アクセスグループ・ホールディングス 通期予想を未定に修正

2020/06/12

 

 

木村 勇也 社長

株式会社アクセスグループ・ホールディングス(7042)

 

 

企業情報

市場

JASDAQ

業種

サービス業

代表者

木村 勇也

所在地

東京都港区南青山1-1-1 新青山ビル東館15F

決算月

9月

HP

https://www.access-t.co.jp/index.html

 

株式情報

株価

発行済株式数(自己株式を控除)

時価総額

ROE(実)

売買単位

748円

1,193,700株

892百万円

0.2%

100株

DPS(予)

配当利回り(予)

EPS(予)

PER(予)

BPS(実)

PBR(実)

1,009.52円

0.7倍

*株価は05/22終値。発行済株式数は直近四半期末の発行済株式数から自己株式を控除。ROE、BPSは前期末実績。

 

連結業績推移

決算期

売上高

営業利益

経常利益

親会社株主帰属利益

EPS

DPS

2016年9月(実)

4,330

162

155

88

96.21

1,000.00

2017年9月(実)

4,505

163

152

121

132.10

1,000.00

2018年9月(実)

4,598

202

183

117

127.56

24.80

2019年9月(実)

4,560

58

38

2

1.82

29.50

2020年9月(予)

* 会社予想は未定。単位:百万円、円。

 

 

(株)アクセスグループ・ホールディングスの2020年9月期第2四半期決算の概要と通期の見通しについて、ブリッジレポートにてご報告致します。

 

目次

今回のポイント
1.会社概要
2.2020年9月期第2四半期決算概要
3.2020年9月期業績予想
4.今後の注目点
<参考:コーポレート・ガバナンスについて>

今回のポイント

  • プロモーション事業、新卒・若年者・外国人の採用を支援する採用広報事業、及び進学希望者に向けたプロモーションを支援する学校広報事業を3本柱とする企業グループの持ち株会社。クライアントは、企業、広告代理店、公的機関、教育機関と幅広い。650社の協力会社との連携を特長とし、プロモーション事業は住宅・不動産やケーブルTV業界等に強く、公的機関にも営業が浸透しており、広告代理店の信頼も厚い。また、入口(学校広報)と出口(採用広報)の展開により、教育機関向けで強固な営業基盤を構築しており、外国人留学生ビジネスでは10年以上の実績を有する。 
  • 20/9期上期は前年同期比12.5%の減収、75百万円の営業損失(前年同期は25百万円の利益)。3月を繁忙期とする採用広報事業が新型コロナウイルス感染症の影響を大きく受けた他、他2事業も複数案件の期ずれやフォーラム利用のキャンセル等が発生した。中止・延期となった案件は限界利益率の高いものが多く、営業損益悪化の主因となった。通期予想については、期初予想をいったん取り下げ、期末10円を予定していた配当予想と共に未定とした。 
  • 緊急事態宣言が解除されても、対面型の企画を想定通り実施できるか流動的であり、また、コロナ不況が企業の採用活動にブレーキをかける可能性があるため、下期の見通しは不透明だ。しかし、その一方で、「防災・衛生」、「オンライン」、「非対面」をキーワードにした営業展開が成果をあげつつある。木村勇也社長も手応えを感じており、コロナ禍収束後の事業展開に自信を深めている。来期以降、アナログ・デジタル、対面・非対面の両面からの事業展開が加速しよう。 

1.会社概要

「人と社会をベストな未来に導くために、心の通うメディアとコミュニケーションの場を創造する」ことを理念とし、広報戦略から運営支援に至るまで、様々な形で企業や教育機関を支援している。事業は、クリエイティブ(DM・パンフレット・Webサイト・サンプリング等の販促物)の制作・印刷・発送代行を中心にセールスプロモーション業務とアウトソーシングを行うプロモーション事業、新卒・若年者・外国人採用広報、人材紹介・派遣、及び採用業務アウトソーシングの採用広報事業、学生・生徒の募集支援や学校運営に係る各種サポートを行う学校広報事業の3事業に分かれる。グループは同社の他、プロモーション事業を手掛ける(株)アクセスプログレス、採用広報事業・学校広報事業を手掛ける(株)アクセスネクステージの子会社2社。

 

【経営戦略】

(1)安定収益基盤の構築と連合企画・個別案件の複合的アプローチによる新規クライアントの開拓
(2)イベントノウハウの蓄積とフォーラムスペースの保有
(3)グループの総合力を結集した外国人留学生向けビジネスの拡大
(4)アナログ・デジタルを融合したフレキシブルな提案力の拡大

 

※ 連合企画と個別案件
連合企画とは、同社グループが自社で企画する広報企画商品の総称である。1つの広告メディア(イベント・新聞・情報誌・Webサイト・交通広告・会報誌同梱広告等)を同社が買い取り、もしくは借り切りとして、複数のクライアントから出展・出稿を募集する。1つのメディアの広告枠を小口化して提供することで、クライアントが出展・出稿しやすくなるだけでなく、スケールメリットにより広告訴求力が向上する。採用広報事業では売上高の約5割、学校広報事業では約3割、プロモーション事業では約1割を連合企画商品が占めている。一方、個別案件とは、クライアント毎の個別ニーズに応じて、営業員が最適な商材やソリューションを選別して提案・受託し、クリエイティブ(ダイレクトメール、会社・学校案内、パンフレット、サンプリング、ノベルティ、ポスター等)の制作や業務代行を請け負う案件の総称である。

 

1-1 事業内容

事業は、(株)アクセスプログレスの事業であるプロモーション事業、(株)アクセスネクステージの事業である採用広報事業及び学校広報事業に分かれる。

 

 

 

16/9

17/9

18/9

19/9

構成比

プロモーション事業

1,554

1,728

1,735

1,845

40.5%

採用広報事業

1,558

1,488

1,594

1,641

36.0%

学校広報事業

1,217

1,288

1,268

1,072

23.5%

連結売上高

4,330

4,505

4,598

4,560

100.0%

プロモーション事業

38

77

78

0

採用広報事業

89

62

97

58

学校広報事業

9

3

3

-17

調整額

25

19

23

17

- 

連結営業利益

162

163

202

58

- 

* 単位:百万円

 

 

プロモーション事業 : (株)アクセスプログレス
クリエイティブ(DM・パンフレット・サンプリング等の販促物)の制作・印刷・発送代行を中心に、キャンペーン、テレマーケティング等も含め、ほぼ全てのプロモーションに対応しており、近年では、リアルとデジタルにまたがる案件の受託も増えている。企業、代理店、公的機関等をクライアントとし、取引先業界は、住宅・不動産、ケーブルテレビ、シニア住居施設、自動車、旅行、外食・小売等、幅広い。営業員の提案活動を効率化するため、都市圏等の比較的顧客が多い地域を中心に展開している。

 

 

プロモーション事業で取り扱う商材

クリエイティブ制作・印刷・発送 DM、パンフレット、サンプリング、ノベルティ、ポスター等をオーダーメイドで制作・印刷及び消費者や会員等への発送、ボスティング、交通広告、街頭広告等の業務請負
プロモーションサイト構築 企業のプロモーション用Webサイトやキャンペーン応募受付サイト、会員管理サイト、アプリ等の構築。
キャンペーン事務局 メーカー等の販促キャンペーンに際し、応募ハガキの企画・制作・印刷、受付Web/SNSサイトの構築、消費者からの応募や問合せの受付、データの整理、当選者の抽選、当選品の発送。広告代理店からキャンペーンに関する業務の受託。
テレマセンター プロモーションに関連した電話応対を行うテレマセンター機能を有し、インバウンドコール(問合せの受付等)、アウトバウンドコール(イベントの来場促進、DMの到着確認等)の両面に対応。及び販促物から派生した周辺業務の受託
データ管理 クリエイティブ制作・印刷・発送等に関連するクライアントの顧客リストの管理代行。

マイホームトレイン 東京・関西でJR等の車両一編成の広告枠を借り切り、複数の住宅メーカーや不動産ディベロッパーに広告を募集して、沿線の不動産物件広告で埋め尽くす連合企画
他社媒体同梱企画 複数の住宅メーカーや不動産ディベロッパー、自動車ディーラー等に広告を募集し、他社が発行・送付する情報誌に同梱する形やメールマガジン等の広告枠を借りる形で、広告を配信する連合企画。
外国人留学生生活支援イベント 学校広報事業が開催する外国人留学生を対象とした大型イベントに併設する形で、生活支援イベントを企画・開催。イベント出展枠を企業に提供し、出展企業と外国人留学生との情報マッチングを行う連合企画

 

 

業務推進センター
宛名印字や自動封緘、発送作業、テレマーケティング業務、制作物の定期発送等を行う「業務推進センター(東京都世田谷区)」を有し、企画から、制作・発送・業務代行までワンストップでトータルソリューションを提供できる体制を整えている。DMの発送やキャンペーン事務局等、個人情報を取り扱う案件については、1社で業務を完結できることが求められる傾向にあり、個人情報を同一施設内で取り扱うことができ、かつ、クライアントの求める個人情報保護の水準を満たしている「業務推進センター」が存在感を増している。この強みを活かして、キャンペーン事務局代行業務を中心に、広告代理店への営業に力を入れており、広告代理店経由でのキャンペーン案件の受注(キャンペーンの企画から事務局運営までの一括受注)で実績を上げている。また社内に機能センターを保有することは、個人情報保護の観点に加え、納期面、費用面での優位性にもつながっている。

 

 

採用広報事業 : (株)アクセスネクステージ
新卒学生や転職を希望する若年層の社会人に対する採用情報の提供や合同企業説明会・セミナー等のイベント開催により、クライアント企業から広告・出展収入を得ている。年に200回以上開催しているテーマ型の学生向け就活イベントが最大の収益源となっており、業界別限定、職種別限定等、様々な切り口での開催を特徴とする。また、クライアント企業の会社案内等の企画制作や採用活動に関する業務代行、人材紹介、ダイレクトリクルーティングも行っている。
近年では、外国人留学生や外国人材の就業支援に力を入れており、成長ドライバーとして注目されている。

 

 

(1)自社イベントスペース「フォーラム」を活用した中小規模型イベントの開催及びイベント運営業務受託
小規模型イベント「アクセス就活フェア」やテーマ型イベント「アクセス就活FOCUS」、インターンシップイベント、学生がプレゼンをして企業がオファーを出す「オファー就活」、若年中途採用イベント「アクセス就活NEXTキャリア」等の合同企業説明会を、自社イベントスペース「フォーラム」で開催している。いずれも、人事担当者と学生・求職者が膝詰めで面談できることが特徴であり、学生・求職者と企業とのベストマッチング機会の創出に貢献している。また、これらのイベントで蓄積したノウハウを活かして、官公庁、学校法人、公益法人、大企業を始めとする民間企業等から、個別案件として、人材採用や働き方に関するイベントの運営業務を受託している。連合企画で培ったノウハウを個別案件に展開して実績を積み重ね、更に新たなテーマでの連合企画イベントの開催や個別案件イベントの受託へと横展開して行くことを、事業モデルとしている。

 

 

(2)大学キャリアセンターとのリレーションによるイベント開催及び就職支援プログラム
大学キャリアセンター(就職担当窓口)との良好な関係を活かして、大学内で「アクセス就活」(Webサイト)の会員募集を行っている他、大学内・大学周辺会場で「UNI-PLATZ(ウニ・プラッツ)フェア」を開催している。また、個別案件として、大学キャリアセンター主催の学内合同説明会の運営業務を受託している他、大学キャリアセンターとのジョイント・連携による大規模型イベント「アクセス就活LIVE」を開催している。

 

 

(3)採用広報周辺業務の受託
クリエイティブ(会社案内等)の制作や業務代行(データ管理・テレマセンター等)といった採用広報周辺業務を、企業や自治体から受託している(近年、首都圏の主要自治体の運営事務局案件等を継続的に受託している)。

 

 

(4)外国人留学生・外国人材の就業支援
国内の外国人留学生数の増加と共に、日本国内での就職を希望する外国人留学生が増えている。しかし、就職活動や就業の慣習が母国と異なることから、苦戦を強いられる外国人留学生も多く、サポートが必要。このため、複数の大学のキャリアセンターと連携して、外国人留学生向けの就職支援プログラムを開発している。また、外国人留学生を対象とした新卒紹介事業を行っている他、専用の就活アプリ「SmartOffer」をリリースし、この分野の拡大を図っている。
更に、昨今では海外、特に東南アジア地域に在住する外国人材の日本企業への就業ニーズが高まっているため、外国人留学生だけでなく、広くアジア地域に在住する「外国人材」を対象とした事業に参入し、ベストマッチングの場の創出に取り組んでいる。この一環として、エイトグローバル人材株式会社(東京都品川区、代表取締役 齊藤裕久)と資本業務提携を行い、インドネシア高度人材の就業支援を行っている。

 

 

学校広報事業 : (株)アクセスネクステージ
大学を中心に、専門学校、中学・高校等の学生募集を始めとした各種プロモーションを受託し、クライアント校から広告・出展収入を得ている。企業に比べてクライアントの総数が限られているため、進学サイト、新聞、交通広告、情報誌、イベントと幅広く展開している他、パンフレット等による学校案内の企画制作、オープンキャンパス等の事務局運営代行、各種業務代行、Web出願システムの開発・提供等の学校運営支援業務も行っている。

 

 

(1)動員力を持つ外国人留学生向け進学説明会の開催(大学・日本語学校とのリレーションシップ)
2002年から全国紙上で複数大学の日本人受験生向けの進学情報を見開き紙面上に掲載する連合企画を実施しており、大学とのリレーションを構築している。また、2009年に独立行政法人日本学生支援機構から「外国人学生のための進学説明会」の運営事務局代行業務を受託して以来、日本語学校とのリレーションも構築してきた。これらのリレーションを活かして、2009年から独自の外国人留学生向け進学イベント「アクセス日本留学フェア」を開催している。また、イベントをきっかけに、外国人留学生向けの学校案内の制作や、噂用のWeb出願システム導入の受託をしている他、8言語に対応した外国人留学生向け進学情報サイト「アクセス日本留学」を開設している。

 

 

(2)教育機関の広報をトータルサポート
少子化の時代を迎え、各学校では特色ある学校運営を打ち出し、その魅力を効果的に伝える手法を求めている。当事業では、教育機関のトータルなサポートを行っており、30年に渡って培ったノウハウをもとに、幅広い連合企画を商品化している。また、連合企画をきっかけとして、クリエイティブ(学校案内・学校ホームページ等)制作・印刷・発送の個別受託案件も受託しており、自社メディア、イベント、クリエイティブのノウハウにより、トータルソリューションを実現している。この実績を官公庁案件の受託にもつなげている。

 

連合企画
・ アクセス進学 : 日本人向け進学情報サイト
・ 進学マイスター : スマートフォンに特化した進学情報サイト
・ アクセス進学FOCUS : フォーラムで開催する口本人向けカテゴリ別進学説明会
・ その他:新聞広告企画、交通広告企画、進学情報誌企画等

 

 

(3)学校広報周辺業務の実績に基づくシステムサービス分野の拡充
学校広報周辺業務の豊富な受託実績を基に、16/9期よりWeb出願システムを始めとした広報関連システムの受注を開始し、19/9期からは外国人留学生に特化したWeb出願システムの販売を開始する等、システムサービス分野を拡大させている。

 

 

1-2 特徴

同社の特徴は、大学・教育機関との取引基盤、外国人留学生向けビジネス、及び自社スペース「アクセスフォーラム」の3つ。

 

(1)2002年開始の新聞企画をきっかけとした大学入試広報部門との取引により、連携イベント等、学校・学生向けのビジネス基盤を構築し、採用広報での大学キャリアセンターとの取引拡大につなげており、大学各校と深い取引関係を有する。

 

(2)2009年から続いている日本在住の外国人留学生(主に日本語学校生)を対象とした大学・専門学校進学説明会は全国最大規模を誇り、就職・生活支援イベントや紹介事業と連動させることで進学・生活・就職といったタイムラインを描くことができるビジネスフィールドを有する。

 

(3)青山一丁目、渋谷(いずれも東京都)、大阪(梅田)、名古屋駅前にイベントスペースを保有し、イベントを多数開催できる独自の収益モデルを構築している。具体的には、就職活動のイベントだけでなく、プロモーション事業での、講習会、研修会、展示会等、学校広報事業での、進学イベント、日本語学校生向けイベント等、3事業が総合的にイベントスペースを利用しており、運営の効率化に加え、チャレンジングなイベントの創出にも寄与している。

 

 

※ 収益の季節性
売上面では、採用広報事業において、就活関連のイベントの開催やアウトソーシング業務等が増加する第2四半期及び第3四半期に売上が集中する傾向がある。また、学校広報事業において、進学説明会の開催や学校のプロモーション活動が増加する第3四半期から第4四半期にかけて売上が集中する傾向がある。
利益面では、採用広報事業、学校広報事業共に第1四半期は営業損失が生じる傾向がある。また、採用広報事業は、第3四半期が営業利益のピークとなる傾向があり、第4四半期は営業損失が生じる可能性がある。一方、学校広報事業は、第3四半期まで営業損失が生じる可能性がある。連結ベースでは、第1四半期は営業損失が生じる傾向があり、通期の営業利益が第3四半期累計の営業利益を下回る傾向がある。但し、20/9期は新型コロナウイルスの感染症拡大を受け、4・5月の企画を6月以降に延期していることや、採用活動の遅れ等の理由で、例年と異なる可能性がある。

 

 

 

1-3 沿革

1982年 10月 千代田区神田多町にて、(株)アクセス通信設立
1983年  7月 就職広報事業(現採用広報事業)に本格的に参入
1987年  7月 学校広報事業に参入
1990年  4月 持株会社として(有)エーシーエス〔現(株)アクセスグループ・ホールディングス〕を設立
2003年 12月 (株)アクセス通信を(株)アクセスコーポレーションに社名変更
2009年 4月 (有)エーシーエスを(株)アクセスホールディングスに社名変更
2009年10月 (株)アクセスコーポレーションから採用広報事業部を(株)アクセスヒューマネクストに分割分社化
2010年10月 (株)アクセスコーポレーションから学校広報事業部を(株)アクセスリードに分割分社化、(株)アクセスコーポレーション(SP事業部・住宅広報部・アウトソーシング事業部)を(株)アクセスプログレスに社名変更
2011年  3月 「アクセス渋谷フォーラム」を開設(渋谷クロスタワー)
2012年  4月 東京都世田谷区(用賀)に「業務推進センター」を開設
2014年  6月 (株)アクセスホールディングスを(株)アクセスグループ・ホールディングスに社名を変更
2018年11月 東京証券取引所JASDAQ市場に株式上場
2020年 4月 (株)アクセスヒューマネクストと(株)アクセスリードを合併し、(株)アクセスネクステージに社名を変更

 

1982年10月、広告広報事業(現プロモーション事業)を目的とする(株)アクセス通信設立が設立され、1983年7月に就職広報事業(現採用広報事業)に本格的参入し、1987年 7月に学校広報事業に参入。1990年4月には持株会社として(有)エーシーエス〔現(株)アクセスグループ・ホールディングス〕が設立された。
2003年12月、(株)アクセス通信が(株)アクセスコーポレーションに社名変更し、2009年10月に(株)アクセスコーポレーションから採用広報事業部を(株)アクセスヒューマネクストに分割分社化。2010年10月には、(株)アクセスコーポレーションから学校広報事業部を(株)アクセスリードに分割分社化すると共に、(株)アクセスコーポレーション(SP事業部・住宅広報部・アウトソーシング事業部)を(株)アクセスプログレスに社名変更した。
2018年11月に東京証券取引所JASDAQ市場に上場し、2020年4月に(株)アクセスヒューマネクストと(株)アクセスリードを合併し、(株)アクセスネクステージに社名を変更した。

 

2.2020年9月期第2四半期決算概要

2-1 上期連結業績

 

19/9期 上期

構成比

20/9期 上期

構成比

前年同期比

売上高

2,220

100.0%

1,943

100.0%

-12.5%

売上総利益

904

40.7%

823

42.4%

-9.0%

販管費

878

39.6%

899

46.3%

+2.4%

営業利益

25

1.2%

-75

経常利益

10

0.5%

-83

親会社株主帰属利益

-49

-108

* 単位:百万円

 

前年同期比12.5%の減収、75百万円の営業損失(前年同期は25百万円の利益)
売上高は前年同期比12.5%減の1,943百万円。会社説明会等の連合企画及び個別案件が新型コロナウイルス感染症拡大(以下、コロナ禍)の直接的な影響を受けた採用広報事業が同4.5%減少した他、個別案件の失注やコロナ禍による複数案件の期ずれで学校広報事業の売上も同19.7%減少した。プロモーション事業はキャンペーン景品の取扱方法変更や郵送物取扱い業務の減少で同19.2%減少したが、キャンペーン景品関連の減収は織り込み済みだった。
尚、コロナ禍の売上への影響は、案件中止が68.7百万円、計上月変更が29.8百万円。一方、オンラインブースのサービス展開等でプラスに働いた面もあった。

 

損益面では、コロナ禍により中止・延期(計上月変更)となった案件は、いずれも固定費負担が重く限界利益率が高いため、ほぼ売上減に匹敵する利益への影響があり、前年同期は25百万円の利益だった営業損益が75百万円の損失となった。IPO関連費用がなくなり営業外損益が改善したものの、税負担(法人税等24百万円)により108百万円の最終損失となった。

 

 

2-2 セグメント別動向

 

19/9期 上期

構成比・利益率

20/9期 上期

構成比・利益率

前年同期比

プロモーション事業

924

41.7%

747

38.4%

-19.2%

採用広報事業

1,029

46.4%

983

50.6%

-4.5%

学校広報事業

265

12.0%

213

11.0%

-19.7%

連結売上高

2,220

100.0%

1,943

100.0%

-12.5%

プロモーション事業

-31

2

0.4%

採用広報事業

139

13.5%

61

6.3%

-55.8%

学校広報事業

-143

-151

調整額

61

11

連結営業利益

25

1.2%

-75

* 単位:百万円

 

プロモーション事業
売上高747百万円(前年同期比19.2%減)、セグメント利益2百万円(前年同期は31百万円の損失)。コロナ禍の影響が限定的なものにとどまったものの、キャンペーン景品の取扱方法変更(期初想定済み)の影響や郵送物取扱い案件の減少により売上が減少した。利益面では、セグメント全体で原価率が大きく改善し、販管費も抑制できたことに加え、減収要因となった郵送物取扱い業務の利益率が低いこともあり、ほぼ想定通り損益が改善した。
顧客業種別売上高は、住宅・不動産124百万円(構成比16.7%)、ケーブルテレビ115百万円(同15.4%)、広告147百万円(同19.7%)、その他360百万円(同48.2%)。

 

 

採用広報事業
売上高983百万円(前年同期比4.5%減)、セグメント利益61百万円(同 55.8%減)。テーマ型採用マッチング企画やキャリア研究企画が堅調に推移したものの、コロナ禍で連合企画の売上が前年同期実績及び想定を下回った。一方、個別案件は前年同期比増収となったものの、コロナ禍でキャンセル案件が発生した。利益面では、連合企画・個別案件共に限界利益率が高く、売上喪失による影響を大きく受けた。この結果、セグメント利益は前年同期及び想定を下回った。
収益モデル別売上高は、連合企画(イベント)356百万円(構成比36.1%)、同(イベント以外)36百万円(同3.7%)、個別案件595百万円(同60.2%)。

 

学校広報事業
売上高213百万円(前年同期比19.7%減)、セグメント損失151百万円(前年同期は143百万円の損失)。前年同期に実施した企画の一部を実施しなかった影響で連合企画の売上が減少したことに加え、個別案件も、コロナ禍による期ずれの発生や一部案件の失注で前年同期及び想定を下回った。ただ、実施した連合企画が堅調だったことや、個別案件も全体的に原価率が改善したため、ほぼ想定に沿った損失にとどまった。
収益モデル別売上高は、連合企画(イベント)7百万円(構成比3.3%)、同(イベント以外)67百万円(同31.3%)、個別案件140百万円(同65.4%)。

 

 

2-3 新型コロナウイルス感染症拡大の影響

プラス・マイナス両面で影響が生じた。

 

プラス面
・ 協力会社のルートを開拓し、ウイルス対策衛生用品(マスク・手指用ジェル等)の取り扱いを開始。
・ 発送案件を新規に受託(休校に伴う学校から学生への資料の発送等)
・ クライアントの販促イベントの中止に伴い、代替策としてポスティング、デジタル商材等を受託。
・ ライブ配信型セミナーやVRキャンパスツアー、DSP広告等の開発や販売を開始。
・ 「防災・衛生」、「オンライン」、「非対面」をテーマにした営業活動で、新たなニーズの掘り起こしや販路開拓に成功。この領域での受注や案件の引き合いが高まった。

 

マイナス面
・ フォーラム利用案件や会社説明会関連案件について、キャンセルが発生。
・ 緊急事態宣言発出を受け、クライアントの在宅勤務や営業規模縮小による案件延期や中止が発生。
・ 同社主催の採用・進学の対面型企画を、6月以降に延期。(採用18企画、進学10企画)
・ 住宅・不動産、旅行、外食・小売、広告分野を中心に、販促を中断するクライアントが発生。

 

影響額
売上面での影響額は下表の通り。特に採用広報事業及び学校広報事業の連合企画・個別案件は限界利益率が高く利益面で大きな影響を受けた。

 

セグメント

案件中止

計上月変更

影響範囲

プロモーション事業

6.5百万円

16百万円

・フォーラム利用のキャンセル

・連合企画の実施延期

・キャンペーンや販促の延期

採用広報事業

60百万円

8.2百万円

・一部の個別案件(会社説明会運営代行、説明会動員等)のキャンセル

※小規模型採用マッチング企画の出展は堅調。オンラインブースのサービスを展開。(プラスの影響)

学校広報事業

1.6百万円

5.6百万円

・春のオープンキャンパス関連案件の一部キャンセル

・Webページ納期延期

合計

68.7百万円

29.8百万円

 

 

 

2-4 財政状態及びキャッシュ・フロー(CF)

財政状態

 

19年3月

20年3月

 

19年3月

20年3月

現預金

1,272

1,311

仕入債務

244

233

売上債権

577

829

短期有利子負債

768

1,124

たな卸資産

58

46

流動負債

1,144

1,532

流動資産

2,017

2,329

長期有利子負債

0

136

有形固定資産

110

104

固定負債

264

380

無形固定資産

78

92

純資産

1,231

1,056

投資その他

434

440

負債・純資産合計

2,641

2,970

固定資産

623

637

有利子負債合計

768

1,260

* 単位:百万円

 

上期末の総資産は前期末との比較で329百万円増の2,970百万円。売上債権及び有利子負債が増加する一方、上期決算が最終損失となったことで純資産が減少した。有利子負債への依存度が比較的高いものの、第2四半期(1-3月)の売上を基にした手元流動性比率は3.3ヶ月と高い。自己資本比率35.5%(前期末46.6%)。

 

尚、新型コロナウイルス感染症の拡大と長期化に備えて、財務基盤を一層強固なものにするべく、4月7日の取締役会において、取引先金融機関数行から最大700百万円(借入期間:最大3年間)の無担保借り入れを実施する決議を行った。

 

 

キャッシュ・フロー(CF)

 

19/9期 上期

20/9期 上期

前年同期比

営業キャッシュ・フロー(A)

-300

-343

-43

投資キャッシュ・フロー(B)

-52

23

+75

フリー・キャッシュ・フロー(A+B)

-352

-319

+32

財務キャッシュ・フロー

930

419

-511

-55.0%

現金及び現金同等物期末残高

1,004

768

-236

-23.6%

* 単位:百万円

 

税引前利益(△は損失)△83百万円(前年同期10)、減価償却費23百万円(同23)、売上債権の増加△251百万円(同△362)等で、営業CFは343百万円のマイナスとなった。投資CFは主に定期預金の預入・引出の差し引きによるもので、財務CFは主に有利子負債の増減及び配当金の支払いによる(前年同期はこの他、株式の発行による収入367)。

 

 

3.2020年9月期業績予想

【業績予想及び配当予想は未定】

「新型コロナウイルス感染拡大や緊急事態宣言の状況等により、商材に対するニーズ自体が大きく変化すると予想。今後の営業展開を精緻に見通すことが、極めて困難」として、期初に公表した通期業績予想(前期比3.3%の減収、同35.9%の営業増益予想)をいったん取り下げ、期末10円を予定していた配当予想と共に未定とした。

 

 

3-1 現況

同社の対応
同社では、在宅勤務を中心として、電話・メール・テレビ会議システム等で営業活動を継続しており、出社が必要な場合は、マスク着用を義務付けると共に、時差出勤を奨励している。加えて、手指消毒やうがい、オフィスの換気、加湿空気清浄機の稼働、会議のオンライン化を励行している他、有給休暇の取得促進や社員ごとの個別事情を考慮した対応を実施している。
また、毎朝の検温と体調の報告を義務付けており、体調の優れない社員は休ませている。

 

 

クライアントの現況と同社の営業状況
公益性の高い機関のクライアントは、必要な対策を講じつつ、出勤が続いているため、同社はウイルス対策衛生用品等、クライアントが今すぐ必要な商材を提供している。企業の人事部門や学校法人は、在宅勤務が多数を占めており、Webセミナー、VRキャンパスツアー、資料の発送代行、オンライン商材等、非対面性が求められる商材の提案に力を入れている。

 

 

採用マッチング企画・進学企画の現況
緊急事態宣言発出後、5月までの対面型企画を6月以降に延期したが、採用・進学の機会逸失を防ぐべく、ライブ配信型セミナー等、オンライン上での企画の販売を開始した。

 

 

3-2 4・5月時点の業績への影響

新商材の拡販によるプラス面と、緊急事態宣言を受けてのマイナス面の両面が生じている。

 

セグメント

 

影響範囲

プロモーション事業

プラス

・ ウイルス対策衛生用品の販売開始・受注

・ 防災関連、自治体連携、ポスティング需要の増加

マイナス

・ フォーラム利用案件のキャンセル

・ 住宅・不動産、旅行関連の案件延期、プロモーションの自粛

・ ステイホーム週間のクライアント休業に伴う案件の一部遅延

採用広報事業

プラス

・ ウイルス対策衛生用品の販売開始・受注

・ 資料発送案件の受託

・ 採用広報周辺業務(個別案件)の受注が堅調

・ オンラインライブ配信型セミナーの実施決定

マイナス

・ フォーラム利用案件のキャンセル

・ 採用マッチング企画(対面型)の延期※Webセミナーは開催

・ ステイホーム週間のクライアント休業に伴う案件の一部遅延

学校広報事業

プラス

・ ウイルス対策衛生用品の販売開始・受注

・ 資料発送案件の受託

・ VRキャンパスツアー、オンライン関連商材、自社Webサイト「アクセス進学」「アクセス日本留学」の引き合い増加

マイナス

・ 進学企画(対面型)の延期

・ 一部、夏のオープンキャンパス中止に伴う関連案件のキャンセル

 

 

3-3 6月以降の見通しと取り組み

同社は、新型コロナウイルス感染症拡大の状況や、緊急事態宣言の再発出の有無により、商材へのニーズも大きく変化するとみている。このため、対面型企画の再開を視野に入れつつも、「防災・衛生」、「オンライン」、「非対面」をキーワードにした営業展開を継続する。そして、どのような状況でもクライアントのニーズに迅速かつ柔軟に対応できる体制を整備し、売上・利益を最大限確保できるよう取り組んでいく考え。セグメント別の取り組みは下表の通り。

 

セグメント

取り組み

プロモーション事業

需要が伸びている商材を中心に、拡販に取り組む。

・ ウイルス対策衛生用品の拡販継続

・ ポスティング、デジタル商材等、非対面型商材の拡販

・ 防災関連案件の拡販

・ DSP広告等、オンライン商材やその他新商材の拡販

・ SNS等を使用したキャンペーン事務局案件の受託促進

・ 堅調な分野(広告、公的機関・共済、ケーブルテレビ)での案件獲得

採用広報事業

対面型企画の再開を視野に入れつつ、オンライン企画など複線型の営業を展開する。

・ ウイルス対策衛生用品の拡販継続

・ オンラインライブ配信型セミナーの企画拡充

・ DSP広告等、オンライン商材の拡販

・ 堅調な採用広報周辺業務(個別案件)の受注促進

・ 採用マッチング企画(対面型)の実施(新卒・中途6~8月)

学校広報事業

対面型企画の再開を視野に入れつつ、デジタル・情報誌等の新企画の提案に力を入れる。

・ ウイルス対策衛生用品の拡販継続

・ Web企画、情報誌等、非対面型連合企画の企画・拡販

・ VRキャンパスツアー等の個別案件の受注促進

・ DSP広告等、オンライン商材の拡販

・ 自社Webサイト「アクセス進学」「アクセス日本留学」の受注促進

・ 進学企画(対面型)の実施(日本人・外国人留学生6月下旬~9月)

 

 

4.今後の注目点

緊急事態宣言が解除されても、対面型の企画を想定通り実施できるか流動的であり、また、コロナ不況が企業の採用活動にブレーキをかける可能性もある(⇒イベント出展社の減少や関連案件の縮小)。企業や学校の業務やプロモーションの再開動向も営業活動を左右する。このため、下期の見通しは不透明であり、上期以上にコロナ禍の影響を受ける可能性がある。しかし、その一方で、「防災・衛生」、「オンライン」、「非対面」をキーワードにした営業展開が成果をあげつつあり、ピンチの中でチャンスが広がっている。

 

「防災・衛生」については、既に衛生用品を中心に収益貢献しているが、これまでに培ってきた強みを活かすことができ、よりポテンシャルも大きいビジネスの芽が育ちつつある。その一つが、自治体向けの「防災ガイドブック」の企画である。「防災ガイドブック」とは、災害への備えと、災害が起きた時の行動について、イラストや写真を交えわかりやすく解説した冊子で、小学生などに配布する。災害による被害は、家庭や地域での日頃の備えによって減らすことができるため、防災意識の啓発をしたい自治体のニーズを捉えている。これまで積み上げてきた自治体との取引実績が企画の実現につながったことはもちろんだが、防災に関連する企業からの広告や地域振興を兼ねた地元企業の広告を掲載するため広告枠の販売も必要となり、同社であれば、冊子の印刷等も含めてワンストップで対応できる。既に和歌山県等と商談が具体化しており、他の自治体からの引き合いも増えているようだ。この事業は、収益面だけでなく、社会貢献としての意義も大きく、CSR・ESGの観点からも注目される事業である。
一方、「オンライン」と「非対面」はコロナ禍にかかわらず、今後の事業拡大に不可欠な取り組みだ。このため、以前から取り組みを進めていたが、コロナ禍で加速し、完成度の向上と共に認知度が急上昇している。具体的には、VRキャンパスツアー、オンライン関連商材、自社Webサイト「アクセス進学」、「アクセス日本留学」の引き合いが増加しており、オンラインライブ配信型セミナーのサービス体制も整った。木村勇也社長も「オンライン」・「非対面」の取り組みに手応えを感じており、コロナ禍収束後の事業展開に自信を深めている。
同社のコロナ対策は、単なるコロナ対策ではなく、来期以降の成長につながる。来期以降、アナログ・デジタル、対面・非対面の両面からの事業展開が加速しよう。

 

<参考:コーポレート・ガバナンスについて>

 

◎組織形態及び取締役、監査役の構成

組織形態 監査役会設置会社
取締役 7名、うち社外1名
監査役 3名、うち社外2名

 

◎コーポレート・ガバナンス報告書(更新日:2020年04月01日)
基本的な考え方
当社グループは、法令・企業倫理・社会規範等の遵守が当社グループの経営の根幹であるとの認識の下、健全で透明性の高い経営を行うとともに、経営環境の変化に迅速かつ的確に対応し、企業価値を高めることを、コーポレート・ガバナンスの基本方針としております。また、株主をはじめとする全てのステークホルダーに対して適時に適切な情報開示を行い、社会的信頼に応えながら持続的成長を遂げるため、コーポレート・ガバナンスの充実と強化に努めております。

 

<コーポレート・ガバナンスコードの各原則を実施しない理由>
当社はコーポレート・ガバナンスコードの基本原則をすべて実施しております。

 

<コーポレート・ガバナンスコードの各原則に基づく開示>
当社が実施しているコーポレート・ガバナンスコードは基本原則のみとなるため、記載はしておりません。

 

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