(3921)ネオジャパン 持続的成長に向け先行投資を行う
齋藤 晶議 社長 |
株式会社ネオジャパン(3921) |
|
企業情報
市場 |
東証1部 |
業種 |
情報・通信 |
代表取締役社長 |
齋藤 晶議 |
所在地 |
横浜市西区みなとみらい2-2-1 横浜ランドマークタワー 10階 |
決算月 |
1月31日 |
HP |
株式情報
株価 |
発行済株式数 |
時価総額 |
ROE(実) |
売買単位 |
|
2,341円 |
14,859,600株 |
34,786百万円 |
12.8% |
100株 |
|
DPS(予) |
配当利回り(予) |
EPS(予) |
PER(予) |
BPS(実) |
PBR(実) |
7.50円 |
0.3% |
33.66円 |
69.5倍 |
259.69円 |
9.0倍 |
*株価は9/29終値。発行済株式数、DPS、EPSは21年1月期第2四半期決算短信より。ROE、BPSは前期実績。
業績推移
決算期 |
売上高 |
営業利益 |
経常利益 |
当期純利益 |
EPS |
DPS |
2017年1月(実) |
2,116 |
391 |
428 |
296 |
20.64 |
8.50 |
2018年1月(実) |
2,312 |
432 |
451 |
324 |
22.05 |
5.50 |
2019年1月(実) |
2,661 |
528 |
547 |
382 |
25.81 |
6.00 |
2020年1月(実) |
3,742 |
699 |
717 |
495 |
33.38 |
7.50 |
2021年1月(予) |
5,331 |
700 |
720 |
500 |
33.66 |
7.50 |
*予想は会社側予想。2020年1月期より連結決算のため、2020年1月期以降の当期純利益は親会社株主に帰属する当期純利益。
16年2月1日付で1:3、17年7月1日付で1:2、17年11月16日付で1:2の株式分割を実施しており、EPS、DPSは遡及して計算。18年1月期の配当には記念配当1.00円を含む。
株式会社ネオジャパンの2021年1月期第2四半期決算概要等をお伝えします。
目次
1.会社概要
2.2021年1月期第2四半期決算概要
3.2021年1月期業績予想
4.今後の注目点
<参考:コーポレート・ガバナンスについて>
今回のポイント
- 2021年1月期第2四半期の売上高は前年同期比68.6%増の26億21百万円。クラウドサービスの伸長に加え、(株)Pro-SPIREの子会社化が寄与。営業利益は同64.9%増の5億69百万円。増収によりクラウドサービスの原価増、Pro-SPIRE社の原価、人件費増、研究開発費増を吸収した。システム開発サービス事業はソフトウェア事業よりも収益性が低いため、粗利率以下利益率は低下した。
- 2021年1月期の業績予想を上方修正した。売上高は据え置き、前期比42.4%増の53億31百万円の予想。9期連続増収で過去最高を更新する。従来型の営業活動の見直しや役務作業の実施に制約があったものの、上期は概ね当初想定どおりに推移。ソフトウェア事業のクラウドサービス売上は下期も引き続き堅調に推移すると見込むが、プロダクト売上は上期における営業活動の制約が下期に影響を及ぼす可能性がある。また、システム開発サービス事業についても、当初見込んでいた案件が想定どおりに発生するか不透明な状況にある。
- 営業利益は7億円の予想。20%減益予想から前期並みへ。上期に開催が予定されていた展示会が中止となったこと、営業活動が制約されたこと、海外子会社事業の本格化が遅延したことなどにより、広告宣伝費や販売促進費などの費用が当初計画通りに消化されなかったことを主要因に、上期は想定を上回る水準で推移した。下期も新型コロナウイルス感染症の影響によりリモートワーク等、新たな働き方に資するツールに対する注目はますます高まっていることから、通期では前期並みの利益水準を維持できると見ている。
- こうした状況下、「企業体質の強化」「認知度やブランド力の向上」「ヒトへの投資」「新たなビジネスフィールドの開拓」など、今後の持続的な成長に向けた先行投資を積極的に行う。
- 配当は前期と同じく比7.50円/株を予定。予想配当性向は22.3%。
- 通期予想を上方修正した。当初は減益予想であったが、前期並みまで回復すると見込んでいる。ただ、業績修正発表の翌日株価は急落。上期の利益は想定を上回ったものの、新型コロナウイルスの影響で費用が計画を下回ったためであった点を市場は嫌気したようだ。会社側は上期に発生した余力を積極的な先行投資に振り向ける考えで、中期的にはこの投資がどのように結実するのかを注目したい。一方、短期的には不透明な環境が続く中、第3四半期以降、トップラインを維持できるかを見ていきたい。
1.会社概要
「リアルなITコミュニケーションで豊かな社会形成に貢献する。」を経営理念に、ウェブ技術をベースとしたビジネスコミュニケーションツールである「グループウェア(※)」の開発と販売、クラウドサービスの提供により企業の業務効率向上、コスト削減を支援している。主力製品「desknet’s」の販売累計ユーザー数は430万人(2020/8月末時点)。価格、信頼性、運用性等が高く評価され、顧客満足度は6年連続No,1となっている(日経コンピュータ誌 グループウェア/ビジネスチャット部門)。
海外市場の開拓にも乗り出し、更なる成長を目指している。
(グループウェアとは?)
企業のネットワークを活用した情報共有のためのソフトウェア。
管理者が設定したネットワークのサーバー上でグループのメンバーは情報共有や,スケジュール管理,文書情報のデータベースなどを共有することができる。
たとえば会議の予定を決める場合,ひと目で自分やメンバーの予定を把握でき、予定表に都合のよい日時を簡単に登録できたり、連絡や決定事項を電子メールで伝えたりするほか、文書の共有などもできる。
業務効率の向上、コストの削減、意思決定の迅速化、組織横断の情報共有等を図ることが出来ることから、近年導入を進める企業や団体が増加している。
【1-1 沿革】
日本電信電話公社(現NTT)で光通信方式の研究に携わり、通信技術の高いノウハウを評価されていた齋藤 晶議(さいとう あきのり)氏(現 同社代表取締役社長)は、国内中堅ソフト会社に転籍後、東京電力の通信・インフラプロジェクトに参画し技術責任者を務めていた。
当時、世の中での理解も浅く未知のものであったインターネットにいち早く関心を持っていた同氏は、インターネットを使えば自分達で世の中を大きく変えることが出来るのではないかという可能性に魅了され、プロジェクトが終了した1992年、29歳で株式会社ネオジャパンを設立した。
当初は東京電力や他電力会社からの受託開発を行っていたが、外注先のスケジュール管理のために、グループウェアの一機能であるカレンダーを自分で開発したところ大変便利で、外部からも使わせてほしいという要望も届くほどであった。
当時既にグループウェアはあったものの、大企業向けのものしかなく価格も高かったが、10分の1のコストでも開発可能であることに加え、何より便利であるため多くの中小・中堅企業は喜んで使ってくれるだろうと考え、1999年、グループウェア「iOffice2000」の販売を開始、2002年には後継の「desknet’s」をリリースした。
販売方法も、インターネットを通じてライセンスを発行、ダウンロードしてもらうというもので、現在は当たり前ではあるが当時としては画期的なものであった。
想定通り導入を躊躇していた企業のニーズを確実に取り込み、業容は急速に拡大。2012年には現在の主力製品「desknet’s NEO」の提供を開始し、翌2013年にはクラウド版をリリースした。
累計販売ユーザー数が300万人を超え、多数のユーザーに対する社会的責任を果たすためには今まで以上にしっかりとした企業経営を目指す必要があると考え、2015年、東証マザーズに上場し、2018年には東京証券取引所市場第一部へ上場市場変更した。
【1-2 企業理念・経営理念】
経営理念 |
リアルなITコミュニケーションで豊かな社会形成に貢献する。 |
ウェブ技術をベースとしたビジネスコミュニケーションツールの開発と販売により、働く人すべてを支え、社会の発展に貢献することを目的に事業を展開している。
従来の概念を覆す発想と、日本企業ならではの心配りで、品質の高い製品やサービスを社会に提供し続けることを目指している。
(社名の由来)
一部の先進企業だけでなく、すべての企業に優れたITのメリットを提供し、コンピュータの力で日本企業と社会のコミュニケーションを変えていく。そのような願いを込めて社名を「ネオジャパン(新しい日本)」とした。
【1-3 市場環境】
(1)グループウェア市場動向
2018年度の国内ソフトウェア市場は約1.2兆円で、うちグループウェア市場は1,808億円と約14%を占め、相対的に大きな市場を構成している。
同市場は2023年度には2,292億円まで、年率4.9%で成長すると見込まれている。
提供形態としては自社によるサーバーの設置が必要なプロダクト版が減少する一方、初期費用が不要で導入が容易なクラウド版の割合が上昇すると予想されている。
(同社資料より)
(2)同社のポジショニング
グループウェア市場においては外資を含めた大手ベンダーが高いシェアを有しているが、ローカライズを含めた機能面、コスト面等から「desknet‘s NEO」が優位にあるとネオジャパンでは見ている。
パッケージ市場、クラウド市場双方においてその優位性を武器にシェアを拡大していく考えだ。
(以下は、同社資料に記載された富士キメラ総研のコメントである)
①パッケージ市場
同社は大規模組織向けパッケージ市場の新規ID数において、2017年よりトップシェアを維持している。
多機能かつ低コストである点を強みとして大手企業を中心に導入(中略)、今後は公共(官公庁・地方自治体)への導入を進めていくことで、堅調な売上確保を見込んでいる。
(ネオジャパン社資料から引用:出典:富士キメラ総研)
②クラウド市場
2019年4月に他社では無料グループウェアサービス提供を終了するなど、有料クラウドサービス化が進み、企業に向けてリプレイスアプローチを進めていくことで売上拡大を図っているベンダーも多数みられている。
ネオジャパンは、SaaSにおいても多機能かつ低コストで利用できる点を訴求し拡販を進めており、中堅/中小企業への新規導入、大手企業からリプレース案件を獲得したことで、前年度比で2桁成長がみられている。
今後は、「desknet‘s NEO」の機能を補完する同社製品群とのクロスセルによって、既存のグループウェア製品を逸脱した機能性を訴求し、売上拡大を図っていく方針である。
(ネオジャパン社資料から引用:出典:富士キメラ総研)
【1-4 事業内容】
報告セグメントは「ソフトウェア事業」と「システム開発サービス事業」の2つ。
前々期まではソフトウェア事業の単一セグメントであったが、2019年9月に株式会社Pro-SPIREを子会社化したことに伴い前期よりシステム開発サービス事業が加わった。
(1)ソフトウェア事業
ネオジャパンが展開。主力のグループウェア「desknet's NEO」を中心に、ビジネスチャット、Webデータベース、企業向けWebメールシステム、大容量ファイル送受信システム、営業マネジメントシステム、顧客情報管理システムなどの開発・販売が中心で、グループウェアや関連製品をインターネット経由で提供する「クラウドサービス」、グループウェアや関連製品のライセンス販売を行う「プロダクト」、ソフトウェアの受託開発を行う「技術開発」の3分野に区分される。
①主力製品「desknet's NEO」
沿革でも触れたように、同社はグループウェアの開発・販売で成長を遂げてきたが、今後の更なる成長を牽引するのがグループウェア「desknet's NEO」である。
「desknet's NEO」は徹底した「現場主義」を貫く同社自社開発のグループウェアで、日本のワークスタイルや商習慣に合わせた設計で日々の業務効率を向上させるとともに、社内の活性化に貢献することを目指しており、以下のような特徴を持っている。
(特徴)
*使いやすさ
シンプルかつ統一された画面デザインで、初めて使う人でも見やすく使いやすいインターフェースを構築。
「やさしさ」と「わかりやすさ」で現場に寄り添い、仕事を支えている。
マルチデバイスに対応しており、スマートフォン、タブレットからもストレスなく利用できる。
*高機能
スケジュール、インフォメーション、ウェブメールといった基本的な機能に加え、本格的なワークフローや社内SNS、グローバル設計に対応した27のアプリケーションを標準で提供している。アプリケーション間の連携もスムーズに行える。
スケジュールや会議室予約、メールにとどまらず、現場がいま抱えている課題をグループウェアの枠にとらわれず解決する。
*27のアプリケーションを標準装備
また、カスタムメイド型業務アプリ作成ツール「AppSuite(アップスイート)」を用いれば、現場のさまざまな業務を4ステップでアプリ化することができる。作成したアプリは「desknet's NEO」の一機能として利用出来るため、各企業ごとの現場の状況に応じて、より一層現場の業務処理を効率化することが出来る。
(同社資料より)
*Amazonビジネスとの連携機能を搭載
2019年7月のバージョンアップでは新たに「Amazon ビジネス」と連携し、購買管理機能を搭載した。
法人向けアマゾン「Amazon ビジネス」との連携は、グループウェアでは日本初(ネオジャパン社調べ)。
ユーザーは商品選びから稟議・発注にかかる処理をすべて自動化することで、ビジネス購買の社内手続きにかかる工数とコストを大幅に削減することができる。
今後は拡販に向け、Amazon ビジネスと共同でテレマーケティングやイベント開催に取り組んでいく。
*導入実績
47都道府県の960以上の官庁や自治体を含め、業種、業態、規模を問わず、多くの企業や団体が導入。販売累計ユーザー数(アカウント数)は約430万人(2020/8月末時点)にのぼる。
(提供形態)
クラウド版とパッケージ版の2形態で提供しているが、近年は、「グループウェアの導入に手間をかけたくない。」、「ITの知識や経験が少ないスタッフが多く、専任管理者が置けない。」、「安心できるセキュリティ環境で運用したい。」、「初期費用も運用コストもなるべく抑えたい。」といった企業ニーズに対応して、クラウド版の成長が著しい。
(販売体制)
自社販売も行っているが、同社は原則開発に特化し、主としてパートナーと呼ぶトータル約600社に上る販売代理店やASP事業者(※)経由の販売が中心である。
(※)ASP事業者
アプリケーションソフトの機能をネットワーク経由で顧客にサービスとして提供することを事業として営んでいる事業者。
②売上区分
②‐1クラウドサービス
「desknet's NEO」を主力製品とする自社開発のグループウェア及びその関連製品を低価格かつ信頼性の高いクラウド環境においてオンデマンドで提供している。
ユーザーはインターネット環境さえあれば、サービスを利用することができ、サーバーなど特別なシステム投資やシステムに関する知識なしで利用できる。
初期費用は不要で、顧客は利用するユーザー数分の月額または年額料金のみを支払う「サブスクリプションモデル(利用権の期間購入型モデル)」である。
最低5ユーザーから契約可能で上限はない。
1ユーザー当り月額利用料400円はクラウドサービスでは業界最安値である。
②-2 プロダクト
「desknet's NEO」を主力製品とする自社開発のグループウェア及びその関連製品をライセンス販売。それに伴うカスタマイズ、役務、サポートサービスの提供も行っている。
顧客はライセンスを購入し、社内サーバーや仮想環境、レンタルサーバー、クラウド環境などにインストールして利用する。
ユーザー数が5~300ユーザーの中規模・小規模ユーザーに対しては「スモールライセンス」を、ユーザー数が300~数万ユーザーの大規模ユーザーに対しては、「エンタープライズライセンス」を販売している。
|
スモールライセンス |
エンタープライズライセンス |
概要 |
低価格で導入できる中小規模顧客向けライセンス |
大規模な構成や高可用性構成に対応できる大規模向けライセンス |
価格 |
5ユーザー 39,800円 ~ 300ユーザー 998,000円 |
100ユーザー 410,000円 ~ 無制限ユーザー 13,000,000円 |
利用可能ユーザー数 |
5~300ユーザー |
100~数万ユーザー |
年間サポートサービス |
初年度無償 2年目から任意で別途購入 5ユーザー 10,000円 ~ 300ユーザー 150,000円 |
初年度から別途購入(必須) 100ユーザー 90,000円 ~ 無制限ユーザー 2,340,000円 |
②-3技術開発
インターネット・イントラネット関連の業務アプリケーションを個別に受託開発している。コンサルティングからアプリケーション・システムの企画・設計・開発・ネットワークインフラ構築等、システムにかかわるあらゆるサービスを統合的に提供。
技術を自社に蓄積することを目的としており、「クラウドサービス」、「プロダクト」における製品・サービスの開発につながるような開発案件の受託が中心である。
(2)システム開発サービス事業
子会社(株)Pro-SPIREが展開。長年培ってきたクラウドインテグレーション、システムインテグレーションのノウハウを基礎に技術者の育成を図り、先端技術を活用し新たな顧客ニーズを満たすシステムエンジニアリングサービスを主に提供している。
【1-5 今後の成長戦略】
(1)成長戦略
今後の成長戦略として以下の3点を挙げている。
①グループウェア市場での一層のシェア拡大
営業力の強化と一層の高機能化による付加価値アップでシェア拡大を目指す。
「累計1,000万ユーザー獲得」、「国内シェアNo.1獲得」を目標として掲げている。
(今後の市場環境)
「市場環境」の項で触れたように、機能面、コスト面等から「desknet‘s NEO」が優位にあるとネオジャパンでは見ており、パッケージ市場、クラウド市場双方においてその優位性を武器にシェアを拡大していく考えだ。
(具体的な施策)
「機能優位性の維持」
「desknet‘s NEO」の27の基本機能に加え、外資系が不得手とするローカライゼーション(日本語対応、日本の商習慣、ビジネス習慣など)へ的確に対応する。
「ユーザーエクスペリエンスの向上」
「desknet‘s NEO」の特長である直感的な操作性を更にブラッシュアップする。
「他サービス、他製品との連携拡大」
同社では最新のコミュニケーションツールやミドルウェアの投入等で機能をアップし、他社製品との差別化を図っていく考えだ。
グループウェア「desknet‘s NEO」とこれら他サービスや他製品との連携を拡大し、よりユーザーにとって使いやすい製品とする。
「全国販売網の強化」
主要各都市に営業所を開設し、地場パートナーの囲い込みを図る。2019年5月には名古屋営業所を開設。福岡には準備室を開設した。
「ブランディング・認知度向上」
従来、技術開発に経営資源を集中していたため、「desknet’s」製品は相対的に市場での認知度が低い。企業信用力の増大に加え、ブランド認知度の向上を図る。健康経営やESG経営の推進も重要な課題であると考えている。
②Pro-SPIRE買収によるシナジー効果
2019年8月に子会社化したPro-SPIRE社はシステムインテグレーション・クラウドインテグレーション事業においては、企業の情報システムやソフトウェアの設計・開発及び運用など総合的なITサービスをFinancial system(金融系システム)、Embedded system(組込系システム)およびSolution system(ソリューションシステム)の分野で提供している。
また、ウェブマーケティング事業では広告の提案・運用にとどまらず、集客・接客・再来訪など各種マーケティング施策を提供している。
同社買収により以下2つのシナジーを期待している。
*大型案件の創出とSI、カスタマイズおよび運用・保守
Pro-SPIRE社の有する多数のエンジニアを活用し、desknet’s NEO受託案件の拡大や、カスタマイズ要件に対する柔軟な対応を拡大するほか、開発のみならず安定したサービス運用を顧客に提供する。
また、案件単価や事業利益率の向上も期待している。
*拡大戦略における技術開発人材の確保
技術ポテンシャルを有する人材の確保と教育、製品開発および受託案件へのリソースの適切な配分、将来の安定的な技術開発チームの確立などを通じて、新しい技術要素への積極的な取り組みが可能になると考えている。
③海外展開
*DELCUI Inc.を設立
2019年6月、米国・日本・東南アジア間のビジネスパイプ役を担い、グローバルネットワークを構築するため米国に100%子会社DELCUI Inc.を設立した。
同社設立により、米国内で実績あるプロダクトや進んだテクノロジーを日本及び東南アジア市場へ展開し、NEOJAPANグループにとって新たな柱となるビジネスを起ち上げることに加え、グローバル市場をターゲットとした製品企画、開発及び販売を実施するために必要なリソースの獲得やネットワークの構築を行う。
こうした目的を達成するために、以下のような戦略を推進する。
*アライアンス活動を通じた米国内リレーションの構築
(アライアンス案件・技術・販売パートナー・メンターの獲得)
*既存ビジネスユーザーへのアップセルやパートナーへの働きかけを実施するほか、日本及び東南アジアでの事業開発を無駄なく、効率的に実施する。
*アライアンス活動を通して得たビジネス、技術ノウハウを生かし製品企画や開発を行う。
*マレーシアからASEANへの進出を開始
2019年12月、マレーシアにおいて、マレーシア企業「Tazaki Holdings Sdn. Bhd.」とJV方式で合弁子会社「NEOREKA ASIA Sdn.Bhd.」を設立した。(REKAはマレー語で新しいデザイン・考え方という意味)
(設立の背景)
ネオジャパンは以前よりグローバル市場展開の第一歩として東南アジア市場をターゲットとした同社製品の販売を計画。2018年には「マレーシアプロジェクト」を発足し、パートナー企業の力を借りて、東南アジア市場でのテストマーケティング販売を行ってきた。
その結果、「desknet’s NEO」導入企業の製品評価は大変高く、一定の手ごたえを得ることができた。また、ソフトウェア販売事業に関わる有力なパートナーからの助言を受け、さらなるマーケティングの実施や事業について議論を重ねた結果、TAZAKI Holdings Sdn.Bhd.と合弁会社を設立し、DaaS(※)を基盤にした新たなソフトウェア販売事業を立ち上げることについて合意した。出資比率は、ネオジャパン70%、Tazaki Holdings社30%。
※Daas:コンピュータのデスクトップ操作画面をネットワークを通じて遠隔の端末へ提供するサービス。利用者ごとにフル機能のコンピュータ一式を揃えなくても簡易な端末などを通じてデスクトップ環境を利用できる。
(今後の展開)
ワンストップクラウドサービスの提供により、東南アジア企業のビジネスの働き方に貢献するほか、ネオジャパンの海外進出の中核拠点として新たな挑戦を行う。
具体的には、マレーシアのみならず、タイ、ベトナムなど東南アジア市場での販売拡大を目論み、新たな販売チャネルを開拓するほか、desknet’sNEOを含むクラウドサービスの充実、サポート体制強化に取り組む。
また、東南アジアからの優秀な技術人材確保を目指し、継続的な海外からの採用ルートを確立する。
(2)成長イメージ
既存のグループウェアを核に、ビジネスに不可欠なコミュニケーションツールを開発し、常に業界をリードする製品・サービスを提供し続ける事を目指している。
グループウェア販売強化と海外展開 |
既存のグループウェアのバージョンアップと機能強化を継続するとともに、クラウドサービスでは高技術力をベースとしたセキュリティ面で差別化による販売拡大を図る。
プロダクト、クラウドサービスでは営業拠点拡大、営業力・マーケティング力の強化を行い、一層のシェア拡大を図り、業界内での地位を盤石のものとし、グループウェア市場No.1を目指す。
海外パートナーとのアライアンスにより、マレーシアを中核として東南アジア市場への進出・販売を開始する。 |
企業にとって戦略的なコミュニケーションツールを開発・提供、一層の差別化を図る |
既存のグループウェアを核として、今後の社会、企業形態、ビジネス動向を見据えた、より高付加価値のツールへと進化させる。
企業にとって効率化を実現するだけでなく、事業戦略上不可欠な新しいITコミュニケーションツールの提供と事業を開発。それにより、他社との差別化を一層深化する。
海外展開を加速し、今後の発達が見込まれる東南アジアのコミュニケーション市場でのデファクトスタンダードを狙う。 |
(同社資料より)
(3)課題
以上のような戦略により成長を実現させるためには、「製品の価値拡大・向上によるユーザーの利用拡大」、「新プロダクト、新サービス提供による顧客市場の拡大」が事業課題である。
前者においては、働き方改革への提言、生産性拡大の実証、ビックデータ利用によるグループウェアの新たな価値向上が、後者においては、新プロダクトに向けた新技術の習得、新アライアンスや事業提携の推進、新市場(海外等)への挑戦が欠かせない。
そのためには、人材の獲得・育成とアライアンスが鍵と考えており、新卒採用強化、M&A、人事制度改革などへ積極的に投資していく方針である。
【1-6 特長と強み】
①顧客及び販売パートナーの高い満足度
日経コンピュータ「顧客満足度調査2020-2021」においてグループウェア/ビジネスチャット部門で6年連続となるNo.1の評価を得た。
コスト、性能・機能、サポート、運用性、信頼性全項目で第1位であった。
また、販売パートナーからの評価も高く、顧客、販売パートナー双方から高く評価されている点は同社製品の強力な競争優位性となっている。
また、日経BPガバメントテクノロジー誌の「自治体ITシステム満足度調査2020-2021」においてもグループウエア/ビジネスチャット部門で3年連続No.1となり、調査5項目中、「性能・機能」「信頼性」「運用性」「コスト」の4項目においてNo.1評価であった。
社員の約6割が開発関連部署に属するという高い技術力に加えて、使いやすさ、サポート体制なども含めた総合力で、他を大きくリードしている。
②サービスおよびコスト面で優位性
グループウェア市場でのメインプレーヤーを見ると、外資系を含めた大手ベンダーが高いシェアを有しているが、サービス面、コスト面では同社製品が優位にあり、この点が上記の満足度にも繋がっている。
機能面では、外資系企業は、ローカライゼーション(日本語対応、日本の商習慣、ビジネス習慣など)への対応が不充分なこともあり、国内ベンダー製品に対する評価が外資系を上回っている。
同社のシステムは27の基本機能数を備え、日系ベンダー他社のサービスよりも機能数で上回っている。
コスト面では、外資系ベンダーは大企業向けのサービスが中心で、導入コスト、単位当たりコストとも高くなる傾向にある。
同社システムの導入・運営コストは日系他社と比較しても、クラウドサービスの場合、月額で約1/2、プロダクト(現地でのハードウェアを含んだインストールベース)でも、約1/2となっており、業界最安値となっている。
(同社資料より)
③安定収益を実現するビジネスモデル
主力事業であるクラウドサービスは月額課金が中心で売上が毎月積み上がる「サブスクリプションモデル」。
またプロダクトにおいても、パッケージの買取後のサポートサービスを提供して継続的な無償バージョンアップすることが可能であり、同社ではこの2つを合わせて「ストック事業」と定義している。
加えて、同社製品の販売は主としてパートナー経由であり、固定費が低水準であること、一旦導入されれば使いやすさや低コストといった点で継続して利用する顧客が多数であることなどから、安定収益を実現するビジネスモデルを確立している点も、同社の注目すべき特徴である。
ストック事業比率は年々上昇しており、2020年1月期で77%。
(同社資料より)
④各事業の相乗効果で継続的な成長を追求
主力事業であるクラウドサービスのサブスクリプションモデル化により市場拡大を図ると同時に、同事業で得た市場からのフィードバックを活かし、技術開発で革新的な新技術を習得し、プロダクトでその新技術を製品化ないしバージョンアップに取り組み、収益力を更に強化するというサイクルを回し、成長を追求している。
また(株)Pro-SPIREの子会社化によりシステムエンジニアリングサービスを強化し、成長スピードをさらに加速する考えである。
⑤健康経営への取り組みを強化
業務効率化や生産性向上など導入先の「働き方改革」に資するグループウェアを主力商品として提供するネオジャパンは、同社自身も「健康経営」に対する意識を強めている。
「健康経営」とは、従業員等の健康管理を経営的な視点で考え、戦略的に実践すること。企業理念に基づき、従業員等への健康投資を行うことは、従業員の活力向上や生産性の向上等の組織の活性化をもたらし、結果的に業績向上や株価向上につながると期待される。(経済産業省ウェブサイトより)
スポーツの好きな斎藤社長はスタッフに対しても「運動や食事の大切さ」、「仕事と夢(プライベート)のバランス」などを以前より常日頃から語りかけてきたが、ウェブサイトの株主・投資家へ向けたトップメッセージにあるように、今後の健康経営の実践・推進をコミットしている。
「経営理念の実践とグローバル展開も視野に入れた挑戦を実現するために、ひとりひとりが心身ともに健康で思う存分に能力を発揮できる職場環境を整備し、健康経営を推進してまいります。」(同社ウェブサイトより。一部筆者修正。)
こうした取り組みの結果、2020年3月に経済産業省が制度設計を行い、日本健康会議が認定する「健康経営優良法人2020(大規模法人部門)」に認定された。今後は、経済産業省と東京証券取引所が共同で選定・公表する「健康経営銘柄」への採用も目指していくということだ。
【1-7 株主還元】
株主還元を重要な経営課題と認識している。
配当性向の目安は20%以上。
また、株主優待も実施しており、中間期末及び通期末の株主に対し、100株以上200株未満保有者には500円のクオカード1枚を、200株以上保有者には1,000円のクオカード1枚を贈呈している。
【1-8 ROE分析】
|
16/1期 |
17/1期 |
18/1期 |
19/1期 |
20/1期 |
ROE(%) |
11.2 |
11.1 |
10.9 |
11.7 |
12.8 |
売上高当期純利益率(%) |
12.93 |
14.01 |
14.02 |
14.36 |
13.23 |
総資産回転率(回) |
0.63 |
0.59 |
0.59 |
0.62 |
0.65 |
レバレッジ(倍) |
1.38 |
1.33 |
1.31 |
1.32 |
1.50 |
*2020年1月期から連結決算開始のため、計算にあたっては期末自己資本及び期末総資産を使用。
ROEは引続き2桁で推移している。資産効率の改善が進めば更なる向上が期待できよう。
2.2021年1月期第2四半期決算概要
(1)損益概要
|
20/1月期2Q |
構成比 |
21/1月期2Q |
構成比 |
前年同期比 |
売上高 |
1,554 |
100.0% |
2,621 |
100.0% |
+68.6% |
売上総利益 |
1,082 |
69.6% |
1,366 |
52.1% |
+26.3% |
販管費 |
736 |
47.4% |
797 |
30.4% |
+8.2% |
営業利益 |
345 |
22.2% |
569 |
21.7% |
+64.9% |
経常利益 |
354 |
22.8% |
585 |
22.3% |
+65.4% |
四半期純利益 |
242 |
15.6% |
397 |
15.2% |
+64.3% |
*単位:百万円。20/1月期2Qは非連結。21/1月期2Qの四半期純利益は親会社株主に帰属する四半期純利益。前年同期比は参考値。株式会社インベストメントブリッジが計算。
増収増益
売上高は前年同期比68.6%増の26億21百万円。クラウドサービスの伸長に加え、(株)Pro-SPIREの子会社化が寄与。
営業利益は同64.9%増の5億69百万円。増収によりクラウドサービスの原価増、Pro-SPIRE社の原価、人件費増、研究開発費増を吸収した。システム開発サービス事業はソフトウェア事業よりも収益性が低いため、粗利率以下利益率は低下した。
(2)セグメント別動向
|
20/1月期2Q |
構成比 |
21/1月期2Q |
構成比 |
前年同期比 |
売上高 |
|
|
|
|
|
ソフトウェア事業 |
1,554 |
100.0% |
1,699 |
64.8% |
+9.3% |
システム開発サービス事業 |
– |
– |
933 |
35.6% |
– |
調整 |
– |
– |
-11 |
– |
– |
合計 |
1,554 |
100.0% |
2,621 |
100.0% |
+68.6% |
営業利益 |
|
|
|
|
|
ソフトウェア事業 |
345 |
22.2% |
472 |
27.8% |
+36.8% |
システム開発サービス事業 |
– |
– |
96 |
10.4% |
– |
合計 |
345 |
22.2% |
569 |
21.7% |
+64.9% |
*単位:百万円。営業利益の構成比は売上高営業利益率。
①ソフトウェア事業
クラウドサービスが前年同期比2桁増収。営業利益は同36.8%増。クラウドサービスの成長に伴い原価が増加したほか、人件費も増加したが、広告宣伝予算のコスト未消化で計画を上回る増益となった。売上高営業利益率も5.6ポイント上昇した。
◎区分別売上動向
|
20/1月期2Q |
21/1月期2Q |
前年同期比 |
クラウドサービス |
846 |
1,015 |
+20.0% |
プロダクト |
654 |
650 |
-0.6% |
技術開発 |
53 |
33 |
-38.4% |
ソフトウェア事業売上高合計 |
1,554 |
1,699 |
+9.3% |
*単位:百万円
*クラウドサービス
増収。2020年8月末のユーザー数は33.8万人となった。
「desknet’s NEOクラウド版」の利用ユーザー数は順調に増加。同サービス売上は同21.9%増の8億18百万円となった。
AppSuiteクラウド版はクラウドサービス全体に占める売上の割合は小さいものの、同87.9%増の23百万円、ASP事業者向けのカスタマイズ売上が発生し役務作業売上高は同58.5%増の36百万円。
*プロダクト
減収。
中小規模ユーザー向けのdesknet's NEOスモールライセンス売上は、前年同期比8.7%減収の36百万円。クラウドサービスの利用が一般化してきているため減少傾向にある。
大規模ユーザー向けのdesknet's NEOエンタープライズライセンス売上は同7.6%減の99百万円。エンタープライズとしては比較的規模の小さいユーザ数の顧客に対する販売本数が前年同期と比較して減少した。
ChatLuckライセンス売上は同72.1%増の22百万円。自治体での大型導入があった。
旧製品を含むdesknet's NEOのサポートサービス売上は同6.9%増の3億1百万円。
カスタマイズ売上は前年並み。
役務作業売上は同19.2%減の47百万円。新型コロナウイルス感染症の影響で4-6月の受注数が減少した。
同社製品との連携製品であるID統合管理ソフトウェアなどの転売売上は同40.1%減の24百万円。
*技術開発
積極的に受託開発を行う方針ではないため、売上高は前年同期比38.4%減の33百万円。
②システム開発サービス事業
従来からのシステム・インテグレーションサービスの維持・規模の拡大に加え、主要顧客である生損保業界のシステム構築において、基幹系(SoR)と情報系(SoE)のノウハウを両輪で持つことを強みとしての提案、受注活動を実施し、収益力・生産性の向上に取り組んだ。
(3)財務状態とキャッシュ・フロー
◎主要BS
|
20年1月末 |
20年7月末 |
|
20年1月末 |
20年7月末 |
流動資産 |
3,730 |
3,922 |
流動負債 |
1,362 |
1,396 |
現預金 |
2,996 |
3,195 |
仕入債務 |
154 |
140 |
売上債権 |
538 |
582 |
前受収益 |
533 |
622 |
固定資産 |
2,057 |
2,218 |
固定負債 |
569 |
580 |
有形固定資産 |
57 |
57 |
負債合計 |
1,931 |
1,976 |
無形固定資産 |
322 |
321 |
純資産 |
3,856 |
4,163 |
投資その他の資産 |
1,676 |
1,839 |
負債純資産合計 |
5,788 |
6,140 |
資産合計 |
5,788 |
6,140 |
|
|
|
*単位:百万円。
◎キャッシュ・フロー
|
20年1月期2Q |
21年1月期2Q |
増減 |
営業CF |
306 |
456 |
+149 |
投資CF |
-183 |
-129 |
+53 |
フリーCF |
123 |
326 |
+202 |
財務CF |
-84 |
-137 |
-53 |
現金同等物残高 |
2,646 |
2,993 |
+347 |
*単位:百万円。20年1月期2Qは非連結。増減は参考値。株式会社インベストメントブリッジが計算。
営業CF、フリーCFのプラス幅は拡大。キャッシュポジションは上昇した。
(4)トピックス
①製品強化を推進
成長戦略の具体的施策に掲げている「機能優位性の維持」「ユーザーエクスペリエンスの向上」に取り組んだ。
*業務アプリ作成ツール「AppSuite」に英語インターフェースを追加した。ユーザーは国内外を横断したグローバルな業務フローの構築が可能になった。
*ビジネスチャット「ChatLuck」用アプリのUI・UXを向上させたアップデート版を8月25日より提供開始した。
3.2021年1月期業績予想
(1)連結業績見通し
|
20/1月期 |
構成比 |
21/1月期(予) |
構成比 |
前期比 |
修正率 |
売上高 |
3,742 |
100.0% |
5,331 |
100.0% |
+42.5% |
0.0% |
営業利益 |
699 |
18.7% |
700 |
13.1% |
+0.1% |
+29.6% |
経常利益 |
717 |
19.2% |
720 |
13.5% |
+0.4% |
+28.6% |
当期純利益 |
495 |
13.2% |
500 |
9.4% |
+1.0% |
+42.0% |
*単位:百万円。予想は会社側予想。
業績予想を上方修正。9期連続の増収、利益は前期並み。
業績予想を上方修正した。
売上高は据え置き、前期比42.4%増の53億31百万円の予想。9期連続増収で過去最高を更新する。
従来型の営業活動の見直しや役務作業の実施に制約があったものの、上期は概ね当初想定どおりに推移。ソフトウェア事業のクラウドサービス売上は下期も引き続き堅調に推移すると見込むが、プロダクト売上は上期における営業活動の制約が下期に影響を及ぼす可能性がある。また、システム開発サービス事業についても、当初見込んでいた案件が想定どおりに発生するか不透明な状況にある。
営業利益は7億円の予想。20%減益予想から前期並みへ。
上期に開催が予定されていた展示会が中止となったこと、営業活動が制約されたこと、海外子会社事業の本格化が遅延したことなどにより、広告宣伝費や販売促進費などの費用が当初計画通りに消化されなかったことを主要因に、上期は想定を上回る水準で推移した。下期も新型コロナウイルス感染症の影響によりリモートワーク等、新たな働き方に資するツールに対する注目はますます高まっていることから、通期では前期並みの利益水準を維持できると見ている。
こうした状況下、今後の持続的な成長に向けた先行投資を積極的に行う。
*SDGsも意識しながら、企業体質の強化を積極的に進め、社会から信頼される存在としての基盤を固める。
*認知度やブランド力の向上のため、従来と異なるアングルからの取り組みを進める。
*社員の能力開発や優秀な人財の採用など「ヒトへの投資」や、海外を含めた「新たなビジネスフィールドの開拓」なども積極的に進める。
配当は前期と同じく7.50円/株を予定。予想配当性向は22.3%。
(2)区分別売上動向
|
20/1月期 |
21/1月期(予) |
前期比 |
クラウドサービス |
1,767 |
2,073 |
+17.3% |
プロダクト |
1,236 |
1,222 |
-1.1% |
技術開発 |
77 |
67 |
-13.0% |
システム開発サービス |
661 |
1,927 |
+191.5% |
*単位:百万円
*クラウドサービス
「desknet’s NEO」の拡販と合わせて、クロスセルで、AppSuite、ChatLuckの売上増を見込む。大型案件の受注も見込んでいる。
*プロダクト
エンタープライズライセンスや保守サービスの堅調な受注を見込んでいる。
*システム開発サービス
今期から株式会社Pro-SPIREの新規連結分がフル寄与。システム・インテグレーションサービスの維持・規模の拡大、基幹系(SoR)と情報系(SoE)のノウハウを活かす。
4.今後の注目点
通期予想を上方修正した。当初は減益予想であったが、前期並みまで回復すると見込んでいる。ただ、業績修正発表の翌日株価は急落。上期の利益は想定を上回ったものの、新型コロナウイルスの影響で費用が計画を下回ったためであった点を市場は嫌気したようだ。
会社側は上期に発生した余力を積極的な先行投資に振り向ける考えで、中期的にはこの投資がどのように結実するのかを注目したい。一方、短期的には不透明な環境が続く中、第3四半期以降、トップラインを維持できるかを見ていきたい。
<参考:コーポレート・ガバナンスについて>
◎組織形態、取締役、監査役の構成
組織形態 |
監査役設置会社 |
取締役 |
7名、うち社外3名 |
監査役 |
3名、うち社外3名 |
◎コーポレート・ガバナンス報告書
最終更新日:2020年4月27日
<基本的な考え方>
当社の経営理念は、「リアルなITコミュニケーションで豊かな社会形成に貢献する」であります。
この経営理念のもと、取締役及び全従業員が法令・定款を遵守し、健全な社会規範のもとにその職務を遂行し、企業活動を行ってまいります。
<実施しない主な原則とその理由>
原則 |
実施しない理由 |
【補充原則3-1-2 英語での情報開示・提供】
|
現状では、外国人株主比率が5%程度と低いため、コスト等を勘案した結果、現時点においては英語による情報開示は行っておりません。 今後につきましては、外国人株主の持株比率の増加傾向を踏まえ、英語による情報開示を検討してまいります。 |
【補充原則4-1-2 中期経営計画の開示】 |
当社では毎期中期経営計画を策定してはおりますが、当社が事業展開するICT関連、グループウェア市場は経営環境・技術変化が速く、計画が大きく乖離する可能性があるため、開示はしておりません。ただし、毎月の取締役会にて今年度予算数値と実績の乖離分析を行い、今年度予算が目標未達となる場合にもその原因や対応の内容を十分に分析し議論しております。次年度以降の計画と実績の乖離分析は現在行っておりませんが、今後経営統括室を中心に数値を取りまとめ、取締役会での報告を含め検討してまいります。 また、上記の今年度予算の分析結果を勘案して、毎期中期経営計画をローリングして作成しております。現状では、策定した中期経営計画を開示する予定はありませんが、株主の皆様からの要望等により、開示の検討を行ってまいりたいと考えております。 |
<コーポレートガバナンス・コードの各原則に基づいて開示している主な原則>
原則 |
開示内容 |
【原則1-4 政策保有株式の保有目的の説明、議決権行使基準の策定】 |
当社は、現時点では政策保有株式を保有しておりませんが、経営戦略、取引先との関係構築や関係性強化につながり、中長期的に企業価値の向上に資すると取締役会で判断した場合においては、今後他社 の株式を政策的に保有する可能性があります。 政策的に保有することとなった上場株式については、その中長期的なリスク・リターンを勘案し、保有目的に照らした継続保有の合理性について取締役会にて毎年検討を行うこととします。 また、議決権の行使については、個々の株式の発行企業との関係性に応じた定性的かつ総合的な判断が必要であるため、現時点では統一した基準を策定することはしておりません。 |
【補充原則4-11-3 取締役会・監査役会の実効性確保】
|
当社では、2018年1月期より取締役会全体の実効性について、各取締役に対するアンケートを配布し回答結果を集計し、その結果を評価分析しております。また、当該結果の概要につきましては適時適切に開示してまいります。 |
【原則5-1株主との建設的な対話に関する方針】 |
当社は、株主からの対話の申し込みに対しては、前向きに対応しております。株主との建設的な対話促進のために、株主からの対話(面談)の対応部署をマーケティング統括部及び戦略企画室と定め、経理財務担当等と有機的な連携をとることとしております。 主要な機関投資家及び対話の申し込みのあった機関投資家に対しては、主にマーケティング統括部及び戦略企画室にて業績開示後の個別ミーティングを実施しております。 また、現在は株主構成を鑑み、海外機関投資家に対して定期的な個別ミーティングは実施しておりませんが、対話の申し込みのあった海外の機関投資家に対しては、マーケティング統括部及び戦略企画室にてテレフォンカンファレンスを実施し当社および製品の理解に努めております。 また、株主との対話の際には、開示済みの内容をもとに対話することによってインサイダー情報管理に留意しております。 |