「FOMC議事録」と金融政策(米国)

<今日のキーワード>「FOMC議事録」と金融政策(米国)

「米連邦公開市場委員会(FOMC)議事録」は、FOMCから3週間後に公表されます。FOMC終了直後に公表される声明文で景気や物価、金融政策に関する判断が明らかにされますが、議事録はその判断に至るまでの議論が記録され、より詳細な情報を得ることができます。1月26日~27日に開催されたFOMCについて、2月17日に議事録が公表されました。

【ポイント1】景気に対する評価はやや後退

インフレは目標の2%達成まで想定より長い時間がかかるとの見通し
■今回のFOMCでは、景気に対する見方が前回に比べ慎重なものとなりました。労働市場はほぼ完全雇用に到達したと判断された一方、生産や支出を示す指標は想定を下回ったと指摘しています。

■一方、インフレについては、労働市場の改善が続いているため、目標とする+2%に向かって加速するとの見方を維持しました。ただ、昨年12月の会合以降、ドル高や商品市況の下落がさらに進んだことを踏まえると、目標に到達するまでの期間が想定より長期化する可能性があるとしました。

【ポイント2】景気見通しに不透明感

世界的な経済、金融市場の混乱が原因
■景気見通しに対するリスクに関して、前回12月会合では「上振れと下振れが均衡」とされましたが、今回はその評価が削除され、代わりに「世界経済および金融市場の動向を精査」するとの文言が挿入されました。

■実際、金融市場の安定性を測る指標は、徐々に不安定の度合いが強まってきたことを示唆しています。「議事録」によれば、こうした金融市場の不安定性の高まりにより、国内経済や金融政策の見通しに対して不透明感が強まったという点でメンバーの意見が一致しました。

160219_MK

【今後の展開】緩やかな利上げ継続の見通し

利上げは継続の見込み
今回の「議事録」はハト派的な内容でした。景気・雇用の拡大が持続していることから、「2016年も利上げを継続するが、そのペースは緩やか」というのが、米連邦準備制度理事会(FRB)の考えと見られます。

市場の見方では、利上げは年内1回程度
今年の利上げは4回というのが、FOMCメンバーの平均的な見方のようです。しかし、物価の低位安定や年明け以降の市場の混乱などから、市場では利上げはせいぜい1回程度に後退しているようです。

(2016年2月19日)

印刷用PDFはこちら

今日のキーワード 「FOMC議事録」と金融政策(米国)

関連マーケットレポート

2016年 2月 8日 米国の雇用統計(2016年1月)

2016年 1月28日 米国の金融政策(2016年1月)

三井住友DSアセットマネジメント株式会社
世界の経済やマーケットの動向や、マーケットで注目される旬なキーワードを運用のプロがわかりやすく、丁寧に説明します。
■当資料は、情報提供を目的として、三井住友DSアセットマネジメントが作成したものです。特定の投資信託、生命保険、株式、債券等の売買を推奨・勧誘するものではありません。
■当資料に基づいて取られた投資行動の結果については、当社は責任を負いません。
■当資料の内容は作成基準日現在のものであり、将来予告なく変更されることがあります。
■当資料に市場環境等についてのデータ・分析等が含まれる場合、それらは過去の実績及び将来の予想であり、今後の市場環境等を保証するものではありません。
■当資料は当社が信頼性が高いと判断した情報等に基づき作成しておりますが、その正確性・完全性を保証するものではありません。
■当資料にインデックス・統計資料等が記載される場合、それらの知的所有権その他の一切の権利は、その発行者および許諾者に帰属します。
■当資料に掲載されている写真がある場合、写真はイメージであり、本文とは関係ない場合があります。

三井住友DSアセットマネジメント株式会社
金融商品取引業者 関東財務局長(金商)第399号
加入協会:一般社団法人投資信託協会、一般社団法人日本投資顧問業協会、一般社団法人第二種金融商品取引業協会