アルファポリス<9467> 漫画の拡大とゲーム事業への参入が今後の成長軌道の鍵を握る

2015/09/04

IT を活用して小説や漫画を集めて書籍化するライトノベルに強い出版社
漫画の拡大とゲーム事業への参入が今後の成長軌道の鍵を握る

業種:情報・通信業
アナリスト:藤野敬太

1.会社概要
・アルファポリス(以下、同社)は、自社で運営するウェブサイトに投稿された小説や漫画を書籍化する出版社である。
・投稿者やウェブサイトの閲覧者には課金せず、収益源は書籍出版である。売上高の約 60%がライトノベルによるものである。
・小説投稿サイトを運営する会社や、ライトノベルを出版する会社は数多いが、サイト運営と書籍出版の両方の機能を持ち合わせる会社は多くない。

2.財務面の分析
・15/3 期までの 5 期間を見ると増収増益で推移し、売上高は年平均52.7%増、経常利益は同 59.3%増のペースで拡大してきた。
・他社との比較では、書籍出版以外の事業や小規模な組織で且つ固定資産を必要としない身軽な事業形態であることを考慮しても、収益性や成長性において同社は優位にある。

3.非財務面の分析
・同社の知的資本の源泉は、コンテンツを集める自社運営サイトと、自社で抱える編集能力が、車の両輪のように機能している点にある。

4.経営戦略の分析
・既存の書籍出版では、ユーザーの利便性の向上と編集部門の拡大で刊行点数の増加を図っており、特に漫画には注力する計画である。
・16/3 期より新たにゲーム事業を開始した。ゲームを手始めに、将来的にはキャラクターや映像への展開を志向している。

5.アナリストの評価
・ライトノベルが好調なうちに次の収益分野を育成するのは理に適っている。ライトノベルの 10 倍以上の市場を持つ漫画は、既存のビジネスモデルの延長で展開できるため、期待が高まる。
・一方、新たに参入したゲーム事業は、従来とは全く異なるビジネスモデルのため、16/3 期は事業の方向性と成否を見極める大切な期となる。ゲーム事業の模索が始まったばかりであり、ゲーム事業の本格拡大を前提とする中期経営計画は、現段階では過大感が払拭できない。

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一般社団法人 証券リサーチセンター
資本市場のエンジンである新興市場の企業情報の拡充を目的に、アナリスト・カバーが少なく、適正に評価されていない上場企業に対して、中立的な視点での調査・分析を通じ、作成されたレポートです。