(9278)ブックオフグループホールディングス株式会社 堅調に展開 今後の売上に期待
堀内 康隆 社長 |
ブックオフグループホールディングス株式会社(9278) |
|
企業情報
市場 |
東証1部 |
業種 |
小売業(商業) |
代表者 |
堀内 康隆 |
所在地 |
相模原市南区古淵2-14-20 |
決算月 |
5月 |
HP |
株式情報
株価 |
発行済株式数(期末) |
時価総額 |
ROE(実) |
売買単位 |
|
1,036円 |
20,547,413株 |
21,287百万円 |
1.2% |
100株 |
|
DPS(予) |
配当利回り(予) |
EPS(予) |
PER(予) |
BPS(実) |
PBR(実) |
15.00円 |
1.4% |
48.70円 |
21.3倍 |
736.74円 |
1.4倍 |
*株価は2/4終値。発行済株式数、DPS、EPSは22年5月期第2四半期決算短信より。ROE、BPSは前期実績。
連結業績推移
決算期 |
売上高 |
営業利益 |
経常利益 |
親会社株主帰属利益 |
EPS |
DPS |
2018年3月(実) |
80,049 |
613 |
1,092 |
-889 |
-43.31 |
10.00 |
2019年3月(実) |
80,796 |
1,550 |
2,120 |
2,172 |
112.19 |
15.00 |
2020年3月(実) |
84,389 |
1,428 |
1,898 |
240 |
13.77 |
6.00 |
2021年5月(実) |
93,597 |
1,936 |
2,509 |
157 |
9.03 |
6.00 |
2022年5月(予) |
87,000 |
1,350 |
1,800 |
850 |
48.70 |
15.00 |
*2021年5月期は14ヶ月決算。予想は会社予想。単位:百万円。
ブックオフグループホールディングス(株)の2022年5月期第2四半期決算概要などについてご報告致します。
目次
今回のポイント
1.会社概要
2.2022年5月期第2四半期決算概要
3.2022年5月期業績予想
4. 堀内社長に聞く
5.今後の注目点
<参考1:今後の経営方針>
<参考2:コーポレート・ガバナンスについて>
今回のポイント
- 22年5月期第2四半期の売上高は427億76百万円、経常利益は6億62百万円(前21年5月期は14か月決算だったため、前年同期比は記載していない)。第2四半期累計の既存店売上高は前年同期間比105.6%。同客数は100.6%。第1四半期は前年同期比マイナスだった客数は第2四半期103.8%と回復が顕著。
- 商材別には、前年同期間に巣ごもり需要により大きく伸びた書籍は、反動で第2四半期累計ではマイナスも、第2四半期はプラス。注力中のトレカ・ホビーは、引き続き高い伸び。低調が続くアパレルは売り場面積を縮小して効率化を進め、その分トレカの面積を広げるなど、最適化を進めている。
- 店舗リニューアルは第2四半期累計29店舗で実施した。リニューアルの主眼は「BOOKOFFのエンタメ化」と「BOOKOFF SUPER BAZAAR(BSB)のトレカ・ホビー強化、アパレル売場の効率化」の2つ。21年11月、グループ初のトレカ専門店「Japan TCG Center 吉祥寺駅北口店」がオープンした。
- 「ひとつのBOOKOFF」構想の中心施策であるアプリ会員の拡大については、2021年11月末のアプリ会員数は前期末から60万人増加し、373万人。23年5月末の目標600万人に向け、順調に会員獲得は進んでいる。
- 業績予想を上方修正した。新型コロナウイルス感染症拡大の影響により、低迷したユーザーの外出・消費マインドが本格的に回復するのは、第 4 四半期(3-5月)ごろと想定していたが、第2四半期にかけて国内感染者数が減少するとともに、国内ブックオフ事業における既存店売上高が好調に推移したことに加え、各種コスト面の見直しを行った。また、各自治体から支給された時短等協力金を営業外収益に計上した。
- 売上高870億円、経常利益18億円を予想している。売上高はコロナ禍前の20年3月期(12か月決算)の843億円を上回る。経常利益も、今期より大規模IT投資やマーケティング投資を実施するが、20年3月期の19億円に迫る。配当予想は従来予想の8.00円/株から7.00円/株増配の15.00円/株へ。予想配当性向は30.8%。
- 同社は、「2025年5月期経常利益24億円」という目標を掲げているが、堀内社長はそのための土台が構築できたと考えている。「土台構築」の大きな要因として、国内ブックオフ事業の安定性が一段と向上してきた点を挙げており、その表れが、1月に発表した業績予想の上方修正であるとのことだ。
- 個店を磨き、総力戦で取り組む中、トレカが大きく伸長し新たに大きな需要を開拓する一方で、同社の強みである「本」を中心とした底堅いニーズを確実に取り込んでいる。また、23年5月期600万人を目標としているアプリ会員は足元で400万人に迫っており、安定した売上獲得に貢献している。
- 第1四半期は前年同期比マイナスだった客数も第2四半期は回復が顕著であり、オミクロン株の影響は気になるところではあるが、堅調な足取りの下、第3四半期、第4四半期と、売上・利益をどれだけ積上げて行くことができるのかを注目していきたい。
1.会社概要
書籍、CD、DVD、ゲーム、アパレル、スポーツ用品、ベビー用品、雑貨など様々なジャンルでリユース(再使用)事業を展開する日本最大級のリユースチェーンをグループで展開。北海道から沖縄まで全国をカバーする約800の店舗ネットワーク(直営+フランチャイズ)に加え、「ネットリユース」とのシナジーを追及している。
【1-1 ブックオフグループの経営理念】
「事業活動を通じての社会への貢献」、「全従業員の物心両面の幸福の追求」という経営理念の下、「本」の買取・販売を中心に様々なモノのリユースに取り組む中で育んできた、ブランド、店舗網、そして人財がグループの強みとなっている。「多くの人に楽しく豊かな生活を提供する」事をミッションとし、「リユースのリーディングカンパニー」と「自信と情熱を持って安心して働き、成長できる会社」を目指している。
ダイバーシティへの取り組み
「従業員は最大の財産である」、「知力と人間力を備えた「人財」の成長が、会社の成長に直結する」と同社は考えている。このため、個々の従業員が強みを活かすことができる職場環境の整備と従業員への能力開発や自己実現の機会提供に努めている。この一環として、2014年10月に特定地域内での勤務が可能な地域選択制度を導入した他、従業員同士が夫婦の場合、配偶者の転勤にあわせて転居先の近くの店舗への異動を配慮する「夫婦帯同転勤制度」を導入した。
また、障がい者雇用にも取り組んでおり、2010年10月にビーアシスト(株)を設立した(同年12月に障害者雇用促進法に基づく特例子会社として認定)。ビーアシスト(株)は、働く事ができる障がい者に「福祉」ではなく「企業の活動」として就労の機会・環境を提供し、社会参加・自立を支援している(ブックオフグループ全体で140名を超える障がい者を雇用している)。
【1-2 事業内容】
書籍・ソフト等のリユースショップ「BOOKOFF」のチェーン本部としてフランチャイズ(FC)システムの運営及び直営店舗の運営を行っている。直営店舗は、本・CD・DVD・ゲームソフト・家電・携帯等を取り扱う「BOOKOFF」、「BOOKOFF」にアパレル・ブランド品等を加えた中型複合店舗「BOOKOFF PLUS」、及び書籍・ソフトの他、家電(オーディオ・ビジュアル、コンピュータ等)、アパレル、スポーツ用品、ベビー用品、腕時計、ブランドバッグ、貴金属、食器、雑貨など幅広いリユース品を取り扱う総合リユースの大型複合店舗「BOOKOFF SUPER BAZAAR」の3つのタイプで展開している。
この他、ECサイト「BOOKOFF Online」及び大手百貨店内で富裕層向け買取サービス等を行うハグオール、新刊書店の運営及びブックレビューコミュニティサイトの運営等を行っている。
|
|
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平均売場面積 |
約130坪 |
平均売場面積 |
約950坪 |
取扱商材 |
本、CD、DVD、ゲーム、ホビー 携帯電話、家電等 |
取扱商材 |
「BOOKOFF」+洋服、ブランド品、雑貨、スポーツ用品、食器等 |
|
|
||
平均売場面積 |
約300坪 |
平均売場面積 |
約20坪 |
取扱商材 |
「BOOKOFF」+洋服、服飾雑貨等 |
取扱商材 |
洋服、ブランド品、小型家電等を中心とした買取特化型店舗 |
(同社資料を基に作成)
ブックオフグループ
主な子会社は、(株)ブックレット、(株)ブックオフウィズ、(株)ブックオフ沖縄、(株)マナス、(株)ブックオフ南九州が、国内で「BOOKOFF」店舗の運営を行なっている。(株)ブックオフウィズは、上記に加え、アパレル・ベビー用品等のリユース店舗の運営を行なっており、腕時計・ブランドバッグ・貴金属等のリユースショップ・チェーンである「キングラム」のFCでもある。また、(株)ブックレット、(株)ブックオフウィズ、(株)ブックオフ沖縄は、アパレル等のリユース店舗の運営も行なっている。
(株)ジュエリーアセットマネジャーズは貴金属に特化し、買取・販売、オーダー受注・リペア・リメイクなどのトータルサービスの提供を行う「aidect(アイデクト)」を運営。
海外では、BOOKOFF U.S.A. INC.が米国で「BOOKOFF」店舗の運営、BOK MARKETING SDN.BHD.がマレーシアで「Jalan Jalan Japan」の運営をそれぞれ行っている。
2016年に進出したマレーシアでは、現地オリジナルパッケージの「Jalan Jalan Japan」を展開している。店舗コンセプトの「Preloved in Japan」、「商品量の多さ」、「価格の安さ」が現地のニーズにマッチし業績は好調。人財育成に力を入れ、店舗ネットワークの更なる拡充に取り組んでいく。先ずは3~4年内に20店舗体制を確立したい考えで、中期的には同業者の廃棄商品の引き受け等も視野に入れている。マレーシア事業は黒字化しているが、収益貢献だけでなく、グループの出口機能も担っている(日本国内の店舗で販売に至らなかった商品を現地で販売している)。国内で売れ残った商品は産業廃棄物として処理するが、マレーシア事業が機能する事で処理費用を抑制できる。ただ、店舗運営には大量の商品の確保と大量の商品をさばくオペレーションが要求されるため、他社が同様の事業を展開する事は難しく、業界でも断トツの売上規模を誇る同社ならではの事業である。マレーシア人の店長が日本でマネジメント等の研修を受けている事に加え、現地に店長クラスの日本人社員を派遣して浸透させている。
2.2022年5月期第2四半期決算概要
【2-1 連結業績】
|
22/5期2Q (21年6-11月) |
構成比 |
売上高 |
42,776 |
100.0% |
売上総利益 |
25,579 |
59.8% |
販管費 |
25,234 |
59.0% |
営業利益 |
345 |
0.8% |
経常利益 |
662 |
1.5% |
四半期純利益 |
457 |
1.1% |
* 単位:百万円。21/5期は14か月決算で、21/5期第2四半期は2020年4-9月となるため、数値及び前年同期比等は記載していない。
【2-2 概況】
22年5月期第2四半期(21年6-11月)の概況は以下の通りである。
◎既存店売上高
既存店売上高は引き続き前年を上回って推移している。第2四半期累計では前年同期間比105.6%。客数は100.6%。
第1四半期は前年同期比マイナスだった客数は第2四半期103.8%と回復が顕著。ネットで注文した商品を店頭で受け取る「店舗受取サービス」が書籍について好調であり、その際のいわゆる「ついで買い」も寄与している。
◎商材・立地
*商材
前年同期間に巣ごもり需要により大きく伸びた書籍は、反動で第2四半期累計ではマイナスも、第2四半期はプラス。また、コロナ禍前の前々年を上回っており堅調。
注力中のトレカ・ホビーは、引き続き高い伸び。買取・販売のみでなく、その場でカードを取り交わすスペースの設置など売り場面積の拡大のほか、カード品目毎の価格マスタの精度引き上げといった専門性を発揮した施策などが功を奏している。
競合他社を意識した値付けなどで、仕入も拡大している。
一方、低調が続くアパレルは売り場面積を縮小し、その分トレカの面積を広げるなど、最適化を進めている。また、商材の価格帯による取り扱い方法の調整実施することで、在庫回転を速められており、底打ち感が出ているという。
相対的に低粗利のトレカ・ホビーの構成比拡大により、粗利率は低下傾向にあるが、既存店の粗利水準は向上している。
(国内直営店 商材別売上高前年同期間比)
|
21/5期 1Q |
2Q |
3Q |
4Q |
5Q |
22/5期 1Q |
2Q |
2Q 累計 |
書籍 |
84.9% |
106.7% |
103.2% |
97.6% |
127.1% |
93.8% |
100.1% |
96.8% |
ソフトメディア(音楽・映像・ゲーム) |
89.4% |
95.1% |
94.5% |
92.4% |
118.2% |
97.0% |
104.1% |
100.4% |
アパレル |
48.3% |
82.3% |
84.8% |
90.9% |
270.1% |
94.5% |
107.0% |
101.2% |
貴金属・時計・ブランドバッグ |
64.6% |
102.8% |
95.6% |
97.5% |
234.5% |
97.9% |
111.5% |
104.2% |
トレカ・ホビー |
74.0% |
108.2% |
116.2% |
129.9% |
269.8% |
163.2% |
171.1% |
167.2% |
家電・携帯電話 |
73.1% |
89.2% |
88.8% |
95.8% |
164.2% |
92.0% |
108.4% |
99.6% |
スポーツ・アウトドア用品 |
67.3% |
115.9% |
108.1% |
109.8% |
263.7% |
102.2% |
112.1% |
107.0% |
その他 |
85.7% |
123.5% |
122.9% |
122.1% |
232.5% |
112.9% |
123.5% |
118.2% |
合計 |
78.2% |
100.1% |
98.3% |
98.7% |
152.6% |
101.2% |
110.3% |
105.6% |
*既存店実績
*立地
駅前・繁華街は前年並みまで回復も、コロナ禍前には及んでいない。一方、郊外・ロードサイドは前年のみならず前々年も上回り引き続き好調である。
◎店舗
21年11月末の店舗数は794店舗。第2四半期累計の新規出店は直営・国内1店舗(トレカ専門店)、直営・海外2店舗の合計3店舗。リニューアルは第2四半期累計29店舗で実施した。
今期、大型店舗BOOKOFF SUPER BAZAARの新規出店は計画していないが、ロードサイド型の中型店・小型店については、出店を検討している。
(リニューアルについて)
リニューアルの主眼は「BOOKOFFのエンタメ化」と「BOOKOFF SUPER BAZAAR(BSB)のトレカ・ホビー強化、アパレル売場の効率化」の2つ。
*BOOKOFFのエンタメ化
21年11月にリニューアルを行ったBOOKOFF 250号東岡山店においては、1F・2Fそれぞれのバックヤードスペースの一部を売場化し、売場面積を拡張した。拡張部分にはトレカ売場とデュエルスペース(対戦用スペース)を設置した。また、レトロゲームやトイ・ホビーのほか新品商材にも注力。中古品の売り買いのみではなく、顧客が滞在しながら楽しむことができる店舗を目指したリニューアルを実施した。
こうした「エンタメ化パッケージ」へのリニューアルを今上期は2店舗で実施した。
*BSBのトレカ・ホビー強化、アパレル売場の効率化
21年9月にリニューアルを行ったBSB1号四日市日永店では、それまでトレカ・ホビーとしていた売場からトレカ売場を独立させ、同時に64席のデュエルスペースを新設した一方、アパレル売場を約20%圧縮し、売場・カウンター効率を改善させた。その他の売場もカウンター・作業導線の改善とともに、通路幅の拡張などで顧客の回遊性も向上させた。
同様のリニューアルを今上期9店舗で実施した。
(トレカ専門店「Japan TCG Center」を初出店)
21年11月、グループ初のトレカ専門店「Japan TCG Center 吉祥寺駅北口店」がオープンした。売場面積は54坪。
中古買取・販売のほか、新品パックやカードサプライ(トレーディングカードゲームに関連するグッズ類)も豊富に取り揃え、店舗で遊べるデュエルスペースを完備しており、初心者から上級者まで幅広い層をターゲットとしている。
前述のように既存BOOKOFF店舗でのトレカ売場の拡大、デュエルスペースの設置を進めるとともに、トレカユーザーの取り込みを進めるため、「BOOKOFF」ブランドではなく、専門店「Japan TCG Center」として店舗展開を進める。
(同社資料より)
店舗投資
区分 |
店舗名 |
OPEN |
所在地 |
売場面積 |
|
直営 |
新規出店 |
KAKA'AKO STORE店 |
3月20日 |
アメリカ合衆国 |
63坪 |
新規出店 |
Masai店 |
5月25日 |
マレーシア |
500坪 |
|
新規出店 |
吉祥寺駅北口店 |
11月27日 |
東京都武蔵野市 |
54坪 |
◎EC売上
「公式スマホアプリを起点に、ECチャネルと全国の店舗網を活用し、リユース商品との「一期一会」を全てのお客様に最適な方法でお届けする」ことをコンセプトとする「ひとつのBOOKOFF」構想においては、アプリ会員の拡大、電子買取システムの導入と拡大(利用者の受付時間短縮と店舗運営効率UP)、店頭在庫のEC連携開始、EC商品の店舗受取サービス開始、キャッシュレス買取開始といった施策を引き続き進めている。
2021年11月末のアプリ会員数は前期末から60万人増加し、373万人。23年5月末の目標600万人に向け、順調に会員獲得は進んでいる。
従来のカード会員だった顧客がアプリ会員になることで、年間購入金額(LTV)は同社比較で1.3倍に増加することが分かっている。また、ネットで注文した商品を店頭で受け取る「BOOKOFF Online店舗受取サービス」の21年11月における利用額は前年同月比46%増加しているほか、同サービス利用者の3割以上が店内で何らかの商品を「ついで買い」しているなど、確実に同社収益に好影響を産み出している。
今後も、アプリ会員数の拡大による国内ブックオフ事業の収益安定化を目指す考えだ。
BOOKOFF Online経由チェーン売上高は第2四半期累計で前年同期間比97.1%の43億99百万円。
「BOOKOFF Online経由チェーン売上高」は、ECサイト「BOOKOFF Online」上での注文に対する、ECセンターからの配送による販売実績、直営店・FC加盟店からの配送による販売実績、直営店・FC加盟店での店舗受取サービスによる販売実績の合計。
前年同期間を下回っているのは、第1四半期におけるECセンターからの配送による販売における前年の特需の反動。第2四半期は102.0%と前年同期間を上回っており、前述の店舗受取サービスの成長も含め、足元は堅調である。
◎富裕層
富裕層向け事業における百貨店内買取窓口などは、国内ブックオフ事業に比べ、新型コロナウイルス感染拡大の影響を色濃く受けているが、売上高は前年同月期間を上回った。
◎海外
「Jalan Jalan Japan」がマレーシア国内のロックダウンの影響により休業を余儀なくされた一方で、アメリカ合衆国内の「BOOKOFF」は、現地での買取・販売が好調に推移した。特に現地書籍やアニメグッズ等の売上高が前年同月期間を大幅に上回った。
両国とも今後の成長を見据え、それぞれ直営店を1店ずつ新規出店した。
【2-3 財政状態とキャッシュ・フロー】
◎財政状態
|
21年5月 |
21年11月 |
増減 |
|
21年5月 |
21年11月 |
増減 |
流動資産 |
24,017 |
25,410 |
+1,393 |
流動負債 |
17,584 |
17,971 |
+387 |
現預金 |
5,837 |
6,050 |
+213 |
仕入債務 |
560 |
724 |
+164 |
売上債権 |
2,120 |
2,049 |
-71 |
短期借入金 |
11,481 |
11,939 |
+458 |
たな卸資産 |
13,778 |
14,989 |
+1,211 |
固定負債 |
9,793 |
10,391 |
+598 |
固定資産 |
16,304 |
16,253 |
-51 |
長期借入金 |
7,072 |
7,759 |
+687 |
有形固定資産 |
5,848 |
5,862 |
+14 |
負債 |
27,377 |
28,362 |
+985 |
無形固定資産 |
1,220 |
1,379 |
+159 |
純資産 |
12,944 |
13,301 |
+357 |
投資その他 |
9,234 |
9,011 |
-223 |
利益剰余金 |
8,603 |
8,956 |
+353 |
差入保証金 |
7,492 |
7,291 |
-201 |
自己株式 |
-2,343 |
-2,335 |
+8 |
資産合計 |
40,321 |
41,664 |
+1,343 |
負債・純資産合計 |
40,321 |
41,664 |
+1,343 |
* 単位:百万円。借入金にはリース債務を含む。
現預金、たな卸資産の増加などで資産合計は前期末比13億43百万円増加の416億64百万円。
IT関連の設備投資や新規出店及び既存店リニューアルのための借入金の増加で負債合計は同9億85百万円増加し、283億62百万円。
純資産は同3億57百万円増加の133億1百万円。
自己資本比率は前期末比0.1pt低下し、31.8%。
◎キャッシュ・フロー
|
22/5期2Q |
営業CF |
33 |
投資CF |
-817 |
フリーCF |
-784 |
財務CF |
990 |
現金・現金同等物残高 |
6,050 |
* 単位:百万円
【2-4 トピックス】
(1)新市場区分の上場維持基準の適合に向けた計画書を作成
2021年12月、プライム市場を選択する申請書を提出するとともに、移行基準日時点(2021年6月30日)において、同市場の上場維持基準を満たしていないため、新市場区分の上場維持基準の適合に向けた計画書を作成した。
①上場維持基準の適合状況及び計画期間
4つの上場維持基準(流通株式数2万単位以上、流通株式時価総額100億円以上、流通株式比率35%以上、売買代金20百万円以上)のうち、移行基準日時点(2021年6月30日)における同社の流通時価総額は94.9億円と、流通株式時価総額基準のみ不適合となっている。
そこで同社では2025年5月期末を計画期間と定めて上場維持基準を充たすための取り組みを進めていく。
②取り組みの基本方針
国内ブックオフ事業における積極的な IT・マーケティング投資及び「ひとつの BOOKOFF」構想の推進、富裕層向け事業の拡大、海外事業における積極的な店舗展開、M&A・事業開発の推進などを着実に進めるとともに、SDGs達成への取り組み、コーポレートガバナンス・コードへの対応等のESG関連施策の推進により、企業価値を継続的に向上させることで時価総額の向上を図る。
また、東京証券取引所の一次判定結果における同社の流通株式比率は「47.4%」であり、プライム市場の上場維持基準を充足しているが、流通株式比率の向上に向けた取り組みも併せて実施することで、流通株式時価総額の向上を図り、プライム市場の上場維持基準適合を目指す。
③課題及び取り組み内容
③-1 時価総額向上に向けた現状の課題及び取り組み
企業価値を向上させるとともに、株式市場で適正な評価を得ることが課題と捉えており、以下の取り組みを実施する。
① 中期業績想定達成に向けた取り組み
② ESG 関連施策の推進
③ 株主還元施策
③-2 流通株式比率向上に向けた現状の課題及び取り組み
株式の流動性を向上させることが課題と捉えている。特に、政策保有株として同社株式を保有している上場会社等の保有株式に関する同社の考え方を明確にするとともに、同社株式の流動性向上に資する施策に取り組む。
(2)日本IR協議会が選定する「“共感!”IR賞」を受賞
21年11月、一般社団法人日本 IR 協議会が選定する「IR 優良企業賞 2021」において「”共感!”IR 賞」を受賞した。
(「“共感!”IR 賞」概要)
一般社団法人日本IR協議会が「IR優良企業賞」の開催25回目を機に2020年に新設されたもので、「IR優良企業賞」に応募した企業の視点を「投票」によって反映させ、積極的なIR活動を共有し、ベストプラクティスの実現を目指すことを目的としている。
2021年は「サステナビリティ(持続可能性)に貢献するIR活動」をテーマに実施され、応募企業178社が、特に共有したい自社のIR活動の内容をエントリーし、その中から共感できる取り組みへの相互投票を実施した。上位の得票数を獲得した企業17社が「“共感!”IR賞」に選定された。
(同社の選定理由)
同社では決算説明において「BOOKOFF グループの価値創造マップ」として、各事業に期待する成長性と安定性の度合いを図で示し、安定事業から算出される CF と、成長事業における利益成長それぞれが事業ミッションの達成=企業価値拡大に繋がっていることを表している。
同社の中心事業であるリユース業を軸に、経営理念や認知度、人財育成など、ブックオフグループが持つ普遍的な価値が企業価値の源泉であることを表すとともに、SDGs は、社会貢献のみではなく、資本コストの低減に繋がることを分かりやすく表現・説明したことなどが評価につながったと、同社では考えている。
3.2022年5月期業績予想
【3-1 業績予想】
|
21/期5期 (14か月間) |
構成比 |
22/5期(予) (12か月) |
構成比 |
進捗率 |
売上高 |
93,597 |
100.0% |
87,000 |
100.0% |
49.2% |
営業利益 |
1,936 |
2.1% |
1,350 |
1.6% |
25.6% |
経常利益 |
2,509 |
2.7% |
1,800 |
2.1% |
36.8% |
当期純利益 |
157 |
0.2% |
850 |
1.0% |
53.8% |
* 単位:百万円。前期比は参考値。
業績予想、配当予想を上方修正
業績予想を上方修正した。新型コロナウイルス感染症拡大の影響により、低迷したユーザーの外出・消費マインドが本格的に回復するのは、第 4 四半期(3-5月)ごろと想定していたが、第2四半期にかけて国内感染者数が減少するとともに、国内ブックオフ事業における既存店売上高が好調に推移したことに加え、各種コスト面の見直しを行った。また、各自治体から支給された時短等協力金を営業外収益に計上した。
売上高870億円、経常利益18億円を予想している。
売上高はコロナ禍前の20年3月期(12か月決算)の843億円を上回る。経常利益も、今期より大規模IT投資やマーケティング投資を実施するが、20年3月期の19億円に迫る。
配当予想は従来予想の8.00円/株から7.00円/株増配の15.00円/株へ。予想配当性向は30.8%。
【3-2 下期の取り組み】
22年5月期下期の主な取り組みは以下の通り。なお、今下期も含めた以降の取り組みや中期目標、目指す姿は「参考1:今後の経営方針」を参照。
*国内ブックオフ事業:店舗投資の継続
戦略商材であるトレカ・ホビーへの注力を中心とした、既存店リニューアル及び新規出店を継続する。
中小型の「BOOKOFF」は、トレカ・デュエルスペースの設置のほか、ホビー・アニメ商材などへの注力により、ユーザーが滞在して楽しむことができる「エンタメ型」を志向。
大型複合店「BOOKOFF SUPER BAZAAR」は、アパレル売場の効率改善とともに、トレカ・ホビーのほか、地域特性に見合った商材への注力や、ユーザーの回遊性向上により「進化型」を目指す。
上期9店舗に対し、下期も10店舗程度のリニューアルを予定している。
*国内ブックオフ事業:買取強化
「ひとつのBOOKOFF」構想により拡大した販売網に対して、チャンスロスを最小限にするため、買取の強化により提供アイテム数を拡充する。
具体的には、宅配・出張買取網の拡充により、店舗に足を運べないユーザーに対しても、買取サービスを提供するほか、店頭買取においては、キャッシュレス買取の拡充、買取カウンターの改善による待ち時間の短縮、買取価格データの精度向上といったユーザビリティ向上により、より手軽に・安心して売却できる環境を整備する。
*出店計画
BOOKOFFは新規出店とリプレイスを取り混ぜ4-5店出店。大型店BOOKOFF SUPER BAZZARについては、今期はリニューアル中心。来期以降新規出店を再開。
富裕層向けは百貨店内窓口を毎期4-5拠点開設。
海外も積極的な出店を計画している。
(同社資料より)
4.堀内社長に聞く
堀内社長に、上期決算の振り返り、ひとつのBOOKOFF構想の進捗を始めとした今後の取り組み、株主・投資家へのメッセージなどについて伺った。
(1)2022年5月期第2四半期決算について
今期上期決算は、売上、利益とも想定以上の結果を残すことができました。
その要因は2つあります。
1つは前期から急速に伸びているトレーディングカードの拡大に向けた積極的な取り組みが奏功したという点です。
大型店BOOK OFF SUPER BAZZARにおいては、アパレルを縮小し、トレカを拡大する大幅なゾーニング変更を実施しました。トレカに関しては、遊ぶためのデュエルスペースを設け、お客様が集まりやすい空間を演出したことも大きく寄与しました。
また、中小型の店舗においてもバックヤードなど空きスペースをうまく活用してデュエルスペースを創り出しましたし、加えて、中古品のみでなく新品も揃えることで、トレカユーザーにとって品ぞろえが豊富で、遊ぶこともできるよりこれまで以上に楽しい空間を提供することができました。
もう1つは、アパレルの下げ止まりが見えてきたということです。依然厳しい環境にありますが、前期から売場面積を縮小し、値付けにも工夫を凝らすなど効率化を追求してきた中で、売上が下げ止まり、収益性も好転してきたことも、上期決算に好影響を与えました
(2)ひとつのBOOKOFF構想の進捗
ひとつのBOOKOFF構想実現に向けた重要な取り組みの一つであるアプリ会員拡大に関しては、21年11月末で370万人を超え、現時点(22年1月)では400万人近くまで拡大しています。
ネットで注文して店舗で受け取る「店舗受取サービス」も着実に拡大し、受取に来店した際、他の商品も買っていく「ついで買い」も増加傾向にあるなど、アプリ会員拡大は着実に成果に結びつき始めています。
(3)「個店を磨く」×「総力戦で取り組む」
当社では成長のための事業方針として「個店を磨く」×「総力戦で取り組む」を掲げています。
「個店を磨く」は、本を中核にしつつ地域特性や店舗ごとの発想を生かして、品ぞろえや運営に取り組むという意味です。
「総力戦で取り組む」は、「販売」「買取」両方で、いかにしてお客様との接点を増やしていくかを目指しています。
我々のビジネスは、「販売」を拡大しようとすれば当然のことですが「買取」も拡大しなければなりません。しかしこのバランスが上手くいかないと、販売しきれず利益率を落としてしまいます。以前は苦労をした局面もありましたが、現在では、アプリ会員の拡大と共に、販売面では大きな成果を上げることができるようになってきています。また国内で買い取り、残念ながら売れ残ったものを海外に送ることで売り切ることができたケースも増加するなど、点ではなく線や面で戦えるようになってきています。
一方、販売力が強化される中、「買取」が重要になってきますが、ネットはネット、店舗は店舗と販売ほどには融合が進んでおらず、まだまだ取り組みの余地が大きいのが現状です。販売で作り上げた実績をベースに、買取においても総力戦で取り組み、お客様との接点を幅広くかつ強固なものとし、持続的な成長力をより確かなものとしていきたいと考えています。
(4)2025年5月期経常利益24億円達成に向けて
当社では2025年5月期経常利益24億円の達成を掲げていますが、そのための土台が構築できたと考えています。
そのもっとも大きなポイントは国内ブックオフ事業が非常に安定してきたという点です。前々期、前期はコロナ禍の影響を多少ならずとも受けましたが、今期は業績予想上方修正に繋げることができました。
国内ブックオフ事業の安定性向上には大きく3つの要素があると考えています。
1つ目は、「個店を磨く」です。
まず初めに中小型店での取り組みが進み、現在は大型店にも広がっています。店舗の現場、つまりお客様に最も近い場面で各店舗スタッフの自発的な取り組みが成果となって形に現れ、成功体験として浸透し始めました。
2つ目は、トレカ・ホビーの大きな伸長です。
当初はそれぞれの地域特性に合わせてという部分を重視していたのですが、大きな需要があると判断しチェーン全体で取り扱う方針を固めたことで、スピード感をもって取り組んだ結果、大きな成果に結びつきました。
3つ目は、総力戦で取り組み、アプリ会員基盤が順調に拡大する中で、当社の強みである本を中心とした底堅いニーズを確実に取り込んで、安定した売上を上げることができるようになっている点です。
以上の3点による国内ブックオフ事業の安定性向上により、「2025年5月期経常利益24億円」の実現可能性は一段と高まってきました。
(5)株主・投資家へのメッセージ
これまでは「本だけじゃないブックオフ」をキーワードにBOOKOFF事業を拡大させてきましたが、現在はいよいよ「ブックオフだけじゃないブックオフグループ」というキーワードが相応しい世界に入ってきました。
もちろん国内ブックオフ事業が中核ではありますが、富裕層向け事業、海外事業は収益貢献が確実に計算できる段階に入ってきました。また、トレカ専門店「Japan TCG Center」は立ち上げたばかりで収益化には少し時間がかかるかとは思いますが、大きな需要を開拓する準備は整いました。今後は更に新たな事業開発やM&Aに注力してまいります。
このように、当社のグループ力は着実により強固なものへと進化しています。
一方で、東証の新市場区分への移行に関しては、プライム市場を選択する申請書を提出するとともに、2021年6月30日の移行基準日時点において、同市場の上場維持基準を満たしていないため、新市場区分の上場維持基準の適合に向けた計画書を作成しました。早期に基準を充たして、投資家の皆様に安心して当社株式へ投資頂ける環境を整備することも重要な義務であると認識しています。
是非これからも当社の中長期的な成長にご期待ください。
5.今後の注目点
同社は、「2025年5月期経常利益24億円」という目標を掲げているが、堀内社長はそのための土台が構築できたと考えている。
「土台構築」の大きな要因として、国内ブックオフ事業の安定性が一段と向上してきた点を挙げており、その表れが、1月に発表した業績予想の上方修正であるとのことだ。
個店を磨き、総力戦で取り組む中、トレカが大きく伸長し新たに大きな需要を開拓する一方で、同社の強みである「本」を中心とした底堅いニーズを確実に取り込んでいる。また、23年5月期600万人を目標としているアプリ会員は足元で400万人に迫っており、安定した売上獲得に貢献している。
第1四半期は前年同期比マイナスだった客数も第2四半期は回復が顕著であり、オミクロン株の影響は気になるところではあるが、堅調な足取りの下、第3四半期、第4四半期と、売上・利益をどれだけ積上げて行くことができるのかを注目していきたい。
<参考1:今後の経営方針>
【1 事業環境】
同社資料によれば(リサイクル通信調べ 2020年)、リユース市場規模は、2011年1.2兆円が2018年には2.1兆円と7年で倍増した後も、2025年までには3.2兆円まで伸長すると見込まれている。
このうち、フリマアプリの普及などによりCtoCの利用も急速に拡大しているが、個人間取引における安心・安全の確保、価格の妥当性といった課題もある。
そのため、安心してリユースサービスを利用したいというニーズを取り込んでいるのが実店舗を構えるリサイクルショップや買取専門店などであり、信頼性に加え、利便性を提供できるBtoCサービスの優位性は高いと思われる。
【2 同社の強み】
同社では、リユース市場における自社の強みは、主として以下の点であると考えている。
(1)認知度No.1
国内リユースチェーン利用者に対する調査の結果、同社の認知度は96%。利用者のほぼ全員が同社の事を知っていると回答している。
長年の運営実績、実店舗の全国展開などがその背景にあり、他社が簡単には追随できるものではなく、強力な参入障壁となっている。
(2)利用客数No.1
同社の利用客数は年間約9,000万人(延べ人数)。上記の認知度に加え、全国約800の店舗ネットワークや、現在構築中の「ひとつのBOOKOFF」構想など、利便性の高さが利用者から高い支持を受けている。
(3)書籍在庫数No.1
書籍在庫数は1億冊を超える。書籍の買取・販売からスタートした同社の現在においても主力商材である書籍は、利用者層の幅も広く、リユースサービス利用の入口ともなりやすいため、その後の他商材利用への広がりも期待できることから、安定した利用者基盤構築に大きく寄与している。
(4)人財育成システム
事業ミッションである「多くの人に楽しく豊かな生活を提供する」を実現するために、上記のブランド力、店舗網に加え人財の育成が不可欠と考え、正社員のみでなくパート・アルバイトを含めた全社員を対象とした人財育成システムを構築している。
経営理念をはじめとしたフィロソフィーと各種マニュアルに基づく人財育成カリキュラムや全従業員を対象としたキャリアアップ制度により店舗運営を支える人財育成に注力している。
店舗における「笑顔・丁寧・スピーディーな対応」による来店者満足度の向上に加え、物流センターにおける運営効率向上についての各従業員の参加意識向上にも努めている。
(5)安心できる店舗づくり
利用者の立場に立った買取サービスや法令順守を徹底し、利用者が安心してモノを売る店舗づくりに取り組んでいる。
特に、利用者が最も関心のある買取価格の妥当性については、他社にはない膨大な取引データを基にした買取価格データベースを本社において整備し、それを基に各店舗での買取を実施している。
【3 BOOKOFFグループの価値創造】
事業ミッションである「多くの人に楽しく豊かな生活を提供する」の実現による企業価値の最大化を目指している。
そのためには、経営理念に基づいた人財育成を推進することで揺るぎない普遍的価値を構築し、その基盤に立って各事業を推進し成長を追求する。
(同社資料より)
【4 成長のための事業方針】
「個店を磨く」と「総力戦で取り組む」の相乗効果で収益拡大を図る。
「個店を磨く」では、強みである書籍を商材の中核としつつも、地域特性を活かした各店舗の発想に基づいて商材を拡大するなど、地域の顧客の満足度を高める運営を追求する。
「総力戦で取り組む」では、「販売」「買取」両方で、リアル店舗とネットを活用し、いかにしてお客様との接点を増やしていくかを目指す。
【5 事業展開】
(1)国内ブックオフ事業
①店舗展開
BOOKOFFは新規出店とリプレイスを取り混ぜ、年間4-5店出店を計画している。大型店BOOKOFF SUPER BAZZARについては、今期はリニューアル中心で、来期以降新規出店を再開する方針だ。
*BOOKOFF SUPER BAZAAR
売り場占有率の大きいアパレルの不振を打開すべく、既存店リニューアルに注力する。
*BOOKOFF
新型コロナウイルスの影響により小商圏化が大きな事業機会になっていることを受け、地域密着を重視。
好調なトレカ・ホビーの取り扱いを強化するなど、エンタメ性を追求したリニューアルを実施する。
*BOOKOFF 総合買取窓口
都心部での良質な商材の買取に特化し、周辺店舗への商材出荷のほか、富裕層向け事業のハグオールとの連携や販売を強化する。
②商材別戦略
*本・ソフト
引き続き収益の中核であり、利用者の来店動機として重要な商材である。
ネットサービスの活用で利便性向上させるほか、サブスクサービスのトライアルなどで利用シーンの拡大を図る。
*トレカ・ホビー
コロナ禍で大きく伸長した。今後も集中投資により強化する。
新品商材の取り扱いにより商品鮮度向上とともに売場拡大を進める。新品商材は粗利率の低下要因となるが、中古買取・販売規模拡大の呼び水になると考えている。
21年11月には初のトレカ専門店を出店しユーザーの取り込みを強化する。
*アパレル
コロナ禍により外出機会の抑制などから、一次市場の低迷によるダウントレンドは今後もしばらくは継続する。
売場面積適正化とオペレーション効率化で収益性の向上を図る。
*その他戦略商材
スポーツ・アウトドア用品はコロナ禍でも好調。今後は、レンタルサービスも開始する。
レコード強化など地域特性に合わせた店舗の個性づくりを継続する。
③マーケティング戦略
2021年5月、新プロモーション「あるじゃん!」をスタートさせた。
充実した本の品揃えや、商材の多様性など、ブックオフの価値・サービスを利用者に再認識してもらうことを目的としているため、従来のセール型・ダイレクト広告から、定常的な集客を目的とした価値訴求型・ブランド広告へ転換した。
TVCMのみではなく、WEB、SNS、PR、店頭など、利用者の行動として訴求するアプローチでBOOKOFFから足が遠のいている休眠顧客層の来店行動を喚起する。
④「ひとつのBOOKOFF」構想
「公式スマホアプリを起点に、ECチャネルと全国の店舗網を活用し、リユース商品との「一期一会」を全てのお客様に最適な方法でお届けする」ことをコンセプトとする「ひとつのBOOKOFF」構想においては、21年11月、公式アプリ会員は370万人を突破した。
(同社資料より)
(公式アプリの機能)
商品検索 |
約420万点の商品からアプリで一括検索。近くの店舗で見つからなかった商品がみつかることも。 |
アプリで購入 |
店舗に行かなくてもアプリから購入可能。店舗が近隣に無かったり時間が無かったりしても購入可能。1,500円以上の購入で送料無料。 |
店舗受取 |
アプリで購入した商品を近くの店舗で受取可能。1点から送料無料(一部対象外店舗あり) |
クーポン |
登録してる店舗限定のクーポンや、全店で開催しているセール情報をアプリでチェックできる。 |
こうした公式アプリの利便性を更に訴求することで、アプリ会員数の更なる拡大を図る。
2023年5月末には現在の倍600万人を目標としており、ブックオフ利用者のうち、15%のアプリ会員で売上の3分の1を占める状態を目指す。
(同社資料より)
(2)富裕層向け事業
同社資料(野村総合研究所「NRI富裕層アンケート調査」)によれば、日本の富裕層(準富裕層、富裕層、超富裕層の合計)は475万世帯で2009年からの10年間で121万世帯増加し、今後も増加が見込まれる。
拠点数の増加により、買取及び収益の増加が見込むことができる状況である。
そこで、以下2つのアプローチにより、富裕層向けリユースを拡大する。
1つは、BOOKOFFを利用していない富裕顧客層へのアプローチ。
大手百貨店内で富裕層向け買取サービス等を行う「ハグオール(9拠点)」、(株)ジュエリーアセットマネジャーズが運営する貴金属に特化し、買取・販売などを行う「aidect(14拠点)」により大手百貨店を中心に今後も積極的に展開する。
もう一つはBOOKOFFを利用する富裕層顧客へのアプローチ。
東京都内中心とした高級エリアにおいてBOOKOFF総合買取窓口(15店舗)の出店を再開する。
前期決算では(株)ジュエリーアセットマネジャーズののれんの減損損失を計上したが、オペレーション効率化やグループ内物流網の活用により、収益体質は改善している。
同社ならではのアプローチを武器にターゲット層との接点を最大化する。
(3)海外事業
各地域での施策は以下の通り。
①アメリカ(9店舗)
日本のアニメーションが現地で大好評であり、日本からの輸出商材が高い付加価値を生んでいる。
輸出のみでなく現地での買取・販売も強化するためにストアマネージャーの育成に注力する。
収益体質が整ったため、8年ぶりに新規出店を再開する。
②マレーシア(8店舗)
新型コロナウイルスに伴うロックダウンの実施により外部環境は厳しいが、利用者のニーズは高く、今後の伸長に大きく期待している。国内供給網を拡充で20店舗体制を目指す。
現時点では現地での買取は行わず、国内で販売機会に恵まれなかった商材を有効活用する。
外部パートナーによる加盟店なども活用し、マレーシア以外の多国展開を開始する。
③フランス(3店舗)
3店舗は全て加盟店。
(4)M&A・事業開発の推進
リユース領域においては、商材の専門性強化、未カバーの店舗網構築、新たな顧客層へのアプローチといった切り口で、リユース以外の領域ではリユースとのシナジー、店舗でのエンタメ性、将来の事業の柱といった観点からM&Aや事業開発を進め、更に事業ドメインを拡大する。
(5)SDGsへの取り組み
BOOKOFFでモノを売ったり、買ったりする行動そのものがモノの寿命を延ばし、捨てるモノを減らすという社会貢献につながっている。これはSDGs12の「つくる責任、つかう責任」目標を達成させるために、非常に重要な役割を果たす。これらをはじめ、同社の中心事業であるリユース業を軸に様々な活動を通してSDGsの達成に貢献していく考え。
|
リユースと古紙リサイクル |
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マレーシア事業Jalan Jalan Japan |
雇用の創出、良質な商品・アパレル提供 |
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(株)ジュエリーアセットマネジャーズ |
宝飾品リペア、代々の継承
|
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障害者雇用促進法認定 |
障がい者支援、雇用の創出 |
|
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企業・行政・NPO団体とのパートナーシップ |
|
(同社資料より)
【6 投資・出店計画】
(1)IT投資
店舗・EC間の連携強化、DX推進のほか、老朽化したITインフラの刷新など、大規模なIT投資を実施する。
そのため向こう2~3年間は投資及び費用発生のピーク期となり、一時的な収益の押し下げ要因となる。
(同社資料より)
(2)出店計画
国内ブックオフ事業は、大型店BOOKOFF SUPER BAZZARについては、今期はリニューアル中心。来期以降新規出店を再開。BOOKOFFは新規出店とリプレイスを取り混ぜ4-5店出店。
海外は積極的な出店を計画している。
(同社資料より)
【7 利益想定】
前期決算では、新型コロナの感染拡大により、一時は国内直営店の過半を休業対応し、収益を大きく毀損したことにより、出店投資を抑制するなど、事業活動にも大きな影響受けた。
前期第2四半期以降回復基調に入ってはいるものの、投資抑制による出店計画の遅れや、成長分野である富裕層向けサービス、海外事業の回復に一定の時間を要すること、加えて、アフターコロナにおける市場環境の大きな変化を鑑み、2023年5月期を最終年度とする中期経営方針内で掲げる、経常利益30億円の業績目標を取り下げ、各事業の収益向上により25年5月期24億円を計画している。
(同社資料より)
*国内ブックオフ事業
アプリ連携によりLTVを拡大し、安定収益を継続する。24/5期より投資負担剥落によって利益成長。
*富裕層向け事業
拠点拡大で23/5期より着実に収益を積み上げる。
*海外事業
積極展開で23/5期より収益を拡大。
*M&A・事業開発
24/5期より収益上積み。
<参考2:コーポレート・ガバナンスについて>
◎組織形態及び取締役、監査役の構成
組織形態 |
監査等委員会設置会社 |
取締役 |
10名、うち社外6名 |
◎コーポレート・ガバナンス報告書(更新日:2021年12月21日)
基本的な考え方
当社グループは、純粋持株会社であるブックオフグループホールディングス株式会社のもと、「事業活動を通じての社会への貢献」「全従業員の物心両面の幸福の追求」をグループ共通の経営理念とし、「経営の透明性・効率性の確保」「迅速な意思決定」「アカウンタビリティの充実」をコーポレート・ガバナンスの基本的な考え方としております。この考えのもと、株主をはじめお客様・従業員・取引先・地域社会等の各ステークホルダーと良好な関係を築くとともに、透明・公正かつ迅速・果断な意思決定を行うための仕組みを整え、持続的な成長及び中長期的な企業価値向上を目指してまいります。
コーポレートガバナンス・コードの各原則に対する基本方針を「コーポレートガバナンス・コードに関する当社の取り組み」にて、開示しております。
■コーポレートガバナンス・コードに関する当社の取り組み
https://www.bookoffgroup.co.jp/ir/corporate.html
<コーポレートガバナンス・コードの各原則を実施しない理由>
【原則1-4】
当社は、「出資及び有価証券運用に関する規程」により、原則として政策保有目的の株式の取得を行わない方針を定めております。ただし、例外として、当社フランチャイズ・チェーン加盟企業の株式を保有することがあります。政策保有の株式の議決権行使については、議案の内容を精査し、必要に応じて企業との対話を行い、株主価値向上に資するものか否かを判断した上で、適切に行使いたします。
【補充原則3-1③】
<気候変動に係るリスク及び収益機会について>
当社の事業活動が気候変動に与える影響について必要なデータの収集と分析を行い、国際的に確立された開示の枠組みであるTCFDまたはそれと同等の枠組みに基づく開示の質と量の充実を目指して検討してまいります。
【補充原則4-1③】
当社は、サクセッションプランは策定しておりませんが、次期社長や新任取締役の指名にあたり、社長交代や取締役の選任がある場合は、事業年度終了後かつ株主総会開催前の間の取締役会において、独立社外取締役会による取締役会の実効性及び議長の評価や指名諮問委員会の答申を踏まえ、透明性・公平性の高い後継者指名や取締役候補の選任を行える体制を確立しております。
<コーポレートガバナンス・コードの各原則に基づく開示(抜粋)>
【補充原則2-4①】
<多様性の確保についての考え方>
当社は、従業員が最大の財産であり、当社グループの競争力の源泉であると考えております。多様性の確保に向け、財産である従業員の職場環境を整えることに努め、また、従業員の能力開発や自己実現の機会を提供できるよう努めております。
<多様性の確保に向けた目標及び整備状況>
(i)女性
社長と女性社員との対話を契機に2012年より「働きやすい職場づくりプロジェクト」を発足し、勤務地選択制度や社員再雇用制度をはじめとした様々な制度を導入し、より一層女性の活躍促進に向けた制度設計やキャリア支援、社内風土の醸成を図っております。現在、女性管理職比率を2025年度末までに2020年度比1.5倍とすることを目標とし、活動を継続しております。
(ii)外国人
国内事業におけるパート・アルバイトの採用や育成に関して、国籍問わず一人ひとりの個性を尊重しております。また、海外事業においては事業の積極推進及び安定化の視点から、「ローカライズ」を最重要施策と位置付けており、ネイティブの幹部・店長の登用を積極的に進めております。2021年11月現在、海外16店舗のうち現地国籍のストアマネージャーが9名在籍しており、各国の労働事情や文化・価値観の違いなども考慮した人財育成に引き続き取り組んでおります。
(iii)中途採用者
当社では、パートアルバイトスタッフ登用制度に基づき定期的に正社員登用を実施しております。2021年9月現在、ブックオフコーポレーション全社員における中途採用者の構成比が45.8%、同管理職における構成比が13.2%となっております。
【補充原則3-1③】
当社は、経営戦略の開示に当たり、サステナビリティへの取り組み及び人的資本や知的財産への投資等について、決算説明資料等で説明及び開示しております。
<サステナビリティについての取り組み>
当社は、リユース事業を通してお客様に楽しく豊かな生活を提供しながら、循環型社会の形成を加速させていくことが、当社グループの役割だと考えています。
サステナビリティに関する取り組みとして、①外部協力会社を通じた不用品の再利用及び再資源化の推進②リユース事業の取り組みとSDGsの目標12「つくる責任、つかう責任」に関するカリキュラムの作成及び学校教育への参画③不要になった品物の買取金額を、人道支援及び環境保護団体等へ寄付するプログラムの展開等、様々な活動をおこなっております。
より具体的な内容につきましては、2021年9月より設置した広報・SDGs推進室を中心に、自社のウェブサイト等への適切な開示に努めてまいります。
<人的資本や知的財産への投資等について>
当社は、従業員が最大の財産であり、当社グループの競争力の源泉であると考えております。多様性の確保に向け、財産である従業員の職場環境を整えることに努め、また、従業員の能力開発や自己実現の機会を提供できるよう努めております。
<気候変動に係るリスク及び収益機会について>
当社の事業活動が気候変動に与える影響について必要なデータの収集と分析を行い、国際的に確立された開示の枠組みであるTCFDまたはそれと同等の枠組みに基づく開示の質と量の充実を目指して検討してまいります。
【原則4-9】
当社は、社外取締役の独立性の判断基準を策定しており、招集通知及びコーポレート・ガバナンスに関する報告書にて開示しております。また、当社の独立社外取締役3名は、企業経営の経験者や弁護士、ITや小売業界等それぞれ専門的な知識と豊富な経験に基づき、経営戦略等へ的確な助言・意見具申や重要な意思決定による経営に対する監督、利益相反の監督等を独立した立場で行っております。
【補充原則4-11①】
当社は、取締役会において、実質的で有効な議論を行うためには、取締役8~10名程度が適正と考えております。現在は社内取締役4名、社外取締役6名(うち独立社外取締役3名)で構成されており、各取締役に期待する分野及び各人の有する主な知識、経験、能力及び専門性は、本報告書最終ページ【取締役会の構成(スキル・マトリックス)】のとおりです。
取締役の選任に関しては、社内規程に基づき指名諮問委員会(社長及び独立社外取締役で構成)において、当社の持続可能な成長と企業価値向上に資する候補者であるかを基準に面談等を経て選定し、監査等委員会にも候補者を通知した上で、取締役会にて決定しております。また、監査等委員である取締役候補については、当社の健全な経営と社会的信用の維持向上に資する人物で、中立的・客観的に監査を行うことができる候補者であるかを基準に選定し、監査等委員会で検討・同意をした上で、最終的に取締役会にて決定しております。なお、社外取締役の選任に係るガイドラインを定め、その独立性判断基準は、招集通知及びコーポレート・ガバナンスに関する報告書にて開示しております。
【原則5-1】
当社は、IR担当役員を選任し、経営企画部をIR担当部署としております。株主や投資家に対しては、決算説明会を半期に一回開催するとともに、逐次スモールミーティングや個別取材等を実施しております。また、IRポリシーを制定し、当社ホームページにて開示しております。
■IRポリシー<株主との建設的な対話を促進するための方針>
https://www.bookoffgroup.co.jp/ir/policy.html