来週の金融市場見通し(2025年12月1日~2025年12月5日)
■来週の見通し
ウォラー米連邦準備理事会(FRB)理事が12月の米連邦公開市場委員会(FOMC)で利下げするのは適切との考えを示すなど、FRBの主力メンバーから利下げについて前向きな発言が相次いでいます。他方、日銀高官から利上げに前向きな発言が相次いだほか、早ければ12月にも利上げが実施される可能性を市場に備えさせているなどと伝わり、12月利上げを織り込む動きが出てきています。来週は、内外の経済指標に加え、日銀、FRB高官の発言なども確認しながら、方向感を探ることになりそうです。
◆株価 :日銀総裁講演や米経済指標に注目
今週の日本株は、底堅い動きとなりました。次期FRB議長に利下げに積極的な考えを持つとみられるハセット氏が指名されるとの見方が強まり、米利下げ期待が高まったことが好感されました。
来週は、植田日銀総裁の講演や米国の経済指標発表が注目されます。植田総裁が、12月の金融政策決定会合での利上げの可能性を示唆すると、株式市場は嫌気する可能性があります。米経済指標が景気の底堅さを示すと、企業業績の改善期待から株価の押し上げ要因となる可能性があります。ただし、先行きの米利下げ期待が後退すると、株価の下押し圧力となる展開も想定されます。ソフトバンクグループなどの人工知能(AI)関連株に対する高値警戒感は依然くすぶっており、指数の変動要因となる可能性があります。
◆長期金利 :一進一退
今週の長期金利は、FRBの早期利下げ観測などから低下する場面があったものの、日銀の増審議委員が追加利上げの判断が近づいているなどと述べたことに加え、「早ければ12月にも利上げが実施される可能性を市場に備えさせている」などと伝わり、12月利上げが意識されたことから、上昇する動きになりました。
来週は、一進一退の動きが続きそうです。日銀の早期利上げ観測や、国債増発への警戒感から、長期金利は低下しにくい状況が続きそうです。植田日銀総裁が金融経済懇談会で早期利上げに前向きな姿勢を示した場合には、金利上昇圧力がかかることも想定されます。とはいえ、FRBによる12月会合での利下げも意識されていることから、国内金利の上昇は限定的になる可能性があります。10年国債、30年国債入札も確認したいところです。
◆Jリート :底堅い展開か
今週のJリート市場は、上昇しました。FRB理事の発言を受け、12月のFOMCでの利下げ期待が高まり、株式市場が上昇したことなどが好感されました。財政悪化懸念による長期金利の上昇が一旦落ち着いたことも下支え要因となりました。今週末の分配金利回りは4.477%(東証上場REITの予想分配金利回り、QUICK算出)となりました。
来週は、日米の金融政策や長期金利の動向、日米株式市場の値動きなどをにらみつつ、底堅い展開を想定しています。引き続き一定の戻り売りが見込まれるほか、日銀の12月会合での追加利上げ観測がさらに高まると、Jリート市場の下押し圧力となりそうです。一方、値下がりした局面では下値を拾う買いも期待されることから下値も限定的になると見込んでいます。
◆為替:日銀の利上げ観測に左右
今週のドル円相場は、ほぼ横ばい圏での推移となりました。大規模な追加国債発行の報道を受け、円売り圧力が強まる局面がありましたが、日米金利差が縮小するとの見方から、先週までのドル高・円安の動きは一服し、156円前後での推移が続きました。米地区連銀総裁が相次いで12月のFOMCでの利下げを支持したことにより、FRBの早期利下げ期待が強まったほか、日銀高官の発言などを受けて、日銀の12月会合での利上げ観測が再浮上しました。
来週のドル円相場は、日銀の利上げ観測に左右されるとみられます。FRBの12月会合での利下げ観測は高まっている一方、日銀の12月会合での利上げについては、市場の見方が割れています。1日の植田総裁の発言次第で大きくドル円相場が変動する可能性があります。
◆米国株 :経済指標に注目
今週の米国株は、底堅い動きとなりました。次期FRB議長に利下げに積極的な考えを持つとみられるハセット氏が指名されるとの見方が強まり、米利下げ期待が高まったことが好感されました。半導体株は、指数の構成割が高いブロードコムの株価急上昇により堅調な動きとなりました。ブロードコムは、アルファベットと提携して、設計している半導体をメタが購入するとの観測やアナリストが同社の株価の見通しを引き上げたことが上昇要因となりました。
来週は、米国の経済指標発表が注目されます。米経済指標が景気の底堅さを示すと、企業業績の改善期待から株価の押し上げ要因となる可能性があります。ただし、先行きの米利下げ期待が後退すると、株価の下押し圧力となる展開も想定されます。
■来週の注目点
消費動向調査(11月)12月2日(火)発表
消費動向調査によると、10月の消費者態度指数は前月差+0.5ポイントと3か月連続で上昇しました。コメ価格の騰勢鈍化などを背景に暮らし向きに関する指数が大きく改善したほか、株高を受けた資産価格の上昇も消費者マインドの改善に寄与したとみられます。内閣府は消費者マインドの基調判断を「持ち直しの動きがみられる」から「持ち直している」に上方修正しました。
11月の消費者態度指数は持ち直しが続くとみられます。株価が高水準での推移が続いていることに加え、最低賃金の引き上げなどを受けた所得環境の改善も消費者マインドの追い風となる可能性があります。
米ISM製造業景況指数(11月)12月2日(火)発表
10月の米供給管理協会(ISM)製造業景況指数は48.7と前月から0.4ポイント低下し、好不調の境目となる50を下回る水準での推移が続きました。米国の関税政策の影響をめぐる不透明感などを背景に、生産や雇用に関する指数は低迷しました。一方、仕入価格に関する指数は低下し、関税政策に起因するコスト増加圧力は和らいでいる可能性があります。
11月のISM製造業景況指数はやや持ち直すとみられます。10月30日に米中貿易協議が合意に至ったことで、米国の関税政策を巡る不透明感は和らいだほか、AI分野を中心とする設備投資の活発化も景況感を押し上げる見込みです。
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