ブリッジレポート:(1433)ベステラ 高度循環型社会実現のための一手

2019/09/26
 

吉野 佳秀 社長

ベステラ株式会社(1433)

 

 

企業情報

市場

東証1部

業種

建設業

代表取締役社長

吉野 佳秀

所在地

東京都江東区平野三丁目2番6号 木場パークビル

決算月

1月

HP

https://www.besterra.co.jp/

 

株式情報

株価

発行済株式数(自己株式を控除)

時価総額

ROE(実)

売買単位

1,233円

8,226,770株

10,144百万円

23.8%

100株

DPS(予)

配当利回り(予)

EPS(予)

PER(予)

BPS(実)

PBR(実)

16.00円

1.3%

44.61円

27.6倍

317.49円

3.9倍

*株価は09/09終値。発行済株式数は直近四半期末の発行済株式数から自己株式を控除。ROE、BPSは前期末実績。

 

連結業績推移

決算期

売上高

営業利益

経常利益

親会社株主帰属利益

EPS

DPS

2016年1月(実)

3,846

447

464

292

42.85

90.00

2017年1月(実)

4,182

397

404

271

32.85

40.00

2018年1月(実)

4,496

386

373

263

31.69

15.00

2019年1月(実)

4,927

497

495

621

75.25

15.00

2020年1月(予)

5,700

525

521

367

44.61

16.00

*予想は会社予想。単位は百万円、円。
*2019年1月期より連結決算。当期純利益は親会社株主に帰属する当期純利益(以下、純利益については同様)。
*株式分割 2016年2月 1:2、2017年2月 1:3(EPSは遡及修正済み)。

 

 

ベステラ株式会社の2020年1月期第2四半期決算の概要と通期の見通しについて、ブリッジレポートにてご報告致します。

目次

今回のポイント
1.会社概要
2.2020年1月期第2四半期決算概要
3.2020年1月期業績予想
4.高度循環型社会の実現に向けた取り組みとSDGsへの対応
5.今後の注目点
<参考:コーポレート・ガバナンスについて>

今回のポイント

  • 20/1期2Q(累計)は前年同期比9.6%の減収、同9.9%の営業増益。2Q(5-7月)の完成工事の減少で減収となったが、社内計画に沿った着地。利益面では、小型の高利益率工事が多かった事に加え、進行基準適用工事で発生した追加工事の寄与もあり、売上総利益率が改善。人件費増や本社ビルの賃料計上(前期に本社ビルを売却して移転)等による販管費の増加を吸収した。
  • 通期予想に変更はなく、前期比15.7%の増収、同5.5%の営業増益。2Q末の受注残高が前年同期末の水準を下回っているが、足元、受注見込み案件の商談が最終段階にある。利益面では、人件費・採用費の増加に加え、研究開発や職場環境の整備(安心して働ける仕組みづくり)等の投資を吸収する。期末配当は10円を予定しており、2Q末配当と合わせて年1円増配の16円。
  • 9月3日、リバーホールディングス(株)との間で資本業務提携契約を締結した。リバーホールディングス(株)は、傘下の事業会社10社を通して、金属リサイクル事業、家電リサイクル事業、自動車リサイクル事業、及び産業廃棄物処理事業等を手掛けている。日本でトップクラスのリサイクル事業者であり、関東を中心に静岡・大阪に20数拠点を展開し、年商は300億円規模。資本業務提携の下、解体からリサイクルに至る一貫体制を構築する事で高度循環型社会を実現し地球環境に貢献していく。

1.会社概要

プラント解体のスペシャリストとして、製鉄、電力、ガス、石油等、プラント(金属構造物)の解体工事をマネジメントしている。“プラント解体の工法・技術”をコア・コンピタンスとし、国際特許も含めた特許工法を多数有する。エンジニアリング(提案・設計・施工計画)とマネジメント(監督・施工管理)に経営資源を集中しており、実際の解体工事は協力会社に外注するため、工事用重機や工事部隊を保有せず(資産保有リスクを回避)、材料等の仕入・生産取引も発生しない(在庫リスクを回避)。
社名の「べステラ(BESTERRA)」は英語の「Best(goodの最上級)」とラテン語の「Terra(地球)」を合わせたもので、「最高の地球の創造」という思いを込めた。解体からリサイクルの一貫体制を構築する事で高度循環型社会を実現し地球環境に貢献していく考え。

 

【企業理念・行動規範】

「柔軟な発想と創造性、それを活かした技術力により地球環境に貢献します」という企業理念の下、下記の行動規範を掲げている。

 

行動規範
プロとしての責任を果たします。
我々は常に新しい技術を生み出し、「安全を何よりも優先」し、「より早く、より安く、より安全に」を合言葉にさらに安心を加えて、お客様に提供します。

 

1-1 事業の特徴

プラント解体事業が売上高全体の約97%を占める(この他、人材サービス等を手掛ける)。プラントの解体工事は、製鉄・電力・ガス・石油等のプラントを有する大手企業が施主であり、多くの場合、施主系列の設備工事会社あるいは大手ゼネコンが工事を元請けし、同社が一次下請け、二次下請けとなっている。19/1期の顧客業種別完成工事高(構成比)は、電力35%(18/1期22%)、鉄鋼41%(同37%)、石油・石化9%(同27%)、ガス14%(同13%)、その他1%(同1%)。
尚、工事の施工に必要な重機や職人は直接保有しないファブレス経営を徹底している(複雑な構造を持つプラントのどのような設備に対しても柔軟に対応できる)。

 

工事の進行に伴って発生するスクラップ等の有価物は、同社が引き取ってスクラップ業者に売却する。このため、同社は受注に際して有価物の価値を、材質、量、価格(鉄、ステンレス、銅等の材質毎の相場)等から総合的に見積り、それを反映した金額で交渉し、請負金額を決めている。会計上、有価物の売却額は解体工事に伴う収益の一部と位置付けられており、完成工事高に含めて計上している。尚、発注者(施主)が独自でスクラップ等の処分(売却)を行う事もある。

 

完成工事高(金額は概算値)

18/1期 非連結

構成比

19/1期 連結

構成比

増減率

電力

975

22%

1,667

35%

+71%

製鉄

1,639

37%

1,952

41%

+19%

石油・石化

1,196

27%

429

9%

-64%

ガス

576

13%

667

14%

+16%

その他

44

1%

48

1%

+9%

完成工事高

4,429

100%

4,761

100%

+7%

*単位:百万円

 

1-2 強み - 優良な顧客基盤、豊富な工事実績に基づく効率的解体マネジメント、特許工法等の知的財産 -

強みは、優良な顧客資産、豊富な工事実績に基づく効率的解体マネジメント、及び特許工法等の知的財産。顧客は、製鉄、電力、ガス、石油等の大手企業のエンジニアリング子会社等、与信の不安がない優良顧客であり、中長期にわたり継続して受注が見込める。これら優良企業から、約40年間の実績に裏打ちされたプラント解体のトータルマネジメント(低コスト・高効率)が高く評価されており、参入障壁になっている。更に、環境対策工事等で蓄積してきた様々な技術やノウハウも強みであり、発生材の再資源化も含めて、顕在的・潜在的な知的財産となっている。

 

特許工法等
リンゴ皮むき工法と溶断ロボット「りんご☆スター」
「リンゴ皮むき工法」とは、ガスホルダーや石油タンク等の大型球形貯槽の解体において、リンゴの皮をむいていくように、外郭天井部の中心から渦巻状に切断する工法。切断された部分は重力に従って、渦巻きを描きながら徐々に地上に落ちていく。工期、コスト、安全性に優れ、競合優位性の高い工法であり、「より早く、より安く、より安全に」を実現する。また、この工法を自動化する溶断ロボット「りんご☆スター」も提供している(「りんご☆スター」については、新アタッチメント開発による用途拡大にも取り組んでいる)。

 

環境関連工法
火気を使用しない「無火気工法」により、数々の環境関連工事の実績を重ねている。例えば、PCB(ポリ塩化ビフェニル)は、現在、有害物質として全廃されているが、優れた熱安定性や化学的安定性(電気絶縁特性)から、長年、トランス(変圧器)やコンデンサ(蓄電器)に使われてきた。プラントの解体時にトランスやコンデンサを処理するケースが多いが、PCBを高温で処理するとガス化するため吸引する恐れがあり、解体・撤去に際して火器(ガス溶断等)が使えない。同社はセーバーソー(往復運動する鋸刃により切断する)等による無火気工法・準無火気工法を得意としており、モーター焼きつき対策や刃を再生利用する等の工夫で業界常識を超える厚みを切る事が可能だ。変圧器の解体では、「トランス解体方法並びにトランス解体用冶具、及びトランス解体用切断装置」の特許を(株)日立プラントコンストラクションとの共同で出願している。

 

風車解体工法
発電用風車は世界的に年間20%程度の成長が続いているが、今後、使用期限や経済的陳腐化による解体需要の増加が予想される。同社の資料によると、世界の風力発電量は486,790MWと年率約20%の成長を続けており(陸上約340,000基、洋上約4,000基)、国内でも2017年末で2,225基を数え、毎年約90基のペースで増加している。一方、耐用年数が15~20年程のため初期に設置された発電用風車は使用限界を迎えている。また、落雷・台風等により破損や致命的な故障が起きて解体が必要となっている機体も少なくない。

 

発電用風車の倒し方法(国際出願)
発電用風車の解体は、通常、支柱の外側に足場を組んで行われるが、山岳部や洋上等にも設置されているため、解体の難易度は高い。同社は、足場を必要としない風車解体工法を考案し、「発電用風車の倒し方法」の国内特許を既に取得しており、「基礎部を活用した搭状構造物の倒し方法」及び「塔型風力発電設備の解体方法」の国際特許を出願中である。これらの特許に基づく工法を使う事で、作業員の安全性が飛躍的に向上し、工期も短縮できる。

 

3D事業による価値の追求
レイアウトシミュレーション、歪み・曲がり・ねじれ計測、Before/After形状比較、ウォークスルー動画等のサービスにより、建設時(30年以上前)の紙データを最新鋭の3Dデータに変換し、工程を「視える化」した解体工事を提供していく。また、2次元への図面化、モデリングBIM/CIM対応、パーフェクト3D、3Dプリント等、最高水準の計測技術とシミュレーションシステムによる、解体工事に伴う独自の3D計測サービスも提供していく。

 

解体工事の工程を「視える化」

レイアウトシミュレーション 3D CADで作成した機器のモデルを3Dデータ上に配置し、入替シミュレーションが可能。機器のモデルを動かしながら、動的な干渉・衝突チェックができる。
歪み・曲がり・ねじれ計測 形状変化の計測が可能。地震や経年劣化等で建物に歪みが発生していないか等、躯体の一時的診断に役立つ。
Before/After形状比較 配管・コンベア・炉等、熱や振動の影響を受けて変化する設備の設置時と稼動後の形状を比較する。3Dデータにより全体の変化を直感的に把握できる。
ウォークスルー動画 合成した点群データを利用して、ウィークスルー動画を作成する。施工計画や物件情報に関するプレゼンテーションや広報用動画として活用できる。

 

独自の3D計測サービス

2次元への図面化 点群データを基にモデリングした3D CADモデルを図面化する。簡易的に点群データを直接、図面化する事もできる。
モデリングBIM/CIM対応 点群データを基に3D CADで対象をモデリングする。施工・改修に必要な部分をBIMデータ(Building information modeling)として作成する事もできる。
パーフェクト3D 自動車によるMMS(Mobile Mapping System)や航空レーザー計測、水域計測等を組み合わせた大規模3次元データ計測サービス。
3Dプリント 点群データからのモデリングを経て、3Dプリンターで造形できるようにデータを加工・デフォルメする。積層ピッチ15μmという微細な出力を実現する。

 

※2つの収益計上基準と同社収益計上の季節性について
工事契約における収益の計上基準には、工事が完成した時に収益を計上する完成基準と工事の進捗に応じて収益を計上する進行基準がある。プラント解体工事はスクラップなど有価物の引き取りがあるプラント解体工事は工事の収益が最終のスクラップ売却時まで確定しないため、同社においては、請負金額50百万円超、工事期間3ヶ月超の大型工事について原則工事進行基準を適用しており(18/1期以降)、上記に該当しない工事については完成基準を適用している。完成基準適用工事の収益計上(完工)時期は顧客(施主)の設備投資計画の影響を受ける事が多く、同社の場合、第1四半期(2月~4月)と第4四半期(11月~1月) に収益が計上される割合が高い(収益計上の季節性)。しかし、四半期業績の変動が投資家をミスリードする可能性があるため、同社は工事進行基準の適用範囲を段階的に広げており、収益計上の平準化に継続的に取り組んでいる。

 

1-3中期経営計画2021(20/1期~22/1期)

数値目標

20/1期 予想

21/1期 目標

22/1期 目標

売上高

5,700

6,400

7,200

営業利益(営業利益率)

525(9.2%)

570(8.9%)

650(9.0%)

経常利益

521

566

645

当期純利益

367

403

457

*単位:百万円

 

同社の中期経営計画は経営環境の変化等に柔軟に対応するためローリング方式が採用されており、毎期、見直し・改定が行われている。20/1期を初年度とする「中期経営計画2021」は、収益構造改革、人事構造改革、3D事業の価値の追求、及びM&A戦略を基本戦略とし、売上高・利益の年率10%超の成長と最終の22/1期に売上高72億円、営業利益6.5億円の達成を目指している。

 

20/1期の取り組み - 収益構造改革、人事構造改革、3D事業の価値追求、M&A戦略 -
収益構造改革
収益構造改革として、受注案件数・規模の拡大、工法の充実、及び営業力強化に取り組んでいく。
受注案件数・規模の拡大では、日本の産業を支える重厚長大なプラント企業へ安全で革新的な解体工事を提案し、プラント解体事業の最大化を図る考え。具体的には、電力、鉄鋼、石油・石油化学、及びガスその他の分野毎にターゲットを定め個別戦略を推進する。

 

解体設備

戦略

売上高(構成比)

19/1期     22/1期

電力

ボイラ、煙突、タンク、変圧器(PCB)

火力発電所案件の獲得、PCB関連案件の獲得、風力発電案件の獲得、原発案件への参入

16億59百万円  24億円

(35%)    (33%)

鉄鋼

溶鉱炉、煙突、リクレーマー(機械装置)

既存顧客(高炉事業者)との関係強化、新規顧客(電炉事業者)の開拓

19億28百万円  20億円

(41%)    (28%)

石油・石油化学

製油所、エチレンプラント

製油所案件の獲得、エチレンコンビナート案件の獲得

4億25百万円  19億円

( 9%)    (26%)

ガスその他

ガスホルダー、各種製造工場

リンゴ皮むき工法の営業展開の拡充、各種工場案件の獲得

7億47百万円   9億円

(15%)    (13%)

 

工法の充実では、コスト競争力を有する「リンゴ皮むき工法」及び「りんご☆スター」(タンク類の解体)、独自の無火気工法(トランス等の電力関係設備)、国際特許として申請中の発電用風車解体工法(風力発電)等、競争力のある特許工法による解体方法を提案し、実用化に繋げていく。

 

営業力強化では、元請工事の比率を高めると共に営業拠点を拡充する。現在、同社は、元請会社からの1次請けの受注割合が多いが、直接受注を増やし元請工事の比率を高め、収益率の向上につなげる。このため、展示会への出展に加え、ホームページ、販促物、各種メディア等、広告媒体の充実に取り組む。

 

19/1期末現在の拠点と実績は、東京本社(18/1期:売上高35億61百万円→19/1期:35億90百万円)、JFE千葉港内事務所(千葉県千葉市、5億50百万円→4億61百万円)、千葉事務所(千葉県市原市、2億21百万円→2億71百万円)、西日本事務所(広島県福山市、1億64百万円→2億57百万円)。現在、西日本事務所の拡充を予定している他、京浜事務所(19/1期の同地区で売上高1億80百万円)の開設準備を進めている。また、仙台での事務所開設も検討している。新たな拠点の開設は、ストック型(顧客グループ単位からの継続的受注や構内常駐等)案件の受注拡大につながる。

 

2.2020年1月期第2四半期決算概要

2-1 第2四半期連結業績

19/1期 2Q(累計)

構成比

20/1期 2Q(累計)

構成比

前年同期比

売上高

2,110

100.0%

1,907

100.0%

-9.6%

売上総利益

392

18.6%

434

22.8%

+10.7%

販管費

252

12.0%

280

14.7%

+11.1%

営業利益

139

6.6%

153

8.1%

+9.9%

経常利益

139

6.6%

153

8.0%

+10.0%

親会社株主帰属利益

90

4.3%

101

5.3%

+11.3%

*単位:百万円

 

前年同期比9.6%の減収、同9.9%の営業増益
売上高は前年同期比9.6%減の19億07百万円。前年同期の売上を大型工事が押し上げた反動もあり、前年同期比減収となったが、社内計画に沿った着地(第2四半期累計予想は非開示)。事務所を拡充した西日本事務所(広島県福山市)や新たに開設した京浜事務所(神奈川県川崎市)の寄与で製鉄が増加した他、前年同期の水準が低かった石油・石化が大きく伸びた。

 

営業利益は同9.9%増の1億53百万円。小型の高利益率工事が多かった事に加え、進行基準工事で発生した追加工事の寄与もあり(追加工事の契約前に現場の要請で工事対応し、その時点で原価計上している)、原価率が4.2ポイント改善し、減収ながら売上総利益が同10.7%増加。ベースアップ(平均給与の増加)や資格手当の支給に伴う人件費の増加や本社ビルの賃料計上(自社ビルを売却し、賃貸に変更)、及び働き方改革に伴う勤怠管理システム改良等による販管費の増加を吸収した。

 

業種別完成工事高(概算値)

19/1期 2Q(累計)

構成比

20/1期 2Q(累計)

構成比

増減率

電力

590

29%

325

18%

-45%

製鉄

956

47%

1,011

56%

+6%

石油・石化

102

5%

289

16%

+183%

ガス

346

17%

144

8%

-58%

その他

41

2%

36

2%

-12%

完成工事高

2,035

100%

1,804

100%

-11%

*単位:百万円

 

 

販管費の内訳と増減要因

19/1期

2Q(累計)

対売上比

20/1期

2Q(累計)

対売上比

増減率

主な増減要因

人件費

119

5.6%

132

6.9%

+11.0%

平均給与増

研究開発費

9

0.4%

12

0.6%

+22.5%

クレーン検査ロボット開発

支払手数料

支払報酬

25

1.2%

27

1.4%

+7.4%

基幹システム改良

採用費

5

0.2%

8

0.4%

+61.9%

広告媒体、紹介手数料等

広告宣伝費

15

0.7%

7

0.4%

-47.4%

展示会減少(2→1回)

その他

77

3.6%

92

4.8%

+19.1%

本社ビル賃貸費用

販管費合計

252

11.9%

280

14.7%

+11.1%

*単位:百万円

 

2-2 人員計画の進捗状況

第2四半期末の工事監督数は、営業から2名の移動があり34名(前期末32名)。第2四半期累計期間の増員が2名にとどまったが、足元では面接件数が増えており、前期末と比べて15名増の期末47名を目標に採用を進めていく考え。採用力強化の一環として、この第2四半期累計期間において、ベースアップと共に社員が安心して働ける環境の整備にも取り組んだ。

 

従業員給与の増額

社員の満足度向上と優秀な人材確保につなげるべく、ベースアップを実施した他、元請工事の増加に欠かせない有資格者を確保するため、資格手当を導入した。

 

・定期昇給、人事考課による評価に加えて、大幅なベースアップを実施

・工事の監理技術者に対し、月額資格手当を支給

・従業員の平均年間給与が503万円から569万円に増加

所得補償保険

人事構造改革の一環として、社員が安心して長く働ける環境を整えるため、団体長期障害所得補償保険「GLTD」を導入した。「GLTD」とは、社員が病気やケガ、精神疾患で中長期に仕事が出来ない場合に、在籍中・退職後を問わず最長定年まで、収入を一定割合補助する制度である。

 

・月額報酬の50%が補償される(日本最高水準の補償割合)

・在籍中・退職後を問わず、最長定年時(60歳)まで補償される

・保険料は全額会社負担

 

 

2-3 受注高・受注残高

19/1期 2Q(累計)

20/1期 2Q(累計)

前年同期(末)比

期首受注残高

2,218

1,021

-53.9%

受注工事高

1,163

1,615

+38.9%

完成工事高

2,035

1,804

-11.3%

期末受注残高

1,346

832

-38.2%

*単位:百万円

 

フローよりもストックの受注に注力しており、大型工事の単発受注よりも、細かい工事の継続的な受注に力を入れている。工事の引き合いは多いが、受注から着工・完工までの期間が短い案件が多く、第2四半期末までに正式な受注に至っていない。このため、前年同期末及び期首との比較で受注残高が減少している。

 

業種別受注残高

19/1期 2Q(累計)

構成比

20/1期 2Q(累計)

構成比

増減率

電力

487

29%

25

3%

-95%

製鉄

957

57%

532

64%

-44%

石油・石化

101

6%

183

22%

+82%

ガス

118

7%

50

6%

-58%

その他

17

1%

42

5%

+148%

受注残高

1,679

100%

832

100%

-50%

*単位:百万円

 

2-4 財政状態及びキャッシュ・フロー

財政状態

18年1月

19年1月

18年1月

19年1月

現預金

2,032

1,278

仕入債務

1,357

384

受取手形・完成工事未収入金等

1,785

1,173

未払法人税等

250

10

流動資産

4,059

2,771

借入金・社債

7

6

有形固定資産

265

277

負債

1,949

605

投資その他

212

164

純資産

2,614

2,631

固定資産

504

466

負債・純資産合計

4,564

3,237

*単位:百万円

 

第2四半期末の総資産は前期末との比較で13億27百万円減の32億37百万円。売上債権の回収が進んだものの、仕入債務の決済、法人税等の納付、及び配当金の支払い等で現預金が減少した。また、会計基準(税効果会計)の変更で固定資産が減少した。自己資本比率81.2%(前期末57.2%)。

 

キャッシュ・フロー

19/1期 2Q(累計)

20/1期 2Q(累計)

前年同期比

営業キャッシュ・フロー

153

-539

-692

投資キャッシュ・フロー

-12

-132

-120

財務キャッシュ・フロー

-234

-81

+152

現金及び現金同等物期末残高

663

1,277

+614

+92.7%

*単位:百万円

 

税金等調整前四半期純利益1億53百万円(前年同期1億39百万円)、減価償却費16百万円(同15百万円)、仕入債務の減少△9億73百万円(同△1億30百万円)、法人税等納付2億36百万円(同17百万円)等で営業CFは5億39百万円の支出となった。

 

2-5 (株)イクシスとクレーンレール検査ロボットを共同開発

株式会社イクシス(神奈川県川崎市、代表取締役:山崎文敬、狩野高志)と、プラント・工場設備等に設置された天井クレーン(重量物や部品の運搬等に用いられる)の安全かつ効率的な定期検査に寄与する自走式検査ロボットを共同開発した。

 

効率性、安全性を課題とする現行の天井クレーン検査
天井クレーンは、経年劣化等により歪みが発生し、放置すれば重大な事故につながる。このため、クレーン設置企業は、労働安全衛生法のクレーン等安全規則によって、荷重をかけて行う年1回の自主検査と、1ヶ月に1回の特定事項について行う自主検査が義務付けられている。ただ、現行の検査は、教育を受けた作業員による計測と目視確認が中心であり、検査を行う数日間は工場の稼動を完全に停止する必要がある。また、作業員が天井クレーン上に上がって作業を行うため作業員の安全性確保も課題であり、効率性、安全性の両面から有効な手段が求められている。

 

開発した自走式検査ロボットの特徴
今回開発した自走式検査ロボットがクレーンレール上を自走する事で、スパン測定・レール勾配・左右レールの水平差等のクレーンレールの変異データを3次元的に取得する事ができる。言い換えると、無人かつ高負荷環境下での3次元位置測定が可能となり、効率性や安全性の課題を解決する。加えて、従来の検査システムでは確認が困難なレール継目の食い違い・レール継目の隙間・細かい亀裂等も正確に検査する事ができる。また、座標値以外にも画像、点群を取得する事でガーダー(桁)全体の形状・表面検査が可能となり、レール計測以外の付加価値を生み出す事もできる。

 

ビジネスモデル
3D計測の発展系のサービスとして、同社が自走式検査ロボットを使い計測サービスを行い、(株)イクシスが取得データの解析サービスを行う。現在、国内で約10万基のクレーンが稼動しており、年1回の自主検査で約30万円の検査費用を要している事から、同社は法定点検マーケットを300億円以上と試算している。解体事業で取引のある既存顧客と重なるケースが多いため、既存の販路を活用できる。来22/1期からの受注開始を予定しており、プラント・工場設備等の安全管理、設備管理に貢献すると共に、将来的には知見を予防保全や経年劣化の将来予測にも役立てていきたい考え。

 

(株)イクシスとは
(株)イクシスは、「ロボット×テクノロジーで社会を守る」というミッションの下、「使える」、「使い続けられる」をコンセプトに、社会・産業インフラ向け検査ロボットや特殊環境対応型ロボットの開発及び取得データの解析サービスを行っている。今後、急速に進むインフラの老朽化や熟練技能者不足等の、日本が抱える社会的課題に対して、ロボットによる省力化や安全性の向上を図る等、高い付加価値の提供を続けている。

 

意匠出願中の検査ロボット(構想図)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(同社資料より)

 

3.2020年1月期業績予想

3-1 通期連結業績

19/1期 実績

構成比

20/1期 予想

構成比

前期比

売上高

4,927

100.0%

5,700

100.0%

+15.7%

営業利益

497

10.1%

525

9.2%

+5.5%

経常利益

495

10.0%

521

9.1%

+5.2%

当期純利益

621

12.6%

367

6.4%

-41.0%

*単位:百万円

 

受注見込み案件を踏まえ、通期予想に変更はなかった。前期比15.7%の増収、同5.5%の営業増益を見込む
第2四半期末の受注残高が8億32百万円と前年同期末を38.2%下回る中で通期の売上予想を達成するためには、下期に37億92百万円(前年同期比34.7%増)の売上計上が必要となるが、足元、受注見込み案件の商談が順調なようだ。
利益面では、採用費及び人件費の増加に加え、新たな工法に関する研究開発、採用活動及び就労環境の整備(安心して働ける仕組みづくり)、効率的な業務管理を実現するシステム導入等の成長投資のコストが織り込まれている。最終利益が減少するのは、前期に本社ビル売却に伴う特別利益を計上しているため。

 

通期予想に対する進捗率は、売上高33.5%(通期実績ベースの前年同期進捗率42.8%)、営業利益29.3%(同28.1%)、経常利益29.4%(同28.1%)、最終利益27.5%(同14.6%)。同社の完成工事高は、顧客(施主)の設備投資計画に応じた季節性がある。このため、同社の業績は第4四半期(11-1月)に計上される割合が高くなる傾向がある。

 

期末配当は1株当たり10円を予定しており、第2四半期末配当6円(1円増配)と合わせて年1円増配の16円となる(予想配当性向35.9%)。同社は配当性向40%を目処に安定配当を実施していく考え。

 

3-2 リバーホールディングス(株)との資本業務提携

9月3日、リバーホールディングス株式会社(本社:東京都下代田区、代表取締役社長松岡直人)との間で、資本業務提携契約を締締すると共に、株式会社INCJ(東京都千代田区、代表取締役社長 勝又幹英)の保有するリバーホールディングス株式250万株(発行済株式数の14.59%)を譲受した。

 

リバーホールディングス(株)の概要
リバーホールディングス(株)は、傘下の事業会社10社を通して、金属リサイクル事業、家電リサイクル事業、自動車リサイクル事業、及び産業廃棄物処理事業等を展開する持株会社。グループで、関東を中心に静岡・大阪に20数拠点を展開している。同社自身、110年超の歴史を持つ、日本を代表するマテリアルリサイクラーであり、日本発のマテリアルリサイクル(静脈)メジャーを目指し、中小規模事業者の多い業界において、積極的なM&Aでスケールメリットを追求してきた。社会から排出される廃棄物を受け入れ、再資源化する「リサイクル事業」を推進し、廃棄物処理・リサイクルのワンストップサービスを全国規模で提供する事で、循環型社会の一翼を担う事を目指している。

 

尚、株式会社INCJは、産業革新投資機構の100%子会社。産業や組織の壁を超えた“オープンイノベーション”を活用し、新たな付加価値を創出する革新性を有する事業に対して成長資金を提供し経営参加型の支援を行っている。

 

リバーホールディングスのグループ企業
株式会社 鈴徳(東京都千代田区、金属を中心としたリサイクル・廃棄物処理)、メタルリサイクル株式会社(埼玉県比企郡川島町、自動車をメインとしたリサイクル・廃棄物処理・中古パーツ販売)、中田屋株式会社(東京都千代田区、鉄・非鉄金属からOA機器等の産業廃棄物・リサイクル)、サニーメタル株式会社(大阪府大阪市此花区、金属を中心としたリサイクル・廃棄物処理、家電リサイクル)、フェニックスメタル株式会社(千葉県市原市、鉄・非鉄、産業廃棄物から家電まで、多彩な品目のリサイクル処理)、NNY株式会社(栃木県大田原市、非鉄金属を中心としたリサイクル・廃棄物処理)、イツモ株式会社(千葉県千葉市、資源や廃棄物等の運送業)、株式会社新生(埼玉県比企郡滑川町、廃棄物の中間処理だけでなく収集運搬)、メジャーヴィーナス・ジャパン株式会社(東京都千代田区、廃棄物等の加工・処理・リサイクル、廃棄物マネジメント支援)、HIDAKA SUZUTOKU(Thailand) Co., Ltd.(タイ、主に日系企業の生産拠点から出る工場発生くずの処理)。

 

資本業務提携の目的 : 環境サプライチェーン(静脈産業のプラットフォーム)創出に向けて
これまで日本の静脈産業は中小規模の企業が乱立する分散型事業だったが、「規模型事業へとシフトする事が産業自体の優位性向上につながり、かつ高度循環型社会の実現に資する」というのが両社の考え。今回の資本業務提携により環境サプライチェーン(静脈産業のプラットフォーム)を創出すると共に、小規模事業者のプラットフォームへの参画を呼びかけ、日本発の静脈メジャーの誕生を目指す。

 

静脈産業の現状と課題
製造業など製品を生み出す動脈産業に対し、解体工事等により発生する不要物や使用済製品を回収し、処理・再生・再利用する産業を静脈産業と、血液の循環に例えて称されている。廃棄物の再資源化やリサイクルを担う静脈産業は循環型社会の実現に必要不可欠な存在だが、国内の静脈産業市場は中小規模事業者が乱立する過当競争の状態。動静脈産業との連携もできていないため、資源循環の環が形成され難い。また、大規模化が進んでいる欧米の事業者に対して、日本の静脈産業は競争力で見劣りする。

 

「動脈産業」と「静脈産業」の接点としてのポジションの確立を目指す
ベステラ(株)は動脈産業(戦力・製鉄・石油化学等)と静脈産業(スクラップ・産業廃棄物等)の中間に位置する事業「解体工事業」を主な事業としており、リバーホールディングス(株)は静脈産業「スクラップ・産業廃棄物等」の中間処理を主な事業としている。
社会インフラの老朽化への対応等でマーケットの拡大が期待される中、両社は「動脈産業」と「静脈産業」を連携させる役割を担い、中長期的には一体となる事で高度循環型社会において欠く事の出来ないポジションの確立を目指している。

 

(同社資料より)

 

提携効果
・ 顧客企業への提案力向上、顧客企業情報の共有化
ベステラ(株)のプラント解体工事技術とリバーホールディングス(株)のリサイクル技術によるワンストップサービスの提案営業を展開していく。特に環境対策工事の受注拡大に繋げていきたい考え。ベステラ(株)の工事の発注元は日本の基幹産業が多く老朽化したストックを抱える中で、環境を重視した経営を求める声が日増しに高まっている。

 

・ 事業規模追求による発言力(スケールメリット)の向上
「動脈産業」と「静脈産業」を連携させる役割を担う事で、高度循環型社会において欠く事の出来ない企業もしくはプラットフォームとしてのポジショニングを確立する。顧客企業への提案力の向上や情報の共有化につなげる事はもちろんだが、併せてスケールメリットを追求し、価格交渉力を強化すると共に受注機会を増やしていく。

 

発行済株式数の14.59%を取得

2019年7月現在

所有株式数

割合

 

2019年9月6日現在

所有株式数

割合

ベステラ(株)

2,500,000株

14.59%

(株)INCJ

7,700,000株

44.96%

従業員持株会

1,706,450株

9.96%

1,706,450株

9.96%

鈴木徹

1,050,000株

6.13%

1,050,000株

6.13%

その他株主

6,670,050株

38.95%

11,870,050株

69.32%

合計

17,126,500株

100.00%

17,126,500株

100.00%

*その他株主には、東京鐵鋼株式会社(513,800株)、株式会社イボキン(205,000株)等が含まれる。

 

株式取得のための資金は、手元資金と借り入れで対応する計画。直接金融による調達も考えたが、現在の資本構成を鑑みて、間接金融による調達が妥当と判断した。

 

4.高度循環型社会の実現に向けた取り組みとSDGsへの対応

同社の社名の由来でもあるBEST(最高の)TERRA(地球)を目指し、プラン卜解体事業によって持続可能な開発目標(SDGs)達成に貢献していく。また、静脈産業メジャーを日指すリバーホールディングス(株)と、その経営方針を共有し、推進する事でサステナブルな事業展開の実現と両社の事業拡大につなげていく。

 

4-1 高度循環型社会の実現に向けた同社の役割と取り組み

 

(同社資料より)

 

地球レベルの視点では、持続可能な開発目標(SDGs)に取り組む事で地球環境へ貢献し、社名でもある「BEST(最高の)TERRA(地球)」の実現を目指す。リバーホールディングス(株)の資本業務提携もこの流れに沿ったものだ。日本国内では、高度循環型社会の実現はもちろん、原発廃止措置への対応や社会資本老朽化への対応に取り組んでいく。そして、プラント解体業界のリーダーとして、規模型事業へのシフト(動静脈の連携)を進めて静脈産業の再編・統合を主導すると共に、革新的な解体技術の提供に取り組んでいく。
静脈産業との連携では、解体工事業(demolition wrecking)とリサイクル業(recycling)及び産廃処理業(industrial waste disposal)を連携させる事で一気通貫の環境関連ビジネスを実現し、強化していく。

 

4-2 ベステラのSDGsへの対応

 

 

 

 

 

 

(同社資料より)

 

働きがいのある職場環境を整備します。
①社員一人ひとりが未来にやりがいと誇りを持てる会社を目指します。
②多様性を尊重し、社会保障等の環境の充実を図ります。
③能力を最大限発揮できる平等な教育環境の整備を進めます。

 

働きがいのある職場環境は同社が以前から追求しているところであり、人事考課制度や持株会への取り組みはもちろん、奨励金や所得補償保険等、安心して働く事ができる仕組みづくりも進んでいる。この第2四半期累計期間には、ベースアップを行うと共に、資格手当等を充実させた。

 

 

 

 

 

 

(同社資料より)

 

革新的な解体技術の提供により地球環境に貢献します。
①老朽化した社会インフラに対して革新的な解体技術を提供します。
②低炭素社会に向けて、安心・安全な解体技術を提供し、地球環境に貢献します。
③3D技術の活用により、解体のプロとして高い解体技術を提供します。

 

革新的な技術の提供は同社の中核であり、強みとするところだ。各種の特許工法に加え、大きな工事に対応するために3D技術の導入も進んでいる。

 

 

 

 

 

 

(同社資料より)

 

高度循環型社会を実現し、持続可能な社会の構築に貢献します。
①有害物、汚染物質の適切な廃棄、無害化技術を提供します。
②高付加価値の循環ビジネスを構築し、高いレベルの生産性向上を目指します。
③地域社会との共存による、未来の地域環境の発展に寄与します。

 

リバーホールディングス(株)との提携でより一層深めたい目標である。同社は環境対策工事を以前から行っているが、それをより一層深めてワンストップで提供できるサービスを提供していく。同社の顧客は基幹産業と位置付けられる企業多く、顧客自身も環境対策は特に求められてきている。こうした顧客の要望に応えていく考えだ。

 

 

 

 

 

 

(同社資料より)

 

持続可能(高度循環型)社会構築に向けたパートナーシップ
①あらゆる垣根を越えた高い目標の未来型パートナーシップ構築を目指します。
②公平、公正な企業間パートナーシップの推進を目指します。
③高度循環型社会に新たな技術、知識、知見を提供し目標達成を目指します。

 

垣根を越えて、より大きな目標のためのパートナーシップ構築に力を入れていく。高度循環型社会の実現に向け、新たな技術、知識、知見を提供し、目標達成を目指していく。そのために、同社だけではなく、様々な会社と手を組んでいく。

 

4-3 ESG経営の推進による社会的サスティナビリティへの貢献と利益成長の両立

 

(同社資料より)

 

工事会社である事にとって、「安全」が第一。また、技術力の会社として研究開発にも取り組んでいく。これらに加え、再資源化やガバナンス、更には人材にも力を入れていく。具体的には、安全(独自の技術で安全文化を創造)、研究開発(地球に和した革新的工法の開発)、再資源化(静脈産業強化による高度環境循環の構築)、ガバナンス(透明性とリスク管理の徹底)、及び人材(働きがいと個々の成長の追及)取り組む事でESG経営を推進し、社会的サスティナビリティへの貢献と利益成長の両立を実現する。また、こうした取り組みに対する理解を深めてもらう事で、ESG投資をプラント解体・リサイクル業界に取り込んでいく。

 

5.今後の注目点

今回、資本業務提携契約を締結したリバーホールディングス(株)は日本でトップクラスのリサイクル事業者であり、年商は300億円を超え、連結ベースで726名の従業員を擁する(2018年12月末現在)。先ずはプラントの解体で発生する鉄くず等、産業廃棄物の処分やスクラップの買い取りからスタートするが、中長期的には解体からリサイクルまでの一貫体制を構築し地球環境に貢献していきたい考え。また、リバーホールディングス(株)が全国に展開する拠点とネットワークが、今後本格化する原子力発電所の廃炉・解体関連ビジネスでも強みとなる(現在、全国に約60基あるが、大半が早々に廃炉を決めるとみられている)。原子力発電所の廃炉・解体ビジネスと言っても、発電所の中にあるのは、放射線管理区域以外はほとんど火力発電所と同じだ。しかし、原子力発電所は地域住民との約束事が非常に厳しく、解体の際の制約も多い。事前に地域住民と安全対策としてきめ細かい打ち合わせを行い、その手順どおり実施していく必要がある。このため、地域の声に耳を傾け、地域の協力を得て進めていく必要があり、信頼性のある業者、信頼性のある処分先が当然求められる。このため、リバーホールディングス(株)のこれまで実績とネットワークが強みとなる。

 

リバーホールディングス(株)は自動車や家電の処理も多く、その際に発生するシュレッダーダストのリサイクル、具体的には、シュレッダーダストは廃プラ成分が多いため、これを固形燃料にする取り組みも進めているようだ。国交通省「使用済み自動車の廃棄物リサイクル対策」によると、現在、使用済み自動車のリサイクル率は約75%と他の製品に比してリサイクル率が高いが、残りの約25%はシュレッダーダストとして廃棄されている。また、リサイクルが難しい材料を使用している等の理由で不法投棄されているものも見受けられる等の問題もあると言う。高度循環型社会の実現に向けた取り組みの中で両社のビジネスチャンスが広がっていきそうだ。

 

参考:コーポレート・ガバナンスについて

◎組織形態及び取締役、監査役の構成

組織形態 監査役会設置会社
取締役 9名、うち社外2名
監査役 3名、うち社外3名

 

◎コーポレート・ガバナンス報告書(更新日: 2019年04月26日)
基本的な考え方
当社では、健全な経営の推進と社会的信頼に十分に応えるべく、コーポレート・ガバナンスを最も重要な経営課題として位置付け、経営の健全性・透明性および公平性を高めることに重点を置き、法令遵守を社内に徹底させることは当然のこととし、役員全員が常に「法令違反は即経営責任に直結する」との危機感を持ち経営に臨んでおります。具体的には、経営の意思決定、職務執行および監督ならびに内部統制等について、適切な体制を整備・構築することにより、法令・規程・社内ルールに則った業務執行を組織全体に周知徹底しております。
また、株主重視の経営に徹するべく、「適正な株価形成」・「株価の持続的上昇」のための経営改革を実現し、経営のチェック機能を強化することでグローバルに通用するコーポレート・ガバナンスを確立することも重要であると考えております。その結果が、社会からの信頼の獲得に繋がることとなり、自ずと企業価値も高まり、株主の皆様にも満足して頂けるものと考えております。

 

<実施しない主な原則とその理由>
【補充原則4-1-3】
最高経営責任者の後継者の具体的な計画はございません。取締役会における後継者選定の方針としては、人格・識見・実績を勘案して適当と認められる者の中からその人物を選定することとしています。後継者計画を策定・運用する場合には、取締役会が積極的に関与してまいります。

 

【補充原則4-3-3】
当社は社長やCEOを解任するための客観性・適時性・透明性ある手続を明確に確立しておりませんが、取締役会の実効性評価を適切に行うため、取締役の指名、報酬に関する評価に社外取締役が関与することで取締役の相互評価を実現してまいりたいと考えております。

 

<開示している主な原則>
【原則1-4 政策保有株式】
当社は、取引先との業務提携等による事業拡大の観点から、当社の中長期的な企業価値の向上に資すると判断した場合、取引先等の株式を取得及び保有します。前項に基づき保有する株式(政策保有株式)に関し、継続的に取締役会において、当社の企業価値向上に繋がるかを検証し、これを反映した保有のねらい・合理性の確認を行います。当社は、政策保有株式について、当社の企業価値向上の観点から総合的に判断し、適切に議決権を行使します。

 

【原則1-7 関連当事者間の取引】
当社は、役員及び主要株主との取引に関する調査を毎年実施し、関連当事者取引の有無を確認しております。また、財務報告作成に関するマニュアルを定め、当社が役員、及び従業員持株会ならびに主要株主等との取引を行う場合には、当該取引が当社および株主共同の利益等を害することの無いよう、内部監査部門、管理部門、取締役会、監査役会において、当該取引の必要性について、十分な審議等を行うこととしております。

 

【原則5-1 株主との建設的な対話に関する方針】当社は、株主からの対話(面談)の申込みに対しては、会社の持続的な成長と中長期的な企業価値の向上に資するよう、合理的な範囲で前向きに対応すべきと考えております。当社は、株主との建設的な対話を促進するため、企画部をIR担当部署として、金融機関や投資家に対して決算説明会を半期に1回開催し、適宜会社情報をホームページ、㈱東京証券取引所の任意開示を活用し、情報公開を行っております。

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