(4829)日本エンタープライズ株式会社 各事業好調で増収増益

2021/08/26

 

 

 

植田 勝典 社長

日本エンタープライズ株式会社(4829)

 

 

企業情報

市場

東証1部

業種

情報・通信

代表者

植田 勝典

所在地

東京都渋谷区渋谷1-17-8

決算月

5月

HP

https://www.nihon-e.co.jp/

 

株式情報

株価

発行済株式数(期末)

時価総額

ROE(実)

売買単位

206円

40,134,900株

8,267百万円

2.7%

100株

DPS(予)

配当利回り(予)

EPS(予)

PER(予)

BPS(実)

PBR(実)

3.00円

1.5%

6.35円

32.4倍

126.06円

1.6倍

*株価は7/26終値。各数値は21年5月期決算短信より。

 

連結業績推移

決算期

売上高

営業利益

経常利益

当期純利益

EPS

DPS

2018年5月(実)

3,892

174

257

166

4.11

2.00

2019年5月(実)

3,413

242

292

97

2.44

2.00

2020年5月(実)

3,588

267

310

176

4.40

2.00

2021年5月(実)

4,346

338

355

134

3.35

3.00

2022年5月(予)

4,730

375

380

255

6.35

3.00

* 予想は会社予想。単位:百万円、円。当期純利益は親会社株主に帰属する当期純利益。以下、同様。21年5月期の配当には記念配当0.50円/株を含む。

 

日本エンタープライズ(株)の2021年5月期決算概要と今後の見通しについてご報告致します。

 

目次

今回のポイント
1.会社概要
2.2021年5月期決算概要
3.セグメント別事業概況
4.2022年5月期業績予想
5.今後の注目点
<参考:コーポレート・ガバナンスについて>

 

今回のポイント

  • 21年5月期の売上高は前期比21.1%増の43億64百万円。法人向け「受託開発」の拡大、「業務支援サービス」の伸長、「新型コロナ対策サービス・商材」の取り扱いの促進に加え、キッティング支援の大型案件獲得等により2桁の増収。利益面では、コンテンツサービスの減収により利益率の高いクリエーション事業の売上構成比が低下したこと等で粗利率は同2.8%低下したが、増収により売上総利益は同13.4%増加。販管費は営業力強化に向けた人材採用に伴う人件費の増加等により同10.7%増加したものの、増収効果で吸収し、営業利益は同26.6%増の3億38百万円となった。上場20 周年を記念して、2.50円/株の普通配当に加え、0.50円/株の記念配当を実施し、年間配当を3.00円/株とすることとした。配当性向は89.6%。 
  • 22年5月期の売上高は前期比8.8%増の47億30百万円、営業利益は同10.8%増の3億75百万円の予想。収益性の高い通信キャリア向け定額制コンテンツの拡充、新たなコンテンツサービスの開発、主力事業であるキッティング支援の更なるサービスの深耕、新規事業の推進、コロナ禍における社会のDX化に対応した受託開発や業務支援サービスの拡大等により売上増を目指す。また、収益性の高い事業の拡大により増益、利益率向上を図る。配当は実質前期比0.50円/株増配の普通配当3.00円/株を予定している。予想配当性向は47.2%。 
  • 21年5月期は2ケタの増収増益で売上・利益ともほぼ予想通りの着地となった。22年5月も増収増益予想であり、売上高は3期連続、営業利益は4期連続の前期比増を見込んでいる。両事業ともコロナ禍によって生まれたニーズに対し新たな製品・サービスを開発・提供し、個人、法人双方の顧客満足度を高めている。 
  • 一方、ここ数年の利益率の推移を見ると、営業利益率は上昇しているものの、当期純利益率は低位での推移となっている。PER、PBRともに東証1部の平均を上回っているが、トップラインの拡大とともに、2~3%で推移しているROEの改善も投資家・市場は期待しているところであろう。両事業における収益性向上とともに、資産効率性上昇のための施策にも注目していきたい。 

1.会社概要

モバイルソリューションカンパニーを標榜。個人向けスマートフォンアプリの開発・提供、企業向けシステム開発、モバイルキッティング、e コマース等のサービスを提供しており、事業セグメントは、自社IP(Intellectual Property)を活用したアプリケーションやシステムを提供する「クリエーション事業」と企業の業務用ソフトウェアやシステムの開発を請け負う「ソリューション事業」に分かれる。また、新たなサービスの創出に向け、IoTやビジネスソリューションにも取り組んでいる。
2001年2月16日に大阪証券取引所ナスダック・ジャパン市場(現JASDAQ市場)へ株式上場。2007年7月10日の東京証券取引所市場第二部への市場変更を経て、2014年2月28日に同市場第一部の指定を受けた。

1-1 経営理念

同社の経営理念は「綱領・信条・五精神」及び「日エン経営原則」に刻まれており、「これを繰り返し学ぶ事で基本理念を永遠に堅持していく」事が同社社員の責務。こうした正しい考えと正しい行動の下にこそ、長い目で見た「株主価値の極大化」、すなわち「資本という大切な“お預かりもの”を1円もムダにせず、最大化していくことが可能である」と言うのが同社を率いる植田社長の考えである。そもそも同社は、「社業を通じて社会のお役に立ちたい」という強い一念から植田社長が興した会社であり、様々なIT機器を通して便利で面白い多種多様なコンテンツを制作し提供する事でユーザーの満足度を高めると共に社会貢献していく事を目指している。こうした植田社長の経営哲学の下、創業初年度の経常利益は、ほぼ全額が日本赤十字社・社会福祉施設・児童養護施設等に寄付され、東日本大震災の折には、被災した方々の支援と東北地方の復興に寄与するべく日本赤十字社に寄付が行われた。

 

1-2 企業グループ

(連結子会社7社、非連結子会社1社)
連結子会社は、アプリ/WEBサイト企画・開発・運用、業務支援等の(株)ダイブ、アプリ/システム開発~運用、デバッグ等の(株)フォー・クオリア、音声通信関連ソリューションの(株)and One、スマートフォン向けキッティング支援ツール等の(株)プロモート、アプリ/システム開発等の(株)会津ラボ、太陽光発電の(株)スマート・コミュニティ・サポート、電子商取引サービス「いなせり」「いなせり市場」の企画・開発・運営を手掛ける いなせり(株)の国内7社。非連結子会社は、コンテンツ運営等を行うNE銀潤(株)の国内1社。
新規サービス開発による事業創出や事業価値の最大化を図るため、交通情報を中心にした情報提供を行っていた交通情報サービス(株)を2021年6月1日付で吸収合併した。

 

1-3事業概要

事業は、クリエーション事業とソリューション事業に分かれる。

 

(1)クリエーション事業 : 自社IP(Intellectual Property)を活用したアプリケーション・システムの提供
コンテンツサービス、ビジネスサポートサービス、及びその他(太陽光発電)等、自社で保有する権利や資産を活用したサービスを提供している。

 

◎コンテンツサービス
総合電子書籍サービスやゲーム等のエンターテイメント系のコンテンツ、「ATIS交通情報サービス」、「ちょこっとゲーム」、「ラッキーステーション」、更には一般消費者向け鮮魚ECサイト「いなせり市場」といったライフスタイル系のコンテンツを提供している。

 

エンターテインメント ・通信キャリア向け定額制サービスにおいて提供しているゲームコンテンツをはじめ、多彩なジャンルをカバーした総合電子書籍サービスや、コミュニケーションを促進する素材など、様々なコンテンツ。
ライフスタイル ・各IC間の所要時間がわかる詳細渋滞マップや通過地点のリアルタイムの道路状況をお届けする交通ライブ映像等、全国の高速道路・一般道路の情報をもっと詳しく知りたいお客様に役立つ機能を搭載した実用アプリ。

・月間20万人のユーザーに向けて、女性のための「美」と「健康」をサポートするアプリ。“妊活”をテーマに新サービス・機能を提供。

・ブランド品からファッションアイテム、電化製品までオールジャンルの商品を取扱うフリーマーケットアプリ。

・一般消費者が、豊洲市場の仲卸の目利きに適った水産物や青果を購入できるECサイト。商品ラインナップと各種サービスを拡充。

(同社資料を基に作成)

 

◎ビジネスサポートサービス
キッティング作業における人的負担の軽減と生産性・正確性を向上させる支援ツール『Kitting-One』の開発・販売及び『Kitting-One』を使ったキッティング作業の代行を行う「作業請負」、車両動態管理クラウド『iGPS on NET』等の提供も行う「ATIS交通情報サービス」、操作性・柔軟性に優れたビジネスフォン環境を提供するIP-PBXソフトウェア『Primus』等の開発・販売を行っている「音声ソリューション」、東京魚市場卸協同組合所属仲卸業者のインターネット水産物販売サイト「いなせり」の運営といったサービスを提供している。

 

キッティング支援 ・人的作業の軽減を可能とし「生産性」「正確性」の向上を実現できるキッティング作業支援ツール『Kitting-One』等を開発・販売
ATIS交通情報 ・全国の高速道路・一般道の道路状況のみならず、地域に密着した気象情報・鉄道遅延情報をTV局やFM局へ24時間提供

・交通事象をマップ上で確認できる物流企業向け交通情報サービス『ATIS on Cloud』や 車両動態管理システム『iGPSon NET』を提供

コミュニケーション ・操作性・柔軟性に優れたビジネスフォン環境を提供するIP-PBXソフトウェアの開発・販売

・「シンプル&かんたん」をテーマに、チャットと画面共有を一画面に集約していながら顔認証機能により高セキュリティ性も兼ね備えたWeb会議システム『NEEDS』を開発・販売

教育・調達・観光 ・eラーニング、電子見積業務支援ASPサービス、観光促進等
いなせり ・飲食事業者向けECサイト『いなせり』を東京魚市場卸協同組合(仲卸)等と連携を図り、水産物や青果の販売サービスを提供

(同社資料を基に作成)

 

◎その他
再生可能エネルギーによる地域活性化を目指し、太陽光による発電と、その電力販売等を行っている。

 

太陽光発電 ・山口県における再生可能エネルギーによる地域活性化を推進

(同社資料を基に作成)

 

(2)ソリューション事業 : 企業の業務用ソフトウェアやシステムの受託開発
主にシステム開発・運用サービスを提供している。
クリエーション事業で培ったノウハウを活かし、受託開発(スクラッチ開発)を中心としたトータルソリューションサービスに力を入れている他、中古端末買取販売サービスの育成に取り組んでいる。トータルソリューションサービスでは、アプリ開発やサイト構築等の受託に加え、サーバの設計から構築、運用監視、デバッグ、カスタマーサポート、コンサルティング等をワンストップで提供している。
一方、中古端末買取販売サービス(端末周辺事業)は、キッティングサービスの取引先である企業や携帯電話販社を中心に仕入先が順調に拡大しており、端末の安定調達に向けた取り組みが進んでいる。また、取り扱い台数の増加に伴い販売先の新規開拓も進んでいる。

 

コロナ禍におけるテレワーク推奨や5G(第5世代移動通信システム)対応端末の普及による乗り換えで端末需要が増加し、中古端末の流通量が高まり、サービスの需要拡大が予想される(既に中古端末のマーケットは、スマートフォンを中心に拡大傾向)。

 

システム開発・運用サービス *ソリューションサービス

AI、IoT、セキュリティ関連システムの需要が増大する中、コンサルティングから開発、保守・運用まで、市場のニーズに合わせたトータルソリューションサービスを提供。

*業務支援サービス

常駐型でクライアント企業の課題解決へ向けた業務支援を行うサービス。幅広い支援内容でサービスを拡大。

*中古端末買取販売サービス

中古端末を買い取りバイヤーに販売するサービス。厳正なグレーディング(査定)に加え、リファービッシュ(※)の提供を目指す。

*新型コロナウイルス感染症対策サービス

ガラスコーティング剤『NEコート・ハドラス』の販売など。

※リファービッシュ:中古品等の端末を新品に準じる状況に仕上げること。
(同社資料を基に作成)

1-4 ROE分析

 

18/5期

19/5期

20/5期

21/5期

ROE(%)

3.4

2.0

3.6

2.7

売上高当期純利益率(%)

4.267

2.866

4.921

3.095

総資産回転率(回)

0.639

0.567

0.587

0.705

レバレッジ(倍)

1.232

1.223

1.232

1.224

*同社決算資料を基に(株)インベストメントブリッジが計算。

 

収益性及び資産効率性の改善によるROE水準の上昇が期待される。

 

2.2021年5月期決算概要

2-1 連結業績

 

20/5期

構成比

21/5期

構成比

前年比

予想比

売上高

3,588

100.0%

4,346

100.0%

+21.1%

+8.7%

売上総利益

1,545

43.1%

1,753

40.3%

+13.4%

販管費

1,278

35.6%

1,415

32.6%

+10.7%

営業利益

267

7.4%

338

7.8%

+26.6%

-0.4%

経常利益

310

8.6%

355

8.2%

+14.6%

+4.6%

当期純利益

176

4.9%

134

3.1%

-23.8%

-32.7%

* 単位:百万円

 

前期比21.1%の増収、同26.6%の営業増益
売上高は前期比21.1%増の43億64百万円。法人向け「受託開発」の拡大、「業務支援サービス」の伸長、「新型コロナ対策サービス・商材」の取り扱いの促進に加え、キッティング支援の大幅拡大等により2桁の増収。クリエーション事業、ソリューション事業ともに増収。

 

利益面では、コンテンツサービスの減収により利益率の高いクリエーション事業の売上構成比が低下したこと等で粗利率は同2.8%低下したが、増収により売上総利益は同13.4%増加。
販管費は営業力強化に向けた人材採用に伴う人件費の増加、前期に発生した「貸倒引当金の戻し入れ」の剥落等により同10.7%増加したものの、増収効果で吸収し、営業利益は同26.6%増の3億38百万円となった。
固定資産の減損損失等による特別損失88百万円の計上により当期純利益は同23.8%減の1億34百万円にとどまった。

 

2021 年2 月に上場20 周年を迎えたことを記念して、2.50円/株の普通配当に加え、0.50円/株の記念配当を実施し、年間配当を3.00円/株とすることとした。配当性向は89.6%。

 

 

2-2 セグメント別動向

◎セグメント別売上高・利益

 

20/5期

構成比

21/5期

構成比

前期比

クリエーション事業

2,047

57.1%

2,155

49.6%

+5.3%

ソリューション事業

1,540

42.9%

2,191

50.4%

+42.2%

連結売上高

3,588

100.0%

4,346

100.0%

+21.1%

クリエーション事業

636

31.1%

696

32.3%

+9.4%

ソリューション事業

186

12.1%

229

10.5%

+23.2%

調整額

-555

-587

連結営業利益

267

7.4%

338

7.8%

+26.6%

* 単位:百万円。利益の構成比は売上高営業利益率。

 

①クリエーション事業

 

20/5期 

21/5期 

前期比

コンテンツサービス

1,241

1,131

-8.8%

ビジネスサポートサービス

746

962

+29.0%

その他(太陽光発電)

60

61

+2.1%

セグメント売上高

2,047

2,155

+5.3%

* 単位:百万円

 

コンテンツサービスは、通信キャリア向け定額制コンテンツが拡大したものの、月額コンテンツの減少と通信キャリア以外が運営するプラットフォームでの注力コンテンツが低調となり減収。
ビジネスサポートサービスは、キッティング支援の大型案件の獲得等、好調に推移。2017年度以降の最高売上高を更新した。
その他(太陽光発電)は良好な天候等により増収。

 

②ソリューション事業

 

20/5期 

21/5期 

前期比

システム開発・運用

1,538

2,191

+42.4%

その他

1

セグメント売上高

1,540

2,191

+42.2%

* 単位:百万円

 

システム開発・運用サービスは、企業のIT投資意欲を背景に法人向け「受託開発」が拡大した他、人手不足問題にマッチした「業務支援サービス」の伸長と、「新型コロナ対策サービス・商材」の積極推進により大幅増収。

 

2-3 四半期業績の推移

 

20/5期 4Q(3-5月)

構成比

21/5期 4Q(3-5月)

構成比

前年同期比

売上高

969

100.0%

1,185

100.0%

+22.3%

営業利益

75

7.7%

134

11.3%

+78.9%

経常利益

77

8.0%

138

11.6%

+79.2%

四半期純利益

23

2.4%

73

6.2%

+212.7%

* 単位:百万円

四半期ベースでも前年同期比で大幅な増収・増益となった。前期(3Q)比では7.0%減収、5.1%営業増益。

 

①クリエーション事業

 

20/5 1Q

2Q

3Q

4Q

21/5 1Q

2Q

3Q

4Q

コンテンツサービス

322

317

300

301

299

281

287

263

ビジネスサポート

211

156

186

191

175

192

279

314

その他

19

13

9

17

17

16

10

17

売上高

552

487

496

510

492

490

577

595

* 単位:百万円
*コンテンツサービス
前期(3Q)比8.2%の減収。通信キャリア向け定額制コンテンツが引き続き堅調に推移したものの、月額コンテンツと通信キャリア以外が運営するプラットフォームでの注力コンテンツが低調だった。

 

*ビジネスサポートサービス
前期(3Q)比12.6%増収。キッティング支援が大幅に拡大。2017年度以降の四半期ベースにおける最高売上高を更新した。

 

ソリューション事業

 

20/5 1Q

2Q

3Q

4Q

21/5 1Q

2Q

3Q

4Q

システム開発・運用

319

400

362

457

444

459

697

589

その他

0

0

0

1

売上高

319

400

362

458

444

459

697

589

* 単位:百万円

 

前期(3Q)比15.5%減収。3Qは大型案件の計上があったため減収となったが、コロナ禍に伴うDX化へ向けたソリューション提供により「受託開発」、「業務支援サービス」及び「新型コロナ対策サービス・商材」が好調。2017年度以降の四半期ベースにおける最高売上高を更新した。

 

2-4 財政状態とキャッシュ・フロー

◎要約BS

 

20年5月

21年5月

増減

 

20年5月

21年5月

増減

現金及び預金

4,715

4,739

+23

仕入債務

105

144

+39

売上債権

449

517

+68

短期借入金

25

23

-1

流動資産合計

5,365

5,395

+30

流動負債合計

566

693

+127

有形固定資産

350

333

-16

長期借入金

230

206

-23

無形固定資産

305

225

-80

固定負債合計

307

257

-50

投資その他の資産

178

177

-0

負債合計

873

950

+77

固定資産合計

834

736

-97

純資産合計

5,326

5,182

-144

資産合計

6,200

6,132

-67

負債純資産合計

6,200

6,132

-67

* 単位:百万円

 

無形固定資産(ソフトウエア)の減少等で総資産は前期末比67百万円減の61億32百万円。仕入債務の増加等で負債は同77百万円の増加。非支配株主持分の減少等で純資産は同1億44百万円減少。この結果自己資本比率は前期末から1.6ポイント上昇し82.5%となった。

 

◎CF

 

20年5月期

21年5月期

増減

営業CF

632

483

-148

投資CF

-85

-130

-45

フリーCF

546

353

-193

財務CF

-116

-330

-213

現金・現金同等物残高

4,685

4,708

+22

* 単位:百万円

 

売上債権の増加などで営業CF、フリーCFのプラス幅は縮小。
キャッシュポジションはほぼ変わらず。

 

 

3.セグメント別事業概況

両事業において、注目すべき商材、サービスは以下の通り。

 

3-1クリエーション事業

◎女性のリズム手帳
月間20万ユーザーが利用する女性向けライフサポートアプリ。有料会員向けサービスの大幅バージョンアップを実施した。
「妊活」をテーマに追加した新機能の一つである「セルフチェック機能」では、パートナーの妊活診断も可能である。
更なる機能追加とともに、5Gコンテンツの配信や新プラットフォームでのサービス展開でユーザーを拡大する。

 

◎『いなせり市場』
豊洲仲卸の目利きによる高品質な魚介商品を購入できるECサイトである一般消費者向け『いなせり市場』が、社会変化に迅速に対応し、サービス強化や広告などの先行投資を図ったことでメディアの露出が増え、一般消費者の顧客数が増加。売上高も21年5月期は前期比2.9倍と急成長している。
コロナ禍を契機としたEC利用の継続的な増加を背景に商品ラインナップや顧客サービスを充実させる。

 

◎キッティング支援
端末初期設定をRPAツールを用いて自動化し行うキッティング(端末初期設定)支援サービスが、新型コロナを背景にDX化へ向けた企業のIT投資が促進され堅調に拡大している。RPA市場の拡大を背景にスマートフォンに加えPCのキッティングサービス提供を開始。
第3-4半期に大型案件を受注し、売上高は大きく伸長した。PCに加え、従来の主要都市から全国規模展開へと更なる拡大を推進する。

 

◎電子見積業務支援ASPサービス『Profair』(プロフェア)
競り下げ式オークション(リバースオークション)サイト「日本オープンマーケット」において公明正大な取引と効率的な購買業務を実現する電子見積業務支援ASPサービス『Profair』が、新生活様式の浸透による非対面業務の進行で顧客が継続的に拡大している。21年5月期の売上高は前期比1.3倍と大幅増収。
官公庁や国公立大学のほか、私立大学や民間企業などへ導入が拡大中で、市場優位性を基に既存顧客の深耕と新規顧客の開拓を更に促進していく。

 

◎『あいづっこ+』
福島県会津若松市からの受託事業として、幼稚園・小学校・中学校と教育委員会の情報を一本化して発信を行う「会津若松市教育ポータルサイト あいづっこWeb」のスマホ向けアプリを開発した。「会津若松市教育ポータルサイト あいづっこWeb」は、会津若松市内の幼稚園・小中学校計30校に導入されている。
会津若松市のスマートシティ構築に貢献するとともに、実証実験で培ってきた技術・ノウハウを駆使し、全国自治体におけるスマートシティ関連システム案件の獲得も目指す。

 

3-2ソリューション事業

◎ソリューションサービス
社会課題や地球温暖化を背景とした企業におけるDX化の促進により、AIやクラウド、ビッグデータなど、様々な技術を複合的に合わせたシステム開発の需要が増大している。
こうした需要を着実に取り込むべく、自社コンテンツ開発で培ったノウハウを活かし、トータルソリューションサービスを提供している。

 

(開発事例)
①清掃ロボットビルメンテナンスサービスシステム
ビル用清掃ロボットを用いて清掃に加えビルメンテナンスを支援する。サーバーサイドのプラットフォームを開発し、遠隔制御やエラー通知の他、掃除マップの編集も実現した。データ構築でビル状況を管理する。

 

②体温検知センサー搭載体調管理システム
体温検知センサーをヘルメットに搭載し、IoTにより工事作業員の体調を遠隔管理することで、工事作業員の安全かつ効率的な作業を支援する。設定値を超えた際のアラート通知や異常値を周囲へ知らせ相互に見守ることのできる機能も搭載した。

 

◎業務支援サービス
大手通信キャリアをはじめとした各種企業に対し業務支援を行っている。
高度人材の採用および研修サービスが評価され、既存顧客の深耕と新規顧客の獲得を実現している。
これまでの営業支援に加え、技術支援の案件も拡大中。21年5月期の売上高は前期比2.1倍と大きく伸長した。
採用力・人材教育を継続的に強化し顧客支援を拡大していく。

 

◎中古端末買取販売サービス(端末周辺事業)
世界各国で推奨されているソフトウェアを用いた安心・安全なデータ消去で、企業の中古端末処分を効率的かつ有効に支援している。コロナ禍におけるテレワークの推進や積極的なIT投資で端末需要が増加し、業務支援企業やIT系商社など取引先も拡大。取扱台数は大幅に増加している。
携帯販売会社に加え、法人業務支援企業との取り組みを強化し事業をさらに拡大させる。

 

◎ガラスコーティング剤 『NEコート・ハドラス』
第三者機関であるSIAA(抗菌技術製品協議会)が策定した抗菌・抗ウイルス性能・安全性のガイドラインをクリアしているガラスコーティング剤『NEコート・ハドラス』。各種設備・施設への提供を進めたほか、端末需要の増加を背景に、携帯ショップでの付加価値サービス用販売(購入端末へのコーディングサービス)も拡大中である。
コロナ禍における新生活様式を助ける製品特性を活かし販売を促進する。

 

4.2022年5月期業績予想

4-1 連結業績予想

 

21/5期 実績

構成比

22/5期 予想

構成比

前期比

売上高

4,346

100.0%

4,730

100.0%

+8.8%

営業利益

338

7.8%

375

7.9%

+10.8%

経常利益

355

8.2%

380

8.0%

+6.9%

当期純利益

134

3.1%

255

5.4%

+89.6%

*単位:百万円。

 

増収増益予想
売上高は前期比8.8%増の47億30百万円、営業利益は同10.8%増の3億75百万円の予想。
収益性の高い通信キャリア向け定額制コンテンツの拡充、新たなコンテンツサービスの開発、主力事業であるキッティング支援の更なるサービスの深耕、新規事業の推進、コロナ禍における社会のDX化に対応した受託開発や業務支援サービスの拡大等により売上増を目指す。
また、収益性の高い事業の拡大により増益、利益率向上を図る。
配当は実質前期比0.50円/株増配の普通配当3.00円/株を予定している。予想配当性向は47.2%。

 

4-2 事業展開の考え方

「社会をより良い方向に変える企業」として脱炭素社会実現に貢献することを目指し、コロナ禍で社会が直面せざるを得なくなった新常態、変革をチャンスと捉え、DXに向け多くの商材を提供する。

 

そのために同社、連結子会社7社、非連結子会社1社の9社から成るグループにおける経営資源を有効に活用するとともに、グループシナジーの最大を目指して事業を推進していく考えだ。

 

また、社会貢献活動として、コロナ禍で調達困難となったマスク、手袋、防護服など各種医療物資について、同社が有する中国とのリレーションを活かし、2020年4月より調達支援を開始している。最低限の利益に抑えて、全国の自治体、医療機関、介護福祉施設等への支援を継続している。

 

 

5.今後の注目点

21年5月期は2ケタの増収増益で売上・利益ともほぼ予想通りの着地となった。22年5月も増収増益予想であり、売上高は3期連続、営業利益は4期連続の前期比増を見込んでいる。
両事業ともコロナ禍によって生まれたニーズに対し新たな製品・サービスを開発・提供し、個人、法人双方の顧客満足度を高めている。

 

一方、ここ数年の利益率の推移を見ると、営業利益率は上昇しているものの、当期純利益率は低位での推移となっている。
PER、PBRともに東証1部の平均を上回っているものの、トップラインの拡大とともに、2~3%で推移しているROEの改善も投資家・市場は期待しているところであろう。
両事業における収益性向上とともに、資産効率性上昇のための施策にも注目していきたい。

 

 

 

<参考:コーポレート・ガバナンスについて>

◎組織形態及び取締役、監査役の構成

組織形態 監査役設置会社
取締役 5名、うち社外2名
監査役 3名、うち社外2名

◎コーポレート・ガバナンス報告書(更新日:2021年7月27日)
基本的な考え方
当社グループは、経営目標の達成の為に取締役会が行う意思決定について、事業リスク回避または軽減を補完しつつ、監査役会による適法性の監視・取締役の不正な業務執行の抑止、また、会社の意思決定の迅速化と経営責任の明確化を実現する企業組織体制の確立により、株主利益の最大化を図ることがコーポレート・ガバナンスと考えております。

 

<実施しない主な原則とその理由>
<原則5-2:経営戦略や経営計画の策定・公表>
当社は中期経営計画を公表しておりませんが、毎期初において、当該期の目標額を開示しております。その目標額の策定にあたっては、資本コストを考慮した上で、事業ポートフォリオの見直しや、設備投資、研究開発投資、人材投資を含めた経営資源の配分について計画を策定しておりますが、目標達成に向けた具体的な施策については、決算短信や決算説明会の他、日常のIR活動を通じて株主に分かりやすく説明、伝えるよう努めてまいります。

 

<開示している主な原則>
<原則1-4:政策保有株式>
当社の政策保有株式の縮減に関する方針、保有の適否の検証及び議決権行使に関する基準は、以下の通りであります。
1.政策保有株式の縮減に関する方針
当社は、取引先との安定的な関係維持・強化が企業戦略上重要且つ当社の持続的な成長と企業価値向上に資すると判断した場合に限り、政策保有株式を限定的に保有する方針であります。その戦略上の判断は、適宜見直しを行い、意義が不十分であるか、又は資本政策に合致しない政策保有株式については縮減する方針でございます。
2.政策保有株式の保有の適否の検証
当社は、保有先企業の動向、取引の状況、当該保有株式の市場価額等の状況を踏まえて、当該企業との業務提携、取引の維持・発展等の保有目的の合理性を勘案し、当社の成長への必要性、一方では保有リスクも勘案し、資金活用の有効性の観点から、保有の適否について毎年検証を行っております。
3.政策保有株式の議決権行使に関する基準
政策保有株式に係る議決権行使は、その議案が当社の保有方針に適合するかどうかに加え、発行会社の企業価値の向上を期待できるかどうかなど、複合的に勘案して行います。
<原則5-1:株主との建設的な対話に関する方針>
当社では、「IR活動の基本姿勢と開示基準」、「情報開示の方法と情報の公平性」、「将来の見通しについて」、「IR自粛期間について」からなるIR基本方針を策定しており、当社ウェブサイトにて公表しております。
●IR基本方針

https://www.nihon-e.co.jp/ir/management/line.html

 

現在、当社ではこのIR基本方針に基づき、株主との建設的な対話という観点から、以下の取り組みを積極的に実施しております。
(1)当社では常務取締役管理本部長を内部情報管理責任者に指定し、経理部、総務部、人事・広報部等のIR活動に関連する部署を管掌し、日常的な部署間の連携を図っております。
(2)社内各部門の会社情報については、内部情報管理責任者が一元的に把握・管理し、的確な経営判断のもと、有機的な連携に努め、IRに関連する他部署との情報共有を密にすることで、連携強化を図るよう努めております。
(3)広報・IRグループにおいて、株主・投資家からの電話取材やスモールミーティング等のIR取材を積極的に受け付けると共に、アナリスト向けに決算説明会を開催し、社長又は常務取締役が説明を行っております。
(4)IR活動及びそのフィードバック並びに株主異動等の状況については、適宜取締役会へ報告を行い、取締役や監査役との情報共有を図っております。
(5)投資家と対話をする際は、当社の公表済みの情報を用いた企業価値向上に関する議論を対話のテーマとすることにより、インサイダー情報管理に留意しております。

 

株式会社インベストメントブリッジ
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