(3497) 株式会社リーガル不動産 大阪エリアの開発案件に注目

2019/11/21

 

平野 哲司 社長

株式会社リーガル不動産(3497)

 

企業情報

市場

東証マザーズ

業種

不動産業

代表取締役社長

平野 哲司

所在地

大阪市北区堂山町3番3号 日本生命梅田ビル 10階

決算月

7月

HP

https://www.legal-corp.co.jp/

 

株式情報

株価

発行済株式数

時価総額

ROE(実)

売買単位

1,199円

2,885,200株

3,459百万円

25.4%

100株

DPS(予)

配当利回り(予)

EPS(予)

PER(予)

BPS(実)

PBR(倍)

未定

264.96円

4.5倍

1,265.07円

0.9倍

*株価は11/13終値。発行済株式数、ROE、DPS、EPS、BPSは2019年7月期決算短信より。時価総額、PER、PBRは切り捨て表示。

 

業績推移

決算期

売上高

営業利益

経常利益

当期利益

EPS

DPS

2016年7月(実)

11,085

967

536

399

199.93

0.00

2017年7月(実)

14,846

1,392

704

475

237.76

0.00

2018年7月(実)

19,263

1,885

861

584

292.03

0.00

2019年7月(実)

23,727

2,318

1,118

694

259.74

5.00

2020年7月(予)

34,163

2,504

1,152

766

264.96

未定

*単位:百万円、円。予想は会社側予想。

 

 

株式会社リーガル不動産の会社概要、業績動向、平野社長へのインタビュー等をご紹介致します。

 

目次

今回のポイント
1.会社概要
2.業績動向
3.中期経営計画
4.成長戦略
5.平野社長に聞く
6.今後の注目点
<参考:コーポレートガバナンスについて>

注:以下、企業側開示情報およびそれに基づく株式会社インベストメントブリッジによる計算値は切り捨て表示。

 

今回のポイント

  • 仲介・コンサルティングから土地の購入・開発まで、土地活用における最適なソリューションを提供する総合不動産ディベロッパー。「総合不動産開発企業としての提案力」、「変化する事業環境に対する柔軟性」、「仲介事業者として培ってきた誠実さ・正確性・スピードの速さ」等を強み・特長に、大阪エリア、東京エリアでそれぞれ積極的に事業を展開。3ヵ年の中期経営計画に基づき財務体質の改善を進め、以降の更なる業容拡大を目指している。

     

  • 3ヵ年の中期経営計画の1年目となる2020年7月期の売上高は前期比43.9%増の341億円、営業利益は同8.0%増の25億円を予想。各事業ともに堅調な伸長を見込んでいる。中期経営計画においては自己資本比率を重要な経営指標に位置づけあらゆる手法を検討したうえで、早期に10%以上に向上させていく方針。

     

  • 「大阪エリア」および「東京エリア」においてそれぞれのエリア特性を踏まえた事業戦略を推進するとともに、未来のマーケット創りを目指し不動産テックを始動させる。加えて、経営基盤の強化を図り、持続的成長を可能とする企業を目指している。

     

  • 平野哲司社長に、同社の競争優位性、今後の成長戦略と課題、株主・投資家へのメッセージを伺った。「仲介業者であった歴史が培ってきた経験・知識・ノウハウ、これらは現在総合不動産ディベロッパーとして成長を続ける当社の強力な強み、競争優位性となっています」、「更なる活性化が見込まれる大阪の不動産マーケットで、積極的にビジネスチャンスを掴んでいきます。また、東京エリアで相続対策ニーズを取り込んでいくほか、不動産とITを融合して未来のマーケットを創造する不動産テックへの取り組みも開始しました」、「今後3年間は経営基盤の強化と当社のウィークポイントである財務体質を是正することに注力し、本当の勝負は4年後からです。きちんとした成果を上げて皆様のご期待にお応えしてまいりますので、是非中長期の視点で当社を応援していただきたいと思います」とのことだ。

     

  • 現時点では任意売却案件の売上構成比は極めて低いが、任意売却の仲介業者であった歴史が同社の強み・競争優位性の原点であるということを投資家としてはぜひ理解しておきたい。また、仲介業者からディベロッパーへの変身も、平野社長の言によれば「経営戦略というよりも、環境からそうせざるを得なかった」ということだが、「最も強い者が生き残るのではなく、唯一生き残るのは変化できる者である」という言葉もあるように、平野社長が不動産業に携わった経緯も含め、柔軟に変化できる対応力も同社を特徴づける重要なポイントであろう。

     

  • この3年は財務体質の強化を最優先事項とするためトップラインの伸びではなく、利益および利益率の確保に注力することとなるが、4年後からの大きな成長に向けて、大阪エリアでの開発案件や不動産テックなど、どんな仕込みを進めていくのかを注目したい。

     

1.会社概要

仲介・コンサルティングから土地の購入・開発まで、土地活用における最適なソリューションを提供する総合不動産ディベロッパー。「地域、用途、規模に関わらず、不動産価値を最大化・最適化させる総合不動産開発企業としての提案力」、「変化する事業環境に対して自らも変化させる柔軟性」、「仲介事業者として培ってきた誠実さ・正確性・スピードの速さ」等を強み・特長に、大阪エリア、東京エリアでそれぞれ積極的に事業を展開。3ヵ年の中期経営計画に基づき財務体質の改善を進め、以降の更なる業容拡大を目指している。

 

【1-1 沿革】

大学卒業後、東京エレクトロンおよび住友金属で半導体製造装置販売に携わり、マーケティング技術等スキルを磨いてきた平野 哲司氏(現 株式会社リーガル不動産 代表取締役社長)は、会社との価値観の相違などから自ら事業を興すこととし、広告代理事業をスタートさせた。
ただ、時はまさにバブル景気崩壊の最中。苦戦を強いられた平野氏は知人の紹介で不動産仲介業に携わることとする。

 

全くの素人ではあったものの、半導体製造装置販売とは異なり、顧客の開拓から商品説明も含めたクロージングまで、自分1人でハンドリングできる不動産業の魅力に引かれた平野氏は着実に実績を積み上げていく。
そうした中、ある物件で任意売却(※)の仲介を取り扱うこととなる。
任意売却を成功させるには仲介する不動産業者に法律知識や経験が不可欠であるが、弁護士の指導の下、この仲介を成功させることができた。
当時大阪には任意売却物件を取り扱う仲介業者は殆ど存在しなかったため、平野氏はこれを大きなビジネスチャンスと捉え、成功体験を元に弁護士とのネットワークを更に強化して積極的に取り組んでいく。
弁護士のバックアップの下、他の不動産仲介業者にはない法律知識をノウハウとして蓄積しながら事業を拡大し、2000年9月に株式会社リーガル不動産を設立。大阪で任意売却の仲介業者として確固たるポジションを築く。
社名に付けた「リーガル」は「法律を正しく理解し、不動産にまつわる利害関係を調整し、不動産を流通させていくことで、「Solution」提案カンパニーとなる」ことを目指したもの。

 

2008年のリーマンショックに際し不動産業者の倒産も増加し、任意売却マーケットがさらに拡大すると見ていたが、モラトリアム(支払猶予)を一定条件下で認める中小企業金融円滑化法により倒産・破産および任意売却案件は急速に減少し、同社業績も影響を受ける。
こうした外部環境の変化に対し、仲介業者の同社はバランスシートに毀損が無いことを武器に金融機関からの融資を受け、開発事業に参入する。

 

仲介業者として培った法律知識を始めとしたノウハウに基づく「目利き力」やリスクマネージメント力を活かした優良物件の仕入・開発・販売に取り組んだところ、マーケットの下落も同社にとっては大きな追い風となり、取扱物件数および業績は順調に拡大。仲介事業に加え、不動産の開発、分譲、賃貸等も手掛ける総合不動産デベロッパーへの転換に成功した。
関西を基盤に業容を順調に拡大させる中、持続的成長に向けた基盤づくりのため2018年10月、東証マザーズに上場した。

 

※任意売却
住宅ローン等の借入金が返済不能となった場合、売却後も住宅ローンが残ってしまう不動産を金融機関の合意を得て売却する方法。
残債務を一括で返済できない場合、一般的に金融機関は「競売」によって担保となっている自宅を強制的に売却し、その売却代金から融資を回収する。ただ、競売には様々なデメリットがあるため、所有者は競売を避けたいというニーズもあり、任意売却はそうした所有者のニーズを満たす。
任意売却には「市場相場に近い価格で売れる」、「周囲に事情を知られずに売却可能」、「残債の分割返済も可能」といったメリットはあるものの、成功させるには所有者、債権者(金融機)の協力と、売却を担当する不動産業者の知識や経験が必要とされる。

 

【1-2 企業理念】

 

1

不動産ビジネスにインテリジェンスを吹き込む

2

お客様に選んでいただける商品ブランドの確立

3

社員のチャレンジスピリットを尊重した「完全成果主義」の実現

4

パートナーとWIN-WINの関係であり続け、高い信用力を保つ

 

沿革で触れたように、仲介事業からスタートした同社は、その特性を最大限に活かし、一つひとつの不動産を正確に把握・判断し、それぞれの不動産価値の向上につながるソリューションの提供を通し、多様化するニーズに的確に対応している。
また、年功序列型人事考課を排除した「やる気のある人間に平等にチャンスが与えられる企業」の実現、事業パートナーとのWIN-WINの関係を志向し、相互の強い信頼関係を築きながらの持続的成長を目指している。

 

【1-3 事業環境】

総合不動産ディベロッパーとして更なる成長を追求している同社を取り巻く外部環境の概要は以下のとおりである。

 

(1)活況を呈する関西不動産市場
同社が地盤とする大阪を含めた関西地区の不動産市場は下記の要因により今後も活況が継続すると見られている。

 

①拡大するインバウンド需要
日韓関係の影響などによる訪日韓国人の減少(2019年9月は前年同月比58.1%減。日本政府観光局)はあるものの、総数では同5%増、韓国からの訪日外客数を除くと同23%増と訪日外客数は引続き増加傾向にある。
2019年の訪日外客数は9月までの累計で2,442万人にのぼり、通年では2018年を上回る可能性が高い。
政府は2020年4,000万人、2030年6,000万人との目標を掲げており、国策の後押しもあり日本を訪れる外国人は今後も着実に増加するものと思われる。

 

 

また、観光庁「訪日外国人消費動向調査」中の都道府県別訪問率を見ると、大阪は東京とほぼ同水準。
東京と大阪の経済規模の違いを考慮すれば、大阪経済に与えるインバウンド需要のインパクトは、極めて大きなものであると想像できる。

 

②統合型リゾート(IR)の誘致
2016年12月に「特定複合観光施設区域の整備の推進に関する法律」(IR推進法)が可決・成立したことを踏まえ、夢洲(大阪市此花区の人工島)へのIRの誘致に関する事項を大阪府市一体で行うため、2017年4月、大阪府・大阪市は共同の内部組織としてIR推進局を設置し、2019年2月には大阪IR基本構想(案)を策定した。
同構想の基本コンセプトは「大阪・関西の持続的な経済成長のエンジンとなる世界最高水準の成長型IR」。

 

世界中から人・モノ・投資を呼び込み経済成長のエンジンとするほか、50年・100年先を見据え、初期投資だけでなく、常に時代の最先端となる施設・機能とサービスで変化を遂げる「世界最高水準の成長型IR」を構築することを目指している。

 

(大阪府・大阪市「大阪IR基本構想(案)」より)

 

建設予定地である夢洲は、大阪湾の中心にある大阪港のベイエリアに位置する面積約390haの広大な埋立地。大部分が未利用地で、南側は、2025年日本国際博覧会(大阪・関西万博)の会場予定地である。
2024年度の開業を目指し、年間来場者数1,500万人、年間売上4,800億円を見込んでいる。

 

③大阪万博開催
2025年5月から11月にかけて「2025年日本国際博覧会」(大阪万博)が開催される。
テーマを「いのち輝く未来社会のデザイン」とし、コンセプトに「未来社会の実験場」を掲げる同万博は、国連が掲げる「SDGs(持続可能な開発目標)」を2030年までに達成するためのプラットフォームになることも目指している。
上述のように会場は夢洲で、公益社団法人2025年日本国際博覧会協会では、「想定来場者数 約2,800万人」、「経済波及効果(試算値) 約2兆円」としている。

 

(同社資料より)

 

「4.成長戦略」で述べるように、同社はインバウンド需要を直接取り込むべく民泊専用マンションやホテルの開発を進めるほか、全般的に関西不動産市場の活況が続くと考え、総合不動産ディベロッパーとしてオフィスビルや分譲マンションの建設、再開発案件などに注力する方針である。

 

(2)大相続時代の到来
少子化を背景に65歳以上(老年)人口比率は2060年にかけて40%近くまで上昇すると見込まれる。
団塊世代が80歳を迎える今後10年間は相続対策としての不動産活用ニーズが拡大し、特に65歳以上の世帯員のいる世帯数が205万世帯に上る東京は、持家割合が約7割以上と全国平均を上回り、相続対策ニーズがより一層顕在化するものと同社では考えている。

 

(同社資料より)

 

相続税評価に際しては、土地は路線価または固定資産税評価額を、建物に関しては固定資産税評価額が用いられるが、貸家が建てられている土地(貸家建付地)に関しては、相続税評価額は土地で20%、建物で30%それぞれ引き下げることができる。
この仕組みにより、賃貸マンションを土地ごと購入した場合、相続税評価額は購入価格を大きく下回ることとなり、現金・預金のまま相続が発生した場合と比較して相続税を低減することが可能である。

 

同社では低層賃貸マンション「LEGALAND」を、来る大相続時代における相続対策の強力なソリューションとして東京エリアを中心に積極的に開発を行っている。

 

【1-4 事業内容】

「不動産ソリューション事業」、「不動産賃貸事業」、「その他の事業」の3セグメントで構成されている。

 

 

(1)不動産ソリューション事業
様々なソースの物件情報から不動産を仕入れ、「建物管理状態の改善」、「用途変更」、「テナントの入れ替え」、「大規模修繕」といった物件に合致した最適なバリューアップを施し資産価値を高めた上で、主に個人富裕層及び資産保有を目的とした事業法人に対して顧客ニーズに適した物件を販売している。
物件ジャンルを問わず、住宅開発から商業開発、土地有効活用、ホテルや民泊、中古バリューアップ等の多岐に渡る案件を手掛けている。

 

(同社資料より)

 

大阪エリアでは住宅開発、商業開発、民泊マンション、ホテルなどを展開。
東京エリアを中心に開発を進めている「LEGALAND」は単身者・少人数世帯向けコンパクト低層賃貸マンション。敷地面積が30~200坪程度で販売単価は3~5億円。販売利回り(実績)は4~6%。富裕層に選好される高級感あふれる外観が特長で、相続対策商品として着実にニーズを取り込んでいる。

 

(同社資料より)

 

(2)不動産賃貸事業
エリアや物件種別を問わず高収益物件を積極的に保有し、賃料収入を獲得している。
また、不動産管理会社と入居者をより良い形で繋ぎ、建物をサポートするファシリティマネジメント事業も手掛けている。同事業では、マンション・ビルの修繕・原状回復工事に特化。賃料の増大や稼働率の向上をテーマとして、保有物件の退去者の立会い業務や原状回復工事、リノベーション工事、補修工事なども行っている。

 

(保有物件ポートフォリオ)

 

2018年7月末

2019年7月末

事務所ビル

29

18

マンション

18

16

ホテル

1

3

倉庫

1

合計

48

38

(単位:棟)

 

(同社資料より)

 

(3)その他事業
①不動産コンサルティング事業
同社の祖業。創業以来、民事訴訟案件や金融機関等からのローン延長案件に対して、任意売却の仲介及びコンサルティング等、課題解決法を提案している。
不動産の専門家として債務者への買主仲介から関係各所との交渉、別除権者との接触、配分案作成、不動産の調査や価格査定、権利譲渡、リーシング、入札、自社による買い取りなど顧客のニーズに合わせたサービスを展開している。
蓄積してきた不動産コンサルティングのノウハウを活かし、法的案件整理以外でも様々な場面で課題解決法を提案している。

 

②介護事業
有料老人ホーム、サービス付き高齢者向け住宅、グループホームの設置、運営、管理、介護保険法に基づく介護予防支援、居宅介護保険事業を営む介護事業を行っている。
2019年9月末で住宅型有料老人ホーム5か所、グループホーム1か所を運営している。

 

(同社資料より)

 

【1-5 特長・強み】

(1)地域、用途、規模に関わらず、不動産価値を最大化・最適化させる総合不動産開発企業としての提案力
マンション、土地有効活用、中古バリューアップ、オフィスビル、民泊マンション、ホテルなど幅広いラインアップを有し、地域、用途、規模に関わらずエリア・プレイヤーに応じ、不動産価値の最大化・最適化を図る提案力が大きな強みである。
これは、任意売却事業で培った、法律知識に基づく問題解決力を活かした柔軟かつ迅速な企画・開発力がベースとなっており、仲介専業から総合不動産開発企業へと成長してきた同社ならではの競争優位性であろう。

 

(2)変化する事業環境に対して自らも変化させる柔軟性
倒産・任意売却件数の減少という決して良好とはいえない外部環境にもかかわらず仲介業者からディベロッパーへの進化を遂げることができた同社は、現状維持を良しとせず、変化する事業環境を先取りし自らも柔軟に変化して新たなマーケットを創造することが持続的な成長のためには不可欠であると考えている。
事業戦略、組織運営、人事など様々な分野で、足元を固めながらも、5~10年先を見据えた柔軟性を重視した運営を行っている。

 

(3)仲介事業者として培ってきた誠実さ・正確性・スピードの速さ
所有者、債権者(金融機関)の協力が不可欠な任意売却の仲介事業者として培ってきた誠実さ・正確性・スピードの速さを同社は重視しており、金融機関・取引先などからこの点も高く評価されている。
(1)の提案力とともに、仲介業者としての歴史が同社の競争優位性の源泉である。

 

(4)大阪・東京それぞれの事業環境に対応するハイブリッドな事業戦略
東京と大阪では、市場の変化具合、消費者や投資家のスタンスも大きく異なる。大阪で成功した戦略をそのまま東京で展開しても成功する可能性は低い。
東京、大阪それぞれの事業環境に合わせて異なる事業戦略を立案・実行することが必要と考える同社は両エリアで着実に成果を上げている。

 

2.業績動向

(1)2019年7月期決算概要

①業績動向

 

18/7期

構成比

19/7期

構成比

前期比

計画比

売上高

19,263

100.0%

23,727

100.0%

+23.1%

-6.1%

売上総利益

4,399

22.8%

5,428

22.8%

+23.3%

-1.0%

販管費

2,514

13.0%

3,109

13.1%

+23.6%

+8.0%

営業利益

1,885

9.7%

2,318

9.7%

+22.9%

+10.2%

経常利益

861

4.4%

1,118

4.7%

+29.8%

+18.5%

当期純利益

584

3.0%

694

2.9%

+18.9%

+5.9%

*単位:百万円。

 

増収増益。利益は予想を上回る。
売上高は前期比23.1%増の237億円。不動産ソリューション事業が牽引した。
営業利益は同22.9%増の23億円、経常利益は同29.8%増の11億円。販管費や有利子負債の増加に伴う金融費用の増加を吸収した。期初計画に対しては売上高、売上総利益は未達だったが、各利益は計画を上回った。

 

②セグメント動向

 

18/7期

構成比

19/7期

構成比

前期比

不動産ソリューション事業

16,322

84.7%

20,806

87.6%

+27.4%

不動産賃貸事業

2,263

11.7%

2,226

9.3%

-1.7%

その他

678

3.5%

695

2.9%

+2.5%

売上高合計

19,263

100.0%

23,727

100.0%

+23.1%

不動産ソリューション事業

1,411

8.6%

2,184

10.5%

+54.8%

不動産賃貸事業

1,041

46.0%

944

42.4%

-9.3%

その他

136

20.0%

29

4.2%

-78.2%

調整

-702

-839

セグメント利益合計

1,885

9.7%

2,318

9.7%

+22.9%

*単位:百万円。営業利益の構成比は売上高営業利益率。

 

◎不動産ソリューション事業
増収増益。
積極的に販売用不動産の仕入及び販売活動を行った。不動産価格が上昇基調にある中、販売用不動産の仕入に際しては、目利き力やノウハウを最大限活用し、駅近物件等の希少性の高い物件の選定に注力した。
一方、販売面においては、売却時期が翌期にずれ込んだ物件も一部あったが、強い引き合いから販売実績を積み重ねるとともに、売却価格が想定を上回った高収益案件等が寄与した。

 

◎不動産賃貸事業
減収減益。
引き続き高稼働率を維持しているが、長期的な収益と引き合いの状況を考慮した販売用不動産の売却により減収減益となった。引き続き保有不動産の高稼働率を維持するとともに、所有不動産を積み増すことにより更なる基盤強化を図る。

 

◎その他事業
増収減益。
介護事業において、新たに開設した1施設が順調に推移したほか、その他の施設においても高い入居率を維持したが、不動産コンサルティング事業において、前期に利益率の高い大型スポット仲介取引が含まれていたため増収ながら減益となった。

 

③財務状態とキャッシュ・フロー
◎主要BS

 

18年7月末

19年7月末

 

18年7月末

19年7月末

流動資産

37,918

39,646

流動負債

15,395

12,781

 現預金

1,198

1,054

 短期有利子負債

13,062

11,149

 販売用不動産

25,753

18,486

固定負債

29,386

31,985

 仕掛販売用不動産

10,556

19,511

 長期有利子負債

28,310

31,395

固定資産

8,681

8,770

負債合計

44,782

44,766

 有形固定資産

8,177

8,252

純資産

1,817

3,649

 投資その他の資産

498

475

負債純資産合計

46,599

48,416

資産合計

46,599

48,416

有利子負債合計

41,373

42,544

*単位:百万円。有利子負債にはリース債務を含む。

 

仕掛販売用不動産が増加し資産合計は前期末に比べ18億円増加。
有利子負債は増加したが負債合計はほぼ変わらず。
上場に伴う公募などで純資産は同18億円増加。
自己資本比率は前期末より3.6%上昇し7.5%となった。

 

◎キャッシュ・フロー

 

18/7期

19/7期

増減

営業CF

-7,798

-1,999

+5,799

投資CF

-5,285

-282

+5,002

フリーCF

-13,084

-2,282

+10,802

財務CF

12,826

2,296

-10,530

現金・現金同等物

476

489

+13

*単位:百万円。

 

税引前当期純利益の増加で営業CFおよびフリーCFのマイナス幅は縮小。
キャッシュポジションはほぼ変わらず。

 

(2)2020年7月期業績見通し

①業績予想

 

19/7月期

構成比

20/7月期(予)

構成比

前期比

売上高

23,727

100.0%

34,163

100.0%

+43.9%

営業利益

2,318

9.7%

2,504

7.3%

+8.0%

経常利益

1,118

4.7%

1,152

3.3%

+3.0%

当期純利益

694

2.9%

766

2.2%

+10.3%

*単位:百万円。

 

増収増益
後述する3ヵ年の中期経営計画の1年目となる2020年7月期の売上高は前期比43.9%増の341億円、営業利益は同8.0%増の25億円の予想。大型物件が寄与し売上高は大幅増収となるが、収益性はさほど高くないため増益率は1桁にとどまる。

 

②トピックス
◎不動産オーナー向けWebメディア「YANUSY」英語版をリリース
株式会社 ZUU(4387、東証マザーズ)と共同運営する不動産オーナー向け Web メディア「YANUSY」の英語版をリリースした。
(YANUSYの詳細は、「4.成長戦略」を参照)

 

(英語版「YANUSY」リリースの背景)
東南アジアを中心に日本の不動産市場へのインバウンド需要が高まる中で、海外投資家層に対して、日本の不動産取引における商習慣や法規制に関する情報は入手しづらく、不透明さが課題である。
リーガル不動産の豊富な知見やデータと、アジア版「ZUU online Singapore」を運営し東南アジアでも利用者数を伸ばしているZUU の編集力・デジタルメディア運営ノウハウとを組み合わせることで、日本の不動産マーケット情報の透明性向上とインバウンド需要の促進に貢献していく。

 

(海外投資家向けコンテンツ)
海外不動産投資家が注目する東京市場の今後の展望や、海外から日本の不動産投資に参入するハードルが下がっている事実など専門家の視点でさまざまな切り口のコンテンツを展開していく。

 

(同社資料より)

 

◎役員持株会設立
2019年10月、役員持株会を設立した。

 

(設立の目的)
役員による同社株式購入に際して、インサイダー取引の懸念を回避するとともに、役員自らが同社株式を継続的に取得及び保有することで、株主と株主価値をより一層共有し、更なる企業価値の向上を図ることを目的としている。
加えて、安定的な株式購入需要を確保することによる出来高増加や流動性向上も目指している。
入会資格は同社の取締役及び監査役でいずれも加入は任意。拠出金は1口10,000円で上限口数は毎月99口。
退会時期は任意及び役員退任時としている。

 

3.中期経営計画

2019年9月、3ヵ年を対象とする中期経営計画(2020年7月期~2022年7月期)を策定した。

 

(基本方針)
不動産ソリューション事業、不動産賃貸事業、不動産コンサルティング事業、ファシリティ・マネジメント事業、介護事業の各事業について、成長性・安全性・リスクを見極めた最適なポートフォリオの構築を目指し、総合不動産業としての成長を目指す。

 

(基本戦略)
マクロ市場環境分析をもとに以下3つの基本戦略テーマを定める。

 

①収縮と転換

少子高齢化による人口減少は、現在の生活圏の縮小と消費そのものに対して大きな影響を及ぼし、生活環境の変化と価値観の転換を及ぼします。当社はそのような変革を大きな潮目として捉え、不動産価値を再創造する。

②多極化

大阪・東京を拠点としながらも、他エリアのマーケット動向を常に注視し、不動産事業に対しての戦略を立案する。

③多角化推進

経営資源・ノウハウの有効活用、リスク分散を図るために、不動産事業のみならず介護事業やホテル事業などに積極的に参画する。

 

(施策)
この3基本戦略テーマに関して、「事業規模拡大施策」と「経営基盤強化施策」を実践して強固な経営基盤を築き、事業の拡大に努める。

 

事業規模拡大施策

任意売却事業を通じて培われた深い法律知識に基づく問題解決力により、物件ジャンルを問わない不動産バリューアップにより市場拡大を図る。

 

相続対策商品としての自社ブランド「LEGALAND」をマーケットリーダーとして成長させる。

 

 

大阪と東京の2大都市を事業の中心としながら、マーケットエリアを限定せず、その他都市圏においても、人口増減や不動産需給などのマーケット動向に注視して優良物件を購入することにより、事業規模の拡大を図る。

 

 

大阪における旺盛なインバウンドのもと、自社ホテルブランド「LEGASTA」を始めとするホテル開発、自社民泊マンションブランド「LEGALIE」を始めとする民泊事業をより一層推進する。

 

 

大阪・東京の両拠点におけるオフィス需要に対応したビル1棟を1つのテナントに貸し出すセットアップオフィス事業を推進する。

経営基盤強化施策

 

不動産管理・役務提供サービスの開始により物件を接点とする持続的な収益機会を構築する。介護施設のオペレーションサービスにより、不動産事業との相乗効果を目指す。

 

 

不動産売買、賃貸、仲介だけでなく、既存の不動産事業とシナジー効果のある新規事業を行い、安定した経営基盤を築く。

 

 

既に開始している介護事業、プロパティマネジメント事業など、さらなる事業の多角化を進め、事業の拡大と安定化を図る。

 

 

情報提供者と事業利益を分配するリーガルパートナー制度の推進により、不動産情報保有者を囲い込み、継続的かつ優先的な不動産情報取得を図る。

 

(経営目標と数値計画)
経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標として、安定的かつ継続的な成長を重視し、財務活動等を含んだ企業の総合的な収益力を示す経常利益を指標とし、企業価値の継続的向上を目指す。
加えて、財務基盤強化の観点から、自己資本比率も重要な経営指標として位置づけており、早期に10%以上に向上させていく方針である。

 

(数値計画)

 

19/7期

20/7期予想

21/7期予想

22/7期予想

売上高

23,727

34,163

32,963

33,700

営業利益

2,318

2,504

2,526

2,751

経常利益

1,118

1,152

1,210

1,270

当期純利益

694

766

804

844

自己資本比率

7.5%

9.4%

10.3%

10.4%

 

(同社資料)

 

4.成長戦略

大阪を地盤とする同社は、「大阪エリア」および「東京エリア」においてそれぞれのエリア特性を踏まえた事業戦略を推進するとともに未来のマーケットづくりを目指し不動産テックを始動させる。
加えて、経営基盤の強化を図り、持続的成長を可能とする企業作りに取り組んでいる。

 

(1)大阪エリア

①事業環境
インバウンド(訪日旅行者)増、大阪府・大阪市による夢洲(大阪市此花区の人工島)への統合型リゾートの誘致、2025年大阪万博開催決定といった時流に乗り、大阪のホテル、民泊、オフィス、住宅等、不動産ニーズは旺盛で、なかでも難波からベイエリアにかけては日本でもっとも成長可能性の高いエリアであると同社では認識している。

 

②事業戦略
◎民泊事業・ホテル開発の加速
旺盛なインバウンド需要のもと、民泊事業、ホテル開発を一層推進する。

 

2019年10月に、大阪市浪速区に民泊専用マンション「LEGALIE 日本橋東」をオープンした。
地上9階建て(計15戸)の同マンションは「訪日外国人が日本の伝統文化を体験できる施設」をコンセプトとし、2階共有部を忍者屋敷風にして、隠し扉や隠し通路を設けたほか、宿泊者は無料で忍者衣装をレンタルすることができる。SNSなどを通じたインバウンド利用者に向けた拡散を期待している。

 

15戸すべて面積50㎡の2LDKでファミリー層の利用を想定。全室民泊専用マンションは大阪初、加えてワンルームではない点も大阪では初めてとのこと。稼働率が90パーセントを超えれば、通常の賃貸マンションの1.8倍の収入が得られると同社では見込んでいる。難波エリアに2棟目、3棟目の建設も計画中だ。

 

2019年4月には京都にゲストハウス「LEGASTA 祇園白川」をオープンした。
和風でモダンな外観と内装で外国人の観光客を取り込む。

 

(同社資料より)

 

◎マンション・オフィスビルの開発
全国主要都市における地価が上昇している。
同社資料によれば、四半期毎の主要都市における高度利用地の地価動向は観測地点の97%が上昇しており、中でも3%以上と比較的高い上昇を示した29地区のうち10地区は大阪府となっている。

 

関西におけるインバウンド需要は、ホテル・民泊だけでなく、商業施設や住宅地にも波及し、梅田駅周辺の再開発、大阪・関西万博による湾岸地域開発などインパクトの大きい計画が目白押しである。
大阪拠点の総合不動産会社である同社はそのメリットを最大限に享受できるポジションにあると考えており、マンション「LEGALAND」やオフィスビルの開発にも注力する。

 

(2)東京エリア

①事業環境
高齢化の進行により今後「大相続時代」が到来するが、その中心的なマーケットは東京である。
家計保有資産額や相続課税割合(相続発生件数中、実際に相続税納付が必要な件数の割合)で東京は全国平均を大きく上回る。加えて、大阪・兵庫と比べても東京の相続マーケットは格段に大きいと同社では考えている。
また東京におけるオフィスビル需要も一段と拡大するものと見込んでいる。

 

②事業戦略
◎富裕層の相続対策ニーズに対応した「LEGALAND」の開発推進
「LEGALAND」は、単身者・少人数世帯向けコンパクト低層賃貸マンション。富裕層に選好される高級感あふれる外観が特長である。

 

加えて、「道路や間口が狭い」、「都市計画が厳しい」など、アパートや戸建と競合する高さ制限地域(第一種・第二種低層住居専用地域等)や狭小な土地でも開発が可能である。
また、地下フロアを設置するほか、エレベーターや梁・柱をなくし保守コストを低減させ、最大限の部屋数と床面積を確保することで賃料収入の最大化を図っている。

 

現在東京地区では仕入済を含め約80か所を展開している。大阪・兵庫でも5か所展開しているが、前述のようなマーケット環境の下、当面は東京における事業展開に経営資源を集約する方針。
大相続時代到来を見据え、コンセプトは継承しつつ更なる住みやすさや賃料収入拡大を目指したブラッシュアップに取り組んでいく。

 

◎デザイン性と利便性に優れたセットアップオフィス事業の展開
同社では都内のオフィス需給逼迫に対し、同社ならではのソリューションを提供しマーケットを創造しようと考えている。
その具体的な形が「セットアップオフィス」である。
「セットアップオフィス」とは、ビル1棟全てを1つのテナントに貸し出し、自社ビルさながらにビジネスを加速させることができるオフィスビル。
あるフロアはオフィス、あるフロアは会議室、あるフロアはラウンジといったように、ワンフロアごとは大きな面積ではないものの、ユーザーは全体で見れば十分な床面積を確保することができ、セキュリティの観点からも使いやすい。

 

(同社資料より)

 

第1弾として明治通り沿いの小型ビルを購入し、「セットアップオフィス代々木」を竣工した。
第2弾、第3弾に向けた物件を取得済みであり、今後本格的に展開する。

 

(3)戦略的アライアンスの推進

同社では多様化・複雑化する社会や不動産業界で成長を続けていくには戦略的アライアンスが不可欠であると認識し、積極的に展開している。

 

①Osaka Metroとの共同開発
Osaka Metro(大阪市高速電気軌道株式会社)との第1号案件として、朝潮橋職員公舎(大阪市港区)を全面改装して賃貸マンション「Metrosa朝潮橋」を建設し、サブリースを行っている。
2018年の株式会社化を契機にOsaka Metroでは保有資産の有効活用に積極的であり、今後も御堂筋線あるいは中央線沿線や夢洲・森ノ宮などで多数の案件が生まれる見込みであり、第1号案件をきっかけにOsaka Metroとのアライアンス強化を図っていく。

 

他にも、関電不動産開発と茨木市で分譲マンション開発を、大阪ガス都市開発と大阪市内で賃貸マンションの共同開発事業を行っているほか、JR西日本不動産開発と西宮で分譲マンションの共同開発を、伊藤忠都市開発とも大阪市内等でマンションの共同開発を進めるなど、事業機会の拡大とノウハウの蓄積に取り組んでいる。

 

②不動産テックへの取り組み
不動産とITを融合し未来のマーケットを作るべく、2019年7月、株式会社ZUU(4387、東証マザーズ)と不動産テック分野で提携し、共同事業を開始した。
リーガル不動産の持つ不動産分野での商品開発力やオーナー向けサービス提供ノウハウと、ZUUが月間利用者数400万人の「ZUU online」をはじめとするWEBサービス運営で獲得したデータマーケティングのノウハウとを掛け合わせ、新たな価値提供を目指す。
不動産テック分野での共同事業開発、共同研究を進め、不動産における専門性の高い情報やノウハウをオンラインにおいてもコンテンツ化し、価値提供していくことで、これまでにない新たな不動産プラットフォームの構築を目指す。
共同事業第一弾として不動産オーナー向けのWEBメディア「YANUSY(ヤヌシー)」をリリースした。
YANUSYは、日本中の不動産オーナー向けに役立つ情報を提供し、「富動産(新しい切り口での資産=安心して収益を確保できる不動産)」作りをサポートするためのWEBメディア。
「資産運用、不動産投資、賃貸管理、税金、トレンド」の5つのカテゴリーを設け、編集部独自の目線でコンテンツ化し、有益な情報として提供する。

 

(YANUSY ウェブサイトより)

 

読者は 30~60 代を中心に幅広く、会員向けダウンロードコンテンツ eBook の提供などオリジナルコンテンツを充実させることにより、開始 2 か月で月間 10 万 PV を突破した。
2019年10月には日本の不動産マーケット情報の透明性向上とインバウンド需要の促進に貢献することを目指し、英語版をリリースした。

 

1年後には40万PV達成を目指している。
有料会員制など具体的なマネタイズ方法については今後の状況を見ながら検討していく。

 

(4)その他の取り組み

持続的成長に向け、他の取り組みとして「道頓堀サウナニュージャパン跡地の再開発」、「大阪でのシェアオフィス開発」、「東京での認可保育園運営」、「介護事業施設の安定的拡大の継続」等を挙げている。

 

(5)経営基盤の強化

こうした成長を実現させるためには以下のような経営基盤施策強化が必要であると考えている。

 

東証1部へのステップアップ

優秀な人材の確保と育成

一層の内部管理体制強化

更なるコンプライアンス体制の強化

仕入力及び販売力の強化

ストックを重視した安定収益拡大

多角化(不動産商品ラインアップの拡充)による事業の拡大と安定化

財務体質の改善

 

中でも、財務体質の改善については中期経営計画でも触れているように、自己資本比率を重要な経営指標として位置づけてあらゆる手法を検討したうえで、早期に10%以上に向上させていく方針である。

 

5.平野社長に聞く

平野哲司社長に、同社の競争優位性、今後の成長戦略と課題、株主・投資家へのメッセージを伺った。

 

Q:「改めて御社の特長・強み、競争優位性をお話しいただけますか?」
A:「仲介業者であった歴史が培ってきた経験・知識・ノウハウ、これは仲介業者からディベロッパーに変化した会社でなければ持ち得ないスキルであり、現在総合不動産ディベロッパーとして成長を続ける当社の強力な強み、競争優位性となっています」

 

当社は創業から任意売却の仲介事業で第1段階の成長を遂げ、その後総合ディベロッパーに進化して第2段階目の成長を実現し2018年に上場することができました。
日本には上場、非上場含めて多数の不動産会社が存在しますが、当社のように仲介事業からディベロッパーに業態を変化させた企業はおそらく当社だけではないでしょうか。

 

このユニークさが実は当社の強力な競争優位性の源泉である点を是非投資家の皆さんに知っていただきたいと思います。

 

任意売却は売却後も住宅ローンが残ってしまう不動産を金融機関の合意を得て売却するもので、債務者である所有者と債権者である金融機関のご協力の下、双方が十分に納得して頂けなければ成功させることはできません。
この交渉をスムーズに進めるのが私共仲介業者の役割なのですが、成功のためには、双方の状況やお考えをしっかりと汲み上げた上で条件を詰めていかなければなりません。
そのためには、不動産に関する豊富な法律知識や経験が不可欠ですが、仕事を進める上で同等に重要なのが「誠実さ」なのです。

 

貸した金額よりも返済される金額の方が少ない任意売却では、所有者も金融機関も損する中で、仲介業者だけが決まった手数料3%を主張しても成立するわけがありません。
商売の基本と言われる「三方良し」では不十分で、「みなさんが納得いく金額や配当を受け取った残りで結構です」という「他者優先」が仲介業者としての理想的なあり方であると考えて取り組んできましたが、ディベロッパーとしてもこうした「誠実さ」、「他者優先」の精神が重要であると考えています。

 

例えば、仕入。物件の情報をいち早く頂くこと、頂いた情報に対して常に誠実にアクセスをしてレスポンス早く回答を出すこと、これを各営業マンがポリシーとしています。
ディベロッパーは、仲介業者から情報を頂くところから仕事が始まるのですが、仲介業者の経験が豊富な当社は「この仲介業者さんは、本来はこうしたいんだろうな、こうして欲しいんだろうな」という仲介業者の気持ちがわかるんです。
わかるからこそ、そうしたニーズに対応してあげると仲介業者は喜んでくれ、今度はもっと良い情報を頂けてくれる、という好循環が生まれます。

 

逆に、仲介業者としての経験から、「買ってやる」という考えでディベロッパーが交渉に臨むのは、良い気分ではないことがわかっています。また、こうしたディベロッパーは、3%の仲介手数料について値下げを要求してくることも多いのですが、これをやると決して次につながらない、仲介業者は次からそうした先に良い物件を持って行きません。
当社はこのような仲介業者の気持ちがわかるから絶対値切りません。「買わせていただく」という態度です。ただこれは言うは易し、行うは難しで、なかなかできないことです。
ずっと買主として事業をしていると仲介業者の気持ちを理解することはできないのですが、仲介業者をやってきた当社はその経験から様々な決断を一瞬で下すことができ、これが早いレスポンス、良好な関係構築、より良い情報の入手に繋がっています。

 

また、すべてのプロセスに関わる方々ともウィン・ウィンでなければいけないと考えています。
仕入情報を頂く仲介業者のみでなく、売主、分譲の仲介業者、買主、内装業者、司法書士や測量士など、案件やプロジェクトをスムーズに完成させるにはそうした方々のご協力が不可欠であり、そのためにはここでも「誠実さ」、「他者優先」の精神が重要です。このように、仲介業者であった歴史が培ってきた経験・知識・ノウハウは仲介業者からディベロッパーに変化した当社でなければ持ち得ないスキルであり、当社の強力な強み、競争優位性となっています。

 

Q:「御社が今後もさらに成長していくためには、社員みなさんそれぞれの成長が不可欠です。営業スタッフを中心とした社員の方々には日頃どんなメッセージを伝えていらっしゃいますか?」
A:「あたかも個人事業主のように振る舞えるような人間になって欲しいということを社員にはメッセージとして伝えています。また、仲介業者として培ってきた「誠実さ」、「他者優先」の精神も当社のDNAとして継承すべく、その重要性をことあるごとに説いています」

 

当社には東京、大阪、神戸を合わせて、40名強の営業マンがおります。
私が彼らに期待し常にメッセージとして伝えているのは、「自分1人で、入り口から出口までプロジェクトを運んでいける感覚やスキルを身に付けて欲しい。つまりリーガル不動産の社員ではあるものの、あたかも個人事業主のように振る舞えるような人間になって欲しい」ということです。

 

一人一人、自分が会社の代表であるような、あるいは事業を推進している中心人物であるように行動することは不動産業の場合、十分可能であり、社員がそうした心構えで仕事に取り組むことが個々人の成長、ひいては当社の成長に繋がります。

 

そうした会社側の期待に対する評価の仕組みとして当社では完全成果主義を採用しています。年功序列を排したシンプルな完全成果主義による見える化により、社員のモチベーションを常にハイレベルで維持することができています。

 

また、先ほど申し上げた仲介業者として培ってきた「誠実さ」、「他者優先」の精神も当社のDNAとして継承すべく、その重要性をことあるごとに説いています。

 

Q:「次に成長戦略について伺いたいと思います。重要なポイントはどんなところでしょうか?」
A:「更なる活性化が見込まれる大阪の不動産マーケットで積極的にビジネスチャンスを掴んでいきます。また、東京エリアで相続対策ニーズを取り込んでいくほか、不動産とITを融合して未来のマーケットを創造する「不動産テック」への取り組みも今後の成長を追求するうえで極めて重要な施策であると考えています」

 

今後の成長戦略を進めていく上で私が強調したいのが「大阪を元気に!」というキーワードです。
在阪のディベロッパーであるということをこれまで以上に全面に掲げていきたいと考えています。

 

大阪で培った経験や人脈を活かし、大阪を元気にする役割を担う中で、当社も企業としての成長を図りたい。
2025年の大阪万博、大阪府・市が2024年の開業を予定しているIR(総合リゾート)に向けて様々な準備が進んでいる中で、大阪の不動産は今以上に活性化することが見込まれるため、我々も積極的にビジネスチャンスを掴んでいきます。

 

その中でも最も大きな取り組みが、Osaka Metroとのアライアンスです。
大阪市港区の都市開発事業を第1号案件としてOsaka Metroの開発計画に関与していくほか、関電不動産開発、大阪ガス都市開発、JR西日本不動産開発、伊藤忠都市開発といった企業とも戦略的アライアンスを推進していきます。

 

東京エリアでは、これまで同様低層賃貸マンション「LEGALAND」の開発を推進し相続対策ニーズを取り込んでいくほか、オフィス需要増に対応し、ビル1棟全てを1つのテナントに貸し出し自社ビルさながらにビジネスを加速させることができるオフィスビル「セットアップオフィス」を拡大していきます。

 

これらに加え、「不動産テック」への取り組みも今後の成長を追求するうえで極めて重要な施策です。
不動産とITを融合して未来のマーケットを創造するために、インターネットサービスの開発運営やデータマーケティングに関して豊富なノウハウを有する株式会社ZUUと共同でWEBメディア「YANUSY」を立ち上げました。

 

私は、不動産業界はデジタル化に関して最も遅れを取っている業界であると考えていますが、多様化・複雑化する社会、マーケットを見据えるとそれでは成長を見込むことができません。
まだ小規模な当社ではありますが、小さいながらもそういう旧態依然とした業界に風穴をあけたい、変革を起こしたいというのが「YANUSY」立ち上げに込めた想いです。
我々はディベロッパーとして、ただ単に例えばマンション「LEGALAND」を開発するだけではなく、「LEGALAND」を通じた住空間の環境改善によって住み心地のいいサービスを提供することこそが果たすべき役割だと考えています。
つまり、「LEGALANDを所有し、様々なサービスを受けることで自身の資産価値が向上し、オーナーとしての満足度が高まった」、その満足感こそが当社がご提供する最大の付加価値であり、そうした満足をお届けしたいのです。

 

そのためには、「YANUSY」を通じたデジタル化、集積されたデータの見える化、情報の公正な流通精度の向上を図り、これを広めていくことが必要です。
ただ、そうそう簡単に結果が出るものではないことも事実ですので、中長期の視点で信念、執念をもってやり続け、当社のチャレンジを必ずや成功させる決意です。

 

「YANUSY」はデータマーケティングに優れた株式会社ZUUとの互いの強みを活かした共同事業の第1弾であり、「不動産テック」成功に向け、AIやIoTを活用したサービスの開発など、第2弾、第3弾をリリースしていく計画です。

 

Q:「2019年9月に中期経営計画を発表されました。この中計において御社が投資家に伝えたいメッセージはどんな事でしょうか?」
A:「一番の課題と考えているのは何といっても経営基盤、財務体質の強化です。そこで、しっかりとした経営基盤、財務体質を構築することを最優先命題としています」

 

多くの皆様のおかげで上場することができ、人材採用に関しても良い人材を確保できるようになってきた当社ですが、私が今一番の課題と考えているのは何といっても経営基盤、財務体質の強化です。
前期末の自己資本比率は7.5%。早期の10%超え、その後20%以上の自己資本比率を実現させることが必要で、打てる施策は全て打っていきたいと思います。

 

そのため、今回の中期経営計画期間中は大規模な負債の増加は行わず、まずはしっかりとした経営基盤、財務体質を構築することを最優先命題としており、その上で次の中計において必ずや大きくジャンプアップするという強い信念を持って経営に臨んでいます。

 

このため、3年間で見ると売上高はほぼ横這い、利益は微増と、株主・投資家の皆様にとっては物足りない計画と映るかと思いますが、この点を是非ご理解いただきたいと思います。

 

Q:「では最後に株主や投資家の皆さんにメッセージをお願いいたします」
A:「本当の勝負は4年後からです。きちんとした成果を上げて皆様のご期待にお応えしてまいりますので、是非中長期の視点で当社を応援していただきたいと思います」

 

繰り返しになりますが、まずは経営基盤の強化と当社のウィークポイントである財務体質を是正することに注力していきます。
本当の勝負は4年後からです。自己資本比率の改善、売上・利益の拡大、時価総額の着実な増大など、確実に成果を上げて皆様のご期待にお応えしてまいりますので、是非中長期の視点で当社を応援していただきたいと思います。

 

6.今後の注目点

現時点では任意売却案件の売上構成比は極めて低いが、任意売却の仲介業者であった歴史が同社の強み・競争優位性の原点であるということを投資家としてはぜひ理解しておきたい。また、仲介業者からディベロッパーへの変身も、平野社長の言によれば「経営戦略というよりも、環境からそうせざるを得なかった」ということだが、「最も強い者が生き残るのではなく、唯一生き残るのは変化できる者である」という言葉もあるように、平野社長が未経験の不動産業に携わった経緯も含め、柔軟に変化できる対応力も同社を特徴づける重要なポイントであろう。
この3年は財務体質の強化を最優先事項とするためトップラインの伸びではなく、利益および利益率の確保に注力することとなるが、4年後からの大きな成長に向けて、大阪エリアでの開発案件や「「YANUSY」など、どんな仕込みを進めていくのかを注目したい。

 

<参考:コーポレートガバナンスについて>

◎組織形態及び取締役、監査役の構成>

組織形態

監査役会設置会社

取締役

6名、うち社外2名

監査役

4名、うち社外4名

 

◎コーポレートガバナンス報告書
更新日:2019年11月1日

 

<基本的な考え方>
当社は、不動産業という専門的な業務を通じ、地域社会に貢献しつつ、株主の利益や企業価値を最大化することを目標とするとの基本的認識とコンプライアンスの重要性を、コーポレート・ガバナンスの基本方針としております。具体的には、コンプライアンス意識を徹底すべく、会社法上の各種機関等を設置するほか、経営環境の変化に柔軟に対応でき、かつ牽制が利いた内部統制・開示体制を構築し、適切に運営することにあります。株主の権利を重視し、社会的信頼に応え、持続的成長と発展を遂げていくことが重要であるとの認識に立ち、コーポレート・ガバナンスの強化に努めております。

 

<実施しない主な原則とその理由>
「当社は、マザーズ上場企業としてコーポレートガバナンス・コードの基本原則をすべて実施しております。」と記載している。

 

 

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