のシェアは13.0%(2022年)で、以前から掲げている15%達成を目指している。
食生活の変化や米飯の需要減等の影響はあるが、キムチ等の好調により市場全体としては下げ止まっている。
漬物の生産量は増加傾向にある。引き続き商品開発を強化し、シェアアップを図る。

(同社資料を基に(株)インベストメントブリッジが作成)

 

(商品開発事例)
<キムチ>
昨年、巣ごもり需要の反動減のあった主力の「ご飯がススムキムチ」は、2024年2月期の売上高は前期比2.8%増の79億86百万円を計画している。
節約志向が高まるなか、2022年11月、2023年2月に実施した20グラム増量キャンペーンを2023年11月から実施する予定だ。さらに、同11月にはLINEスタンプ無料配布キャンペーンも実施する計画。

 

(同社資料を基に(株)インベストメントブリッジが作成)

 

<浅漬>
「毎日食べたい浅漬」をブランドコンセプトに、様々な浅漬をラインナップしている。

 

定番品 漬物本来の食シーンで活躍、個食から大容量品まで
旬のおいしさ 四季を味わう期間限定商品
おつまみ 伸長カテゴリー、おつまみ需要に対応
手軽に健康・発酵 発酵・減塩・食物繊維・たんぱく質が摂れる等、トレンドの健康を軸にした製品
創作野菜 調味料の代わりになるタレ、野菜スイーツ等
こだわり逸品 国産・保存料着色料不使用

 

②惣菜
(市場環境)
同社の資料(日本チェーンストア協会調べ)によると、2022年の惣菜市場(和・洋・中華惣菜、弁当、サンドウィッチ等の惣菜類)の市場規模は1兆2,117億円と、2015年からはCAGR2.9%で成長している。
単身世帯増加、高齢化、女性の社会進出、健康や栄養バランス等の食への関心の高まり、更には家事の簡便化や時間短縮ニーズなどが成長の背景にあると思われる。

 

(同社資料を基に(株)インベストメントブリッジが作成)

 

この分野では、フジッコ(前期実績、以下同様。売上高539億円、純利益14億円)、ケンコーマヨネーズ(売上高823億円、純利益4億円)、エバラ食品(売上高434億円、純利益21億円)といった上場企業や、デリア食品(キユーピーグループ)、イニシオフーズ(日清製粉グループ)といった上場企業の子会社等と競合している。

 

同社グループは2003年参入と後発ではあるが、きめ細かい営業と、漬物製造業で培った漬け込み工程の技術による食味の差別化、健康志向にマッチした野菜を使った惣菜にフォーカスする事で売上を伸ばしており、22/2期に初めて100億円を突破。24/2期は前期比2.6%増の106億円を計画している。

 

(同社資料を基に(株)インベストメントブリッジが作成)

 

(商品開発事例)
今後は、「既存商品(ナムル、サラダ、ピリ辛胡瓜等)の見直し」「家飲み需要に合致した商品の開発」「健康志向を考慮したドレッシングを使用したサラダの開発」などに取り組む。
③新規分野
浅漬・キムチ、惣菜以外の新規分野における商品開発に注力している。

 

◎冷凍食品関連商品
冷凍ご飯がススムキムチ鍋を開発した。
パッケージの蓋にトップシールを使用した冷凍の「トップシール惣菜」を量販店で展開している。

 

◎LLガス置換惣菜
容器内を一旦真空にして不活性ガスに置き換えることで長期保存を可能にしたLLガス置換惣菜を開発した。
量販店で、切干大根、ひじき煮、卯の花、きんぴらの4商品について販売している。

 

冷凍食品関連商品

 

LLガス置換惣菜

 

(同社資料より)

 

(2)販売エリア拡大
全社売上高に対する地域別売上高構成比は、関東地区が51.0%、西日本エリア(近畿、中国・四国、九州・沖縄)は約25%。
これに対し、人口比率は関東34.4%、西日本エリアは約38%。人口を勘案すると西日本エリアの販売拡大余地は大きいため、同社では、同エリアでの販売拡大に注力することにより、地域別売上高構成比を30%以上に引き上げることを目指している。

 

(株)ピックルスコーポレーション西日本・佐賀工場や、(株)手柄食品など、西日本エリアにある4工場の供給力を活かして、近畿地区、中国・四国地区、九州地区での生産・販売を強化する。
業界で唯一の全国ネットワークを有する強みを活かして市場開拓を進める。

 

 

(3)販売先拡大
コンビニエンスストアや量販店の漬物・惣菜売場や外食などでのシェアアップと共に、食料品を強化しているドラッグストアや量販店において、漬物売場・惣菜売場のみでなく、豆腐売場、納豆売場、たれ・ドレッシング売場、加工商品売場、冷凍食品売場など既存分野以外の売場への商品展開に注力する。
既存売場以外への商品展開は、既存の販売チャネルを活用できることや配送便の積載効率を高められることから、営業効率・物流効率の改善にもつながるため積極的に取り組んでいく。

 

(同社資料より)

 

(4)新規事業
①小売・外食事業
子会社(株)OHは発酵・健康の複合施設「OH!!!~発酵、健康、食の魔法!!!~」(埼玉県飯能市)において外食事業及び小売事業を展開している。
テイクアウトメニュー・食事メニューやスイーツ等の商品開発、体験教室の種類拡充・能仁寺との各種企画(座禅、写経)などイベントの企画・実施のほか、(株)ピックルスファームで生産した野菜の販売も行っている。

 

EC事業も強化している。
「OH!!!オンラインストア」として、OH!!!の施設で販売している商品や一部ピックルスの商品を販売している。

 

23年2月期の実績は売上高2億55百万円、営業損失55百万円。24年2月期は売上高3億5百万円、営業損失29百万円を見込んでおり、早期の黒字化を目指している。

 

②農業事業
2022年3月、子会社(株)ピックルスファームを設立し、埼玉県内で農業事業を開始した。
小松菜やさつまいもを生産しており、安定調達や農業を通じた地域活性化を目指している。
具体的にはJGAP(※)に沿った運営、農家の収穫作業等の受託、定植・収穫体験の実施(社内研修・子ども食堂)、野菜残渣を利用した循環型農業の実現、生産した野菜の輸出などに取り組んでいく。
また、さつまいもの生産量を増やしており、それにあわせて生産したさつまいもの保管、加工を行うための設備の導入を進めている。
※JGAP:日本の法律や生産環境、社会環境を考慮し、農場運営、食品安全、環境保全、労働安全、人権・福祉の視点から適切な農場管理の基準を定めた認証。同社グループの工場でもJGAPで管理された原料野菜の仕入れを行っていく。

 

1年目の23年2月期は売上高9百万円、営業損失1百万円。今期24年2月期は売上高20百万円、営業利益2百万円と黒字転換を計画している。

 

③子会社「(株)ベジパル」を設立
2023年9月、同社は、センシングデバイス・半導体、FPD関連製品、農業資材、食品添加物を取り扱う複合機能商社である(株)Asueとの合弁会社として「(株)ベジパル」を設立した。

 

同社と(株)Asueの協力関係の下、さつまいもの仕入及び販売並びにさつまいもを原材料とする加工食品の仕入及び販売を担う子会社として設立した。
同社グループの食品製造・販売における経験と、(株)Asueの貿易・仲介等の機能を互いに活かし事業を展開する。

 

(株)ピックルスファームで生産したさつまいもを活用し、青果物としてのさつまいもの販売だけでなく、さつまいもを用いたペースト、冷凍焼きいも、干し芋、ペットフードなどの商品を展開していく。さらに、国内人口の減少が進む中、海外輸出にも注力する。

 

【4-2 各種取り組み】

その他、生産面、SDGsなどについての取り組みは以下の通り。

 

①生産・管理など
野菜調達の見直し(リスク分散 地域毎の調達等)、不採算アイテムの見直し及びアイテムの集約化、容器の見直し(カップから袋)、AI導入などによる生産の機械化・省人化、グループ内の物流(在庫管理・仕分)・事務処理(受注処理、経費処理等)の効率化、製造技術(消費期限又は賞味期限延長)の研究などに取り組む。

 

②SDGs
◎環境
ピックルス関西の広島工場に太陽光発電を導入した。設置した効果を検証し他工場への展開も検討していく。
全社でLED電灯の100%導入に取り組んでいる。
ウニによる食害や空ウニ発生の防止に向け、野菜残さを餌としたウニの養殖について、焼津水産高校、山梨大学と共同研究を進めている。

 

◎安全・安心
食品マネジメントシステムの導入・維持継続に取り組んでいる。

 

◎従業員
従業員の職場環境改善のため、健康経営を推進していく。
23年2月には健康経営宣言を掲げた。

 

健康経営宣言

 

私たちピックルスグループは、安全・安心でおいしい製品を提供し、消費者の健康的な生活の実現に貢献することが、私たちの社会的な存在意義であると考えています。近年では「発酵」に親しむ複合施設OH!!!を開業し、食を通じて得られる楽しみや健康を追及しています。

 

そして、会社の発展には従業員の健康と幸せが欠かせないものと捉え「従業員のモラルアップと安全・健康を第一とした職場づくり」を経営方針に掲げ、健康保持・増進に向けて取り組んでまいりました。

 

これからも、「野菜」「発酵」「健康」の新しい価値を提案しそこから生まれる豊かな食文化をお届けしつづけ

るために、従業員とその家族の健康・幸せを推進していくことをここで宣言します。

 

2023 年2月1日

株式会社ピックルスホールディングス

代表取締役社長 影山直司

 

初年度は、「健康診断受診率100%」「特定保健指導実施率向上」「食生活改善」「運動機会の増進・習慣定着」「コミュニケーションの促進」などに取り組んでいく。

 

【4-3 中期経営目標】

23/2期

構成比

24/2期

(計画)

構成比

25/2期

(計画)

構成比

26/2期

(計画)

構成比

CAGR

売上高

41,052

100.0%

42,200

100.0%

42,500

100.0%

43,000

100.0%

+1.6%

売上総利益

8,633

21.0%

8,704

20.6%

8,800

20.7%

8,950

20.8%

+1.2%

販管費

7,094

17.3%

7,084

16.8%

7,100

16.7%

7,150

16.6%

+0.3%

営業利益

1,538

3.7%

1,620

3.8%

1,700

4.0%

1,800

4.2%

+5.4%

経常利益

1,650

4.0%

1,755

4.2%

1,830

4.3%

1,930

4.5%

+5.4%

当期純利益

1,138

2.8%

1,150

2.7%

1,160

2.7%

1,230

2.9%

+2.6%

* 単位:百万円。CAGRは23/2期から26/2期までの年平均成長率。(株)インベストメントブリッジが計算。

 

23/2期

26/2期

(計画)

CAGR

浅漬・キムチ

16,478

17,058

+1.2%

惣菜

10,411

10,941

+1.7%

ふる漬

466

488

+1.6%

商品

13,696

14,512

+2.0%

売上高

41,052

43,000

+1.6%

* 単位:百万円。CAGRは23/2期から26/2期までの年平均成長率。(株)インベストメントブリッジが計算。

 

21/2期

22/2期

23/2期

24/2期

(計画)

25/2期

(計画)

26/2期

(計画)

設備投資

1,409

718

883

1,700

3,500

3,700

減価償却

931

963

980

968

1,226

1,252

* 単位:百万円

 

今後3年間で89億円の設備投資を計画している。
主なものは、「24/2期 設備更新等」「25/2期 茨城工場(仮称、キムチ専用工場)、設備更新等」「26/2期 工場新築(関西)、設備更新等」など。
35億円程度と計画していた茨城工場は、前述のように約50億円の投資となる予定。
北陸地方を含めた関西地区における生産力強化のための新たな製造拠点として計画している関西新工場においては、居抜きの利用やM&Aの検討なども含め、投資計画の見直しを進めていく。
M&Aに関しては、調味料、冷凍食品など、幅広い対象を視野に入れて検討を進める。

 

5.今後の注目点

24年2月期上期の進捗率は売上高54.8%、営業利益79.0%。どちらも例年と比較して高水準である。前期までの巣ごもり需要の反動減も一段落し、順調な推移となっているようだ。

 

一方で、粗利率の低下が続いている。24年2月期第2四半期(6‐8月)の粗利率は19.7%と、ここ数年の最低水準となっている。収益認識基準適用に伴う物流費の計上方法変更もあり販管費率が低下傾向にあるため、営業利益率に大きな変化はないが、今後、人的資本強化や工場新設に伴う減価償却費増も予想される中、粗利率の改善は急務となろう。「製品開発強化」「販売エリア拡大」「販売先拡大」「新規事業」の4つの戦略による業容拡大とともに、野菜調達の見直しや、不採算アイテムの見直し及びアイテムの集約化などの取り組みに注目していきたい。

 

<参考:コーポレート・ガバナンスについて>

◎組織形態及び取締役、監査役の構成

組織形態 監査役設置会社
取締役 8名、うち社外3名
監査役 4名、うち社外3名

 

◎コーポレート・ガバナンス報告書(更新日:2023年6月2日)

 

基本的な考え方
当社は、法律と社会倫理に基づいて行動し、経営方針を実現し、継続的な成長をするため、コーポレート・ガバナンスが経営の重要課題であると考えております。

 

<コーポレートガバナンス・コードの各原則を実施しない理由(抜粋)>
【原則1-4.政策保有株式】
当社は、上場株式については保有しないことを原則としております。しかしながら、取引関係の維持・強化等経営上の合理的な目的に基づき保有する場合には、その目的に応じた保有であることを定期的に確認しております。
なお、個別の政策保有株式の保有の適否の検証及びその内容の開示方法については、今後、検討してまいります。
政策保有株式に係る議決権行使については個別に判断いたしますが、当社及び投資先企業の中長期的な企業価値向上に資するものか等を総合的に判断し適切に行使しております。

 

【補充原則2-4①】
当社グループは、年齢、国籍、性別等を区別することなく、意欲と能力のある従業員を管理職(部長職以上)へ登用しておりま す。管理職の登用について、管理職に占める女性の割合は9.4%であり、今後は、増加させてまいります。なお、上記の管理職に占める女性の割合については、株式会社ピックルスコーポレーション(当社の主要子会社)の数値を基準としております。外国人については、従業員に占める割合 が小さいため目標を定めておりません。中途採用者については、経験・能力等を総合的に判断し、管理職に登用しているため、目標を定めており ません。 社員一人ひとりの能力向上を目指し、自ら学ぶ姿勢の醸成に努めており、自己啓発支援制度、資格取得報奨金制度などを導入しております。ま た、働きやすい職場環境作りを重要な経営課題と認識しており、当社グループにおいて、リフレッシュ休暇、ノー残業デー、時差出勤などを導入しております。

 

【補充原則3-1③】
当社グループは、サステナビリティについて、環境、安全・安心などを重要課題と認識し、取り組みを行っております。また、人的資本への投資は、教育制度、従業員の働きやすさなどに、知的財産への投資は、乳酸菌の研究などに行っております。これらはホームページのサステナビリティサイトや、ESGレポート、IR資料を通じで公表しております。当社グループにおけるサステナビリティに関する取り組みに関しては、当社ホームページをご覧ください。
国際的に確立された開示の枠組みであるTCFDまたはそれと同等の枠組みに基づく開示について、今後検討してまいります。 

 

<コーポレートガバナンス・コードの各原則に基づく開示(抜粋)>
【原則5-1.株主との建設的な対話に関する方針】
当社は、株主・投資家の皆様が当社を正しく理解できるよう、透明性、公平性、継続性を基本とした迅速な情報開示に努めております。
金融商品取引法などの関係諸法令及び金融商品取引所の定める適時開示規則に基づく情報開示を行うとともに、当社の理解のために有効と思われる情報についても適切な方法により積極的な情報開示に努めております。
具体的には、決算説明会を年2回、個人投資家向け説明会についても適宜実施しており、個別取材にも可能な限り代表取締役社長及び広報・IR室が対応しております。

 

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