IMFの対日4条協議後の声明を読む
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◆IMFが声明を発表
2月17日、IMF(国際通貨基金)は年に1度の対日4条協議を終えて、声明を発表しました。IMF対日4条協議とは、IMFが毎年行う日本経済の総点検です。IMFのエコノミストチームが来日し、政府・日銀・代議士・市場関係者・産業界など、経済に関する幅広い主体に対してヒアリングを行います。その後、政策の評価や経済全体の課題・改善策を報告書にまとめ、IMF理事会で審議した後、最終的に報告書を公表します。IMF協定第4条(Article Ⅳ)に基づくため、「4条協議」や「4条報告」と呼ばれています。
日本では、先進国では珍しく、政府から独立した財政評価機関が無いことが問題と指摘されることがあります。IMFは国際的に中立的な立場のため、貴重な「外部の独立機関による日本経済の公式診断」として注目されています。日本の財政・金融政策に対する世界の公式な評価という側面もあります。
◆金融政策の出口路線には肯定的な評価
今回の声明は、金融政策には概ね肯定的だった一方、財政政策には厳しめの評価が見られました。日銀に対しては金融緩和策からの出口戦略を適切に進めていると指摘し、「過去1年間の日銀の政策金利決定を歓迎している」「緩和政策の解除が続き、2027年に政策金利が中立的な姿勢に達する見込み」などと明記しました。植田日銀総裁が進めている金融政策の正常化路線を評価した格好です。
◆消費税減税には反対を表明。国債管理政策にも言及
一方、財政政策については「消費税の引き下げを避けるべき」と明記しました。「財政規律が求められる。これは日本国債(JGB)市場の安定化にも寄与する」と指摘するなど、JGB市場への言及が多くありました。「日銀がバランスシートの規模を縮小する中で、投資家の需要が変化していることから、JGB市場の流動性と投資家の保有状況を綿密に監視する必要がある。海外投資家がJGB市場で役割を拡大し、市場の機能向上に貢献しているが、財政のニュースや世界的な動向により敏感になっている可能性がある」とし、海外投資家の影響が強まるもとで、財政規律を重視すべきであるとの論調を展開しました。
また、「もしボラティリティの高まりが市場の流動性を損なう場合、日銀は一時的な国債の買入れなど、市場機能の弱体化を避けるため、例外的に対象を限定した介入を実施する準備を整えるべき。長期債の需要がさらに弱まる場合、国債発行の満期構成をより短期にリバランスさせる柔軟性を維持すべき」と、より具体的な国債管理政策の提言にも踏み込みました。
◆IMFの声明と逆行
2月24日に毎日新聞が「高市首相は日銀のさらなる利上げに難色を示した」と報じました。また、高市政権は2月25日に、日銀審議委員として浅田統一郎・中央大学名誉教授と佐藤綾野・青山学院大学教授を起用する人事案を国会に提出しました。両氏とも、金融緩和を積極的に推進する考えの持ち主とみられています。IMFの声明とは必ずしも同じ方向ではないようです。2月26日には、消費税減税を念頭に置いた国民会議をスタートさせました。複数の野党に参加を求めていますが、中道改革連合や国民民主党などは慎重姿勢を崩していません。ひとまず、チームみらいのみ参加する形でのスタートになりました。IMFの提言がどの程度政策運営に活かされていくのかが注目されます。
IMFの警鐘は、経済そのものより政策運営の持続性に向けられている印象でした。
市場の安定維持には、政策判断への信頼を丁寧に積み上げる作業が欠かせないと考えられます。
(シニアストラテジスト 稲留 克俊)
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