(4767)株式会社テー・オー・ダブリュー シェア拡大への転機か

2020/12/17

 

秋本 道弘 社長兼CEO

株式会社 テー・オー・ダブリュー(4767)

 

 

企業情報

市場

東証1部

業種

サービス業

代表取締役社長兼最高経営責任者(CEO)

秋本 道弘

所在地

東京都港区虎ノ門 4-3-13 ヒューリック神谷町ビル

決算月

6月

HP

https://www.tow.co.jp/

 

株式情報

株価

発行済株式数

時価総額

ROE(実)

売買単位

291円

44,936,844株

13,077百万円

16.2%

100株

DPS(予)

配当利回り(予)

EPS(予)

PER(予)

BPS(実)

PBR(実)

226.04円

1.3倍

*株価は11/24終値。発行済株式数は直近四半期末の発行済株式数から自己株式を控除。ROEは前期実績。
数値は四捨五入。

 

連結業績推移

決算期

売上高

営業利益

経常利益

当期純利益

EPS

DPS

2016年6月(実)

15,230

1,678

1,682

1,083

24.17

11.00

2017年6月(実)

16,251

1,811

1,823

1,206

26.87

13.00

2018年6月(実)

16,688

1,825

1,873

1,207

26.87

13.50

2019年6月(実)

16,278

1,995

2,017

1,345

29.94

14.50

2020年6月(実)

19,325

2,316

2,332

1,584

35.26

16.75

2021年6月(予)

未定

未定

未定

未定

未定

*単位:百万円、円。予想は会社予想。2016年3月期より当期純利益は親会社株主に帰属する当期純利益(以下、純利益については同様)。
* 2020年4月1日、1株を2株に分割。EPS、DPSは株式分割を反映。
* 2021年6月期の通期配当予想は未定だが上期は6.10円を予定。

 

テー・オー・ダブリューの2021年6月期第1四半期決算と2021年6月期の見通しについて、ブリッジレポートにてご報告致します。

 

目次

今回のポイント
1.会社概要
2.今後の戦略・・・一つの「転換期」
3.2021年6月期第1四半期決算
4.2021年6月期業績予想
5.今後の注目点
コーポレート・ガバナンスについて

 

今回のポイント

  • 21/6期1Qは前年同期比32.6%増収、67.1%経常減益。新型コロナウイルスの感染拡大に伴い各種オンラインプロモーション施策への引き合いが増加したが、リアルイベントの自粛や今夏に予定されていたオリンピック・パラリンピックの延期の影響は大きく、1Qを通して厳しい状況が続いた。しかし、前期に引き続いて受注した官公庁・団体の大型案件が寄与し、大幅な増収となった。利益面では、リアルイベントが低迷したことに加えて、官公庁・団体の大型案件が低営収だったため、売上総利益率が前年同期21.2%から8.1%へ縮小した。販管費については、中途採用等の費用を抑制した結果、前年を下回った。

     

  • 21/6期予想は引き続き未定。20/6期の本決算発表時点と同様に新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、現時点においても合理的に算定することが困難である状況が継続している。上期決算発表時に通期の業績予想を開示する予定。配当金については、1株につき6円10銭の中間配当を予定しており、8月6日の公表から変更なし。期末配当については今後、公表が可能となった時点で速やかに開示する方針。

     

  • 今1Q決算において、まず驚いたのはコロナ禍の中、32.6%もの増収となったことである。ただし、増収を支えた官公庁・団体の大型案件の採算性が低いこともあり、減益となった。利益面での今後の課題は「オンラインイベント」や「オンラインプロモーション」へのサービス形態の変化に対応した採算性の向上ということになりそうだ。業界淘汰が進む可能性もある。独立系No.1、かつ財務体質も良好、デジタル化への進展もしっかり対応させている同社は、シェア拡大の好機となる可能性も指摘できる。株価は低調に推移、実績ベースのPERは10倍を大きく割っており、割安感は強い。

     

    ※『体験デザイン』 ブランドとのWow!な体験を起点に、体験者がそのブランドのファンとなり、特にSNSをハブに多様なメディアで体験の拡散・共有を最大化させる、その仕組みを設計すること。

     

1.会社概要

イベント・プロモーション業界で独立系No.1の東証一部上場会社。イベント及びプロモーションの企画・制作・運営や、セールスプロモーションに関するグッズ・印刷物の制作等を手掛ける。インターネットの影響力の拡大を踏まえ、長年培ってきたイベントの制作力とアイディア力にデジタルテクノロジーを加えたインタラクティブプロモーション(IP)に力を入れ、多くの実績を上げている。「世界一の“感動体験”をクリエイトし、笑顔を増やす」を経営理念とし、社名のテー・オー・ダブリューは、「Top Of The World」の頭文字に由来する。

 

グループは同社の他、イベントの制作・運営・演出及び映像制作を手掛ける(株)ティー・ツー・クリエイティブ(以下、T2C)の連結子会社1社(20年9月末現在)。

 

尚、「インタラクティブ・プロモーション(IP)」とは、デジタル技術とアイディアで感動体験を創りだし、その体験を情報拡散・共感させるプロモーションである。

 

 

【事業内容】

イベントの企画から本番実施までの流れ
イベントは、主催者が何らかの目的(対象者に情報を発信したいとの意図)を持った時点で案件が発生する。同社は、主催者よりその目的についての説明を受け、企画の作成に入る。その後、幾度かのミーティングを繰り返す事で、企画書 → 基本計画書 → 実施計画書 → 詳細計画書へと段階的に移行し、最終的には進行台本、施工図面、タイムスケジュール表となり、各種資料に従い舞台作りやリハーサルが行われ、イベント当日を迎える。

 

同社の業務範囲
イベントの場合、同社は、上記の企画からイベント本番までを受注し、「企画」・「制作」・「運営」・「演出」を行うが、実際のイベント現場では多くの業務がある。具体的には、照明、音響、映像、舞台制作、モデル・コンパニオン・警備員の派遣、整理、撤収、清掃等種々雑多の業務があり、これらの専門業者を外注先として業務毎に発注し、イベント全体をトータルにディレクション、プロデュースする事で主催者の意図を来場者に伝える事が同社の業務である。連結子会社については、T2Cがイベントの「制作」・「運営」を専業として行っている。
一方、プロモーションの場合は、「企画」、「デザイン」、「制作」が主な業務だが、印刷、プレミアム、グラフィックデザイン、事務局運営、OOH(Out of Home:交通広告や屋外広告等)、Web制作等の業務もあり、同社は、イベント同様、トータルにディレクション・プロデュースし納品する。

 

2.今後の戦略・・・一つの「転換期」

コロナ禍による業績への影響は不可避となった。しかし、同社のビジネスにとって一つの「転換期」と捉えている。
社員一人一人が新たな環境下での営業活動に取り組み、今までのTOWにはない「新たな事例」が生まれるなど試行錯誤しつつも今後の成長への手ごたえを掴んでいる。

 

Ⅰ..コロナ禍を契機としたビジネス環境の変化とTOWの課題
①生活行動のデジタル化

 

➡20年1月~5月にかけて、生活者のネット利用時間が全ての年齢層で約1時間増加
➡対面コミュニケーションが減少し、ZoomやLINEなどデジタルツールの利用が拡大
➡ECをはじめ、ネットバンキングや動画視聴の利用率がコロナ禍以前の2倍以上に増加
デジタルを“当たり前に使いこなす”生活スタイルが今後も定着・拡大する

 

②企業活動のデジタル化
➡コロナ禍をきっかけに、自社のIT戦略(デジタル化)を加速する企業が増加
➡リモートワークやテレカンの定着など、ワークスタイルが大きく変化
➡今後はさらに、DX(デジタルトランスフォーメーション)への取り組みが加速すると言われている
加速するビジネスのデジタル化によって、プロモーションの役割も変化する

 

③「体験」のデジタル化
➡ここ数年にわたり伸長してきた「リアル体験」コンテンツの多くがデジタルに移行
➡オンラインでの音楽ライブが新たな収益コンテンツとして大きな注目を集める
➡企業の記者発表やカンファレンスも次々とオンラインへと移行されている
デジタルプラットフォーム上での新たな「体験」が次々と生み出されている

 

 

これからのTOWの課題は、デジタルがプラットフォームとなっていく世の中で「体験」の価値をどう拡張していけるか
デジタル化する社会に呼応して、TOWの案件もデジタル化を加速。
記者発表・セミナーなど「リアルイベント×映像配信」の取り組みやSNS運用・映像制作など「オンライン完結のプロモーション」など新たな仕事のノウハウが蓄積されてきた。

 

Ⅱ.オンラインプロモーションの活性化
デジタルプラットフォームを介して企業と生活者がつながる時代。
TOWの手掛ける「ブランド体験」も、オンラインへのシフトが急速に進んでいる。
・SNSなどデジタルプラットフォーム運用
・動画を中心としたコミュニケーション
・ライブコマース(ECへの導線づくり)
・ファンマーケティング
・オンラインカンファレンス
・リアルイベント×LIVE配信
同社は「リアル×デジタル」の社会潮流にいち早く着目した。リアルイベントで培った演出力・コンテンツ制作力をデジタルに展開するさまざまな取り組みに以前から着手。その知見が蓄積されている。

(同社資料より)

 

コロナ禍による企業のマーケティング活動の変化によりプロモーションの主戦場はより一層オンラインへ移行。
同社ではECへの導線づくりや、ブランドファンとの絆づくりなどオンラインプロモーションに対する需要が今後も高まると予測。

 

デジタルプラットフォーム時代に合わせ、オンラインシフトを推進、オンライン案件の比率を従来の25~30%から60~70%へ一気に上げていく方針。

 

20年3月下旬~7月の案件引き合いのうち「オンラインプロモーション」および「オンラインイベント」に関する案件の割合は80%超であった。

 

Ⅲ.オンラインシフトを加速する2つのソリューションと新サービス
① ONLINEイベントパッケージ

(同社資料より)

 

 

 

(同社資料より)

 

② オンラインプロモーションソリューション

(同社資料より)

 

オンラインプロモーション推進体制の拡充
●体験デザイン本部「IPプロデューサー」の増員
●プロデュース本部と体験デザインの「複属」社員の増員
●体験デザイン本部「動画専門グループ」設立
●DX(デジタルトランスフォーメーション)マイスターの登用

 

オンラインプロモーション推進に向けた基盤整備
●「オンラインプロモーション予算」による目標管理
●デジタルリテラシー向上のための教育研修プログラム
●デジタル関連資格取得支援(WEB解析士、SNSエキスパート検定など)
●オンラインプロモーション実績とノウハウの共有・議論の場づくり

 

③ 広告番組制作サービス
オンラインプロモーションの中でも特に伸長が著しい動画配信コンテンツ制作領域をさらに強化する広告番組制作サービスを新たにリリース

(同社資料より)

 

④ 「New Normalイベントガイドライン」を受託業務で遂行
オンラインプロモーションへの対応を強化しながら、今後徐々に需要が戻るイベント案件に対しても業界最大手として対応。
新しい生活様式の中での安心・安全なイベントの実績を積み、「リアルイベントのNew Normal」を確立する。
20年6月に策定・発表した「New Normalイベントガイドライン」を同社受託業務で遂行。

(同社資料より)

 

3.2021年6月期第1四半期決算

(1)連結業績

 

20/6期 1Q

構成比

21/6期 1Q

構成比

前年同期比

売上高

3,765

100.0%

4,991

100.0%

+32.6%

売上総利益

797

21.2%

404

8.1%

-49.3%

販管費

231

6.1%

227

4.5%

-1.9%

営業利益

565

15.0%

177

3.6%

-68.6%

経常利益

573

15.2%

188

3.8%

-67.1%

親会社株主に帰属する

四半期純利益

383

10.2%

112

2.2%

-70.8%

*単位:百万円。数値には(株)インベストメントブリッジが参考値として算出した数値が含まれており、実際の数値と誤差が生じている場合があります(以下同じ)。

 

前年同期比32.6%の増収、同67.1%の経常減益
売上高は前年同期比32.6%増の49億91百万円。1Qの国内経済は、新型コロナウイルス感染症の拡大により、企業収益の悪化や個人消費の低迷など深刻なダメージを受けた。同社を取り巻く市場環境についても、新型コロナウイルスの感染拡大に伴う案件の自粛が継続するなど前期に引き続き大きな影響を受けている。こうした事業環境の中、リアルをコアに蓄えてきた体験デザイン力を多種多様なフィールドに展開するため、リアルとデジタルの垣根を取り払い、デジタルプラットフォーム時代に相応しい「新たな体験価値」を生み出していく“日本初の体験デザイン・プロダクション”を目指し、推進中。新型コロナウイルスの感染拡大に伴い各種オンラインプロモーション施策への引き合いが増加したが、リアルイベントの自粛や今夏に予定されていたオリンピック・パラリンピックの延期の影響は大きく、1Qを通して厳しい状況が続いた。しかし、前期に引き続いて受注した官公庁・団体の大型案件が寄与し、1Qの売上高は前年を大幅に上回った。
経常利益は前年同期比67.1%減の1億88百万円。利益面では、「制作業務の内製による収益性の向上」「専門性の高い人材の提供価値のマネタイズ」「制作管理部門の機能強化による適正収益の確保」を全社的に推進したが、リアルイベントが低迷したことに加えて、官公庁・団体の大型案件が低営収だった。このため売上総利益率が前年同期21.2%から8.1%へ縮小した。販管費については、前期より着工済みのオフィス増床関連費用や、前期に引き続きテレワークなど新型コロナウイルス感染拡大に対応した追加費用があったものの、中途採用等の費用を抑制した結果、前年を下回った。これらにより、営業利益は前年同期比68.6%減の1億77百万円。営業外では受取配当金が増加、税負担は減少したものの、親会社株主に帰属する四半期純利益は同70.8%減の1億12百万円となった。

 

カテゴリー別売上高

 

20/6期 1Q

構成比

21/6期 1Q

構成比

前年同期比

販促

1,536

40.8%

613

12.3%

-60.1%

広報

1,393

37.0%

4,108

82.3%

+194.8%

文化・スポーツ

578

15.4%

74

1.5%

-87.1%

制作物

245

6.5%

182

3.7%

-25.6%

小計

3,754

99.7%

4,979

99.8%

+32.6%

企画売上高

10

0.3%

12

0.2%

+18.2%

合計

3,765

100.0%

4,991

100.0%

+32.6%

*単位:百万円

 

(2)財政状態

財政状態

 

20年6月

20年9月

 

20年6月

20年9月

現預金

5,055

1,363

仕入債務

3,152

1,142

売上債権

6,020

2,079

短期借入金

840

1,840

未成業務支出金

186

418

未払法人税等

379

1

未収入金

3,066

8,300

退職給付負債・役員退職慰労金

432

408

前払費用

51

60

負債

5,937

4,255

流動資産

14,439

12,403

純資産

10,256

10,204

投資その他

1,541

1,793

負債・純資産合計

16,194

14,459

固定資産

1,754

2,056

有利子負債合計

840

1,840

*単位:百万円。未収入金:ファクタリング方式により譲渡した売上債権の未収額

 

21/6期1Q末の総資産は、前期末比(以下同)17億34百万円減少し、144億59百万円となった。
流動資産は20億36百万円減の124億3百万円となった。これは主に、未収入金が52億34百万円、未成業務支出金が2億32百万円、その他が1億21百万円増加したが、現預金が36億92百万円、受取手形及び売掛金が26億16百万円、電子記録債権が13億24百万円減少したこと等によるもの。
固定資産は3億1百万円増の20億56百万円となった。固定資産のうち有形固定資産は51百万円増の2億40百万円となった。これは主に、レイアウト変更等によるもの。無形固定資産は2百万円減少の22百万円となった。これは主に、減価償却等によるもの。投資その他の資産は2億51百万円増の17億93百万円となった。これは主に、繰延税金資産が61百万円減少したが、投資有価証券が3億13百万円増加したこと等によるもの。
流動負債は17億80百万円減の37億8百万円となった。これは主に、短期借入金が10億円増加したが、買掛金が20億12百万円、その他が3億94百万円、未払法人税等が3億78百万円減少したこと等によるもの。
固定負債は98百万円増の5億47百万円となった。これは主に、繰延税金負債が1億21百万円増加したこと等によるもの。
純資産は52百万円減の102億4百万円となった。これは主に、その他有価証券評価差額金が2億15百万円増加したが、利益剰余金が2億69百万円減少したこと等によるもの。
自己資本比率は前期末比7.1ポイント増の70.2%となった。

4.2021年6月期業績予想

(1)連結業績

 

20/6期 実績

構成比

21/6期予想

構成比

前期比

売上高

19,325

100.0%

未定

営業利益

2,316

12.0%

未定

経常利益

2,332

12.1%

未定

親会社株主に帰属する

当期純利益

1,584

8.2%

未定

*単位:百万円

 

21/6期予想は未定、上期決算発表時に開示へ
21/6期予想については引き続き未定とした。20/6期の本決算発表時点と同様に新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、現
時点においても合理的に算定することが困難である状況が継続している。上期決算発表時に通期の業績予想を開示する予定。
配当金については、1株につき6円10銭の中間配当を予定しており、8月6日の公表から変更なし。期末配当については今後、公表が可能となった時点で速やかに開示する方針。
20/6期本決算発表時には、見通せない要因として①今後の受注、②オリンピック・パラリンピック関連案件の実施見通し、③各種オンラインプロモーション施策の結果、④新型コロナウイルスに対するワクチンや治療薬の開発時期を挙げている。

 

 

(2)今後の営業拡大及び収益力向上に向けて

足元の業績回復に向けた活動と共に社会・業界の変化に即して、中長期を見据えた活動を行う。以下、本決算発表時に掲げた方針。

 

Ⅰ.プロダクション力と収益力の向上
コロナ禍による当面の業務減や、営業活動の制限が当面続くことを踏まえ、以下の取り組みを通じて「プロダクション力」と「収益力」=両面の向上に努めていく。
①内製による収益力の向上
プロダクションとしての原点に立ち返り、自ら制作することで仕事の質と収益性を向上。グループ全体の人材と社内インフラを有効に活用し、高収益体質へと進化。

 

②提供価値のマネタイズ
体験デザイン本部を中心とした専門性の高い人材を有効活用し、映像制作・SNS運用・PR・データなど各領域で高いレベルの価値を提供することで収益につなげていく。

 

③制作管理部門の機能強化
制作プロデュースを熟知したベテラン社員を制作管理人材として登用し、制作管理部門の体制を増強。協力機関や価格の精査を行い、顧客の要望に応えながら適正な収益を確保する。

 

Ⅱ.既存顧客+αの新たな顧客開拓
デジタル化の急速な進展など、社会・業界の変化への対応が必要。新たな顧客の拡大をTOWの成長課題と捉え、協業拡大に取り組んでいく。
① 広告業界の変化への対応
・広告のデジタルシフト
➡中期的な視野に立ち、ネット系広告会社との協業拡大を図る

 

② 企業活動の変化への対応
・マーケティング/プロモーションにおける効果・効率への意識の高まり
・専門会社への直接発注が増加(オンラインプロモーションでは更に顕著)
➡クライアント直接取引の拡大に向け、組織の整備・営業活動の活性化を行う

 

Ⅲ.アライアンス
オンラインプロモーションの拡大及び顧客の拡大に向けて、提供するソリューションの拡充が重要。社内機能の拡充に留まらず、積極的な外部アライアンスを行っていく。

 

今後の成長イメージ

 

 

(同社資料より)

 

5.今後の注目点

今1Q決算において、まず驚いたのはコロナ禍の中、32.6%もの増収となったことである。ただし、増収を支えた官公庁・団体の大型案件の採算性が低いこともあり、減益となった。利益面での今後の課題は「オンラインイベント」や「オンラインプロモーション」へのサービス形態の変化に対応した採算性の向上ということになりそうだ。新型コロナウイルスの影響でイベント・プロモーション業界淘汰が進む可能性もある。業界独立系No.1、かつ財務体質も良好、更にはデジタル化への進展もしっかり対応させている同社にとって、シェアを高める好機となる可能性も指摘できる。株価は低調に推移、実績ベースのPERは10倍を大きく割れている。デジタル化への対応も進展させて、今後20/6期並みの利益水準を取り戻すことが想定されることから、株価の割安感は強い。

コーポレート・ガバナンスについて

◎組織形態及び取締役、監査役の構成

組織形態

監査等委員会設置会社

取締役

10名、うち社外4名

 

◎コーポレート・ガバナンス報告書 更新日: 2020年10月8日
基本的な考え方
同社では、コーポレート・ガバナンスの意味を「企業価値の継続的な向上を目指して、経営層による適正かつ効率的な意思決定と業務執行、並びにステークホルダーに対する迅速な結果報告、及び健全かつ公正で透明性の高い経営を実現する仕組みの構築・運用」と考えている。
株主をはじめ、顧客、従業員その他のステークホルダーに対する責任を果たすとともに、当社の継続的成長と中長期的な企業価値の向上を図ることを目的として、以下の基本方針に則って、実効性あるコーポレート・ガバナンスを実現していく。

 

1.株主の権利を尊重し、平等性を確保する。
2.株主を含むステークホルダーの利益を考慮し、適切に協働する。
3.会社情報を適切に開示し、透明性を確保する。
4.取締役会による業務執行に対する監督機能の実効性を向上させる。
5.中長期的な株主の利益と合致する投資方針を有する株主との間で建設的な対話を行う。

 

<実施しない主な原則とその理由>
【補充原則1-2-4 議決権行使プラットフォーム利用、招集通知の英訳】
 議決権電子行使プラットフォームの利用や招集通知の英訳については、同社の株主における機関投資家や海外投資家の比率などの動向を踏まえ、導入を検討していく。

 

【補充原則3-1-2 英語での情報開示・提供】
 同社は英語版の事業報告書を作成するとともに、半年ごとに英語版のアナリストレポートを当社ホームページ等で開示しているが、今後は、同社の株主における機関投資家や海外投資家の比率などの動向を踏まえ、決算説明会資料、招集通知記載内容等についても英語での情報提供を検討していく。

 

【補充原則4-10-1 指名・報酬等に関する独立社外取締役の関与・助言】
 取締役等の指名・報酬等に係る取締役会の機能の独立性・客観性と説明責任を強化するために、指名・報酬等の検討に際しては、独立社外取締役との連携を深める等、より公正で、透明性の高い検討と手続きが実施できることを目指した体制整備の検討を進める。なお、任意の諮問委員会については、必要性に応じ検討していく。

 

<開示している主な原則>
【原則1-4 政策保有株式】
 同社の純投資目的以外の投資を行う際の基本方針は、投資対象会社との業務提携、情報共有等を通じて当社の統合プロモーション事業におけるシナジー効果が期待されることであり、中長期的な視点で価値向上を図るために、取引先との関係強化の観点等を踏まえ、効果が見込まれると判断した場合に限り、必要最小限の上場株式を保有することとしている。 政策保有株式の議決権の行使については、適切な対応を確保するために、議案毎に、保有先企業の中長期的な企業価値の向上、当社及びグループ会社の中長期的な経済的利益の増大等の観点から総合的に判断するものとし、主要な政策保有株式については、議決権行使の状況を取締役会に報告する。

 

【原則4-9 独立社外取締役の独立性判断基準及び資質】
 社外取締役候補者の選任にあたっては、東京証券取引所が定める独立性基準を満たす者としている。

 

【補充原則4-11-1 取締役会全体としての知識・経験・能力のバランス、多様性及び規模に関する考え方】
 同社は、定款により、取締役の員数を14名以内と定めており、2020年9月25日現在 10名(うち社外取締役4名)で取締役会を構成。取締役会を構成するメンバーについては、経験、知見、能力等における多様性に配慮している。

 

【原則5-1 株主との建設的な対話に関する方針】
 同社は、株主・投資家との双方向の建設的な対話を促進し、これにより同社の持続的な成長と中長期的な企業価値の向上に向けた実効的なコーポレート・ガバナンスの実現をはかることを、同社の責任を果たす上での最重要課題の1つと位置付けており、このような考えに基づき、以下のような施策を実施する。

 

1.株主との対話に関する担当取締役の指定
 経営トップ自らが株主との対話に取り組み、管理本部長がIR実務を統括する。

 

2.社内部署の有機的な連携のための方策
 IR担当部署でもある総務チームが経理チームと日常的に打ち合わせや意見交換を実施しており、開示資料作成に際しても連携し、経営トップを交えて内容の検討を行っている。

 

3.個別面談以外の対話の手段の充実に関する取組み
 株主総会を株主との重要な対話の場と位置付け、株主総会において、同社事業に関する十分な情報開示の確保をはじめ、株主の皆様からの信認を得られるような運営につとめる。
また、定期的に決算説明会を開催することにより、株主・投資家の皆様とのより緊密なコミュニケーションの実現につとめる。

 

4.株主の意見・懸念のフィードバックのための方策
 株主・投資家との対話において把握されたご意見や当社に関する懸念を担当部署において取りまとめ、その重要性や性質に応じ、これを定期的に経営陣幹部や取締役会に報告するための体制を整備する。

 

5.インサイダー情報の管理に関する方策
 株主・投資家の実質的な平等性を確保すべく、公平な情報開示につとめることを基本方針とし、当該方針に基づき、同社に関する重要情報については、適時かつ公平にこれを開示することとし、一部の株主・投資家に対してのみこれを提供することがないよう、その情報管理の徹底につとめる。

 

株式会社インベストメントブリッジ
ブリッジレポート   株式会社インベストメントブリッジ
個人投資家に注目企業の事業内容、ビジネスモデル、特徴や強み、今後の成長戦略、足元の業績動向などをわかりやすくお伝えするレポートです。
Copyright(C) 2011 Investment Bridge Co.,Ltd. All Rights Reserved.
本レポートは情報提供を目的としたものであり、投資勧誘を意図するものではありません。 また、本レポートに記載されている情報及び見解は当社が公表されたデータに基づいて作成したものです。本レポートに掲載された情報は、当社が信頼できると判断した情報源から入手したものですが、その正確性・完全性を全面的に保証するものではありません。 当該情報や見解の正確性、完全性もしくは妥当性についても保証するものではなく、また責任を負うものではありません。 本レポートに関する一切の権利は(株)インベストメントブリッジにあり、本レポートの内容等につきましては今後予告無く変更される場合があります。 投資にあたっての決定は、ご自身の判断でなされますようお願い申しあげます。

このページのトップへ