(9600) 株式会社アイネット DX、働き方改革でさらに成長

2020/12/10

 

 

坂井 満 社長

株式会社アイネット(9600)

 

 

企業情報

市場

東証1部

業種

情報・通信

代表取締役社長

坂井 満

所在地

横浜市西区みなとみらい3丁目3番1号 三菱重工横浜ビル23階

決算月

3月

HP

https://www.inet.co.jp/

 

株式情報

株価

発行済株式数

時価総額

ROE(実)

売買単位

1,547円

16,242,424株

25,127百万円

11.3%

100株

DPS(予)

配当利回り(予)

EPS(予)

PER(予)

BPS(実)

PBR(実)

46.00円

3.0%

105.28円

14.6倍

956.89円

1.6倍

*株価は 11/12終値。発行済株式数、DPS、EPSは21年3月期第2四半期決算短信より。ROE、BPSは前期実績。

 

業績推移

決算期

売上高

営業利益

経常利益

当期純利益

EPS

DPS

2017年3月(実)

24,617

1,992

1,939

1,314

82.68

36.00

2018年3月(実)

25,615

2,081

2,051

1,368

86.06

38.00

2019年3月(実)

27,591

2,345

2,347

1,521

95.72

40.00

2020年3月(実)

31,097

2,501

2,531

1,672

105.13

43.00

2021年3月(予)

31,500

2,580

2,540

1,675

105.28

46.00

*単位:百万円、円。当期純利益は親会社株主に帰属する当期純利益。(以下、同様)

 

株式会社アイネットの2021年3月期第2四半期決算概要などをご紹介致します。

 

目次

今回のポイント
1.会社概要
2.2021年3月期第2四半期決算概要
3.2021年3月期業績予想
4.今後の注目点
<参考1:中期経営計画について>
<参考2:コーポレート・ガバナンスについて>

 

今回のポイント

  • 国内最高レベルの安全性を備えた自社データセンターと長年培ったシステムの運用管理を基盤に、システムの企画・開発から運用・監視、印刷・封入封緘、先進のクラウドコンピューティングまで、顧客の様々なニーズに最適なソリューションをワンストップで提供。垂直統合と水平展開による強力な事業展開力、強固な顧客ポートフォリオに支えられた安定したビジネスモデルなどが強み。

     

  • 2021年3月期第2四半期の売上高は前年同期比3.1%減の148億円、営業利益は同34.0%減の8億円。情報処理サービスは増収も、システム開発サービス、システム機器販売は減収。売上総利益は情報処理サービス、システム開発サービスとも減益。利益率も低下した。

     

  • 情報処理サービスは増収減益。データセンター・クラウドサービスは、既存顧客や新規顧客のデータセンターの利用拡大により増収。一方、昨今のデジタル化の進展の影響等によりメーリングサービスは利用が減少し減収・減益となった。データセンター・クラウドサービスにおける業容拡大を目的に戦略的に獲得した低利益率案件が加わり利益率は低下した。

     

  • システム開発サービスは減収減益。新型コロナウイルス感染症拡大に伴い、システム開発における石油業を始めとした案件の凍結や延期が発生した。技術者の稼働率低下等も影響した。

     

  • 未公表だった通期予想を7月に公表した。21年3月期の売上高は前期比1.3%増の315億円、営業利益は同3.2%増の25億円を予想。主としてシステム開発サービスにおける案件の凍結・延期の発生により、進捗に遅れが出ているが、バランスのとれた事業ポートフォリオを持つ強みを生かして通期見通しの達成を目指す考えだ。配当は普通配当で1.00円/株の増配(中間0.50円/株、期末0.50円/株)に加え、2021年4月に創立50周年を迎えることから期末に記念配当2.00円/株を実施し、合計3.00円/株の増配で46.00円/株を予定。9期連続増配となる。

     

  • 減収減益とはなったが、同社が成長の柱と位置付けるデータセンター・クラウドサービスは引続き伸長しているということで、ストックビジネスの拡大による安定成長という同社の強みに変化はない。

     

  • ただ戦略的に低利益率の大型案件を受託し、その収益低下分をシステム開発サービスでカバーしようという施策が、コロナ禍により上手く稼働しなかった点は残念であった。システム開発サービスが新型コロナウイルスの影響により案件の凍結・延期が生じた点は、再び感染者が拡大してきた状況を鑑みると、下期および通期業績を見るとき気になる点ではある。

     

  • 同社では、バランスのとれた事業ポートフォリオを持つ強みを活かして、中期経営計画策定時には想定していなかったコロナ禍を乗り越え、なお成長を目指す考えである。DXや働き方改革など、コロナ禍であるからこそ顕在するニーズをいかにして取込んで、中期経営計画2期目の目標をクリアするのかを注目していきたい。

1.会社概要

国内最高レベルの安全性を備えた自社データセンターと長年培ったシステムの運用管理を基盤に、システムの企画・開発から運用・監視、印刷・封入封緘、さらには先進のクラウドコンピューティングに至るまで、顧客の様々なニーズに最適なソリューションをワンストップで提供している。垂直統合と水平展開による強力な事業展開力、強固な顧客ポートフォリオに支えられた安定したビジネスモデルなどが強み。

 

【1-1沿革】

自家用車の普及が急速に進む中ガソリンスタンドも増加することが見込まれる一方で、当時のガソリンスタンドでは、売掛管理、販売管理、顧客管理などを確実・効率的に処理することは難しく、経営者は頭を抱えていた。
これを解決する仕組みを導入すれば、大きなビジネスチャンスが生まれると考えた外資系石油会社出身の池田典義氏(現:株式会社アイネット創業者最高顧問)は、1971年、ガソリンスタンドの受託計算処理を目的として株式会社アイネットの前身となる(株)フジコンサルトを設立した。
池田氏の想定通り、出光興産(当時)を皮切りに、昭和シェル石油、モービル石油、キグナス石油、三井石油など石油元売り各社の地域または全国指定計算センターに指名され、業容は急速に拡大。1997年に東証2部に上場した。
その後は、M&Aも含めて石油販売業以外にもフィールドを拡張し、データセンター、金融、製造、小売・流通など現在の主力分野でも存在感を高めていく。2006年には東証1部銘柄に指定された。
その後もドローンを始めとした新たな成長フィールドの開拓を進めている。

 

【1-2 企業理念】

2021年に創立50周年を迎えるにあたり、持続的成長が可能な企業を目指し、さらなる成長をしていくためには役員および社員が全員で、いかなる行動を起こす場合においても基準となる共通の価値観を共有することが必要であると考え、グループの理念となる「inet Way」を制定した。

 

「inet Way」は、「企業理念」・「企業ビジョン」・「経営方針」・「中期経営計画」の4つの柱から形成され、その土台には企業人として守るべき「企業行動憲章」と、「inet Way」を達成するための原動力となる「行動指針」がある。

 

(同社資料より)

 

「inet Way」では、事業規模を拡大していくとともに、揺るぎない事業成長基盤を作り上げていくために、新たに「持続的成長を可能にするエクセレントカンパニーへ」という経営方針を定めた。
「会社も社員も、常に時代や時流の変化を鑑みながら自ら変化していくことで、成長を続けていかなければならない」という想いを込めている。

 

企業理念

情報技術で新しい仕組みや価値を創造し、豊かで幸せな社会の実現に貢献する。

企業ビジョン

アイネットグループは、「創造」「挑戦」「信頼」をベースに持続的な企業価値向上を目指し、社会とステークホルダーに貢献する企業として成長します。

 

integrated

知恵の価値を共有し、情報化社会をリードする企業

 

networking

技術と技術、心と心(人と人)、個人と社会のネットワーキングづくりを目指す企業

 

energy

持続可能な社会の実現に向けた創造性とイノベーションに挑戦する活気あふれた企業

 

technology

情報技術で豊かで幸せな社会の実現に取り組む企業

経営方針

持続的成長を可能にするエクセレントカンパニーへ

 

中期経営計画については後述する。

 

【1-3市場環境】

同社では、主要分野及び今後の注力分野における業界環境、事業環境を以下のように認識している。

 

 (同社資料より)

 

同社が強みとするデータセンター市場、注力しているドローン市場、共に今後も順調な拡大が見込まれている。

 

石油元売り企業が統合・再編によって1990年当時の15社から5社に集約されたこともあり、国内のサービスステーションも1990年ごろをピークに、現在はその半分まで減少している。
ただ、そうした中でも同社は、競合他社が撤退していることもあり、これまでに培ってきた実績や実力をベースに、新規顧客を獲得して更にシェアを向上させ、ナンバーワンのポジションを磐石なものとしている。
クレジットカードや売上データの相互連携などのシステム開発案件が多く発生していることに加え、顧客獲得のための大きな投資も不要で、同社にとってはフォローの風となっている。
また、クラウド、AI、IoT、RPAなどビジネスをより効率化する技術や手法の登場、浸透もあり、石油関連以外でもほぼ全ての分野でシステム投資需要が拡大しており、同社を取り巻く事業環境は良好である。

 

【1-4 事業内容】

国内最高レベルの安全性を備えた自社データセンターと長年培ったシステムの運用管理を基盤に、システムの企画・開発から運用・監視、印刷・封入封緘、さらには先進のクラウドコンピューティングに至るまで、顧客企業の様々なニーズに応じた最適なソリューションをワンストップで提供している。
主な事業は「情報処理サービス」「システム開発サービス」「システム機器販売」の3つ。

(1)情報処理サービス
「ITマネージドサービス」、「クラウドサービス」、「石油販売業、小売流通業、金融業等の勘定系・情報系処理受託」、「クレジットデータの与信管理並びにカード会社への納品代行」、「請求書、販促DM等の印刷、加工並びに発送処理」の5つのビジネスから構成されている。
同社ではこの情報処理サービスをストックビジネスと定義し安定成長の基盤と考えている。(詳細は【1-5 特長・強み】を参照)

 

◎データセンターサービス
情報処理サービスにおいて同社が近年最も注力し、強みを発揮しているのが「データセンターサービス」および「クラウドサービス」だ。いずれも業界に先駆けていち早く育成に取り組んだ。
データセンターは、北海道(1棟)、横浜(4棟)、長野(1棟)、大阪(1棟)と全国4か所に7棟を有し、相互のバックアップを行い災害にも備えている。

 

◎クラウドサービス
データセンタービジネスで培った事業基盤を活用してスタートした「クラウドサービス」では自社サービスのみではなく、競争力があり、顧客にとって有用なアプリケーションを提供している様々な企業と提携して、プラットフォームに搭載。
顧客満足度を高めることで、安定したストック型ビジネスとして確立している。

 

 

データセンター・クラウドサービスは過去10年間でマーケットの成長とともに、売上高は4倍以上に成長し、売上構成比も上昇。
今後も成長ドライバーとして位置付けている。

 

◎サービスステーション向け受託計算・決済処理
創業ビジネスであるサービスステーション(ガソリンスタンド)の受託計算及び決済処理においては、ガソリンスタンドでの決済手段のうち、クレジットカードと売掛決済に関するサービスを提供している。
クレジットカード決済においては、ネットワークを通じて同社のデータセンターで処理を行っている。
売掛データはガソリンスタンドに代行して、数量、単価、値引き等、さまざまな計算を行い、月末には請求書を作成して発送している。
国内のガソリンスタンドのうち約33%が同社のシステムを利用しており、トップシェアである。
クレジットカードや売掛金処理で培ったノウハウ、実績、事業基盤を活用し、金融、小売等、他業種における決済処理へと横展開を進めてスケールを拡大してきた。
最近では、緊急車両等の燃料給油をシームレス化することで緊急時の活動を支援するため、全国各地の石油組合向けに「官公需カードシステム」の展開を強化している。

 

◎プリント・メーリング
ガソリンスタンドにおける請求書発送業務を手掛けてきた経緯から、クレジットカード利用明細、納税通知書、選挙はがき等の帳票印刷、ダイレクトメール、請求書などのプリント及び封入封緘なども行っている。
主要顧客であるクレジットカード会社のデータ入力・カード申込受付・カード利用照会・コールセンター業務を受託するBPO(Business Process Outsourcing)業務も手掛けている。

 

(2)システム開発サービス
長年培った信頼関係をベースに、業務アプリケーション開発、パッケージソフト開発、汎用ツール開発、制御組込、宇宙開発など幅広い分野において顧客のシステム設計、構築を行っている。
顧客業種は、銀行・金融機関、ガソリンスタンド、コンビニ・スーパー、宇宙開発、建設・建築、航空・旅行、官公庁・自治体、医療、製造と極めて幅広い。

 

業務の効率化、人手不足への対応をはじめとした企業の競争力強化のために、ソフトウェア投資需要は中長期的に堅調と見込んでいる。

 

(3)システム機器販売
顧客へのシステム導入に際して必要なPC、POS、サプライ品、パッケージソフトを仕入れ・販売するほか、機器やソフトの操作指導も行っている。

 

【1-5 特長・強み】

(1)垂直統合と水平展開による強力な事業展開力
ガソリンスタンドの受託処理を祖業とする同社では、受託処理に次いで、システム導入のための設計・コンサル、システム構築、自社データセンターの運営、請求書発送のための帳票印刷・封入封緘、コールセンターやBPOといった業務を垂直統合し、ガソリンスタンド向けビジネスにおいて基盤を構築・強化し、事業フィールドを拡張してきた。
加えて、そこで培ったノウハウや技術力をベースに、ガソリンスタンド以外の流通、製造、金融機関など他業種に対象を広げてシステム構築を受託したり、データセンターを外販したりするなど、水平展開にも取り組み多種多様な顧客を開拓してきた。
事業フィールドと顧客ベースの拡張、この強力な事業展開力は同社を評価するうえで欠くことのできない重要なポイントである。

 

(同社資料より)

 

(2)強固な顧客ポートフォリオに支えられた安定したビジネスモデル
上記の強力な事業展開力によって獲得した顧客数は4,000社を超える。業種も様々で、多種多様な企業で構成された顧客ポートフォリオに対し、クラウドデータセンターを軸として、顧客のビジネス形態に合わせてさまざまなサービスを展開しているため顧客や業界の浮き沈みに影響されない安定したビジネスモデルを確立している。

 

 

(同社資料より)

 

(3)ワンストップサービスの提供
幅広い業種、業態の顧客に対し、ITに関わるさまざまなサービスをワンストップで提供できる点も強みである。

 

例えば顧客の1社であるオリックス銀行では、カードローン業務において、広告・貸付・入金・回収以外すべてのプロセスをアイネットが担当し、データセンター上で運用管理を行っている。

 

(同社資料より)

 

このように、システム開発、データセンター、システムの構築・運用、多様なクラウドサービスの提供、請求書や各種帳票の印刷・封入封緘、発送など、ITに関わる上流から下流まで、全ての工程で、セキュリティレベルの高いサービスを提供できる会社は少なく、高い顧客利便性及び顧客満足度は強固な参入障壁、強力な競争優位性に繋がっている。

 

(4)ストックビジネスの拡大により安定成長を実現
売上構成は3割強で、6割を占めるシステム開発サービスよりも低い情報処理サービスであるが、同社では同サービスを「ストックビジネス」と定義し、安定成長の基盤と位置付けている。
ストックビジネスとは、「毎月定額で売上を得られるもの」「次年度以降も契約が継続されるもの」で、クラウドサービスやデータセンターサービスに代表され、SS受託計算(ガソリンスタンド)、プリント・封入封緘など。

 

前述のように、データセンター・クラウドサービスは過去10年間でマーケットの成長とともに、売上高はCAGR16.3%で、4倍以上に急成長してきた。
情報処理サービスの同期間CAGRは4.5%と、全売上高およびシステム開発サービスの4.9%を下回るが、システム開発サービスにおいては減収が2期あるものの、全売上高では減収が1期もないのはまさに「ストックビジネス」の安定成長によるものである。
今期以降もデータセンター・クラウドサービスを中心としたストックビジネスの拡大による安定成長を継続させる考えだ。

 

*CAGRは11/3期をスタート値とした20/3期までの年平均成長率

 

 

 

 

【1-6 目標とする経営指標】

持続的な企業価値向上を目指すために、事業規模の継続的拡大を通じ、本業の成果を表す「売上高」、「営業利益」、「営業利益率」および「ROE」を重要な経営指標としている。

 

【1-7 ROE分析】

 

15/3期

16/3期

17/3期

18/3期

19/3期

20/3期

ROE (%)

8.8

9.4

10.7

10.4

10.9

11.3

 売上高当期純利益率(%)

4.23

4.56

5.34

5.34

5.52

5.38

 総資産回転率(回)

0.92

0.96

0.98

1.00

1.01

1.07

 レバレッジ(倍)

2.27

2.16

2.05

1.95

1.96

1.96

 

レバレッジは低下する一方、収益性、資産効率性の向上によりROEは継続的に上昇している。
中期経営計画においては2022年3月期の目標ROEを11.1%としている。

 

【1-8 配当政策・株主優待制度】

将来の資金需要に備え内部留保しつつ安定的な配当を継続することを配当方針としている。
配当性向のめどは示していないが、過去数年間は40%を超している。

 

株主優待制度を設けている。
毎年9月30日時点で1,000株以上保有の株主に年1回、保有株式数に応じたクオカードを進呈しているほか、3年以上保有の場合は1,000円分の長期保有プレミアムを受け取ることができる。
また、進呈額の10%を同社が障がい者団体等へ寄付しており、株主は社会貢献にも参加することができる仕組みとなっている。

 

 

 

2.2021年3月期第2四半期決算概要

(1)業績概要

 

20/3期2Q

構成比

21/3期2Q

構成比

前年同期比

売上高

15,360

100.0%

14,884

100.0%

-3.1%

売上総利益

3,542

23.1%

3,150

21.2%

-11.1%

販管費

2,285

14.9%

2,320

15.6%

+1.6%

営業利益

1,257

8.2%

829

5.6%

-34.0%

経常利益

1,250

8.1%

854

5.7%

-31.7%

四半期純利益

827

5.4%

372

2.5%

-55.0%

*単位: 百万円

 

減収減益
売上高は前年同期比3.1%減の148億円、営業利益は同34.0%減の8億円。
情報処理サービスは増収も、システム開発サービス、システム機器販売は減収。売上総利益は情報処理サービス、システム開発サービスとも減益。利益率も低下した。

 

(2)セグメント別動向

 

20/3期2Q

構成比

21/3期2Q

構成比

前年同期比

売上高

 

 

 

 

 

情報処理サービス

5,396

35.1%

5,882

39.5%

+9.0%

システム開発サービス

9,264

60.3%

8,367

56.2%

-9.7%

システム機器販売

699

4.6%

634

4.3%

-9.2%

合計

15,360

100.0%

14,884

100.0%

-3.1%

売上総利益

 

 

 

 

 

情報処理サービス

1,432

26.5%

1,326

22.5%

-7.3%

システム開発サービス

2,028

21.9%

1,740

20.8%

-14.2%

システム機器販売

81

11.7%

82

13.0%

+0.7%

合計

3,542

23.1%

3,150

21.2%

-11.1%

*単位:百万円。売上総利益の構成比は利益率。

 

(情報処理サービス)
増収減益。
データセンター・クラウドサービスは、既存顧客や新規顧客のデータセンターの利用拡大により増収。一方、昨今のデジタル化の進展の影響等によりメーリングサービスは利用が減少し減収・減益となった。データセンター・クラウドサービスにおける業容拡大を目的に戦略的に獲得した低利益率案件が加わり利益率は低下した。

 

システム開発サービス
新型コロナウイルス感染症拡大に伴い、システム開発における石油業を始めとした案件の凍結や延期が発生した。技術者の稼働率低下等もあり、減収・減益。

 

(システム機器販売)
ガソリンスタンド向けPOS機器販売における消費税増税対応の反動、新型コロナウイルスの影響による各サービスに付随した機器販売の一部における投資の見送り等で減収。

 

 

(3)財務状態とキャッシュ・フロー

◎主要BS

 

20/3月末

20/9月末

 

20/3月末

20/9月末

流動資産

9,628

8,820

流動負債

8,407

7,956

現預金

3,083

2,436

仕入債務

1,102

1,289

売上債権

5,739

5,512

短期借入金

2,872

2,913

固定資産

19,960

20,327

固定負債

5,957

5,845

有形固定資産

14,875

14,826

長期借入金

5,589

5,500

投資その他の資産

3,904

4,300

負債合計

14,365

13,802

資産合計

29,589

29,148

純資産

15,224

15,346

 

 

 

利益剰余金

9,089

9,119

 

 

 

負債純資産合計

29,589

29,148

 

 

 

借入金合計

8,461

8,413

*単位:百万円。

 

現預金、売上債権の減少等で資産合計は前期末に比べ4億円減少し291億円。負債合計は同5億円減少の138億円。
その他有価証券評価差額金の増加等で純資産は同1億円増加の153億円。
自己資本比率は前期末より1.1ポイント上昇し、52.6%となった。

 

◎キャッシュ・フロー

 

20/3期2Q

21/3期2Q

増減

営業CF

1,471

1,154

-317

投資CF

-2,123

-1,167

+956

フリーCF

-652

-13

+639

財務CF

262

-633

-895

現金同等物残高

2,909

2,436

-472

*単位:百万円。

 

税金等調整前四半期純利益の減少等で営業CFのプラス幅は縮小したが、有形固定資産の取得による支出が減少し投資CFおよびフリーCFのマイナス幅は縮小した。
長期借入による収入の減少及び返済による支出増などで財務CFはマイナスに転じた。
キャッシュポジションは低下した。

 

(4)主なトピックス

中期経営計画達成およびその後の成長も見据えて以下のような取り組みを行った。

 

①新型コロナ対策3密データ分析サービス Dream Data Sensing™「i-visible CO₂™」の提供を開始
2020年10月、IoT・クラウドを活用しCO₂・温湿度センサーを利用した密集空間の診断サービス「i-visible CO₂TM」の提供を開始した。
同社では2020年4月に研究開発強化を目的に、R&D推進室を新設したが、同サービスは最初の研究成果である。

 

(サービスの概要)
「i-visible CO₂TM」は、CO₂ならびに温湿度を計測する小型のIoTデバイスで、人々が密集する空間のCO₂濃度を常時モニタリングすることにより、スマートフォンやパソコンで計測値を確認することが可能である。
IoTデバイスで収集した各データは、アイネットのデータセンターへインターネット経由で送信され、環境分析クラウドアプリケーションで即時に解析される。CO₂増減量の予測に基づいて、換気が必要と判断された場合はメールやサイネージにより注意喚起を行い、安心安全をユーザーへ提供する。
企業、商業施設、教育機関など多くの人が集まる空間の3密による新型コロナウイルス感染リスクを低減し、健康を守りながらの空間利用をサポートする。

 

(今後の展開)
同社では、センシングデータ蓄積サービスを総称してDream Data Sensing™としており、「i-visible CO₂™」はDream Data Sensing™の一サービス。
今後は、花粉・埃・黄砂等の粒子測定や、たばこやアンモニア臭などのVOC測定など、さらにラインナップを増やしていく予定である。
同社では「あらゆるデータをDCへ」を標榜しており、「i-visible CO₂™」はその一翼を担うこととなる。

 

②ABC原価計算システムの提供拡大
同社が開発した、金融機関向け活動基準原価計算(Activity Based Costing)システム、ABC原価計算システム「ABC Financial®」の採用が増加している。
2020年10月、静岡銀行が導入に合意。今年3行目の導入となる。これまでの実績は地方銀行中心に20行を超えた。現在も2行への導入プロジェクトが進んでいる。
デジタルトランスフォーメーション(DX)化が急速に加速する銀行の業務モデル変革に対して迅速に対応でき、多角的な原価分析が可能な点が評価されているということだ。

 

(システム概要)
ABC原価計算システム「ABC Financial®」は、分析したい情報を自由に設定できるため、これまで捉えづらかったコスト構造の把握が容易になる。
データベースソフトを必要とせず、PC単体でも動作可能な軽量システム構成となっていることに加え同社が独自開発したABC原価計算専用の計算エンジン搭載による高速計算や基幹系システム等より抽出されたビッグデータの取込みも可能である。

 

(同社の取り組み)
同社では、ABC原価計算システムの販売だけでなく、原価計算モデル構築のコンサルティングを含め、すべてのプロセスを提供できる体制を整えている。
また、金融業向け原価計算だけでなく、物流業、水道局への導入実績もあり、幅広い業種に原価計算ソリューションを提供している。

 

③宇宙開発事業の強化
従来は政府や国が手掛けてきた宇宙ビジネスであるが、近年は民間企業やスタートアップの参入も増加し、将来的に大きな市場が見込めると同社では考えている。
宇宙開発事業に長年の実績と知見を有する同社が今後有望と考えているのが人工衛星ビジネスである。

 

<アイネットが注目する3つの人工衛星ビジネス>
1. 小型衛星コンステレーションビジネス
小型衛星系の有力宇宙スタートアップの多くが同社に開発を依頼している。今後は十分な人材供給が重要ポイントであることから、大企業OBの積極的採用、IoT等、社内他開発部門からの人材シフト推進、ビジネスパートナーとの提携推進、M&A等で対応していく。

 

2. 宇宙デブリ除去ビジネス
宇宙デブリ除去のパイオニアで、開発では独走するアストロスケールホールディングとは、同社の資金調達時に出資し、衛星関連事業者としては唯一の株主である。また、地上局運営にも携わるなど同社設立時より関係を強化しており、宇宙デブリ除去ビジネスの世界的展開に布石を打っている。

 

3.衛星データ利用ビジネス
東工大を中心とした有力な4国立大学とアイネット等民間企業のチームはJAXA革新3号のプロジェクトに採択され、2022年中の打上げに向け始動している。
アイネットは衛星開発・運用のみならず、中核であるデータセンター・クラウド事業とも連携させ、衛星データ活用事業確立を目指している。

 

3.2021年3月期業績予想

(1)業績予想

 

20/3期

構成比

21/3期(予)

構成比

前期比

進捗率

売上高

31,097

100.0%

31,500

100.0%

+1.3%

47.3%

営業利益

2,501

8.0%

2,580

8.2%

+3.2%

32.2%

経常利益

2,531

8.1%

2,540

8.1%

+0.4%

33.6%

当期純利益

1,672

5.4%

1,675

5.3%

+0.2%

22.2%

*単位: 百万円。

 

増収増益
未公表だった通期予想を7月に公表した。
売上高は前期比1.3%増の315億円、営業利益は同3.2%増の25億円を予想。
主としてシステム開発サービスにおける案件の凍結・延期の発生により、進捗に遅れが出ているが、バランスのとれた事業ポートフォリオを持つ強みを生かして通期見通しの達成を目指す考えだ。
配当は普通配当で1.00円/株の増配(中間0.50円/株、期末0.50円/株)に加え、2021年4月に創立50周年を迎えることから期末に記念配当2.00円/株を実施し、合計3.00円/株の増配で46.00円/株を予定。9期連続増配となる。

 

(2)中期経営計画に対する取り組み

売上、利益ともに計画を達成した1年目に続き、2‐3年目は「お客様のDXニーズへの積極的な対応」「ビッグデータ、AI、フィンテック等に対する商品・サービス力の向上」「クラウドサービスの推進強化」「テレワーク等働き方改革ニーズへの対応」をテーマとして掲げている。

 

新型コロナウイルスによる影響に関しては、コロナ禍でもデータセンター・クラウドを中心に情報処理サービスが牽引している一方、システム開発サービスは、稼働率低下による影響を受けているが、今後正常化を見込んでいる。
足下は、新型コロナウイルスにより企業の設備投資を取り巻く環境は不透明であるが、テレワークなどの働き方改革を始めIT投資需要は継続すると見ている。
柱となるストックビジネスの一層の強化を図り、引き続き計画の達成に努める考えだ。

 

4.今後の注目点

減収減益とはなったが、同社が成長の柱と位置付けるデータセンター・クラウドサービスは引続き伸長しているということで、ストックビジネスの拡大による安定成長という同社の強みに変化はない。
ただ戦略的に低利益率の大型案件を受託し、その収益低下分をシステム開発サービスでカバーしようという施策が、コロナ禍により上手く稼働しなかった点は残念であった。
システム開発サービスが新型コロナウイルスの影響により案件の凍結・延期が生じた点は、再び感染者が拡大してきた状況を鑑みると、下期および通期業績を見る時に気になる点ではある。
同社では、バランスのとれた事業ポートフォリオを持つ強みを活かして、中期経営計画策定時には想定していなかったコロナ禍を乗り越え、なお成長を目指す考えである。
DXや働き方改革など、コロナ禍であるからこそ顕在するニーズをいかにして取込み、中期経営計画2期目の目標をクリアするのかを注目していきたい。

 

 

<参考1:中期経営計画について>

(1)中期経営計画の位置づけ

同社では経営方針に掲げた「持続的成長を可能にするエクセレントカンパニー」を目指す第1ステップとして、2020年3月期をスタートとし2022年3月期を最終年度とする3ヵ年の中期経営計画を策定し、遂行中である。
企業価値向上と事業規模拡大を目指し、「事業戦略計画」「投資戦略計画」「ESG取組計画」の3計画を推進。
今中計では売上高332億円を、2025年3月期を最終年度とする次期中計では売上高500億円の達成を目標とし、その後も更なる成長を追求していく考えだ。

 

 

(同社資料より)

 

(2)経営戦略

基本となる経営戦略は、顧客との絆をより強固にする「守り」と、新たな市場領域やサービスを開拓する「攻め」のバランスの重視。
顧客第一の考え方の徹底、付加価値のある提案、成長が見込める商品・サービス開発、人材への投資に取り組む。
特に、顧客の期待を超えた付加価値の高い提案が可能な水準まで能力を磨き上げる。

 

全社重点施策①:パートナー戦略とチャネル戦略
自社のみで全てのビジネスを進めることは難しくなっているため、システム開発、クラウドサービス、販売、OEMにおいて強みを持つ各パートナーとの連携を深め、トップラインの拡大、サービスラインナップ拡大、販売拡大、事業領域の拡大に努める。

 

全社重点施策②:プラットフォーマーとして『クラウド基盤(NGEC)+アプリ』のサービス化
同社の武器であるクラウド基盤上に、自社サービスだけではなく、顧客にとって有用な様々な優れたアプリケーションを搭載し、プラットフォーマーとしての強み・価値を格段に高める。

 

全社重点施策③:『企画からBPOまでの一貫ビジネスにおけるクロスセル』のさらなる推進
幅広いサービスを連携させてワンストップで提供するという特徴を活かし、顧客の企画段階から、システム開発、同社データセンターでの運用、クラウド運用、封入封緘作業まで、顧客の業種、業態関係なく、間口の広い営業活動を展開し、部門間クロスセルをさらに活性化させる。

 

(3)進捗状況

1年目となる20年3月期は、売上高、営業利益、共に計画を達成し、進捗を大きく前進させるスタートとなった。
データセンター・クラウドサービスの好調、システム開発分野が IT 設備投資需要の高まりにより堅調であったことなどが主な要因。

 

 

今後も、顧客企業のDX ニーズへの積極的な対応、ビッグデータ、AI、フィンテック等に対する商品・サービス力の向上、クラウドサービスの推進強化、テレワーク等働き方改革ニーズへの対応、宇宙開発分野の民間ベンチャー等との連携などに、幅広く取り組んでいく。

 

(4)事業戦略計画

①情報処理サービス

分野

施策

SS・受託計算・決済

*処理SS数シェア率アップ(33%⇒中長期 50%超へ)

*全国営業支店網を活かした非石油ビジネスの拡大

*LPG販売業向けサービスの拡販

クラウドサービス

*クラウドサービス基盤(NGEC)の販売拡大

*販売チャネルの強化・拡大(リセラーの増加/OEMモデルの展開)

プリント・メーリング/BPO

*提供サービス範囲の見直し、拡大

*BPOサービス事業の積極的拡大

DXソリューション

*ドローンを活用したBIM、CIMビジネスの早期収益化

*中堅、中小企業向けAIクラウドサービスの拡充と販売拡大

*IoTビジネスモデルの確立と展開

 

国内のガソリンスタンドは減少傾向が続いているが新規SSを獲得して、シェアを向上させ、ナンバーワンポジションを継続してきた。引き続き、守りと攻めの新たな施策を進め更なるシェアアップを図る。

 

【クラウド・データセンターサービスの取組み】
同社が最も注力しているクラウド・データセンターサービス拡大に向けて、販売を担うパートナー戦略・チャネル戦略、サービスを担うクラウドパートナー戦略、データを担うプラットフォーム戦略の3戦略に注力している。

 

(同社祖資料より)

 

*販売を担うパートナー戦略・チャネル戦略
クラウド・データセンターサービスに限った戦略ではなく、全社的な戦略でもある。
業界や環境が日々大きく変化する中では、自社のみで全てのビジネスを進めることは難しいためシステム開発においては信頼のできる強みを持ったパートナー会社と関係強化を図り、連携を強めていく。
また、販売面においても、自社でクラウドサービスを行っている株式会社ネオジャパン(東証1部、3921)とのアライアンスのように、ネオジャパンのビジネスチャット等をアイネットのクラウド基盤の上で動かし、アイネットの営業もネオジャパンの製品を販売するクラウドサービスパートナーとしての連携を拡大させるほか、販売パートナーや OEM パートナーも増やしていく。
加えて、多数の顧客基盤や強力な営業力を有する企業との販売提携も進め、こうした戦略により、サービスラインアップの拡大、販路拡大、事業領域の拡大、トップラインの拡大を図る。

 

*サービスを担うクラウドパートナー戦略
プラットフォーマーとしての強みを活かし、自社のクラウド基盤上に各専門分野に強い他社企業のアプリケーションを載せ、クラウドサービスとして提供する。
例えば、建設設計向け分野に強みを持つアクティオやペーパレススタジオジャパンの BIM(Building Information Modeling)等のシステムや、ユニリタの自動運転パッケージシステムをサービス化し顧客に提供している。
今後も、各分野に特化した企業と連携してサービスを多様化させるとともに、各サービスを積極的に販売していく。

 

*データを担うプラットフォーム戦略
ドローンや AI、衛星やロボットなど、あらゆるデバイスや機器がデータを使用しており、各サービスにおいて膨大なデータが生まれている。
同社では、こうしたデータをデータセンターに収集することでビッグデータ化し、蓄積や解析を通じてデータを活用することが可能である。今後も IoT、AI、フィンテックなどさらに発展する分野にも積極的に取り組み、データセンターやクラウドサービスを展開し、着実に収益を積み上げていく。

 

【DXへの取り組み】
現在顧客ニーズが急速に高まっているDX(デジタルトランスフォーメーション)に関するソリューション開発にも注力している。

 

*主要分野における取り組み

働き方改革

東京オリンピック・パラリンピックの通勤混雑回避や新型コロナウイルス感染症拡大等のテレワークによる働き方改革へのニーズの高まりから、テレワーク推進窓口を設置し、仮想デスクトップや複数メンバーとのリアルタイムでの情報共有ツール等などを提供している。

データ・AI

データサイエンスや AI ビジネスの領域拡大や中堅・中小企業にターゲットを絞った AI クラウドサービスの販売強化を推進している。

フィンテック

今後の市場トレンドを見つつ、強みの一つである金融パッケージの強化、金融商品の見直し、パッケージリニューアルの企画・検討を進めている。

特定業種、特定用途向けソリューション」

流通業向け販売管理業務ノウハウを活かした競合他社との差別化や、建設業向けBIM、CIM ビジネスなど、顧客ニーズに的確に応えるサービスの提供に取り組んでいる。

5G

デジタルディバイドの解消や地域の公共福祉増進に寄与することを目的として導入された 2.5GHz 帯の周波数(2,575~2,595MHz)の電波を用いた電気通信業務の無線システムである地域 BWA への取組みを検討している。

 

*機構改革を実施
DXを強力に推進するために、2020 年4月に機構改革を実施した。

 

・DXニーズへの対応
顧客の DX ニーズに的確に応えるために、ソリューション本部を「DX 本部」に改組し、新たに「FinTech ソリューション事業部」、「流通・サービスソリューション事業部」、「エンタープライズソリューション事業部」、「IoT ソリューション事業部」、「宇宙・衛星ソリューション事業部」を編成した。
様々な顧客が求めるニーズに対して、高度な業種業務ノウハウを提供し、機動的な業務遂行の実現を推進するとともに、顧客の追求するDXへの到達をサポートする。

 

・データセンター事業の強化
従来の、1本部2事業部から、2本部5事業部体制に移行した。
データセンター本部を「データセンター事業部」、「クラウドサービス事業部」、「ビジネスソリューション事業部」の3事業部制に再編成し、「DC本部」としてデータセンタービジネスの拡大と新規ビジネス開発の推進をはかる。
また、ITマネージドサービス事業部を「ITMS本部」へ格上げし、「DCマネージドサービス事業部」と「ITソリューション事業部」の 2 事業部制として、データセンター運営体制を攻守両面で強化し、運用管理機能の拡充を図るとともにクラウドサービス技術サポートとプロダクトマーケティング機能の集約を行う。

 

・研究開発機能の強化
持続的成長を可能にするエクセレントカンパニーを目指すという基本方針に基づき、新たなイノベーションの創造を目指して、経営企画本部内に「R&D推進室」を新設した。
先進的クラウドサービスの活用や最新のデータサイエンス、AI、IoT 技術を駆使した新たな価値を生み出す研究開発空間とし、未来につながる DX テクノロジーの研究開発・技術獲得を推進する。

 

*「働き方改革」推進のためのテレワークツール支援専用窓口の設置
昨今の日本企業における「働き方改革」推進のトレンドに加え、新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、テレワークへの関心が急速に高まっている。
リモートデスクトップやビジネスチャット、Web会議システム、ファイル共有サービスなど多様なサービスをSaaSで提供している同社は、迅速にかつ各企業の状況に応じた的確なアドバイスを実施しこうした需要を確実に取り込むために2020年3月、データセンター本部クラウドサービス事業部内にテレワークツール支援専用窓口を開設した。

 

②システム開発サービス

分野

施策

金融

*金融市場のニーズ変化に合わせた金融パッケージの強化、見直し

流通・サービス

*流通業向け販売管理業務ノウハウを活かした競合差別化(業種テンプレート導入ビジネスの展開)

*AS400レガシー資産のモダナイゼーションのノウハウ活用/受注拡大

宇宙

*ニュースペース企業、自社衛星開発ベンチャー企業との取引先拡大で事業範囲拡大

新市場・サービス

*新たなビジネス市場への参入・展開、「駐車場」関連、「レンタル」関連

 

「宇宙」においては、ベンチャー数社との取引を始めており、新たなビジネスモデルを構築していく。
新たなサービスマーケットとしては、シェアビジネス、レンタルビジネスといった、今後、市場改革が求められていく新たな分野の開拓を進める。

 

(5)投資戦略計画

分野

施策

データセンター/クラウドプラットフォーム

*クラウド基盤(NGEC)を進化させた次世代クラウドプラットフォーム開発

*データセンター設備更新、増床、増設の計画的遂行

*データ分析、データサイエンスビジネスの展開

人材育成

*新卒採用人数の目標達成への施策実行、即戦力の中途採用の強化

*各レベル層の人材力アップに向けた教育研修制度や内容の強化

研究開発

*NGECを進化させた次世代クラウドプラットフォーム開発

*データ分析、データサイエンスビジネスの展開

*人工衛星データのビジネス活用

海外事業

*東南アジアにおける事業基盤構築(事業拠点化予定)

*得意分野と先端技術によるサービス展開を目指す

 

◎設備投資
データセンターサービスの顧客増加やクラウドサービスのニーズに幅広く応えるために、データセンターの設備強化を実施している。データセンターは完成時に全ての設備を整えるのではなく、案件獲得の目途とともに、都度設備を増強しており、その結果、設備の増強と共に、データセンターサービス・クラウドサービスの売上は順調に拡大している。
引き続きニーズにフレキシブルに対応し、設備増強のための支出とのバランスを検討しつつ、注力ビジネスであるデータセンターサービス・クラウドサービスを成長させることで、事業規模拡大を図る。

 

◎人材投資
人材への投資は、中長期目標として掲げている事業規模の拡大、企業価値の向上の実現をするために、最も重要な投資であると考えている。
成長を担う新卒社員については、アイネット単独で20年4月には 64 名が入社(計画は70名)した。21年4月は 80 名を獲得できるよう引き続き採用活動を積極的に進めていく。
中途採用については、AIやビッグデータなどの新しい技術に対応していくための技術を保有している高度IT人材や、注力ビジネスである宇宙開発分野の即戦力人材を、積極的に獲得する。
社員の人材育成に関しては、以前から充実させている新入社員研修をはじめとした若手向けの研修、部長課長級向けに経営やマネジメントを学び自社を成長させるための施策を考える将来の経営層を育成するための「経営塾」、社員の多様な働き方へのニーズに対応するためのダイバーシティを初めとするテーマ別の研修など、一人一人の社員に合わせた研修を実施し、引き続き強化していく。

 

 

◎研究開発
差別化や競争力強化のために、今まで以上に研究開発に投資する。対象は、現在のクラウド基盤をさらに進化させた次世代クラウドプラットフォームの開発、急速な成長が期待されるビッグデータの解析や分析といったデータサイエンスビジネス等。

 

◎海外事業
IT関連マーケットの成長著しい東南アジア地域を中心とした市場調査を目的として、2019年11月にシンガポールに駐在員事務所を開設した。
同地域における情報収集、市場調査、新規事業展開の検討を実施。注力するデータセンター・クラウドサービスや長年培ってきたガソリンスタンド向けの受託計算業務システム開発などの得意分野をベースに IoT、AI、データ分析などの先端技術によるサービス展開を目指し今後の海外進出形態を検討していく。

(6)ESG取組み計画

<S:社会>
健康経営およびダイバーシティの推進を掲げ、以下のような取り組み姿勢を宣言している。
「アイネットは、社員が経営における最大の財産であるという考えのもと、社員が心身ともに健康であることこそが、持続的な企業価値向上の源泉であると考え、健康経営を推進します。そして、社員のみんなが安心して力を発揮できる労働環境をつくるため、ワークスタイルの変革を推進します。」

 

具体的な取り組み実績を評価され、以下の公的な認定を受けている。

制度

認定時期

概要・取り組み

健康経営優良法人「ホワイト500」

(経済産業省が実施する「健康経営優良法人認定制度」の大規模法人部門の通称)

2020年2月

(2019年に続き2年連続で取得)

*健康経営を宣言

*定期健康診断の受診の徹底、及び受診結果に基づいたフォロー

*産業医、健康支援室設置

*メンタルヘルスマネジメント検定試験取得奨励

えるぼし

(女性活躍推進法に基づく認定制度で、一定の基準を満たし、女性活躍推進に関する状況などが優良な企業に発行される認定マーク)

2018年10月

*女性比24.4%

*新卒女性採用比率40%以上

*女性委員会の設置

*ダイバーシティ推進室の設置

*女性取締役の就任(12名中3名)

*かながわ女性の活躍応援団

くるみん

(一定の要件を満たして申請した場合に、厚生労働大臣から子育てサポート企業として認定を受けた企業に与えられるマーク)

2012年5月

*短時間勤務制度の拡充(小学3年まで)

*定時退社日の設置

*配偶者の出産休暇

*メモリアル休暇

*在宅勤務制度

*ジョブリターン制度

 

この他、障がいのある方に活躍の場を提供し、自立・自律を支援することを目的に設立した特例子会社(厚生労働大臣認定)である(株)アイネット・データサービスでは、障がいのある方々がデータ入力、スキャニング、軽作業、名刺作成といった業務を行っている。
また、本社所在地・横浜市のオープンデータを活用して保育施設を検索できる子育て・女性活躍支援サイト「働くママ応援し隊」を開設した。

 

加えて、2019 年に創業者である創業者最高顧問の池田典義氏が、新たに、神奈川県内で社会貢献活動を行う団体の持続可能な活動を支援・助成することを目的とする財団法人「アイネット地域振興財団」を設立。2020年1月には、公益認定を取得し、より一層の社会への貢献ができる体制となり、改めて活動を開始した。引き続き、長期的かつ安定的な活動を実現し、よりよい地域社会の発展に貢献していく。

 

<G:ガバナンス>
委任型執行役員制度や譲渡制限付株式報酬制度の導入に次いで、さらなるコーポレート・ガバナンスの強化を図り、指名・報酬諮問委員会を設置し、監査等委員会設置会社へ移行する予定である。

 

経営陣幹部の選解任と取締役候補の指名、経営陣幹部・取締役の報酬等に係る取締役会の機能の独立性・客観性と説明責任の強化を図り、コーポレート・ガバナンス体制をより一層充実させるため、取締役会の任意の諮問機関として指名・報酬諮問委員会を設置した。
監査等委員会設置会社への移行では、取締役の職務執行の監査等を担う監査等委員を取締役会の構成員とすることにより、取締役会の監督機能を強化し、更なる監視体制の強化を通じてより一層のコーポレート・ガバナンスの充実を図る。

 

(7)数値目標

 

 

3年間のCAGR(年平均成長率)は、売上高で6.4%、営業利益で5.2%。営業利益率は8%台で推移。
22年3月期のROE目標は11.1%。今後も引き続きROE向上を重要な経営指標として、収益力の向上に一層注力する。

 

<参考2:コーポレート・ガバナンスについて>

◎組織形態、取締役の構成

組織形態

監査等委員会設置会社

取締役

12名、うち社外6名

監査等委員

4名、うち社外4名

 

◎コーポレート・ガバナンス報告書
最終更新日:2020年6月25日

 

<基本的な考え方>
当社は、業務の有効性と効率性、財務報告の信頼性、関連法規の遵守を目的に、透明性を高め、経営環境の変化に迅速に対応できる組織体制の構築、維持を重点事項として推進しております。

 

<実施しない主な原則とその理由>

原則

開示内容

補充原則1-2-4 【株主総会における権利行使】

当社は、議決権の電子的行使は実施しておりますが、招集通知の英訳は行っておりません。但し、決算短信およびアニュアルレポートについては 英訳版を作成しております。なお、今後、海外投資家比率の上昇傾向なども踏まえ、招集通知の英訳を検討してまいります。

 

<各原則に基づく主な開示>

原則

開示内容

【原則1-4. 政策保有株式】

<政策保有に関する方針>

当社は、円滑な事業運営、取引関係の維持・強化などを目的として、中長期的な経済合理性や将来見通しを総合的に勘案した上で、必要と判断される場合に限り、株式を政策的に保有します。保有する株式については、事業環境の変化などを踏まえ、個別銘柄毎に保有目的、保有に伴うリスク、投資リターン等の検証を行い、縮減を念頭に置き、定期的に保有方針を検証してまいります。

 

 

<政策保有株式に係る議決権行使の基準>

当社は、政策保有株式の議決権行使について、当社の保有方針に適合するかどうかに加え、当該企業の経営方針や事業戦略を確認し、企業価値の向上につながるか等を総合的に勘案して、議案への賛否を個別に判断しております。 また、必要に応じて、提案内容等について発行会社と対話を行っていきます。

原則5-1 【株主との建設的な対話に関する方針】

当社は、IRポリシーを制定し、基本方針・開示基準・開示方法・沈黙期間等を開示しております。また持続的な成長と中長期的な企業価値の向上に資するよう、合理的な範囲で株主・投資家との対話に対応しております。

当社は、経営戦略・IR室をIR担当部署として設置し、IR担当部署を管掌する取締役をIR担当役員としてIR体制を整備しており、株主や投資家を含むステークホルダーに対し、IR担当が経営企画・総務・経理・人事・事業部門等と十分に連携し、経営・財務状況等を適時適切に開示しております。

株主との対話としては、本決算発表後の事業説明会、アナリスト・機関投資家向けに年2回決算説明会を開催し、代表取締役社長による説明および対話を行っております。また、機関投資家との個別面談や個人投資家向けの会社説明会等を適宜実施し、積極的なIR活動を合理的な範囲で代表取締役社長はじめ経営陣幹部やIR担当が対応しております。

対話により把握いたしました株主・投資家の意見等は、IR担当役員が適切に判断し必要に応じて取締役会等に付議・報告する等、フィードバックを図っております。

なお、対話に際しては、インサイダー情報の管理には社内規程に則り十分留意しながら実施しております。

 

株式会社インベストメントブリッジ
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