(6809)TOA株式会社 売上、利益共に期初計画に未達

2020/01/09

 

竹内 一弘 社長

TOA株式会社(6809)

 

 

企業情報

市場

東証1部

業種

電気機器(製造業)

代表取締役社長執行役員

竹内 一弘

所在地

兵庫県神戸市中央区港島中町7-2-1

決算月

3月末日

HP

https://www.toa.co.jp/

 

株式情報

株価

発行済株式数

時価総額

ROE(実)

売買単位

1,142円

34,536,635株

39,440百万円

5.8%

100株

DPS(予)

配当利回り(予)

EPS(予)

PER(予)

BPS(実)

PBR(実)

20.00円

1.8%

72.35円

15.8倍

1,275.99円

0.9倍

*株価は12/25終値。発行済株式数、DPS、EPSは20年3月期第2四半期決算短信より。ROE、BPSは前期末実績。

 

業績推移

決算期

売上高

営業利益

経常利益

当期利益

EPS

DPS

2015年3月(実)

45,152

4,239

4,725

2,947

87.03

31.00

2016年3月(実)

45,840

3,638

3,623

2,093

61.83

22.00

2017年3月(実)

42,504

2,935

3,040

1,750

51.70

22.00

2018年3月(実)

44,180

3,510

3,561

2,138

63.16

23.00

2019年3月(実)

46,338

3,903

4,099

2,504

73.97

26.00

2020年3月(予)

49,000

4,000

4,100

2,450

72.35

20.00

 

 

TOAの2020年3月期第2四半期決算概要、竹内社長へのインタビューなどをお伝えします。

 

目次

今回のポイント
1.会社概要
2.2020年3月期第2四半期決算概要
3.2020年3月期業績見通し
4.竹内社長に聞く
5.今後の注目点
<参考1:中期経営基本計画>
<参考2:コーポレート・ガバナンスについて>

 

今回のポイント

  • 避難誘導や案内放送を行う非常用業務用放送設備、快適な空間を創造する音響システム、監視カメラを含めた防犯システムなど、音響機器、映像機器の製造販売を行う専門メーカー。非常用放送設備でトップシェア。豊富な採用実績、「音」のプロフェッショナルとしての知見・ノウハウ、ラインアップの幅広さと地域密着型の営業体制も強み。世界120か国以上で営業を展開。

     

  • 20年3月期第2四半期の売上高は前年同期比3.2%増の207億円。日本、アジア・パシフィックが好調な半面、欧州・中東・アフリカ、アメリカが低調だった。粗利率は変わらず、粗利額は同3.3%増加したが、人件費や移転費用など販管費増を吸収できず、営業利益は同1.2%減の11億円。為替差損の発生で経常利益は同6.2%減の12億円となった。鉄道分野での案件期ずれ他、国内の教育・病院関連、欧州・中東・アフリカ地域が出遅れ、期初計画に対しては、売上・利益とも未達となった。

     

  • 業績予想に変更は無い。20年3月期の売上高は前期比5.7%増の490億円、営業利益は同2.5%増の40億円を予想。配当は現時点では中間・期末ともに10円/株の合計20円/株の予定。予想配当性向は27.6%。前述通り、最低額を20円/株とした安定配当をベースに連結配当性向35%を目安とした業績連動配当を実施することを基本方針としている。

     

  • 竹内社長に、「2020年3月期第2四半期決算のポイント」、「成長に向けた取り組み」などを伺った。「2020年3月期は3ヵ年の中期経営計画の2年目であり、最終2021年3月期の「売上530億円、営業利益43億円」という目標を達成するための発射台として極めて重要な年だ。中計で掲げた各施策をしっかりと実行し今期の予想数字を達成する考えだ。最も重要なのは海外分野であり、低調だった欧州・中東・アフリカ地域の回復に注力する」とのことだ。

     

  • 期ずれとなった鉄道案件のほか、国内の教育・病院関連や欧州・中東・アフリカ地域のリカバリー、好調な国内防災案件の継続的な獲得などで、中計最終年度の発射台となる通期予想「売上高490億円、営業利益40億円」を達成できるか、第3四半期・第4四半期の進捗を注視したい。一方、ビジネスデザイン力強化に向けた積極的な取り組みが目を引く。短日月で成果が上がるものではないだろうが、2020年12月に完成するナレッジスクエアの効果と合わせ、新たなビジネスモデルの誕生に期待したい。

     

1.会社概要

避難誘導や案内放送を行う非常用業務用放送設備、快適な空間を創造する音響システム、監視カメラを含めた防犯システムなど、音響機器、映像機器の製造販売を行う専門メーカー。非常用放送設備でトップシェア。豊富な採用実績、「音」のプロフェッショナルとしての知見・ノウハウ、ラインアップの幅広さと地域密着型の営業体制も強み。アジア・パシフィック、欧州などを中心に世界120か国以上で営業を展開。

 

【1-1 沿革】

1934年、マイクロホン作りに強い関心を抱いた中谷常太郎氏が東亞特殊電機製作所を創業し、トランペットスピーカーやマイクロホン等の製造販売を開始。マイクロホン、アンプ、スピーカーなどを一貫して自家生産し民需、軍需を取り込み成長する。
第2次世界大戦終戦後の1947年には日本で初めて軽量・小型・取り付けが容易かつ性能に優れたレフレックス型トランペットスピーカーを開発し、「トランペットのトーア」とのブランドが定着していった。

 

 

(同社WEBSITEより)

 

1949年、法人組織に改組し、東亞特殊電機株式会社を設立。
その後も、音響の専業メーカーとして技術開発・製品開発を進め、世界初の電気メガホンEM-202(1954年)、日本初のトランジスターメガホン ER-57(1957年)等、新製品を相次いで投入。1962年には音をより遠くまで届けるために超巨大PA(※)実験を実施。最長到達距離は12kmを記録した。
1964年の東京オリンピックでは放送設備が31ヵ所の競技場で公式採用されたほか、1971年に京成電鉄成田駅で採用された「自動案内放送システム」はその後、駅・空港などへの導入が拡大。音響機器・システム分野における同社の存在価値はますます高まっていった。

 

※PA=Public Addressの略。拡声放送、構内放送の意

 

そうした中1968年に兵庫県・有馬温泉の旅館で30名が死亡する火災事故が発生。同社は音響を中心とした固有技術を生かして1969年に日本で初めて非常用放送設備を開発し、生産・販売を開始した。その後、消防法改正によりホテルや大規模施設での非常用放送設備の設置が義務化され、折からの高度成長の波にも乗り、同社の中心的な事業に成長していった。

 

 

(同社WEBSITEより)

 

一方、1973年に西ドイツ(現・ドイツ)に初の海外法人を設立したのを始め、アメリカ子会社設立(1974年)、1973年に駐在所を開設し「ホーンスピーカー」において90%以上のシェアを獲得していたインドネシアに現地生産合弁会社(現・連結子会社)を設立(1975年)して海外生産を開始するなど、積極的に海外事業を展開。その後もヨーロッパ、アジア、アフリカでも販売子会社や生産拠点を構築し、グローバルネットワークを構築していく。

 

業容の拡大に伴い、更なる事業基盤の強化を図るため1977年に大証2部に上場したのを皮切りに、1997年には東証・大証1部指定、2013年、東証・大証の市場統合に伴い東証1部に上場した。

 

【1-2 企業理念】

企業価値を「Smiles for the Public -人々が笑顔になれる社会をつくる-」と定めた。人々の集まりである「Public(社会)」に対し、「音の報せる力」を通じて「安心・信頼・感動」という価値を提供することで、人々の「Smiles(笑顔)」を実現することを目指している。

 

 

(同社WEBSITEより)

 

同社では「機器ではなく、音を買っていただく」という考え方が浸透しており、いかにいい音を届けるかに軸足を置いて企業活動を展開している。

 

【1-3 市場環境と競合状況】

◎市場環境
建設経済研究所の調査によれば、民間非住宅分野の建築着工床面積はリーマンショックによる落ち込みからは回復してきたものの、ショック以前の水準まで回復することは望みにくい。一方、国土交通省の調べによると、非住宅を対象としたリニューアル市場の2017年度の市場規模は約8.7兆円。傾向的には増加基調にあり、建設バブル期の新築施設に納入した機器やシステムのリニューアル需要は今後も着実に発生するものと思われる。

 

 

 

こうしたいわば「飽和」状態にある市場環境の下、同社では機器の販売にとどまらず、ユーザーの満足度をより高いレベルで実現させるための「システム」や「ソリューション」を提供し、より収益性の高いビジネスを展開していく考えである。

 

◎競合状況
同社の主力製品である非常用放送設備を手がけているのは同社の他、国内ではPanasonic、JVCケンウッド、海外ではBOSCH(ボッシュ)があるが、業務用音響・映像メーカーとして専門性を追求している同社は国内では約5割のシェアを握っている。海外全体のシェアはまだ低いものの、いち早く進出したインドネシアなどでは高いシェアを有している。

 

【1-4 事業内容】

避難誘導や案内放送を行う非常用業務用放送設備、快適な空間を創造する音響システム、監視カメラを含めた防犯システムなど、主として多くの人々が集まる公共空間において使用される音響機器、映像機器の製造販売を行っている。
納入先は、地方自治体、官公庁舎施設、商業施設、複合施設、スポーツ施設、交通施設、教育施設、宗教施設など多岐にわたり、以下のような有名施設にも多数納入されている。

 

分類

主な納入先

地方自治体

東京都江東区、名古屋市、神戸市、仙台市、倉敷市など

官公庁舎施設

東京都庁舎、神戸市庁舎など

商業施設

IONオーチャード(シンガポール)、国内大型商業施設など

複合施設

東京スカイツリータウン、マリーナベイ・ファイナンシャルセンター・タワー(シンガポール)など

スポーツ施設

ウィンブルドン・テニスコート(英国)、ZOZOマリンスタジアム、阪神甲子園球場など

交通施設

成田国際空港、羽田空港、関西国際空港など

宗教施設

イスティクラル・モスク(インドネシア:東南アジア最大のモスク)、世界各国の教会など

 

(1)商品分野
同社では取扱商品を、「音響」、「映像」、「鉄道」の3分野に分類し売上高を開示している。
この中では「音響」が約8割を占めている。

 

 

商品分野

主な商品

音響分野

(音響システム)

非常用放送設備、業務用放送設備、ワイヤレスシステム、ネットワークPAシステム、インターカムシステム、サウンドシステム、拡声放送機器

映像分野

(セキュリティシステム)

ネットワークカメラシステム、フルHD同軸カメラシステム、アナログカメラシステム

 

鉄道分野

(鉄道車両関連システム)

車両内放送設備、カメラシステム、電光表示器

 

 

 

(2)事業領域
「安心・信頼・感動」の3つの価値を軸とした事業領域において独自性の高い製品・システム・ソリューションを開発・販売している。

 

領域① 『安心:Public Safety』
人々が日常を安心して過ごすことができるように、自然災害や犯罪・事故等の危険から少しでも多くの人々を守り、社会の安全・安心を実現するソリューションを提供している。

 

(具体的なソリューション)
◎屋外防災放送ソリューション
安心領域における中心的なソリューションが防災関連の各種機器やシステムである。
特に、同社のコアコンピタンスである「音の報せる力」の面から、従来の課題を克服して、災害発生時に住民のより安全・安心な環境を創り出すスピーカーを中心とした屋外防災放送ソリューションは、高く評価されている。

 

<日本を取り巻く状況と防災行政無線の課題>
日本は狭い国土に世界第4位(2017年現在)の110に及ぶ活火山を有し、世界の活火山の7%を占める火山大国であり、加えて、日本列島周辺では4枚のプレート(地殻)が分かれ、プレート同士がぶつかり合っている「日本海溝」、「南海トラフ」はプレートが下に沈み込んでいるため古来より多くの地震被害を受けてきた。
さらに、日本は中山間地の中小河川の奥地にも集落があり、古くから崩壊・地すべり・土石流の被害を受けてきた。さらに近年、集中豪雨や台風などによる洪水、土砂災害はその頻度及び規模が大きくなっている点も大変気がかりであり、「防災・減災」への取り組みは国民が強く望むものとなっている。

 

災害発生時には、自治体が運営する防災行政無線が、住民への情報提供・避難誘導において重要な役割を担っており、政府が最重要施策の一つと掲げている「国土強靭化基本計画」においても、2018年12月に閣議決定された「国土強靭化基本計画の変更」、「防災・減災、国土強靱化のための3か年緊急対策」では、防災行政無線のデジタル化の推進や災害時における多言語音声翻訳システムの高度化のための緊急対策などが重要な取り組みの一つとして挙げられている。

 

ただ、2011年3月11日に発生した東日本大震災後の調査「東日本大震災時の津波・避難情報の入手に関する調査(内閣府)」によると、震災時に津波警報や避難の呼びかけを入手した先は、テレビ・ラジオを上回り、「防災行政無線」が約5割でトップであったにもかかわらず、防災行政無線を聞いた人の中でも「はっきりと聞き取ることができた。」のは約56%にとどまっており、防災行政無線の有効性という観点からは、改善・対策は喫緊の課題となっている。

 

屋外での放送が聞き取りにくい主な原因として以下のような点が挙げられる。
①屋外スピーカーの音の届く距離が足りない
②周囲の騒音が大きく、放送の音がかき消される
③近接した屋外スピーカーからの音が重なり合う
④周囲の地形や建物により音の通りが遮られる

 

 

 

(同社資料より)

 

加えて、津波や浸水による屋外スピーカーの倒壊や機器の故障、大雨における騒音の増加による聞き取りの阻害といった点も、防災行政無線を有効に機能させるために克服すべき重要なポイントである。

 

<TOAが行う明瞭な屋外防災放送のための総合提案>
上記のような課題に対し、同社では明瞭に聞き取ることのできる屋外防災放送実現のための総合提案を行っている。

 

「明瞭な音」を実現するためには、音の入り口である音源から、出口であるスピーカーまで、システム全体を考慮したエンジニアリング力が必要であり、単にスピーカーを設置するだけではスピーカー本来の性能が発揮することは困難である。
そこで音のプロフェッショナルである同社は自治体担当者からのヒアリングを元に、豊富なラインアップの中からその地域に最適な次世代型防災用スピーカーの配置選定を行い、コンピュータ・ソフトによるシミュレーション、実際に音を発生させる屋外鳴動試験などを行った上で再配置設計を実施し、最終的に住民が明瞭に放送を聴取できるように調整を行う。

 

このように、同社は創業以来培ってきた「商品力」と「エンジニアリング力」により、次世代型防災用スピーカーによる明瞭な聴取を可能とする防災行政無線システムの構築が可能である。

 

(同社資料より)

 

*次世代型防災用スピーカー
従来型スピーカーの音の到達距離はおおむね約200~400m程度で、価格は次世代型防災用スピーカーよりも安価だが、スピーカーの増設や放送音量を上げることで音達エリアを拡げる際は設置場所付近の住民への配慮が必要である。

 

これに対し同社の次世代型防災用スピーカーは、以下のような特長を有している。

 

*1995年1月17日に発生した兵庫南部地震(阪神・淡路大震災)で多くの従業員が被災し、テレビやラジオ、電話もつながらない状況で「もっと広範囲に防災放送が届けば役に立った」との思いから研究が始まり、開発された。

*均一で明瞭な音を伝えることに優れたラインアレイ技術(複数のスピーカーユニットを垂直方向に連結し、線状の音源を構成する技術)を採用。

*従来型スピーカーと比べて、距離による音の減衰が少なく、 従来型の2~3倍の距離まで均一で明瞭な音声を伝えることができる。

*また、垂直方向への音の拡がりが小さく、スピーカー直下でも音量が抑えられるため 、近くで「やさしく」、遠くで「はっきり」と聞こえる。

*同社独自の音の空気減衰量を考慮した補正機能を搭載しており、遠くの距離でもより明瞭に音声が聞こえるように音質調整している。

 

同社では次世代型防災スピーカーとしてそれぞれ特長のある3タイプを揃えており、案件ごとこれらを組み合わせ、最適な防災行政無線システムを提案する。
近年の自治体側の防災・減災意識の向上もあり、19年9月末時点で全国累計260以上の自治体で採用されている。

 

タイプ

概要

ホーンアレイスピーカー

*8連タイプで800mから1,000m(設計基準距離)と、従来型の2-3倍の距離までクリアな音声を届ける最上級の音の遠達性。子局数を減らすことで音の重なりを軽減できることに加え、ランニングコストの低減にもつながる。

 

*優れた低域再生能力により地形の起伏や建物など音の遮りのある地域に効果的である。

 

*庁舎や学校など防災拠点に設置することで津波や洪水による子局の倒壊を避けることができる。

中型ホーンアレイスピーカー

*ホーンアレイスピーカー同様、従来型を上回る音の遠達性。音の重なりも軽減。

 

*軽量・コンパクトで防災無線柱への取り付けが可能。

 

*防水、耐塩で耐久性に優れる。

防災用スリムスピーカー

*遠達性も兼ね備えた軽量モデル。

 

*環境に合わせて設置構成をカスタマイズすることで更なる遠達性の向上を実現。

 

 

 

 

 

(同社資料より)

 

また、次世代型防災スピーカーに適した信号処理機能(レベル調整、イコライザー)を標準搭載した次世代型防災スピーカー用アンプ「防災用DSPアンプ」は、明瞭性の高い防災放送の実現に重要な役割を果たすとともに、IP告知ユニットを使い、防災行政無線放送とIP告知放送を併用することで、緊急時にどちらか一方の放送手段が途切れても、もう一方の放送手段が使えるように放送伝送路の冗長化が可能である。

 

このほか、独自のネットワーク音声伝送技術「パケットオーディオ」を搭載した市庁舎などの拠点から各施設へと一斉に放送を届ける「IP告知放送システム」、緊急地震速報受信端末に連動した緊急地震放送が可能で、設定により四ヶ国語(日本語、英語、中国語、韓国語)の音声警報を流すこともできる「ラック型非常用放送設備」など、災害時、緊急時に安全・安心を提供する幅広い製品ラインアップを有している。

 

領域② 『信頼:Public Communication』
日々の暮らしの中で人と人との信頼を築くために、時間や空間の隔たり、言語や年齢など多様性を乗り越え、便利で快適な社会のコミュニケーションを実現するソリューションを提供している。

 

(具体的なソリューション)
◎空港内旅客案内放送システム
大規模な空港ターミナルにおいて緊急情報やフライト情報などのアナウンスを多様な言語で伝え、安心して利用できる空港運営に貢献している。日本の空港市場における同社シェアは約90%と圧倒的である。

 

*羽田空港国際線旅客ターミナル
4ヶ国語による放送や直感的に操作できる操作卓など、ユニバーサルデザインを追求した非常用放送設備と旅客案内放送設備が導入されている。

 

(同社WEBSITEより)

 

*成田国際空港・第1旅客ターミナル
空港内のインフォメーションシステムを全面的にサポートし、建築美を損なうことなく配置された約5,000個のスピーカーが、多彩な情報を自動制御によって確実かつスピーディーに伝えている。

 

◎車両内放送設備
ディスプレイや車内外の行先案内など電光表示器の他、運転席からのアナウンスを各車両へと届ける車両内放送設備、車両内の安全確保のための防犯カメラシステム等、乗客により安全で快適なサービスを提供している。

 

領域③ 『感動:Public Space Design』
人々の心を揺さぶる感動のために、日常のささやかな楽しみから、非日常の特別な体験まで、人々の心をより豊かにする空間演出を実現するソリューションを提供している。

 

(具体的なソリューション)
◎スポーツ施設音響システム
来場者がスポーツを快適に観戦したり、コンサートなどのイベントを楽しんだりできるような音響空間を創造している。
精緻な音場シミュレーションやデジタル計測テクノロジーなど、蓄積されたデータとノウハウを駆使して最適な音を届けることで、国際的な大型スポーツイベントの誘致や開催をバックアップしている。

 

*ゲロラ・ブン・カルノ・スタジアム(インドネシア)
2018年に開催されたアジア大会の主要会場となった最大約9万人を収容する同スタジアムにおいて、新型ドライバーを搭載したホーンアレイスピーカーをはじめとする音響システムを納入した。
熱狂する大観衆の歓声にかき消されない明瞭で迫力のある音響システムを構築。その高品位な音質により今後開催される音楽イベントなどのライブパフォーマンスでの活用も期待されている。
インドネシアで長年活動を続け、当地での評価も高い同社ならではの案件である。

 

(同社WEBSITEより)

 

*京セラドーム大阪
綿密な音響シミュレーションの結果、同社が提案したセンタークラスターラインアレイスピーカーを核とした音響システムが採用された。合計76台のスピーカーユニットは、残響音の多い条件下でも音声が聞き取りやすく、カバーエリアの全ての客席へもクリアで迫力のある音を届けることができ、「大歓声の中でも音声がダイレクトに聞こえて心地よい」と評価されている。
またグラウンド上においても、キャッチャー方向からセンター方向にかけ、180度途切れなく連なるスピーカーユニットによって、均質な音空間を構築している。
操作面においては、野球運営用など、あらかじめプリセットした音響設定を呼び出すだけで、すぐに使用できるほか、スピーカー駆動用のアンプには高出力、高音質のデジタルアンプを採用して消費電力を大幅に抑えるなど、環境面での配慮も採用のポイントとなった。その他、イベント時での放送においても使いやすく、十分な音量でアナウンスできる点も好評である。

 

(3)セグメント
報告セグメントは地域別に、「日本」、「アジア・パシフィック」、「欧州・中東・アフリカ」、「アメリカ」、「中国・東アジア」の5つ。
グローバルブランドの確立を目指して、積極的な海外販売戦略を推進。現在、世界120ヶ国以上で販売活動を行っている。
各エリアで最適な生産体制と販売体制を実現し、求められる世界品質を、求める市場にスムーズに提供している。
現地法人である海外販社とTOA本体の海外営業部門によって、全ての情報を統括し、市場の変化に対し素早く対応している。

 

 

(4)研究開発体制
グループの開発拠点である宝塚事業場に、基礎技術の研究開発部門に加え、商品開発、品質保証、デザイン等、開発に関する部門を集約している。
同事業場敷地内には2020年12月完成予定の「ナレッジスクエア」を建設中で、研究開発機能をより強化するとともに、すべてのステークホルダーとの「つながりの場」を創出することで、共に新しい価値を創りだすことを目指している。
海外ではインドネシアに「アジア・パシフィック・R&Dセンター」を、台湾に「得洋電子工業股份有限公司 R&D事務所」を有し、世界各地の生産拠点と連携しその地域のニーズを具現化した商品を創出している。
拠点ごとの独立運営を確保しつつ、情報はITネットワークでリンクしているため技術共有や部品の集中調達も可能であり、自由な発想による地域商品の開発体制を維持すると同時に、グループ全体の効率性向上も実現している。

 

(5)グループ・ネットワーク
◎国内
同社ほか、グループ会社5社がエンジニアリングサポート、ソフト企画、ホール管理・運営、生産を手がけている。
全国約30の営業所により地域密着のきめ細かいサービスを提供している。

 

◎海外
生産拠点はインドネシア、ベトナム、台湾、中国の4カ所。アメリカ、ヨーロッパ、中東、アジアに約40か所の営業拠点を展開している。

 

【1-5 特長と強み】

(1)「豊富な採用実績と高いシェア」とその源泉である「音」のプロフェッショナルとしての知見・ノウハウ
同社製品及びシステムは国内外の様々な施設に多数採用されており、非常用放送設備の国内シェアは約50%でトップ、空港内旅客案内放送システムの国内空港市場におけるシェアは約90%、防災行政無線における次世代型防災スピーカーの採用実績240件以上など、圧倒的な存在感を示している。

 

こうした実績の源泉が、「音」のプロフェッショナルとして、「機器ではなく、音を買っていただく」という考え方の下、いかにいい音を届けるかを追求した結果1934年の創業以来、蓄積してきた経験、知見、ノウハウである。

 

防災行政無線システムを例にとれば、同社のような音の遠達性を実現できるスピーカーを製造できる企業は同社以外にはほとんどない。
また、単に機器を提案・納入するのではなく、パソコンによるシミュレーションや屋外鳴動試験などを行った上で配置設計を実施し、最終的に住民が明瞭に放送を聴取できるように調整を行うといった「前工程」を重視した総合提案を可能としているのも、同社の優れた商品力とエンジニアリング力、そして「届けるのは機器ではなく、音」という理念であり、これがユーザーからの信頼感や満足度の向上に繋がっている。

 

(同社資料より)

 

(2)専業メーカーとしてのラインアップの幅広さと地域密着型営業体制
同社の取扱製品ラインアップは、単品のマイク、スピーカー、メガホンから、会議システム、非常用放送設備、防災行政無線システムなど、「音」に関する機材・システムを幅広くカバーしている。
専業メーカーとしてのラインアップの広さは顧客のあらゆるニーズに対応し、課題解決のソリューションを提供できるという点で同社の強力な競争優位性となっている。
また、全国に広がる営業拠点をベースに、地域密着で機動的な営業活動を展開していることから、顧客との結びつきも強く、安定的な高シェア維持に繋がっている。

 

【1-6 ROE分析・配当政策など】

 

13/3期

14/3期

15/3期

16/3期

17/3期

18/3期

19/3期

ROE(%)

8.0

8.0

7.9

5.3

4.4

5.1

5.8

 売上高当期純利益率(%)

6.56

6.35

6.53

4.57

4.12

4.84

5.40

 総資産回転率(回)

0.90

0.93

0.89

0.85

0.79

0.79

0.80

 レバレッジ(倍)

1.35

1.36

1.36

1.37

1.35

1.34

1.33

 

数期前8%近辺にあったROEは足元低下しているが、これは今後の成長に向けた研究開発や人材の獲得など積極的な投資を行っていることが要因。会社側は資本効率の重要性を認識しつつも、現在は売上および利益の絶対額を増大させることが企業価値向上に繋がると考えている。

 

配当については、持続的な成長を可能とする内部留保とのバランスを勘案しながら、最低額を20円/株とした安定配当をベースに連結配当性向35%を目安とした業績連動配当を実施することを基本方針としている。
内部留保資金の使途については、長期的に安定した経営基盤の確保と積極的な研究開発投資のバランスを考慮して決定する。競争力向上と財務体質強化を通じて企業価値向上に努める方針だ。

 

【1-7 ESGへの取り組み】

<E:環境>
「TOAの環境理念」を元に、全社をあげ環境保全へ取り組んでいる。
後述するビジネス創造の新たな拠点「ナレッジスクエア」においても、自然光を活用した照明設備や断熱対策による冷暖房の効率化、ソーラーパネルの活用や雨水の再利用等、地球環境保全に配慮した設備を導入する予定である。

 

<S:社会>
事業活動において社会の安全・安心に貢献し、社会貢献活動で、防災士養成の支援や、子ども達の減災・防災意識の向上に寄与する。
2018年3月期より労使協調による働き方改革プロジェクトを発足させ活動をスタートさせた。今期からスタートした中期経営基本計画においても、引き続き「多様性を力に変えるチームプレイ」や「無駄の徹底的な削減」などをテーマに、より働きやすい、働きがいのある職場環境づくりを推進する。

 

<G:ガバナンス>
2015年6月に独立社外取締役を選任。18年6月には社外取締役をさらに1名招聘し、複数体制とした。
機関投資家、個人投資家、証券アナリストとの対話を充実させる。
自己株式の取得・消却や株式報酬制度など自己株式の活用を検討している。

 

2.2020年3月期第2四半期決算概要

(1)連結業績

 

19/3期2Q

構成比

20/3期2Q

構成比

前年同期比

計画比

売上高

20,113

100.0%

20,766

100.0%

+3.2%

-5.6%

売上総利益

8,944

44.5%

9,240

44.5%

+3.3%

販管費

7,761

38.6%

8,072

38.9%

+4.0%

営業利益

1,182

5.9%

1,167

5.6%

-1.2%

-10.2%

経常利益

1,362

6.8%

1,278

6.2%

-6.2%

-8.7%

四半期純利益

710

3.5%

670

3.2%

-5.6%

-16.3%

*単位: 百万円。

 

増収・減益。売上、利益とも予想を下回る。
売上高は前年同期比3.2%増の207億円。日本、アジア・パシフィックが好調な半面、欧州・中東・アフリカ、アメリカが低調だった。
粗利率は変わらず、粗利額は同3.3%増加したが、人件費や移転費用など販管費増を吸収できず、営業利益は同1.2%減の11億円。
為替差損の発生で経常利益は同6.2%減の12億円となった。
鉄道分野での案件期ずれ他、国内の教育・病院関連、欧州・中東・アフリカ地域が出遅れ、期初計画に対しては、売上・利益とも未達となった。

 

(2)セグメント別動向

 

19/3期2Q

構成比

20/3期2Q

構成比

前年同期比

売上高

 

 

 

 

 

日本

12,157

60.4%

12,754

61.4%

+4.9%

アジア・パシフィック

3,569

17.7%

3,812

18.4%

+6.8%

欧州・中東・アフリカ

2,541

12.6%

2,329

11.2%

-8.3%

アメリカ

1,063

5.3%

1,052

5.1%

-1.1%

中国・東アジア

781

3.9%

816

3.9%

+4.5%

合計

20,113

100.0%

20,766

100.0%

+3.2%

セグメント利益

 

 

 

 

 

日本

2,183

18.0%

2,557

20.0%

+17.2%

アジア・パシフィック

680

19.1%

711

18.7%

+4.6%

欧州・中東・アフリカ

549

21.6%

296

12.7%

-46.0%

アメリカ

130

12.2%

62

5.9%

-52.1%

中国・東アジア

96

12.3%

115

14.1%

+19.2%

調整額

-2,458

-2,576

合計

1,182

5.9%

1,167

5.6%

-1.2%

*単位:百万円。外部顧客への売上高。

 

(日本)
増収増益。
インバウンド需要、働き方改革などの社会情勢に沿った価値の提供が評価された。
前期、需要の谷間で伸び悩んだ減災・防災案件は、積極的な提案活動が功を奏し伸長。
交通インフラ市場では本業を支援する独自ソリューションを展開した。
映像機器はAHDカメラシリーズ、ネットワークカメラシリーズなどの売上が引き続き好調だった。

 

(アジア・パシフィック)
増収増益。
開発・生産・販売の機能を域内に持つことを強みに、インドネシアを始めとした地産地消ビジネスが着実に成長した。
タイを中心に交通インフラ市場が好調。バングラデシュ、オーストラリア、フィリピンでの販路開拓に成功した。

 

(欧州・中東・アフリカ)
減収減益。
円高による影響と大型案件の減少により減収となったのに加え、販管費の増加により減益となった。
イギリスではセキュリティ用途での音響機器販売や、建築市場でのシステム品の販売が伸長した。

 

(アメリカ)
減収減益。
売上はアメリカでは横ばいも、カナダが低調で減収。原価率の上昇により減益となった。
アメリカでは商業施設向けの大口案件でスピーカーなど音響機器の納入が進んだが、Eコマースの拡大により実店舗の数が減少傾向にある。

 

(中国・東アジア)
増収増益。
新規流通開拓による販売好調を受け増収。人件費含め販管費も増加したが原価率改善を受けて増益となった。
空港向けをはじめとした大型案件での納品、教育市場向けの販売が堅調だった。台湾はホテル、工場案件の受注により好調。

 

(3)分野別売上動向

 

19/3期2Q

構成比

20/3期2Q

構成比

前年同期比

音響

16,499

82.0%

17,201

82.8%

+4.3%

映像

2,642

13.1%

2,856

13.8%

+8.1%

鉄道

963

4.8%

699

3.4%

-27.4%

合計

20,113

100.0%

20,766

100.0%

+3.2%

*単位:百万円。

 

音響、映像は堅調だったものの、鉄道が案件期ずれにより減収。

 

(4)財務状態とキャッシュ・フロー

◎主要BS

 

19年3月末

19年9月末

 

19年3月末

19年9月末

流動資産

41,423

38,734

流動負債

8,073

7,078

 現預金

17,014

15,381

 仕入債務

4,066

2,930

 売掛金

10,305

8,013

 短期借入金

934

1,324

 たな卸資産

10,015

11,031

固定負債

3,979

4,507

固定資産

16,319

18,791

 退職給付に係る負債

2,625

2,634

 有形固定資産

7,747

9,966

負債合計

12,053

11,586

 無形固定資産

1,703

1,521

純資産

45,689

45,940

 投資その他の資産

6,869

7,303

 利益剰余金

29,050

29,179

資産合計

57,742

57,526

負債純資産合計

57,742

57,526

*単位:百万円

 

有形固定資産は増加したが、現預金の減少などで資産合計は同2億円減少の575億円となった。仕入債務の減少などで負債合計は同4億円減少の115億円。
その他有価証券評価差額金の増加などで純資産は同2億円増加。
この結果、自己資本比率は前期末の74.8%から0.5ポイント上昇し、75.3%となった。

 

◎キャッシュ・フロー

 

19/3期2Q

20/3期2Q

増減

営業CF

1,348

659

-689

投資CF

-497

-1,496

-999

フリーCF

851

-837

-1,688

財務CF

-71

-360

-289

現金同等物残高

20,122

18,268

-1,854

*単位:百万円。

 

売上債権減少額の縮小などで営業CFのプラス幅が縮小した一方、有形固定資産の取得による支出の増加で投資CFのマイナス幅が拡大したため、フリーCFはマイナスに転じた。
キャッシュポジションは低下した。

 

(5)トピックス

①国内市場における取り組み
地域別では最大となる日本地域における主な取り組みは以下の通り。

 

*減災・防災市場における展望
各地に甚大な被害を引き起こした台風19号、21号の影響もあり、各自治体における防災行政無線整備に向けた意識が高まっている。
特に正確かつ効率的に情報を提供するためのデジタル化は必須であり、更新及び新規導入需要は着実に増大するものと思われる。

 

そうした環境下、防災用高性能スピーカーを業界に先駆けて開発しラインアップも拡充している同社は、【1-4 事業内容】で触れたように、減災・防災市場において大きな強みを持っており、提案活動を一層強化させている。
その結果、今上期の同市場向け売上は過去最高を更新した。

 

また、同市場における拡販は地方自治体向けにとどまらず、多面的な展開を図っている。
住民、自治体、様々な施設利用者に加え企業を対象としたBCP(※)策定需要も高まっており、高度避難誘導、映像遠隔監視などを用いた災害に強いシステム構築、ITネットワークを活用したBCP提案にも力を入れている。

 

BCP(※)
Business Continuity Plan:テロや災害、システム障害など危機的状況下に置かれた場合でも、重要な業務が継続できる方策を用意し、生き延びられるようにしておくための計画。

 

*つながる交通インフラ向け旅客案内放送システムの構築
多くの鉄道施設や空港施設に放送設備を納入してきた同社では、利用者にとっての利便性および各施設の利用者満足度を向上させるための旅客案内放送システムの構築に取り組んでいる。

 

例えば空港に電車やバスで向かう際、遅延などフライト情報が事前に分かれば旅客の利便性は大きく向上する。
また鉄道運行情報がバス、タクシーや空港において共有できればこれも大きな満足度を与える。
こうした迅速な情報提供を可能にする相互の情報共有を実現するシステムを同社独自の「MaaS:Mobility as a Service」として提案に注力している。
カスタマイズ能力や保守体制という同社の特長も受注における強力な武器となっている。

 

②異業種との共創
新たなマーケットを自ら作り出していくビジネスデザイン力の強化に注力する同社では、以下のような取り組みを行った。
2020年12月完成予定のナレッジスクエア(兵庫県宝塚市)においては大学や研究所、異業種との共同研究や研究投資を行うなど、オープンイノベーションによる製品やシステム等新しい価値の創造を目指している。

 

*協創型プラットフォーム「CRESNECT」への参画
ダイキン工業株式会社(東証1部、6367)が中心となり、異業種10社以上のパートナー企業によって構成される協創型プラットフォーム「CRESNECT」に参画した。

 

「CRESNECT」は、空調機から得られるさまざまなデータや、各パートナー企業が持つデータやノウハウを蓄積・活用しながら、空間にまつわる新たな価値やサービスを創出していくためのオープンデータプラットフォーム。
オープンイノベーションにより、喫緊の課題である「働き方改革」をテーマとして理想のオフィス空間づくりに取り組み、加えてホテルや店舗、高齢者施設、病院、教育施設などの空間においても、新しい価値やサービスの創出を目指していく。

 

2019年7月には、「CRESNECT」の第1弾プロジェクトとして、会員型コワーキングスペース「point 0 marunouchi(ポイントゼロ マルノウチ)」を東京・丸の内に開設した。
「point 0 marunouchi」は、「未来のオフィス空間」を実現していくための会員型コワーキングスペース。各社が保有する最新の技術やデータ、ノウハウを融合し、AIやIoTを駆使して創り出した空間コンテンツを利用者に体感してもらうことで、健康で快適に働けるオフィス空間づくりに向けた実証実験を行う。

 

「point 0 marunouchi」では「より効率的に働けるオフィス空間」などをテーマに、複数の空間コンテンツを導入する。
例えば「音声に基づく感情分析」と「空間への香り噴霧」を組み合わせることで議論をスムーズに進められる会議室や、位置情報と連動し空調・照明・セキュリティが自動制御される快適性向上のサービスなど、さまざまなオフィスシーンに合わせたコンテンツを準備する。実際に利用者の快適性、生産性、健康等に関わるデータを収集しながら、空間コンテンツの高度化を図り、さらに新しい価値やサービスの創出を目指す。

 

TOAは「音の報せる力」を快適なオフィス空間創りに活かすべく、他の参画企業との協業を通して、音の新たな価値を開発していく。

 

(同社資料より)

 

*展示会「TOA Alliance Solution 2019」を開催
2019年10月、富士ソフト株式会社、大日本印刷株式会社、ソニーマーケティング株式会社など8社との協業により展示会「TOA Alliance Solution 2019」を開催した。

 

「TOA Alliance Solution 2019」では、専門性の高い企業との協業・共創の下、各社が得意とする技術とのシナジー効果による体感型ソリューションを創出。6つの公共空間(駅、工場、自治体防災、オフィス商業、学校、カフェ)ごとにエリアを分けて顧客に提案した。

 

(同社資料より)

 

3.2020年3月期業績見通し

(1)連結業績予想

 

19/3期

構成比

20/3期(予)

構成比

前期比

進捗率

売上高

46,338

100.0%

49,000

100.0%

+5.7%

42.4%

営業利益

3,903

8.4%

4,000

8.2%

+2.5%

29.2%

経常利益

4,099

8.8%

4,100

8.4%

+0.0%

31.2%

当期純利益

2,504

5.4%

2,450

5.0%

-2.2%

27.3%

*単位:百万円

 

業績予想に変更無し。増収増益を予想
業績予想に変更は無い。売上高は前期比5.7%増の490億円、営業利益は同2.5%増の40億円を予想。
配当は現時点では中間・期末ともに10円/株の合計20円/株の予定。予想配当性向は27.6%。前述通り、最低額を20円/株とした安定配当をベースに連結配当性向35%を目安とした業績連動配当を実施することを基本方針としている。

 

(2)セグメント別動向

 

19/3期

構成比

20/3期(予)

構成比

前期比

進捗率

売上高

 

 

 

 

 

 

日本

28,454

61.4%

30,600

62.4%

+7.5%

41.7%

アジア・パシフィック

7,185

15.5%

7,700

15.7%

+7.2%

49.5%

欧州・中東・アフリカ

5,306

11.5%

5,300

10.8%

-0.1%

43.9%

アメリカ

3,666

7.9%

3,700

7.6%

+0.9%

28.4%

中国・東アジア

1,725

3.7%

1,700

3.5%

-1.4%

48.0%

合計

46,338

100.0%

49,000

100.0%

+5.7%

42.4%

*単位:百万円。外部顧客への売上高。

 

(日本)
引き続き高い需要が見込まれる減災・防災市場、交通インフラ市場、オフィス・テナントビル市場を中心とするソリューション営業を展開する。
ユーザーに価値を提供し続ける「つながるビジネス」の具現化を加速する。

 

(アジア・パシフィック)
地域商品の市場投入、交通インフラ市場、建築市場での仕様化活動を着実に進める。
強みとするエンジニアリング力を最大限に生かし、販売拡大を狙う。

 

(欧州・中東・アフリカ)
支店内の在庫削減と商品供給力向上を図るため、2019年6月からオランダ物流拠点の運用を開始した。
顧客サービスの向上や、VX-3000シリーズの販売拡大を進める。

 

(アメリカ)
アメリカではBGM市場、AV会議市場の地域商品の新規市場開拓に注力し、販売基盤の構築と拡販を進める。
カナダでは非常用放送機器の拡販に向けた流通網を開拓する。

 

(中国・東アジア)
IP-1000シリーズを中心とする地域開発商品の拡販に取り組む。
好調な空港マーケットへの進出を積極化する。
中国販売子会社とSPON社との共同出資で「TOA SPON LIMITED」を設立した。地域密着商品の企画・開発を加速する。

 

(3)分野別売上動向

 

19/3期

構成比

20/3期(予)

構成比

前期比

進捗率

音響

37,127

80.2%

39,700

81.0%

+6.9%

43.3%

映像

6,639

14.3%

6,600

13.5%

-0.6%

43.3%

鉄道

2,555

5.5%

2,700

5.5%

+5.7%

25.9%

合計

46,338

100.0%

49,000

100.0%

+5.7%

42.4%

*単位:百万円。

 

上期に期ずれとなった鉄道のリカバリーがポイントとなる。

 

4.竹内社長に聞く

竹内社長に、「2020年3月期第2四半期決算のポイント」、「成長に向けた取り組み」などを伺った。

 

Q:「まず2020年3月期第2四半期決算を評価して頂けますか?」
A:「国内は減災・防災市場、交通インフラ関連などでしっかりと伸ばすことができた。海外はトータルでは増収だったが、注力地域の一つであるアジア・パシフィック地域は大きく伸ばすことができた一方、欧州・中東・アフリカ地域は低調で、地域ごとの差が現れた。営業体制強化を課題と認識して取り組んでいく」

 

国内では、前期が需要の谷であった減災・防災市場において、当社の強みを武器にデジタル化を中心とした更新需要や新規導入案件を取り込み、しっかりと伸ばすことができた。
また、交通インフラ関連でも、既存設備に加えて、インバウンド対応に向けた多言語放送サービスなどが追加で採用されるケースも増加している。
外部環境による部分もあるが、当社では交通関係やオフィス・テナントビル市場のお客様への提案を積極的に行っており、そうした活動が受注に結び付いている。

 

海外はトータルでは増収だったが、地域ごとの差が現れた。
注力地域の一つであるアジア・パシフィック地域は大きく伸ばすことができた。今上期も販売店の開拓や営業スタッフの増員など、販売地域の拡大と体制強化で需要を確実に取り込んでいる。
一方で欧州・中東・アフリカ地域は低調だった。為替の影響もあるが、適切な人材の採用が難しく、営業体制強化が進まない。
そこで営業体制強化のため、アフリカ地域では海外のインターンシップ生を受け入れて、マーケティング基礎の学習や市場調査業務に取り組んでもらうとともに、帰国後現地企業でそのノウハウや知識を活かして当社商品を販売してもらうという取り組みを始めた。まだ小規模ではあるが、成果も出始めており、今後より大きな形で展開していく考えだ。
また、グローバルベースのビジネス拡大に向け今年4月に「トランスナショナル戦略部」を立ち上げた。
これは、同一顧客でも例えば日本では納入しているのにアメリカでは納入していないとか、アメリカでは実績があるのに中国では契約が無いとか言ったケースがあるので、全ての顧客を対象に横串を刺すことを目的としたものだ。
顧客の事情もあるため、決して簡単ではないが地道に取り組んでいく。

 

Q:「次に中期的な成長に向けた取り組みについて伺います。前回の取材で社長は、新たなマーケットを自ら作り出していくビジネスデザイン力の強化が最大の課題であるとおっしゃっていました。そのためにどんな取り組みを進めていますか?」
A:「今期は従来には無い2つの施策に取り組んだ。一つは、協創型プラットフォーム「CRESNECT」への参画。もう一つが2019年10月に開催した展示会「TOA Alliance Solution 2019」。どちらも様々な企業との交流の中でいろいろな気づきやヒントを得て、どのようにビジネスモデルに繋げるかを考えようという趣旨だ。これらに加えて2020年12月完成予定のナレッジスクエアも含め、オープンイノベーションやアライアンスを積極的に展開し、ビジネスデザイン力を強化していく」

 

今期は従来には無い2つの施策に取り組んだ。

 

一つは、協創型プラットフォーム「CRESNECT」への参画だ。
ダイキン工業株式会社が中心となって組成された協創型プラットフォーム「CRESNECT」は、各パートナー企業が持つデータやノウハウを蓄積・活用しながら、空間にまつわる新たな価値やサービスを創出していくためのオープンデータプラットフォームで、2019年7月には、「CRESNECT」の第1弾プロジェクトとして、会員型コワーキングスペース「point 0 marunouchi(ポイントゼロ マルノウチ)」を東京・丸の内に開設した。
「CRESNECT」の参画企業と様々な形でディスカッションをしていると、異業種企業も音の質とか明瞭度といったものの大切さに関心を持っていることがわかってきた。
まだ始めたばかりではあるが、本格的なビジネスモデルの構築に繋げていきたい。
「CRESNECT」には開発や営業部門はもちろんのこと、知財、総務、人事など全部門の人間を参加させている。
自社のやり方や常識に拘泥せず、いろいろな考え方を吸収して行くことが重要と考えている。

 

もう一つが2019年10月に開催した展示会「TOA Alliance Solution 2019」だ。
これまでの展示会は当社単独で当社製品やシステムをお客様に提案するというものだったが、今回の「TOA Alliance Solution 2019」はその名の通り、8社とのアライアンスの下、各社が得意とする技術とのシナジー効果による体感型ソリューションを展示した。
「CRESNECT」同様、様々な企業との交流の中でいろいろな気づきやヒントを得て、どのようにビジネスモデルに繋げるかを考えようという趣旨だ。

 

これらに加えて宝塚で建設中のナレッジスクエアも、大学や研究所などとの共同研究によって新たな価値の創造に取り組み、グループの成長を牽引するものと期待している。
当社ではこうしたオープンイノベーションやアライアンスを積極的に展開し、新たなマーケットを自ら作り出していくビジネスデザイン力を強化していく。

 

Q:「その他、是非投資家に知っておいて欲しい取り組み、目標などあればお聞かせください」
A:「AIの活用は当社に限らず全ての企業のテーマとなっているが、「音」に対するAIの活用は殆ど進んでいない。他社に先駆けて、AIの活用を実現させていきたい。
2020年3月期は、最終2021年3月期の「売上530億円、営業利益43億円」という目標を達成するための発射台として極めて重要な年だ。中計で掲げた各施策をしっかりと実行し今期の予想数字を達成する考えだ。最も重要なのは海外分野であり、低調だった欧州・中東・アフリカ地域の回復に注力する」

 

AIの活用は当社の限らず全ての企業のテーマとなっている。映像やテキストへの応用・活用はよく見られるが、「音」に対するAIの活用は殆ど進んでいない。
「音」は感じ方や受け取り方に個人差があるため、聞きやすい音なのか聞きにくい音なのかを簡単には判別しにくい。これをAIによって認識できるようになれば、大きな事業機会が生まれてくるだろう。
他社に先駆けて、そうしたAIの活用を実現させていきたい。

 

今上半期は増収減益で売上は期初計画を下回った。
2020年3月期は3ヵ年の中期経営計画の2年目であり、最終2021年3月期の「売上530億円、営業利益43億円」という目標を達成するための発射台として極めて重要な年だ。
マーケット環境など外部要因による影響も当然受けるが、中計で掲げた各施策をしっかりと実行し今期の予想数字を達成する考えだ。
そのために最も重要なのは海外分野であり、低調だった欧州・中東・アフリカ地域の回復に注力する。

 

5.今後の注目点

上期は増収減益で期初予想を下回った。進捗率は売上高、営業利益でそれぞれ42.4%、29.2%となっている。同社は売上、利益ともに下期偏重の傾向があるため大きな後れという訳ではないが、売上に関しては過去数年を1~2ポイント下回っている。期ずれとなった鉄道案件のほか、国内の教育・病院関連や欧州・中東・アフリカ地域のリカバリー、好調な国内防災案件の継続的な獲得などで、中計最終年度の発射台となる通期予想「売上高490億円、営業利益40億円」を達成できるか、第3四半期・第4四半期の進捗を注視したい。一方、ビジネスデザイン力強化に向けた積極的な取り組みが目を引く。
短日月で成果が上がるものではないだろうが、2020年12月に完成するナレッジスクエアの効果と合わせ、新たなビジネスモデルの誕生に期待したい。

 

 

<参考1:中期経営基本計画>

さらなる成長と持続的な企業価値の向上を目指し、2019年3月期を初年度とし、2021年3月期を最終年度とする「中期経営基本計画」を策定し推進中である。

 

(1)中期経営基本計画の概要

前中期計画(2015年4月から2018年3月)では、グローバル展開において世界を5つの地域に分け、地域ごとに地産地消のビジネスを推進することにより、それぞれが事業としての自立を見据えた「世界に5つのTOA」を目指してきた。また、ビジネスのあり方として「ハードからサービスへ」の変革を掲げ、製品の供給に留まらず、付帯するソフトウェアやサービスなどを付加したソリューション型ビジネスを強化し、顧客に新しい価値の創造・提供が可能なビジネスモデルへの変革を推進してきた。
今回の中期計画においては、「世界に5つのTOA」と「ハードからサービスへの変革」に加え、「お客さまにとってのOnly 1」を目指すとともに、「お客さまとのつながり」をより一層強め、各地域・市場ごとに異なる顧客の様々な課題を、「音の報せる力」を強みとする専門メーカーである同社ならではの視点で「安心」、「信頼」、「感動」の価値へと変えることを目指している。

 

◎具体的な取り組み
これまで進めてきた「ハードからサービスへ」の変革の成果を、商品のIoT対応と顧客に密着した営業およびエンジニアリング体制を通じて、モノ・ヒト両面で顧客とのつながりを実現する。
建築市場全般での大きな成長が期待しにくい中、顧客に対して同社ならではの付加価値を提供し、価格競争からは一線を引いた収益性の高いビジネス展開を目指している。加えて商品を継続的に安心して使用できる環境を整備するとともに、顧客の運用に応じて、常に最適なソリューションの創造・提供が可能なビジネスの展開を進める。
また、各地域でのマーケティング機能を強化させ、それぞれの市場ニーズに応えた商品開発の更なる加速と販路の拡充により、それぞれが事業体として自立した「世界に5つのTOA」を実現する。

 

(目指す姿)

(同社資料より)

 

(2)中期計画数値目標

 

数値目標は以下の通り。

 

項目

18年3月期

実績

19年3月期

実績

20年3月期

予想

21年3月期

予想

中計期間伸び率

(年率)

売上高

44,180

46,338

49,000

53,000

+6.3%

営業利益

3,510

3,903

4,000

4,300

+7.0%

経常利益

3,561

4,099

4,100

4,400

+7.3%

当期純利益

2,138

2,504

2,450

2,700

+8.1%

*単位:百万円。中計期間伸び率は18/3期実績から21/3期予想までの年平均成長率。

 

 

 

積極的な投資を実施しながら以下に示す地域別および分野別事業戦略を遂行し、過去最高の売上・利益更新を目指している。

 

(3)事業戦略

①地域戦略
<日本地域>
顧客に密着した営業およびエンジニアリング体制を構築し、つながるビジネスモデルで利益を生み出す仕組みを目指す。多言語放送サービスや避難誘導システムなど新商品の投入により商品ラインアップを拡充し、多様なニーズに対応するシステムを実現する。また、自社商品に人工知能や機械学習能力を搭載し、高度なデータ分析で多様化するニーズに対応する。
具体的には、Google Cloud Platformと連携し、同社のカメラやレコーダーに、人の目や脳の代わりになる新たな機能の搭載を目指している。加えて、カメラやレコーダーに人工知能や機械学習能力を搭載し映像によるセンシング技術の活用にも取り組む。工場や遠隔地設備の事前自動検知や河川の水位上昇の自動警戒などを想定している。

 

<アジア・パシフィック地域>
開発、生産、販売の機能を持つ強みを活かし、地域商品を軸とした地産地消ビジネスを加速する。
同地域においては、イスラム教礼拝堂「モスク」での放送設備シェアが高く、毎年安定的な売上が確保できている。
交通インフラ市場への仕様活動を進める他、地域商品の拡販に注力する。
アジア大会の実績によりブランド力が大幅に向上し、同様のスタジアム案件の受注も進んでいる。

 

<欧州・中東・アフリカ地域>
非常用放送システムの販売が好調で、アフリカのサブサハラ地域の販路拡大も進んでいる。
今後はドイツ、フランスを中心にIPインターカムや非常用放送システムの拡販に取り組んでいく。

 

<アメリカ地域>
市場調査活動から生まれた新マイクシステムを新規開拓市場へ提案している。
ターゲット市場である会議システム、商業施設・店舗のBGMシステム、教育市場に対し新商品を継続的に投入するほか、交通インフラ市場においては受注した案件の確実な納入とアフターマーケット需要の獲得に注力する。

 

<中国・東アジア地域>
新規流通開拓が順調に推移し販売が拡大している。
交通インフラ市場や学校市場への開拓・拡大を進めるとともに、Webを活用した販売や価格的な流通戦略、販促活動を実行していく。

 

(地域別売上目標)

地域

18年3月期

実績

19年3月期

実績

20年3月期

予想

21年3月期

予想

中計期間伸び率

(年率)

日本

27,299

28,454

30,600

33,100

+6.6%

アジア・パシフィック

6,725

7,185

7,700

8,100

+6.4%

欧州・中東・アフリカ

4,796

5,306

5,300

5,750

+6.2%

アメリカ

3,856

3,666

3,700

4,200

+2.9%

中国・東アジア

1,502

1,725

1,700

1,850

+7.2%

合計

44,180

46,338

49,000

53,000

+6.3%

*単位:百万円。中計期間伸び率は18/3期実績から21/3期予想までの年平均成長率。

 

主要市場である日本市場では収益性向上を目指してビジネスの「サービス化」を進める。
海外はスケールアップを第一義に、「アジア・パシフィック地域」、「欧州・中東・アフリカ地域」を重視して営業活動を進めていく。

 

②分野別戦略
(分野別売上目標)

分野

18年3月期

実績

19年3月期

実績

20年3月期

予想

21年3月期

予想

中計期間伸び率

(年率)

音響

36,186

37,127

39,700

42,300

+5.3%

映像

5,636

6,639

6,600

7,200

+8.5%

鉄道

2,341

2,555

2,700

3,500

+14.4%

合計

44,180

46,338

49,000

53,000

+6.3%

*単位:百万円。中計期間伸び率は18/3期実績から21/3期予想までの年平均成長率。

 

音響分野は世界5地域の全てで、映像分野は防犯システムなど安全・安心ソリューションを中心に日本で展開。
鉄道分野では、鉄道車両の音響および映像システムを全世界で展開。
鉄道分野においては、受注案件の確実な納入と、グループ内資産の共有・活用により利益拡大を目指す。
新規の車両製造に対するシステム提案から、アフターマーケット売上の獲得で収益基盤を固める。

 

➂投資
新たな価値を生み出していくための投資を積極的に実施する。

 

「ITインフラの構築」
ソリューション型ビジネスに対応した情報システムの基盤整備など、ITインフラの構築を進める。
なかでも、AIテクノロジーを導入したマネジメントセンターを構築し、駅、ショッピングモール、スタジアム、病院、ホームセンターなどの公共空間における「AIによる自動の2wayコミュニケーション」、「多言語・聴覚視覚障害者に対応」、「犯罪抑止」に貢献する究極の2wayコミュニケーションの実現を目指している。

 

また、ネットワークカメラ、火災受信機、非常用放送設備、総合操作盤などのデバイスをAIの適切な状況判断の下、IoTで連動させる高度避難誘導システムを構築し、社会の安全を実現することも重要な役割であると考えている。

 

「生産性の向上」
生産設備の増強やロボットの活用など、生産性の向上を図る。

 

「新たな価値共創の場を建設」
研究開発拠点である「宝塚事業場」(兵庫県宝塚市)を再開発し、約2万1千m²の敷地内に研究開発棟を新設し、ビジネス創造の新たな拠点となる「ナレッジスクエア」の建設に着手した。研究開発機能をより強化するとともに、すべてのステークホルダーとの「つながりの場」を創出することで、共に新しい価値を創りだすことが目的である。
加えて、ワークスタイルを変革することで従業員の生き生きとした活動を促し同社が注力する「働き方改革」にも寄与すると考えている。「ナレッジスクエア」では、自然光を活用した照明設備や断熱対策による冷暖房の効率化、ソーラーパネルの活用や雨水の再利用等、地球環境保全に配慮している。
2020年12月の完成予定で、オープンイノベーションやアライアンスを通じた新たな価値の創造に取り組み、グループの成長を牽引するものと期待している。

 

「グローバル開発本部の設置」
世の中の流れをいち早く捉え、グローバルな視点で新たな市場価値や文化の創造を推進する。

 

「人材育成」
持続的な企業価値の向上を実現していくためには、その趣旨を従業員に浸透させることで、自らビジョンを考え、主体性をもって行動できる人材を育成していくことが重要と考えている。
そのため「人材育成」に重点投資を行い、企業価値へ共感する人材の積極的採用、従業員が自身のキャリアを描くことのできる複線型人事制度の導入、多様性を活かす評価制度への取組みなどを推進する。

 

(同社資料より)

 

<参考2:コーポレート・ガバナンスについて>

◎組織形態、取締役、監査役の構成

組織形態

監査役会設置会社

取締役

7名、うち社外2名

監査役

3名、うち社外2名

 

◎コーポレート・ガバナンス報告書
最終更新日:2019年6月21日

 

<基本的な考え方>
当社では、株主・顧客・取引先・従業員等のステークホルダーに対して、遵法性が確保された健全かつ透明性の高い企業経営を実践することにより、長期的・継続的に企業価値を増大させることを経営上のもっとも重要で恒久的な課題のひとつとして位置づけています。コーポレート・ガバナンスの更なる強化のため、各ステークホルダーへのアカウンタビリティー(説明責任)の重視と充実、迅速かつ適切なディスクロージャー(情報開示)等の実践に積極的に取り組んでまいります。

 

<実施しない主な原則とその理由>

原則

実施しない理由

【原則1‐2.株主総会における権利行使】

補充原則1‐2‐4.議決権電子行使を可能とするための環境作り・招集通知の英訳

当社は、議決権行使状況、外国法人等の機関投資家の比率、費用に鑑み、議決権の電子行使制度の導入について、引き続き検討を継続します。

なお、当社は、海外投資家の議決権行使に係る適切な環境整備の一環として、株主総会招集通知に関し、いわゆる狭義の招集通知に加えて、議決権行使の判断資料である株主総会参考書類に関しても英訳を実施し、当社ホームページに早期掲載しております。

https://www.toa.co.jp/ir/stockinfo/memo.htm

 

<コーポレートガバナンス・コードの各原則に基づく開示>

原則

開示内容

【原則1-4 政策保有株式】

当社は、取引・協業関係の維持・拡充のための手段として、他社の株式を取得・保有する場合があります。

当該保有に関しては、企業連携が高まり、企業価値向上につながることを政策保有方針の基本とし、以下の諸点を総合的に判断しております。

(1)発行会社と当社事業における中長期の協力関係の維持・強化、取引関係等の円滑化に資するか

(2)資金調達等の円滑化に資するか

(3)事業機会の創出・発展に資する可能性を有するか

 

なお、政策保有株式の縮減に関しては、上記の政策保有方針に合致しない場合には、上場株式を保有しないことを基本方針としており、現在の保有株式は、当社として、既に縮減した結果になっております。

さらに、当社は、今後も政策保有方針に合致しない上場株式を新たに保有する意思はありません。

当社は、取締役会にて、保有意義、定性的効果、定量的効果等を総合的に勘案し、検証を行っております。

 

政策保有株式の議決権の行使については、

発行会社が当社の政策保有方針に適う目的・事業を有していること、

発行会社の経営陣が適切な人材であること、

企業活動の適時かつ適切な情報開示を行っていること、

持続的な成長につながる事業基盤を有し、将来の株主価値の向上が見込まれること

などを総合的に勘案し、議案の内容が中長期的な企業価値の向上に資するか否かという視点から、「権限規程」に定める然るべき決裁者が賛否を判断しております。

【原則5-1 株主との建設的な対話に関する方針】

(1)IR活動を所管する役員・その他担当部門等

当社は、経営企画担当部門を所管する役員がIR活動を統括し、広報担当部門とIR活動に関して適宜連携しております。さらに、経営企画担当部門・経理担当部門・法務担当部門が有機的に連携し、株主との対話促進に努めております。

 

(2)IRポリシーの作成・公表

当社は、業績、財務状況、将来ビジョンについて、公平、迅速かつ解りやすい情報開示に努めており、IRの基本方針と姿勢をIRポリシーとして公表しております。

 

当社ホームページのIRポリシーをご参照ください。

http://www.toa.co.jp/ir/message/policy.htm

 

(3)株主との対話促進

当社は、企業説明会であるIR企業研究会等を開催しております。

 

(4)インサイダー情報の管理

当社は、「内部情報管理およびインサイダー取引防止規程」を定めており、株主・投資家との対話に際しては、IRポリシーに則り、インサイダー情報を管理しております。

 

 

株式会社インベストメントブリッジ
ブリッジレポート   株式会社インベストメントブリッジ
個人投資家に注目企業の事業内容、ビジネスモデル、特徴や強み、今後の成長戦略、足元の業績動向などをわかりやすくお伝えするレポートです。
Copyright(C) 2011 Investment Bridge Co.,Ltd. All Rights Reserved.
本レポートは情報提供を目的としたものであり、投資勧誘を意図するものではありません。 また、本レポートに記載されている情報及び見解は当社が公表されたデータに基づいて作成したものです。本レポートに掲載された情報は、当社が信頼できると判断した情報源から入手したものですが、その正確性・完全性を全面的に保証するものではありません。 当該情報や見解の正確性、完全性もしくは妥当性についても保証するものではなく、また責任を負うものではありません。 本レポートに関する一切の権利は(株)インベストメントブリッジにあり、本レポートの内容等につきましては今後予告無く変更される場合があります。 投資にあたっての決定は、ご自身の判断でなされますようお願い申しあげます。

このページのトップへ