(4477)BASE株式会社 コロナ禍で売上倍増黒字転換

2021/03/04

 

鶴岡 裕太 CEO

BASE株式会社(4477)

 

 

企業情報

市場

東証マザーズ

業種

情報・通信

代表者

鶴岡 裕太

所在地

東京都港区六本木三丁目2番1号 住友不動産六本木グランドタワー 37F

決算月

12月

HP

https://binc.jp/

 

株式情報

株価

発行済株式数

時価総額

ROE(実)

売買単位

13,030円

21,939,400株

285,870百万円

6.0%

100株

DPS(予)

配当利回り(予)

EPS(予)

PER(予)

BPS(実)

PBR(実)

0.00

-13.10円

739.22円

17.6倍

*株価は2/18終値。各数値は20年12月期決算短信より。EPS(予)はレンジの下限。

 

連結業績推移

決算期

売上高

営業利益

経常利益

当期純利益

EPS

DPS

2017年12月

1,147

-1,261

-1,268

-175.82

0.00

2018年12月

2,352

-791

-798

-854

-118.45

0.00

2019年12月

3,849

-441

-455

-459

-38.73

0.00

2020年12月

8,288

803

747

584

28.18

0.00

2021年12月(予)

9,750~10,536

-1,433-929

-1,433-929

-1,437-933

-13.10-8.51

0.00

* 予想は会社予想。単位:百万円、円。2016年12月期、2017年12月期は非連結。当期純利益は親会社株主に帰属する当期純利益。
2021年12月期のEPSは、2021年4月1日を効力発生日として実施する1:5の株式分割をを考慮している。

 

BASE(株)の2020年12月期決算概要と21年12月期業績見通しについてご報告致します。

目次

今回のポイント
1.会社概要
2.2020年12月期決算概要
3.2021年12月期業績予想
4.中期の経営方針
5.今後の注目点
<参考:コーポレート・ガバナンスについて>

 

今回のポイント

  • Eコマースプラットフォーム「BASE」の運営を中心に、ネットショップ向け決済サービス「PAY.JP」及び購入者向けID決済サービス「PAY ID」等のサービスを手掛ける。「BASE」は、誰でも簡単にデザイン性の高いネットショップを無料で作ることができるネットショップ作成サービスと、開設された店舗の商品を購入できるショッピングアプリ「BASE」等を提供するEコマースプラットフォーム。開設したネットショップは、商品管理から決済、発送、お金の管理まで必要な機能を無料で使うことができ、700万ユーザーが利用するスマートフォンアプリ「BASE」から送客される。

     

  • 20年12期の連結売上高は前期比115.3%増の82億88百万円。新型コロナウイルス感染拡大を防止するため実施された外出自粛、休業要請により、EC市場の需要が高まり、新規ショップ開設数及びGMVが大幅に増加した。営業利益は前期の4億41百万円の損失から8億3百万円の利益に転換。プロモーションへの先行投資で販管費も前期比56.7%と増加したが、BASE事業の流通総額(GMV)増加により売上総利益が同123.8%と大幅に伸び吸収した。売上、利益ともに業績予想の上限を上回った。

     

  • 21年12期もレンジ方式による業績予想を発表。増収も、BASE事業を中心に中長期の利益成長を目指した先行投資を継続するため営業利益以下損失を見込んでいる。ただ、規律を持った先行投資とし、プロモーション費用を除いた営業損益は黒字を確保する。

     

  • 20年12月期は売上倍増、黒字転換と、極めて華々しい決算となったが、同社はこのトレンドが今期以降も続くとは見ていない。もちろん、相次いでリリースしている新機能によりプロダクトの価値は引き続き向上しており、またTVCMなど積極的なプロモーションは確実に認知度向上に結び付き、同社の事業基盤はさらに強固なものとなっている。

     

  • そうした中でも、短期的な高成長を目指して中規模、大規模の加盟店を対象に営業するのではなく、あくまでも同社がメインマーケットと位置付けるロングテールマーケットを、時間をかけてしっかりと育てていくことが、持続的成長につながると考えている。ミッションである「Payment to the People, Power to the People.」の下、SBM(Small and Medium Business)やスタートアップ等の事業者を支援し続ける姿勢は、近年注目度が増している企業の社会的存在意義(purpose)の視点からも、大いに評価されることとなろう。

     

1.会社概要

ミッションとして「Payment to the People, Power to the People.」を掲げ、SBM(Small and Medium Business)やスタートアップ等の事業者向け「Eコマースプラットフォーム」及び「オンライン決済サービス」の提供と、購入者向けID決済サービス「PAY ID」の提供を行っている。事業セグメントは、BASE事業、PAY事業、その他事業に分かれ、同社がEコマースプラットフォーム「BASE」を提供するBASE事業を、連結子会社PAY(株)がクレジットカード決済によるオンライン決済サービス「PAY.JP」及びID決済サービス「PAY ID」を提供するPAY事業を、それぞれ手掛けている。この他事業には、連結子会社BASE BANK(株)が「BASE」を利用するショップオーナーに対して事業資金を提供する資金調達サービス「YELL BANK」等が含まれている。
尚、ミッションである「Payment to the People, Power to the People.」には、ペイメントを人々に提供し、その結果、人々が強くなり、自由に生きて行けるような世の中を作りたい、という思いが込められている。

 

 

【行動指針】

Be Hopeful
楽観的でいること。期待した未来は実現すると信じて、勇気ある選択をしよう。
Move Fast
速く動くこと。多くの挑戦から多くを学ぶために、まずはやってみよう。
Speak Openly
率直に話すこと。より良い結論を得るために、その場で意思を伝えよう。

 

1-1 事業内容

報告セグメントは「BASE事業」「PAY事業」「その他事業」の3セグメント

 

BASE事業
専門知識がなくても簡単にデザイン性の高いネットショップを無料で作ることができるネットショップ作成サービスと開設された店舗の商品を購入できるショッピングアプリ等を提供するEコマースプラットフォーム「BASE」を展開している。初期費用・月額費用無料で豊富なテンプレートや決済システム(「BASEかんたん決済」)を使うことができ、手軽にネットショップを開設することができる(このため、「BASE」にあるショップは全て、URL、ドメイン、店舗デザインが異なる)。決済は「BASEかんたん決済」の利用が義務付けられており、決済手数料がBASE事業の収益となる。
多様な拡張機能も「BASE」の特徴である。BASEは、初めてネットショップを開設するユーザーをターゲットとしているが、拡張機能を使うことで事業規模が大きくなっても使い続けることができる。例えば、最初の管理画面はシンプルだが、「BASE」のAppsという拡張機能の中から、ショップに合った機能をインストールすることでショップに合った管理画面に進化していくため、事業規模が拡大しても「BASE」の管理画面を快適に使うことができる。
ユーザーに提供できる付加価値が高いことが、テイクレート(ECサイト上での取引金額のうち運営企業の取り分の割合)の高さおよび流通取引総額(GMV)の増大に結び付いている。

 

PAY事業
Webサービスやネットショップにクレジットカード決済を簡単に導入できるオンライン決済サービス「PAY.JP」と、ショップでの購入者向け ID決済サービス「PAY ID」を提供している。「PAY.JP」はシステム(ペイメント)を提供し、「BASE」と同じく決済手数料を受け取っているが、エンジニアが在籍し自社サイトの構築等を自社で可能な企業に決済だけを提供するサービスである。提供しているAPIを使うことで簡単に自社サイトに決済機能を導入できる。
一方、「PAY ID」は購入者向けサービスである。クレジットカード情報等のユーザー情報を登録しIDを取得することで、購入の都度クレジットカード番号や届け先情報を入力する必要がなく、IDでログインするだけでスムーズにオンライン決済を行うことができる(アプリを立ち上げて専用のQRコード「PAY Code」を読み取る)。また、アプリの販売リンク機能を使えば、支払いだけでなく、スマホだけで物販を行うことも可能。

 

その他事業
「BASE」を利用するネットショップ運営者等に対して事業資金を提供するサービス「YELL BANK」等を提供している。「YELL BANK」は、「BASE」のショップオーナーが、リスクが無く即時に資金調達できる金融サービスである。ショップの将来の売上金額を予測して「YELL BANK」がショップオーナーから将来の売掛債権を買い取る。買い取った金額は即時にショップオーナーに支払われるため、ショップオーナーは将来の売上を利用して資金を調達できる。

(同社資料より)

 

1-2 決済の仕組み

決済代行会社から同社グループへの入金は、同社グループからBASEショップ及びPAY JAY加盟店への支払前もしくは同時に行われるケースが大半。基本的に加盟店への支払いよりも決済会社からの入金の方が早いため、急激にGMVが増えた場合でも資金的な問題が発生することはない。

 

BASE事業
購入者がBASEショップで商品を注文すると、決済代行会社を通じて同社に入金される。同社は手数料を控除し、決済代金をBASEショップへ支払う。決済代行会社から同社への入金サイクルは、決済方法によって異なるが、概ね購入者が注文後、即日から1ヶ月程度。一方、同社からショップへの支払いは、通常、ショップが商品発送後、10営業日以降の任意のタイミングで、ショップの支払依頼に基づき行われる。

 

PAY事業
購入者がPAY.JP加盟店で商品・サービスを注文・決済すると、決済代行会社を通じて同社に入金される。同社は手数料を控除し、決済代金をPAY.JP加盟店に支払う。決済代行会社から同社への入金は、決済後、半月程度。一方、同社からショップへの支払いは、加盟店の導入プランにより異なるが、決済後、半月もしくは1ヶ月のタイミングで行われる。

 

1-3 BASEの特徴

BASEの特徴として、「初期費用・月額費用が無料」、「BASEかんたん決済」、「デザイン性」、及び「BASE Apps」を挙げることができ、この他、リアル店舗出店スペース及び出品型ポップアップスペースとして、「BASE」の出店ショップに対し、百貨店等、リアルの場で商品を販売する機会も提供している。

 

初期費用・月額費用が無料
ネットショップの初期導入費用及び月額運営費用を無料としており、ネットショップの作成から運営まで無料でできるため手軽にネットショップを始めることができる。

 

BASEかんたん決済
同社独自の決済システムであり、クレジットカード決済、コンビニ決済・Pay easy決済、銀行振込決済、後払い決済、キャリア決済、PayPal決済の6つの決済方法を、最短で翌営業日に「BASE」により開設したネットショップに導入できる。一般にネットショップを始める際には、ネットショップの開設の他に決済機能の導入も併せて行う必要あり、ショップオーナーは、決済会社との契約や銀行口座の用意等、ネットショップの運営開始までの間に煩雑な手続きを行わなければならない。「BASE」を用いてネットショップを開設したショップオーナーは、煩雑な手続きを行うことなく、「BASEかんたん決済」の利用申請を行うだけで決済機能を導入することができる。決済手数料は、決済方法にかかわらず、取引金額に対して3.6%+40円、及びサービス利用料として取引金額の3.0%。「BASEかんたん決済」は取引の安全性を確保するため、同社が仲介するエスクロー決済となっている。

 

デザイン性
ファッション、フード、雑貨等、様々なカテゴリに対応できる豊富なテンプレートを用意しており、表現したいネットショップのデザインをすぐに表現することができる。

 

多彩な拡張機能「BASE Apps」
「BASE」をより便利に利用するためのプラグインプラットフォーム(拡張機能)「BASE Apps」が用意されており、目的や必要に応じて使いたい機能だけをインストールしてネットショップに追加できる。「BASE」では、初めてネットショップを作成するユーザーでも視覚的にスムーズに操作できるようにシンプルな機能がベースになっているが、「BASE Apps」を利用することでショップコンセプトに合わせたカスタマイズが可能。主な拡張機能は次の通り。

 

機能名称

内容

区分

 

 

 

BASEロゴ非表示

BASEのロゴを非表示にすることが可能。

有料

HTML編集

BASEが用意している11種類のテンプレートに縛られず、HTML・CSS・JavaScript等を編集し、オリジナルのネットショップをデザインすることが可能。

無料

独自ドメイン

ショップのURLをオリジナルのURLに変更することが可能。

無料

Instagram販売

BASEの商品とInstagramを連携することで、Instagramの投稿に商品をタグ付けして、BASEの商品販売ページに直接リンクさせることが可能。

無料

 

 

 

定期便

指定した販売サイクルと継続回数で商品を定期販売することが可能。

無料

予約販売

入庫前の商品を先行販売し、予約注文を受けることが可能。

無料

かんたん発送

伝票作成不要で簡単に商品発送が可能。(ヤマト運輸との連携)

無料

 

2.2020年12月期決算概要

2-1 連結業績

 

19/12期 

構成比

20/12期 

構成比

前期比

予想値1(上限)

予想値2(上限)

売上高

3,849

100.0%

8,288

100.0%

+115.3%

5,546

8,100

売上総利益

2,231

58.0%

4,992

60.2%

+123.8%

販管費

2,672

69.4%

4,189

50.5%

+56.7%

営業利益

-441

803

9.7%

55

500

経常利益

-455

747

9.0%

55

500

当期純利益

-459

584

7.1%

15

394

* 単位:百万円。予想1は期初予想(20年2月)、予想2は20年8月発表の修正予想。

 

増収、黒字転換。予想も上回る。
売上高は前期比115.3%増の82億88百万円。新型コロナウイルス感染拡大を防止するため実施された外出自粛、休業要請により、EC市場の需要が高まり、新規ショップ開設数及びGMVが大幅に増加した。
営業利益は前期4億41百万円の損失から8億3百万円の利益に転換。プロモーションへの先行投資で販管費も前期比56.7%と増加したが、BASE事業のGMV増加により売上総利益が同123.8%と大幅に伸び吸収した。
売上、利益ともに業績予想の上限を上回った。

 

2-2 セグメント別動向

◎売上・利益

 

19/12期 

構成比・利益率

20/12期 

構成比・利益率

前期比

BASE事業

3,198

83.1%

7,321

88.3%

+128.9%

PAY事業

644

16.7%

939

11.3%

+45.9%

その他

7

0.2%

27

0.3%

+286.5%

連結売上高

3,849

100.0%

8,288

100.0%

+115.3%

BASE事業

-117

1,112

15.2%

PAY事業

-127

-92

その他

-54

-45

調整額

-142

-170

連結営業利益

-441

803

9.7%

* 単位:百万円

 

◎BASE事業
増収、黒字転換。
COVID-19の感染拡大を機とした、ネットショップ開設への需要の増加及び消費者のEC移行により、GMVは前期比121.8%増と大幅に伸長した。
新規ショップの開設により2020年のGMVが増加したことに加え、既存ショップの継続利用により2019年以前のGMVも引き続き高い水準で推移している。
また、月間売店数が引き続き大きく成長したことに加え、1ショップあたり月間平均GMVも拡大している。

 

(主な取り組み)
*継続的な事業成長のため、サービス認知度の向上と新規ショップ開設の促進を目的にTVCMやWebマーケティング等積極的にプロモーションを行い、2020年12月にはネットショップ開設数が130万ショップを突破した。
*コーディングの知識がなくても簡単にショップ編集ができる「ショップデザイン機能」や、Instagramとの連携強化、複数のネットショップを一元管理する「ネクストエンジンApp」等、引き続きショップ運営をより簡単に、効率的にする機能やサービスの拡充に努めた。
*都内2店舗目となる常設店舗「BASE Lab.」をラフォーレ原宿にオープンした。全てのBASE加盟店が初期費用・固定費用無料で実店舗出店が可能。商品が売れたときにのみ売上の15%を販売手数料として支払う仕組みで、インターネット上では出会えなかった新たな顧客との出会いの機会を創出する。
*インフルエンサーマーケティング事業を手掛けるDirect Tech社、青森銀行など様々な企業との連携により、幅広いユーザーのビジネス販路の構築を支援する。
*クリエイター向けメディアプラットフォームを運営するnote社と資本業務提携を締結した。「BASE」ショップオーナーが管理画面からnoteに記事を投稿できる機能を設置し、ブランドの世界観をより効果的に発信できる手段を提供することで、ショップのファン形成・集客・販路の拡大に貢献する。

 

◎PAY事業
増収、損失幅縮小。
稼働加盟店数及び加盟店単価の増加や、G o Toキャンペーンの大型案件もあり、GMVは前期比50.8%増。

◎その他事業
増収、損失幅縮小。
2018年12月のサービス提供開始以降、利用者数は堅調に推移している。

 

2-4 財政状態及びキャッシュ・フロー(CF)

◎財政状態

 

19年12月

20年12月

 

19年12月

20年12月

流動資産

10,064

27,693

流動負債

7,244

12,224

現預金

7,195

22,271

営業未払金

3,918

8,989

未収金

2,804

4,971

営業預り金

3,002

2,589

固定資産

393

811

固定負債

56

63

有形固定資産

122

120

負債合計

7,300

12,287

無形固定資産

2

3

純資産

3,158

16,217

投資その他の資産

269

688

負債・純資産合計

10,458

28,505

資産合計

10,458

28,505

 

 

 

* 単位:百万円

 

海外募集による新株発行などにより現預金が大幅に増加したことに加え、売上増加に伴い未収金も増加。総資産は前期末比180億円増の285億円。営業未払金の増加などで負債合計は同49億円増加。上記新株発行で資本金・資本剰余金が増加。黒字転換により利益剰余金も増加し、純資産は同130億円増加し162億円。
自己資本比率は前期末より26.7ポイント上昇し56.9%となった。

 

◎キャッシュ・フロー(CF)

 

19/12期 

20/12期 

増減

営業キャッシュ・フロー

870

3,128

+2,258

投資キャッシュ・フロー

-51

-471

-420

フリー・キャッシュ・フロー

818

2,656

+1,838

財務キャッシュ・フロー

1,879

12,419

+10,539

現金及び現金同等物期末残高

7,195

22,271

+15,076

* 単位:百万円

 

税金等調整前当期純損失から利益への転換、営業未払金の増加などで営業CF及びフリーCFのプラス幅が拡大。
キャッシュポジションは大きく上昇した。

3.2021年12月期業績予想

3-1 通期連結業績

 

20/12期 

構成比

21/12期(予) 

構成比

前期比

売上高

8,288

100.0%

9,750~10,536

100.0%

+17.6%~+27.1%

売上総利益

4,992

60.2%

5,614~6,118

57.6%~58.1%

+12.5%~+22.6%

販管費

4,189

50.5%

7,047

72.3%~66.9%

+68.2%

営業利益

803

9.7%

-1,433~-929

経常利益

747

9.0%

-1,433-929

当期純利益

584

7.1%

-1,437-933

 

中長期成長のための先行投資を継続
今期もレンジ方式による業績予想を発表。増収も、BASE事業を中心に中長期の利益成長を目指した先行投資を継続するため営業利益以下損失を見込んでいる。
ただ、規律を持った先行投資とし、プロモーション費用を除いた営業損益は黒字を確保する。

 

3-2 セグメント別見通し

(1)BASE事業

 

20/12期 

21/12期(予)

前期比

GMV(注文)

95,296

115,000~125,000

+20.7%~+31.2%

GMV(決済)

87,717

103,500~112,500

+18.0%~+28.3%

売上高

7,321

8,350~9,100

+14.1%~24.3%

テイクレート

8.3%

8.1%

売上総利益

4,872

5,450~5,950

+11.9%~+22.1%

GMV(決済)比

5.6%

5.3%

売上総利益率

66.6%

65.3%

* 単位:百万円
21年第2四半期のGMV成長率は、急成長した2020年からの反動により前年同四半期比でマイナスとなるも、第3四半期以降は成長を見込んでいる。

 

(主な取り組み)
*GMVおよび売上総利益の成長を重視し、先行投資を積極的に実行する。
*更なる認知度獲得及び新規ショップ獲得のための広告宣伝を強化する。
*ショッピングアプリ「BASE」やクーポンなどを活用し、ショップの販促支援を強化する。
*サービス拡大のためのプロダクト人員の採用等の先行投資を加速する。
*プロダクト開発においては、より幅広いユーザーの利用を促進するための機能開発、拡張機能の強化や資金提供、キャッシュ・フローの早期化等、継続利用ショップの成長を支援するサービスを拡充し、長期的な利用とLTV の向上に努める。
*コロナ禍でお困りの方々をサポートするための支援を引き続き実施する。

 

(2)PAY事業

 

20/12期 

21/12期(予) 

前期比

GMV

36,069

52,600~54,000

+45.8%~+49.7%

売上高

939

1,370~1,406

+45.8%~+49.6%

テイクレート

2.6%

2.6%

売上総利益

92

134~138

+45.1%~+49.5%

GMV比

0.3%

0.3%

売上総利益率

9.8%

9.8%

* 単位:百万円
引き続きコストを抑制しつつ、プロダクトの強化及び加盟店数の増加に努め、GMVの成長を目指す。

3-3 その他の取り組み

(1)ガバナンスの強化
取締役会の構成を見直し社外取締役の比率を高めることで、取締役会の監督機能を強化する。
また、執行役員制度を新たに導入し、監督機能と執行機能を分離することでガバナンスを強化するとともに、執行役員へ業務執行権限を委譲することで機動的な意思決定を行う。
加えて、取締役会の諮問機関として任意の指名・報酬委員会を設置し、経営の客観性や合理性を確保する。
(21年3月開催予定の第8期定時株主総会での承認を前提としている)

 

(同社資料より)

 

(2)株式分割による流動性の向上
投資単位を引き下げることで、投資家層の拡大を図り、株式の流動性を高めることを目的に、21年3月31日を基準日とした
1:5の株式分割を実施する予定だ。投資単位を50万円未満に引き下げる。

 

4.中期の経営方針

以下のような経営方針の下、中期的な成長を追求する。
*引き続きBASE事業に注力する。
*先行投資は規律を持って実行し、プロモーション費用を除く営業損益の黒字は確保する。

 

◎BASE事業
*引き続き個人及びSMBをエンパワーメントすることに注力する。
*ストアフロント型EC市場において、個人及びSMBを対象とするロングテール市場は、大規模なショップを対象とする市場と比べ、より高いGMV成長率やテイクレートを期待できる市場である。

 

(同社資料より)

 

*同社はこのロングテール市場において、国内最大のシェアを占めている。
*ロングテール市場において確固たる地位を築き、持続的な成長を実現するために、認知度向上を目的としたプロモーションを積極的に展開するための先行投資を強化する。
*また、人材採用の促進や外部人材の活用により、プロダクト開発等への先行投資も加速させ、プロダクトの付加価値を更に高め、テイクレートを維持することで、中期的な売上総利益の成長を目指す

 

◎PAY事業
引き続きコストは抑制しながらも、プロダクトの強化及び加盟店数の増加に努め、GMVの成長を目指す。

 

5.今後の注目点

20年12月期は売上倍増、黒字転換と、極めて華々しい決算となったが、同社はこのトレンドが今期以降も続くとは見ていない。
もちろん、相次いでリリースしている新機能によりプロダクトの価値は引き続き向上しており、またTVCMなど積極的なプロモーションは確実に認知度向上に結び付き、同社の事業基盤はさらに強固なものとなっている。
そうした中でも、短期的な高成長を目指して中規模、大規模の加盟店を対象に営業するのではなく、あくまでも同社がメインマーケットと位置付けるロングテールマーケットを、時間をかけてしっかりと育てていくことが、持続的成長につながると考えている。
ミッションである「Payment to the People, Power to the People.」の下、SBM(Small and Medium Business)やスタートアップ等の事業者を支援し続ける姿勢は、近年注目度が増している企業の社会的存在意義(purpose)の視点からも、大いに評価されることとなろう。

 

 

<参考:コーポレート・ガバナンスについて>

◎組織形態及び取締役、監査役の構成

組織形態

監査役設置会社

取締役

6名、うち社外2名

監査役

3名、うち社外3名

 

◎コーポレート・ガバナンス報告書(更新日:2020年3月26日)
基本的な考え方
当社は、「Payment to the People, Power to the People.」をミッションとして掲げ、社会に貢献する企業となることを目指しております。このようなミッションのもと、企業価値の持続的な増大を図るためには、経営の健全性、効率性、透明性を高め、経営環境の変化に迅速かつ柔軟に対応できる組織体制を構築することが重要な課題であると位置付け、コーポレート・ガバナンスの体制強化、充実に努めております。

 

【コーポレートガバナンス・コードの各原則を実施しない理由】
コーポレートガバナンス・コードの基本原則をすべて実施しております。

 

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