(8061)西華産業株式会社 営業プロジェクト具現化できるか

2021/07/15

 

 

 

櫻井 昭彦 社長

西華産業株式会社(8061)

 

 

企業情報

市場

東証1部

業種

卸売業

代表取締役社長

櫻井 昭彦

所在地

東京都千代田区丸の内3-3-1 新東京ビル

決算月

3月末日

HP

https://www.seika.com/

 

株式情報

株価

発行済株式数

時価総額

ROE(実)

売買単位

1,785円

12,820,650株

22,884百万円

10.0%

100株

DPS(予)

配当利回り(予)

EPS(予)

PER(予)

BPS(実)

PBR(実)

55.00円

3.1%

162.93円

11.0倍

2,365.06円

0.75倍

*株価は6/18終値。発行済株式数、DPS、EPSは21年3月期決算短信より。ROE、BPSは21年3月期実績。

 

業績推移

決算期

売上高

営業利益

経常利益

当期純利益

EPS

DPS

2018年3月(実)

165,585

2,598

2,877

1,655

128.38

55.00

2019年3月(実)

157,145

2,118

2,418

1,587

125.50

45.00

2020年3月(実)

140,677

2,809

3,122

-1,262

-100.73

45.00

2021年3月(実)

136,273

2,581

2,906

2,721

221.87

45.00

2022年3月(予)

88,500

2,850

3,100

1,950

162.93

55.00

*単位:百万円、円。2017年10月1日付で5:1の株式併合を実施。EPS、DPSは遡及して調整。当期純利益は親会社株主に帰属する当期純利益。
以下同様。

 

西華産業株式会社の2021年3月期の決算概要などをお伝えします。

 

目次

今回のポイント
1.会社概要
2.2021年3月期決算概要
3.2022年3月期業績予想
4.今後の注目点
5.中期経営計画「Re-SEIKS2023」の進捗状況
6.今後のエネルギー事業の取り組み
<参考:コーポレート・ガバナンスについて

 

今回のポイント

  • 2021年3月期の受注高は前年同期比17.1%増の1,418億40百万円。コロナ禍で、営業活動が制限される中、各事業ともWebミーティングを活用するなど、きめ細やかな営業活動を実施したことで受注増となった。売上高は同3.1%減の1,362億73百万円。電力事業やグローバル事業の貢献があったものの、化学・エネルギー事業が一般産業向け発電設備の投資先送りにより減収となった。営業利益は同8.1%減の25億81百万円。産業機械事業やグローバル事業の赤字幅縮小などの貢献があったものの、化学・エネルギー事業の減収に加え、追加費用の負担などによる減益が大きくカバーできなかった。当期純利益はタイ・プリント基板製造販売の事業撤退や株式譲渡により法人税等が減少したため同39億83百万円改善し27億21百万円と黒転した。

     

  • 2022年3月期の業績見通しについて、売上高は885億円、営業利益は前期比10.4%増の28億50百万円、当期純利益は同28.4%減の19億50百万円の予想。なお、売上高については今期から「収益認識に関する会計基準」を適用したことで代理人取引については総額ではなく手数料のみの計上となる。従来の売上高が新基準では取扱高となり、今期の取扱高は、コロナ蔓延下の下振れリスクを考慮したため同4.6%減の1,300億円。当期純利益は、前期の一過性要因が無くなるため減益。配当は前期より10円/株増配し55円/株を予定。予想配当性向は33.8%。

     

  • 新型コロナウイルス影響により、厳しい出足となった中期経営計画「Re-SEIKA 2023」。2022年3月期の業績見通しと中計最終年度目標に隔たりが大きい。各営業プロジェクト(再生可能エネルギー、ライフサイエンス、モビリティ)を具現化できるのかが注目される。電力および化学・エネルギー事業の収益維持や、産業機械事業の収益拡大に加え、比較的に堅調な関係会社の収益を伸ばしていくことが目標達成のカギとなろう。また、中長期的には脱炭素社会の実現に向け、同社の収益基盤であるエネルギー事業(電力および化学・エネルギー事業)において、水素発電の実現は同社にとって新たな収益源となる可能性もあるため、今後の動向が注目される。

     

     

1.会社概要

「社業の発展を通じ社会に貢献する。これをわが社の信条とする。」を企業理念に、機械総合商社として、電力、化学・エネルギー、産業機械分野の機械設備や機器等の販売およびサービスの提供を行っている。
現場密着の営業力、各事業における専門性の高さ、国内外103拠点に上る広範なネットワークの3つが特長および強み。

 

【1-1 沿革】

太平洋戦争終戦後の1947年7月、連合国最高司令官ダグラス・マッカーサーの覚書により旧三菱商事株式会社が解体を命ぜられると同時に、同年10月、初代社長中林恒治氏ら同社門司支店機械部門関係者が中核となり福岡県門司市(現・福岡県北九州市門司区)に西華産業株式会社を設立。
「商道の精華:商いの本質を極める。自分も儲けるが、相手にも便宜を与える。」、「西の花形:西日本の花形企業を目指す。」、「華:将来、対中国貿易が盛んになるときに役立つかもしれない。」の3つが社名の由来である。
東京、大阪を含む国内各地に支店を開設した後、1954年10月には当時日本人が数名しか在住していなかったドイツ(旧西ドイツ)・デュッセルドルフに海外事務所を開設するなど、積極的な事業展開を行い、1961年10月には東証1部に上場した。
その後も、西日本を中心とした営業基盤の強化と、米国、欧州、アジア各地への拠点展開により機械総合商社として発展してきた。
設立80周年にあたる2027年に向け、長期経営ビジョン「10年後の西華産業グループ像」および3カ年計画のセカンドステップとなる「中期経営計画Re-SEIKA 2023」を推進中である。

 

【1-2 企業理念等】

以下のような企業理念および行動規範を掲げている。

企業理念

「社業の発展を通じ社会に貢献する。これをわが社の信条とする。」

 

社会がどのように変化しようとも、あらゆるステークホルダーに報いる経営を行い、豊かな社会の実現に貢献する「価値のある企業」であり続けたいと考えております。

行動規範

1. 信用は、なにものにも代え難い財産である。

2. 常に存在意義を高く評価されるようにすることが、商社活動の基本である。

3. 迅速、適確な情報活動と効果的な対応は、すべてを制する。

4. 直観的思考に偏することなく、客観的考察と必然性、合理性の追及を行い諸事判断処置すべきものとする。

5. 開拓精神に燃え、あらゆる困難、障害、激動に挑戦し、これを克服することを誇りとすべきである。

 

また、西華産業グループとしての結束力やグループ経営を推進していくため、「グループポリシー」、「グループ行動規範」、「グループミッション」を定め、グループに属する各社および、そこで働く社員一人ひとりがこれらを共有し、 日々の行動に繋げ、グループ全体で企業価値の向上を目指している。

グループ

ポリシー

私たち西華産業グループは、お互いが連携し、高め合い、公明正大な企業活動を通じて持続可能な社会の発展に貢献します。

グループ

行動規範

一人ひとりが法令を遵守すると共に 社会から信頼されるよう倫理観を持って行動します。

グループ

ミッション

グループ全体で豊かな社会を実現します。

 

 

【1-3 事業内容】

(1)事業セグメント
機械総合商社として、電力、化学・エネルギー、産業機械分野の機械設備や機器、附帯製品の販売およびサービスの提供を行っている。
報告セグメントは、2021年3月期より「電力事業」「化学・エネルギー事業」「産業機械事業」「グローバル事業」の4セグメント。

 

 

①電力事業
関西電力、九州電力、中国電力、四国電力、電源開発の電力会社および、和歌山共同火力を含めた共同電力会社など、西日本地域の電力会社を顧客とし、ボイラー、ガスタービンなどの事業用発電設備、排水や排ガスを処理する環境保全設備の販売やアフターサービスを提供している。
また、原子力発電所向けにセキュリティ設備や消火設備などの防犯・防災設備などを販売している。
この他にも、小型水力、風力、バイオマス等の再生可能エネルギー向けの発電設備やアフターサービスを提供している。
仕入先は、三菱重工グループである三菱パワー株式会社などであり、西華産業は、三菱パワー株式会社の火力発電設備の販売代理権を有している。

 

 

 

(同社資料より)

 

②化学・エネルギー事業
石油精製、化学、製紙、鉄鋼等の事業会社向けにボイラー、タービンなどの自家用発電設備、排水や排ガスを処理する環境保全設備などの販売やアフターサービスを行っている。電力事業と同じく三菱パワー株式会社などから仕入れて販売している。
また、環境負荷低減商材やバイオマス発電向け設備および燃料の販売を行っている。

 

 

 

(同社資料より)

 

③産業機械事業
幅広い産業分野の顧客に対して、国内または海外メーカー製の繊維設備、食品加工設備、醸造設備、各種プラント設備、液晶関連設備、環境関連設備、無停電電源装置(UPS)、電子機器用プリント基板などを販売するほか、官公庁や研究機関向けに、レーザー計測機器や細孔径測定装置など先端技術を駆使した計測機器を納入。
また、中国におけるEV(電気自動車)向けリチウムイオン電池用関連設備やモーター製造設備などの販売も行っている。
子会社の日本ダイヤバルブ株式会社では、各種産業用バルブの製造・販売を行っている。

 

 

(同社資料より)

 

 

④グローバル事業
(欧州)
自動車分野として車載関係の顧客に産業用ロボットを販売しているほか、社会インフラ分野として公共工事などで使用される水中ポンプの販売およびレンタルも行っている。いずれも仕入先は日本メーカーが中心。
(北米)
自動車分野として主に自動車部品業界向けに日本メーカー製のエレクトロニクス基板実装関連機器を販売している。
(アジア)
産業機械分野として主に自動車、化学、繊維業界向けに日本メーカー製の機械設備を販売しているほか、繊維メーカーに対し繊維原材料を海外で調達し販売している。

 

 

 

(同社資料より)

 

(2)地域別売上高
国内売上が9割程度を占めるが、伸びしろの大きい海外市場の開拓、海外売上高比率の拡大が課題である。

 

2021年3月期地域別売上構成

 

海外売上高推移

 

 

【1-4 特長と強み】

(1)現場に近い営業力
70年超の歴史の中で培われてきた現場に近い営業力が同社最大の強み。
きめ細かい対応で、人脈を形成し、信頼関係を構築することが安定的な受注獲得に繋がっている。

 

(2)各事業における専門性の高さ
同社は豊富な情報収集力と、顧客の先を行く提案力など、高度な専門性を有する必要不可欠なビジネスパートナーと評価されている。

 

(3)国内外103拠点に上る広範なネットワーク
10年前には30拠点程度であったが、M&Aを通じて国内拠点の拡充に加え、グローバル化を見据えヨーロッパおよび東南アジアを中心に急速に拠点を拡大させてきた。情報のスピード、網羅性はさらに高まっており、有効に活用することで存在価値を更に高めていきたいと考えている。

 

(4)社員教育・営業力強化施策
社員の育成・強化はOJTが中心で、先輩社員や上司がビジネスに必要な基本動作を重点的に教育しており、また、各種階層別研修や海外研修制度にも力を入れている。
加えて、最近はメーカーや顧客のOBにコンサルティングおよび営業現場の支援を依頼している。
各種アドバイスは同社の専門性を更に高め、更なる営業力強化に繋がっている。

 

【1-5 ROE分析】

 

16/3期

17/3期

18/3期

19/3期

20/3期

21/3期

ROE(%)

6.6

7.9

5.9

5.6

-4.7

10.0

 売上高当期純利益率(%)

1.38

1.42

1.00

1.01

-0.90

2.00

 総資産回転率(回)

1.52

1.45

1.53

1.71

1.58

1.40

 レバレッジ(倍)

3.13

3.82

3.83

3.42

3.32

3.67

 

2021年3月期ROEはプラスの回復。2022年3月期を会計処理の変更前の従来ベースでみると売上高当期純利益率は1.5%と悪化するが、レバレッジは比較的高水準であるため、利益率の向上を期待したい。
中計経営計画「Re-SEIKA 2023」における2023年3月期の当期純利益目標25億円を達成するとROEは8%以上となる。

 

【1-6 ESGへの取り組み】

<E:環境>
環境方針として「地球環境の保護に努め、持続可能な社会の実現に貢献する」という基本理念を掲げている。その一環として、2005年にISO14001を取得しており、環境配慮型商品の拡販に努めている。
同社が取り扱う環境配慮型商品は、ボイラーおよび焼却炉用排ガス処理設備や、化学・半導体工場向け有機溶剤回収装置など多岐に亘り、下記のように2021年3月期の受注実績は12,473件(前期比7.5%減)、886億円(同6.5%減)。
引き続き、単なる社会貢献という観点のみでなく事業活動を通じて地球環境の保全に寄与する考えだ。

 

(同社資料より)

 

<S:社会責任>
「社会責任」として、以下のような働き方改革に取り組んでいる。

 

「女性の活躍推進」
● 女性総合職採用の強化
● 女性社員のキャリア形成支援
● 女性管理職の登用

 

「従業員の健康促進」
● プレミアムフライデー制度(カジュアルデー同時実施)の導入
● 有給休暇の取得推進
● 健康診断におけるがん検診(腫瘍マーカーオプション)費用の会社負担
● インフルエンザ予防接種費用の会社負担

 

「人材育成」
● 各種階層別研修
● 海外研修派遣制度

 

「コロナ禍の取り組み」
● 在宅勤務の推奨
● 社員への持ち出し用PC支給
● ペーパーレス化等

 

<G:ガバナンス>
コーポレートガバナンス・コード全項目に対する取り組みをホームページで開示している。
2021年3月期の「取締役会の実効性評価」は外部機関による第三者評価を行うと共に、コーポレートガバナンス・コードに対応し、任意の仕組みとして社外取締役および社外監査役で構成される「指名審査委員会」「報酬審査委員会」を取締役会のもとに設置した。
なお、2021年6月改訂前のコーポレートガバナンス・コードは、全て遵守している。
また、招集通知の一部英訳や、決算説明会資料やファクトブック作成による英語での情報提供に取り組むと共に、議決権電子行使プラットフォームを新たに導入した。
持続的な成長と中長期的な企業価値向上のために引き続きコーポレート・ガバナンスの充実を図ると共に、健全で透明性の高い経営体制を追求する。

 

【1-7 株主還元】

株主に対する利益還元を経営の最重要課題の一つとしており、安定的な配当を基本方針としている。
営業・財務両面の効率的な業務運営により、経営基盤の強化を図るとともに、新しい事業の開発等の資金需要に対応しながら、連結配当性向35%を目途としている。
2022年3月期は、中間25円、期末30円の合計55円/株を予定しており、予想配当性向は33.8%。
配当方針および通期の業績等を総合的に勘案して積極的に株主還元に取り組む。

 

 

2.2021年3月期決算概要

(1)連結業績概要

 

20/3期

構成比

21/3期

構成比

前年同期比

21/3期(予)

計画比

売上高

140,677

100.0%

136,273

100.0%

-3.1

135,000

+0.9%

売上総利益

14,906

10.6%

14,672

10.8%

-1.6%

販管費

12,096

8.6%

12,091

8.9%

-0.0%

営業利益

2,809

2.0%

2,581

1.9%

-8.1%

2,400

+7.5%

経常利益

3,122

2.2%

2,906

2.1%

-6.9%

2,700

+7.6%

当期純利益

₋1,262

2,721

2.0%

-%

1,650

+64.9%

*単位:百万円。当期純利益は親会社株主に帰属する当期純利益。

 

減収黒転
2021年3月期の受注高は前年同期比17.1%増の1,418億40百万円。コロナ禍で、営業活動が制限される中、各事業ともWebミーティングを活用するなど、きめ細やかな営業活動を実施したことで受注増となった。売上高は同3.1%減の1,362億73百万円。電力事業やグローバル事業の貢献があったものの、化学・エネルギー事業が一般産業向け発電設備の投資先送りにより減収となった。営業利益は同8.1%減の25億81百万円。産業機械事業やグローバル事業の赤字幅縮小などの貢献があったものの、化学・エネルギー事業の減収に加え、追加費用の負担などによる減益が大きくカバーできなかった。当期純利益はタイ・プリント基板製造販売の事業撤退や株式譲渡により法人税等が減少したため同39億83百万円改善し27億21百万円と黒転した

 

(2)セグメント別概要

2021年3月期よりセグメントの変更を行っている。
従来のセグメント区分の電力事業、化学・エネルギー事業、産業機械事業、素材・計測事業、グローバル事業の5セグメントから、産業機械事業と素材・計測事業を統合し、新たに産業機械事業とした。

 

この結果、2021年3月期よりセグメントは電力事業、化学・エネルギー事業、産業機械事業、グローバル事業の4セグメントになったため、セグメント別概況について、2020年3月期の実績は新セグメントに換算している。
また、セグメント利益の合計額と差異調整項目であった「全社費用、のれんの償却額」を各セグメントに合理的な基準に従って配分し、セグメント利益の算出方法の変更を行っている。

 

◎売上・利益

 

20/3期

構成比

21/3期

構成比

前期比

売上高

 

 

 

 

 

電力事業

39,965

28.4%

52,494

38.5%

+31.3%

化学・エネルギー事業

42,970

30.5%

28,494

20.9%

-33.7%

産業機械事業

46,312

32.9%

43,677

32.1%

-5.7%

グローバル事業

11,428

8.1%

11,608

8.5%

+1.6%

売上高計

140,677

100.0%

136,273

100.0%

-3.1%

セグメント利益

 

 

 

 

 

電力事業

1,416

3.5%

1,325

2.5%

-6.4%

化学・エネルギー事業

525

1.2%

84

0.3%

-84.0%

産業機械事業

1,033

2.2%

1,179

2.7%

+14.1%

グローバル事業

-207

-7

セグメント利益計

2,767

2.0%

2,581

1.9%

-6.7%

*単位:百万円。外部顧客への売上高。利益の構成比は売上高利益率。

 

①電力事業
増収・減益。
社会インフラの維持を背景に発電設備更新工事等の大口案件の売上が増加したことで売上高が増加。営業利益は原子力発電所向け新規制基準に基づく安全対策工事等の案件は増加したものの、火力発電設備の中・小口案件が減少したことにより減益。

 

②化学・エネルギー事業
減収・大幅減益。
化学・鉄鋼など一般産業向け発電設備の投資先送りにより売上高が減少。減収に加え、一部取引における追加工事の費用負担が生じたこと等により、大幅減益。

 

③産業機械事業
減収・増益。
プラント、食品、繊維向け機械設備の売上が増加したものの、中国向けリチウムイオン電池用関連設備の売上減少が響き売上高が減少。営業利益は半導体製造会社向け配電設備工事の大口売上に加えて、日本ダイヤバルブ株式会社の堅調な業績と西華デジタルイメージの業績改善が寄与し増益。

 

④グローバル事業
増収・赤字縮小
Tsurumi (Europe) GmbH 等の欧米および東南アジア子会社の売上が堅調に推移したため売上高が増加。営業損益は、タイのSeika YKC Circuit (Thailand) Co., Ltd.など一部海外子会社の業績不振があったものの、欧米子会社の業績が堅調に推移したため、赤字幅が縮小。

 

(3)財務状態とキャッシュ・フロー

◎主要BS

 

20年3月末

21年3月末

 

20年3月末

21年3月末

流動資産

79,417

81,371

流動負債

62,141

64,536

現預金

15,062

15,763

仕入債務

32,883

32,730

売上債権

38,693

36,159

短期有利子負債

7,026

7,565

棚卸資産

5,540

7,636

前受金

19,103

21,913

前渡金

18,823

20,639

固定負債

4,616

3,032

固定資産

13,251

16,087

長期有利子負債

1,963

53

有形固定資産

2,473

2,816

負債合計

66,757

67,568

無形固定資産

467

834

純資産

25,911

29,889

投資その他の資産

10,310

12,436

利益剰余金

15,738

17,907

資産合計

92,668

97,458

負債純資産計

92,668

97,458

*単位:百万円。有利子負債にはリース債務を含まない。

 

売上債権の減少したものの、前渡金や投資その他の資産増加したため、資産合計は前期末に比べ47億89百万円増加し974億58百万円となった。前受金の増加から、負債合計は同8億11百万円増加し675億68百万円となった。
利益剰余金の増加などで純資産は同39億78百万円増加し298億89百万円。
自己資本比率は前期末比2.6%ポイント改善し29.8%。

 

◎キャッシュ・フロー

 

20/3期

21/3期

増減

営業CF

3,400

4,137

+737

投資CF

-299

₋1,566

₋1,267

フリーCF

3,101

2,571

-530

財務CF

₋1,211

₋1,903

-692

現金同等物

13,346

14,035

+689

単位:百万円

 

税前利益が大幅増益なったものの、フリーCFは投資CFがマイナスだったことから悪化。有利子負債の削減があったものの財務CFも悪化。キャッシュポジションは悪化した。

 

3.2022年3月期業績予想

◎連結業績予想

 

21/3月期

構成比

22/3月期(予)

構成比

前期比

売上高

136,273

100.0%

88,500

100.0%

営業利益

2,581

1.9%

2,850

3.2%

+10.4%

経常利益

2,906

2.1%

3,100

3.5%

+6.6%

当期純利益

2,721

2.0%

1,950

2.2%

-28.4%

*単位: 百万円。予想は会社側発表。

 

会計基準変更
2022年3月期の業績見通しについて、売上高は885億円、営業利益は前期比10.4%増の28億50百万円、当期純利益は同28.4%減の19億50百万円の予想。なお、売上高については「収益認識に関する会計基準」を今期より適用したことで代理人取引については総額ではなく手数料のみの計上となる。従来の売上高が新基準では取扱高となり、今期の取扱高は、コロナ蔓延下の下振れリスクを考慮したため同4.6%減の1,300億円。当期純利益は、前期の一過性要因が無くなるため減益。配当は前期より10円/株増配し55円/株を予定。予想配当性向は33.8%。

 

4.今後の注目点

新型コロナウイルス影響により、厳しい出足となった中期経営計画「Re-SEIKA 2023」。2022年3月期の業績見通しと中計最終年度目標に隔たりが大きい。各営業プロジェクト(再生可能エネルギー、ライフサイエンス、モビリティ)を具現化できるのかが注目される。電力および化学・エネルギー事業の収益維持や、産業機械事業の収益拡大に加え、比較的に堅調な関係会社の収益を伸ばしていくことが目標達成のカギとなろう。また、中長期的には脱炭素社会の実現に向け、同社の収益基盤であるエネルギー事業(電力および化学・エネルギー事業)において、水素発電の実現は同社にとって新たな収益源となる可能性もあるため、今後の動向が注目される。

 

5.中期経営計画「Re-SEIKS2023」の進捗状況

2023年3月期を最終年度とする中期経営計画では連結の営業利益が37億円、当期純利益が25億円である。しかし、2021年3月期の実績では営業利益25億円81百万円、当期純利益27億21百万円。また、2022年3月期の業績見通しでも営業利益28億円5百万円、当期純利益19億50百万円と、中計の最終年度と比較すると大きなギャップがある。しかし、関係会社を含めた化学・エネルギー事業の収益改善に加え、産業業機械事業および比較的堅調な海外子会社の収益拡大が期待できる。

 

6.今後のエネルギー事業の取り組み

脱炭素社会の実現に向けて、同社の安定収益基盤であるエネルギー事業(電力および化学・エネルギー事業)を成長収益事業へと成長させる。気候変動への高まりから石炭火力への風当たりが強まり、先行き不透明な状況にある。一方、同社は創業以来電力の安定供給に貢献してきた経緯がある。今後もブラックアウトのない社会を維持していくという使命がある。このため、IoTやAIを駆使したエネルギークラウドの利用や、アンモニア・水素混焼発電など社会的課題と経済的なリターンを両立させる実現性の高い様々な提案を行っていく。併せてバイオマスや水力発電など再生可能エネルギーへの取り組みを加速させ事業収益の維持に努めていく。さらに脱炭素に貢献する水素発電の貢献には課題が山積しているが、同社も「水素バリューチェーン協議会」に加入するなど、課題解決に向け積極的に取り組んでいる。
水素発電ができた際には大きな収益期待できる新たな発電ビジネスが期待できる。

 

同社は現在、エネルギー事業を安定収入事業として位置づけしているが、実現すれば成長収益事業に変貌すると考えている。

 

<参考:コーポレート・ガバナンスについて>

◎組織形態、取締役、監査役の構成

組織形態

監査役会設置会社

取締役

8名、うち社外3名

監査役

4名、うち社外2名

 

2020年6月開催の定時株主総会にて独立社外取締役が1名増(総勢3名)となり、取締役の3分の1以上を確保。ガバナンスの強化を図っている。

 

◎コーポレート・ガバナンス報告書
最終更新日:2021年6月25日

 

<基本的な考え方>
当社は「社業の発展を通じ社会に貢献する。」を企業理念に掲げ、あらゆるステークホルダーと良好な関係を築きながら、中長期的な企業価値の向上に取り組んでおります。こうした取り組みを実行していくため「経営の健全性と透明性」「迅速な意思決定と実行」が必要不可欠であると考え、コーポレート・ガバナンスの強化に努めております。
なお、当社は独立社外取締役および独立社外監査役による経営の監督体制の強化を図っております。

 

 

<コーポレートガバナンス・コードの各原則に基づく開示>

原則

開示内容

【原則1-4 政策保有株式】

「政策保有株式に関する方針」

当社は、取引先との取引内容や取引の規模・期間等を鑑みて、取引関係の維持・強化のために必要と判断する企業の株式を保有しております。

当社は、保有の意義が希薄と考えられる政策保有株式については、できる限り速やかに処分・縮減していくことを基本方針とし、毎年、取締役会で個別の政策保有株式について、保有目的が適切か、保有に伴う便益やリスクが資本コストに見合っているかを精査し、検証の結果を有価証券報告書に開示しております。

なお、当社では、2021年3月期に一部保有株式を売却致しました。

 

「政策保有株式に係る議決権行使に関する方針」

当社が保有する株式の議決権の行使については、当該企業の経営方針を尊重した上で、当社の中長期的な企業価値向上に資するものであるかを議案毎に確認し、総合的に判断致します。

 

【原則5-1 株主との建設的な対話に関する方針】

当社は、株主、機関投資家との積極的な対話を通じ、中長期的な企業価値の向上を図るため、年二回の決算説明会において社長自ら決算状況や中期経営計画の進捗状況を説明している他、株主総会においては、質疑応答時間を十分に設け、株主からの質問に対して丁寧な対応に努めております。

また当社は、個人株主からの対話(面談)の申込みに対しては総務・人事部が、機関投資家等の法人株主に対しては企画部が対応しております。

 

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