SANKO MARKETING FOODS(2762) 市場は回復基調 黒字転換を見込む

2024/03/07
 

長澤 成博 社長

株式会社SANKO MARKETING FOODS(2762)

 

 

企業情報

市場

東証スタンダード市場

業種

飲食店運営、水産業

代表者

長澤 成博

所在地

東京都新宿区高田馬場1-28-10 三慶ビル2F

決算月

6月

HP

https://www.sankofoods.com/

 

株式情報

株価

発行済株式数(期末)

時価総額

ROE(実)

売買単位

169円

25,681,203株

4,340百万円

100株

DPS(予)

配当利回り(予)

EPS(予)

PER(予)

BPS(実)

PBR(実)

0.0円

0.60円

281.7倍

16.79円

10.1倍

*株価は2/22終値。各数値は24年6月期第2四半期決算短信より。

 

業績推移

決算期

売上高

営業利益

経常利益

当期純利益

EPS

DPS

2019年6月

10,701

-995

-975

-1,569

0.0

2020年6月

7,391

-2,009

-1,998

-2,713

0.0

2021年6月

2,102

-1,747

-1,426

-1,817

0.0

2022年6月

2,410

-1,097

-305

-439

0.0

2023年6月

7,119

-748

-749

-784

0.0

2024年6月(予)

11,000

30

25

15

0.60

0.0

*予想は会社予想。単位:百万円、円。2022年6月期より連結。2021年6月期までは非連結決算。

 

 

(株)SANKO MARKETING FOODSの2024年6月期上期決算概要などをご紹介致します。

目次

今回のポイント
1.会社概要
2.2024年6月期上期決算概要
3.2024年6月期業績予想
4.中期経営計画
5.今後の注目点
<参考:コーポレート・ガバナンスについて>

 

今回のポイント

  • 居酒屋の運営が主力事業。現在を「第二創業期」と位置付けている。漁業生産者でありながら、流通、加工、飲食店までをつなぐプラットフォームを構築する、極めて稀有な企業となっている。「とる(獲る)、うる(売る)、つくる(創る)」のすべてを顧客に提供することができるオンリーワンのビジネスモデルを展開し、漁業者に還元する循環を創造する。 
  • 24/6期上期の売上高は前年同期比51.6%増の44億16百万円。綜合食品株式会社と株式会社ジーエスサンヘイの連結(6か月分)が大幅増収となった主因。水産事業においては、23年9月に下田の漁業者から、漁獲、魚種、相場に関わらず全量買取りする取り組みを開始した。飲食事業においては、「アカマル屋」の既存店売上がコロナ前19年の同月比で上回り続けるなど、コロナ禍で変化した顧客のニーズにマッチするブランドとして成長を続け、「アカマル屋鮮魚店」も開発した。営業損失は3億8百万円(前年同期は3億56百万円の損失)。利益面では、粗利率の低い水産卸2社の増収に伴い粗利率が低下した。加えて、事業再構築の進捗を確実に進めるために、①飲食の既存業態の出店計画を補完する東海エリア10店舗の地位承継に伴うコスト、②国内市場から海外市 場へ事業範囲を拡大するためのベトナム事業・貿易事業の事業化コスト、③自社船団である「SANKO MEMBERSHIP」の形成コスト、④水産6次産業化モデルの中核となる商品開発コスト、⑤水産事業の販売拡大のための販路開拓コストなどが先行して発生した。 
  • 通期予想に修正はなく、24/6期は売上高が前期比54.5%増の110億円、営業利益は30百万円を計画する。経済活動・消費活動の回復から外食並びに水産ともに市場は回復基調にある。水産と飲食の両軸経営により、6次産業化を推進しV字回復を達成させ19/6期水準の売上高(107億円)を見込む。水産事業と飲食事業が一体となってグループシナジーを創出するため、漁業への取り組み、水産資源の最大化を図る商品開発、及びグループ全体の安定収益基盤となる「アカマル屋鮮魚店」や「サカナタベタイ」の出店等を推し進め、着実な事業の成長に取り組む。事業構造の転換を進めながら水産事業を育成し黒字転換を見込む。 
  • 上期は大幅増収、営業損失は少額な減少にとどまった。同社は現在、本社従業員をまかなえるだけの店舗数の確保と6次産業化に向けた投資の真っただ中。こうした中、アカマル屋が既存店売上を大きく伸ばしている。利益率も高い水準を維持しており、しっかりと収益の屋台骨に育ちつつある。ただし、出店にはやや遅れが見られており今後早期に出店を進めていきたいところ。下期の目標は黒字体質の定着ということになる。中期経営計画を達成すれば、26/6期にEPS15円程度が想定される。長澤社長は18年9月に就任、18/6期が多額の赤字だったため、不採算店舗の改革などに取り組んでいた。その矢先に発生したコロナ禍だったが、むしろ思い切って改革を進める転機になった。これまでに例を見ない水産6次産業化はいよいよ本格化しつつある。数字に見るほど事業展開は苦戦しているわけではない。 

1.会社概要

居酒屋の運営が主力事業。現在を「第二創業期」と位置付けている。漁業生産者でありながら、流通、加工、飲食店までをつなぐプラットフォームを構築する、極めて稀有な企業となっている(経緯などは【1-1 沿革】を参照)。「とる(獲る)、うる(売る)、つくる(創る)」のすべてを顧客に提供することができるオンリーワンのビジネスモデルを展開し、漁業者に還元するオリジナルの循環を創造する。

(同社資料より)

 

【1-1 沿革】

居酒屋店舗の運営を創業来行ってきた。03年にジャスダックへ新規上場。上場時は個室居酒屋「東方見聞録」を主軸に展開してきたが、09年から低価格・全品均一の居酒屋業態「金の蔵jr.」の展開が始まる。11年からは日常食業態「東京チカラめし」の拡大もあわせて行ってきた。14年には現在の主軸ブランドである「アカマル屋」を開発した。

 

年 月

概要

1975年   JR神田駅のガード下に1号店「三光亭」を開業
1985年   居酒屋店舗の運営
1998年

12月

初の個室居酒屋「東方見聞録」の誕生
2002年

10月

「株式会社三光マーケティングフーズ」へ社名変更
2003年

 3月

株式公開(ジャスダック上場)
2004年

9月

東証二部上場
2009年

5月

低価格・全品均一の居酒屋業態「金の蔵jr.」の展開
2011年   日常食業態「東京チカラめし」の拡大
2014年   次世代ブランド「アカマル屋」の開発
2020年

9月

沼津我入道漁業協同組合との提携開始
 

12月

同漁協の組合員となる
2021年

5月

沼津市内で自社加工場が稼働
 

8月

沼津魚市場での買参権を取得
 

10月

「株式会社SANKO MARKETING FOODS」へ社名変更
 

11月

水産仲卸・加工業者である株式会社SANKO海商(静岡県浜松市)をグループ化し、

沼津の水産事業、都内店舗との連携

2022年

7月

豊洲の大卸である綜合食品株式会社をグループ化し、水産流通のサプライチェーンの礎が完成
2023年

4月

新業態である「漁港産直 積極魚食『サカナタベタイ』MEGAドン・キホーテ本八幡店」を開店
 

5月

同社所有の漁船「辨天丸」が下田漁港より初漁
 

6月

子会社である株式会社ジーエスが清掃事業を営む株式会社サンヘイを子会社化

 

18年9月に現・長澤社長が就任。事業が大きな転機を迎える。長澤社長は就任後に都心繁華街・大型空中階にあった「金の蔵jr.」の不採算店舗の撤退に取り組んだ。こうした中、襲いかかったのが20年からの新型コロナ感染拡大。「金の蔵jr.」の撤退(一部業態転換)を一気に推し進めた。17年6月に87店舗あった「金の蔵」ブランド店舗は、23年6月には池袋の1店舗となっている。

 

そしてコロナ禍が明けてから「アカマル屋」で出店攻勢を進めている。20年9月に沼津我入道漁業協同組合との提携を開始したことをきっかけに、21年8月には沼津魚市場での買参権を取得し漁業に参入することとなる。さらには、21年11月に水産仲卸・加工業者である株式会社SANKO海商をグループ化、22年7月には豊洲の大卸である綜合食品株式会社をグループ化することにより「第二創業期」である現在の事業の確立を進めている。

 

【1-2 経営方針】

グループ理念・ビジョン
わたしたちは、産地に入り、生産者とともに歩む、“産地活性化プラットフォーマー”として、「価値ある食文化の提案」を行ってまいります。

 

 

 

(同社資料より)

 

【1-3 事業内容】

概要
水産6次化をビジネスモデルとしていることからセグメントは単一。

 

飲食事業
「アカマル屋」ブランドを主軸に郊外/高効率型店舗で事業展開。

(同社HPより)

 

この他、下記のブランドでも展開。「東京チカラめし」では海外でライセンスビジネスも行う。

 

宮益坂下酒場。渋谷駅から徒歩3分、宮益坂の交差点直ぐというアクセスしやすい場所にあり鮮魚に注力。水産事業への取り組みも活かし、一匹の魚を余すことなく美味しい料理に仕立てる。
 

寿司屋居酒屋。沼津港から毎日、旬を映すぴちぴちの鮮魚や珍しい魚を入荷している。島国日本に住む幸せを享受し、漁師が釣った美味しい魚の提供に真剣に向き合っている。
 

湘南台酒場。湘南台駅西口から徒歩1分、地元の方に愛されるようにとの願いを込めて地名を冠し、宮益坂下酒場に続き誕生。沼津港から直送される新鮮魚介を提供している。
 

富士山麓の水で循環式陸上養殖・無投薬で育った『JAPAN SALMON 桜』は味わいにも驚かれる商品。食べ歩きもできる海鮮出汁天ぷら串など、魚を手軽に楽しめるメニューも揃える。
 

「船上すし みこう」には自社船団が獲った鮮魚が届く。獲れたてぴちぴちの鮮魚が船上から店舗へ直送されることから、「船上すし」と店名に冠した鮨屋。
 

旨い肉をお腹いっぱいに食べたい!そんな要求を満たす食べ放題メニューでも、職人が丁寧に手切りする、肉にこだわった焼肉ブランド。肉問屋直送で品質も良い。
 

1996年新宿にパスタ専門店として創業。定番メニューから和風、オリジナルまで多彩なバスタを揃える。細麺を茹で上げており、来店客を待たせせずに直ぐにご提供できるのも強み。
 

『チカラが出るめし』で日本を元気に!をブランド名に冠し、焼き牛丼からスタート。現在はライセンスビジネスとして、香港3店舗、タイ1店舗と海外への進出やFC出店なども行っている。
 

「旨い・安いをお客さまのために」をコンセプトにした大型居酒屋。大人数にも対応。安さだけでなく、旨いもので満足できる料理を提供している。
 

「産地活性化プラットフォーム」として、官公庁食堂群と連携。環境に配慮した食材、被災地産食材を積極的に使用したメニュー開発を行っている。農林水産省内にあるが、一般客も利用可能。
 

魚食離れ阻止に挑戦し、飲食と水産事業の強みを最大限活用した鮮魚店。自分たちで獲った魚や目利きした水産商品、同社料理人監修のサカナ惣菜で、サカナをもっと身近なものとしている。

 

水産事業
漁業、水産加工、水産卸で展開。同社独自の6次産業化を図るべく、飲食事業との両軸で進める。マグロその他水産加工は株式会社SANKO海商が、水産卸は綜合食品株式会社が主軸となる。

(同社HPより)

 

その他事業
主に飲食店向けのトータルサポートを展開する。子会社である株式会社ジーエスは、消毒・除菌、空気清浄機販売、ビルメンテナンス清掃を手掛ける。長期にわたり飲食事業に携わってきた経験をもとに「誰もが安心して生活できる社会」の実現をミッションとした、「衛生と清掃に関するお困りごと」を解決するチームを結成。顧客視点と飲食店店長経験者の視点から、安心・安全を提供する。

 

2.2024年6月期上期決算概要

【2-1 連結業績概要】

 

23/6期 上期

構成比

24/6期 上期

構成比

前年同期比

売上高

2,913

100.0%

4,416

100.0%

+51.6%

売上総利益

1,080

37.1%

1,365

30.9%

+26.4%

販管費

1,436

49.3%

1,673

37.9%

+16.5%

営業利益

-356

-308

経常利益

-351

-308

四半期純利益

-361

-325

*単位:百万円。
*四半期純利益は親会社株主に帰属する四半期純利益。

 

大幅増収も、損失が継続
売上高は前年同期比51.6%増の44億16百万円。綜合食品株式会社と株式会社ジーエスサンヘイの連結(6か月分)が大幅増収となった主因。水産事業においては、漁業者の生活の安定と向上を目的として、23年9月に下田の漁業者から、漁獲、魚種、相場に関わらず全量買取りする取り組みを開始した。この取り組みを「SANKO MEMBERSHIP」と称し、自社専用船とともに朝獲れの新鮮な魚介類を同社直営店舗に多段階流通を経ずに卸す試みを始めており、顧客から好評を得ている。飲食事業においては、「アカマル屋」の既存店売上がコロナ前19年の同月比で上回り続けるなど、コロナ禍で変化した顧客のニーズにマッチするブランドとして成長を続けている。また、水産の6次産業化を目指す同社グループのシナジー効果を最大化するため、「アカマル屋鮮魚店」を開発した。
営業損失は3億8百万円(前年同期は3億56百万円の損失)。利益面では、粗利率の低い水産卸2社の増収に伴い粗利率が低下した。飲食事業については、食材高騰の中SANKO MEMBERSHIPによる原価抑制効果により原価率はほぼ横ばいだった。なお、同社単体での売上高賃料比率は前年同期13.3%から9.8%へ大幅に改善している。加えて、事業再構築の進捗を確実に進めるために、①飲食の既存業態の出店計画を補完する東海エリア10店舗の地位承継に伴うコスト、②国内市場から海外市 場へ事業範囲を拡大するためのベトナム事業・貿易事業の事業化コスト、③自社船団である「SANKO MEMBERSHIP」の形成コスト、④水産6次産業化モデルの中核となる商品開発コスト、⑤水産事業の販売拡大のための販路開拓コストなどが先行して発生した。経常損失は3億8百万円(前年同期は3億51百万円の損失)、当期純損失は3億25百万円(同3億61百万円の損失)。

 

【2-2】

財政状態とキャッシュ・フロー

◎財政状態

 

23年6月

23年12月

増減

 

23年6月

23年12月

増減

流動資産

1,436

1,448

+12

流動負債

1,239

1,195

-44

現預金

898

746

-152

仕入債務

373

430

+57

売上債権

287

421

+134

固定負債

859

911

+52

固定資産

1,037

1,159

+122

負債合計

2,098

2,107

+9

有形固定資産

373

484

+111

有利子負債

385

366

-19

無形固定資産

35

42

+7

純資産

375

500

+125

投資その他の資産

628

632

+4

利益剰余金合計

-770

-396

+374

資産合計

2,473

2,608

+135

負債・純資産合計

2,473

2,608

+135

*単位:百万円。有利子負債は借入金。

 

上期末の総資産は、前期末比1億35百万円増加し26億8百万円となった。この主な要因は、現預金1億52百万円減少、売上債権1億34百万円増加及び有形固定資産1億11百万円増加等によるもの。
負債は同9百万円増加し21億7百万円となった。
純資産は、同1億25百万円増加し5億円となった。この主な要因は、四半期純損失3億25百万円及び第5回新株予約権行使により株主資本が4億74百万円増加したことによるもの。
自己資本比率は前期末より4.1ポイント上昇し19.2%。

 

 

◎キャッシュ・フロー

 

23/6期 上期

24/6期 上期

増減

営業CF

-375

-480

-105

投資CF

91

-138

-229

フリーCF

-284

-618

-334

財務CF

63

441

+378

現金同等物残高

758

736

-22

*単位:百万円。

 

売上債権の増加などで営業CFのマイナス幅は拡大した。
有形固定資産の取得による支出などにより、投資CFがマイナスに転じた。
新株予約権の行使による株式の発行による収入などにより財務CFのプラス幅は拡大した。
以上の結果、キャッシュポジションは低下した。

 

【2-3 上期の取り組み】

アカマル屋ブランドの続伸
➢ アカマル屋は引き続き堅調に成長。居酒屋業界の回復は鈍いが既存店全店がコロナ前19年超え
➢ 全店が黒字着地

 

23年の新規出店
1/26 鮮魚店 溝の口
5/30 新小岩店
6/3 鮮魚店 府中
7/25網焼きアカマル屋
9/13 鮮魚店 武蔵新城
12/8 江戸川橋店

(同社資料より)

 

官公庁食堂群(運営受託店舗)
➢ 「産地活性化プラットフォーム」として、農林水産省「あふ食堂」を中心に官公庁食堂群と連携、産地との取り組みを推進
➢ 国の課題(産地活性化、国際問題、社会福祉問題 等)を行政の施策と一体となって解決に取り組む

 

 

(同社資料より)

 

東海エリア飲食店9店舗の承継
➢ 23年12月、㈱牧原水産が運営する一部店舗(9店舗)に関して賃借人としての契約上の地位を移転し運営を開始
➢ SANKO海商(浜松)を起点として各店舗への物流網を構築、東海エリアにおける6次産業化モデルを形成

(同社資料より)

 

鮮魚小売店
➢ 23年4月、同社グループ初となる鮮魚小売店「サカナタベタイ」を千葉県本八幡に出店
➢ グループ各社の強みを活かしたラインナップと自社専用船「三光丸」による船直(フナチョク)便を提供
➢ 今2Qで単月黒字化、経験値を積み上げ次の出店立地をうかがう

 

(同社資料より)

 

漁業の本格稼働
➢ 自社専用船「三光丸」が23年5月から本格稼働。2Qまで3隻、1月に2隻加盟、現在合計5隻体制
➢ “漁師をなりたい職業に”するために浮き沈みの激しい漁業者のサラリーを保証する取り組みを推進

 

(同社資料より)

 

3.2024年6月期業績予想

【3-1 業績予想】

 

23/6期

構成比

24/6期(予)

構成比

前期比

売上高

7,119

100.0%

11,000

100.0%

+54.5%

営業利益

-748

30

0.3%

経常利益

-749

25

0.2%

当期純利益

-784

15

0.1%

*単位:百万円。

 

連続の大幅増収、黒字転換を見込む
通期予想に修正はなく、24/6期は売上高が前期比54.5%増の110億円、営業利益は30百万円を計画する。
経済活動・消費活動の回復から外食並びに水産ともに市場は回復基調にある。こうしたなか、「とる うる つくる 全部、SANKO」が新たなスローガン。自らが漁船を持つ漁業者として魚を獲り(とる)、低利用や未利用魚、廃棄部位等を活用した独自の商品開発を推進することで魚の価値を最大化し(加工=つくる)、飲食・小売事業者として魚を販売する(うる)ことで、「産地活性化プラットフォーマー」として、オンリーワンのビジネスモデルを展開し、新たな市場を開拓(市場の創造=つくる)していく方針。水産と飲食の両軸経営により、6次産業化を推進しV字回復を達成させ19/6期水準の売上高(107億円)を見込む。水産事業と飲食事業が一体となってグループシナジーを創出するため、漁業への取り組み、水産資源の最大化を図る商品開発、及びグループ全体の安定収益基盤となる「アカマル屋鮮魚店」や「サカナタベタイ」の出店等を推し進め、着実な事業の成長に取り組む。事業構造の転換を進めながら水産事業を育成し黒字転換を見込む。

 

24/6期の事業別売上高・営業利益予想

 

売上高

構成比

営業利益

利益率

水産事業

7,400

67.3%

26

0.4%

飲食事業

3,400

30.9%

359

10.6%

その他事業

200

1.8%

-355

連結売上高

11,000

100.0%

30

0.3%

*単位:百万円。
*その他事業は、本社の間接費及びEC事業、茅場町FACTORY、法人営業等を含む。

 

売上高・営業利益率の推移

(同社資料より)

 

業績回復イメージ

(同社資料より)

 

【3-2 下期の取り組み】

上期総括と下期重点項目

■ 飲食事業は既存店好調。堅実な出店へ。
■ 店舗数回復のため、東海エリアの鮮魚店9店舗を承継。
■ 水産卸事業は処理水問題により、販売政策に影響。
海外への水産物の輸出強化のため、ハンガリー政府公認機関と合弁会社設立。
成長する海外市場にアプローチすべく飲食合弁会社をベトナムに設立。

 

オンリーワンビジネスモデル
➢ オンリーワンのSANKOビジネスモデル“とる うる つくる 全部、SANKO”

 

(同社資料より)

 

SANKO MEMBERSHIP(SANKO船団)
➢ SANKO MEMBERSHIPの取り組みと加工体制、店舗群の構築(グループシナジー)

(同社資料より)

 

新規出店の方向性
➢ アカマル屋業態の出店に遅れが生じるも6次産業化モデルの牧原鮮魚店9店舗の承継により期首通期出店計画数達成見込み
➢ 進行期下期においては、新規出店を慎重に、承継した牧原鮮魚店の磨きこみに注力

 

その他

・チカラめし

・パスタママ

・まるがまる

・水産酒場業態

◆3Q出店店舗(2/15時点)

2/1

「炙り屋 鱻(せん)」

⇒同日OPENの「豊洲 千客万来」の豊洲場外江戸前市場内に「魚をより身近に食べていただける店舗」として出店

2/14

「船から直送船上すし みこう」

⇒「粋なひと手間を加えた料理、お酒、お寿司」でお客様をもてなす新業態として牛込柳町に新規出店

2/20

「アカマル屋」野方店

下期

「アカマル屋」ひばりが丘店

(同社資料を元にインベストメントブリッジ作成)

 

将来の収益の柱を構築する合弁事業
➢ 同社グループの強み+円安を背景とした成長市場への投資

 

(同社資料より)

 

株主優待制度の拡充
➢ コロナ禍を経て事業構造が飲食店運営専業から、水産6次産業化モデルへ転換
➢ 株主優待品のラインナップを水産物中心のリストに変更

(同社資料より)
*上記写真はイメージ。詳細は同社HP内「株主優待制度」(https://www.sankofoods.com/ir/stock/benefit/)参照。

4.中期経営計画

【4-1 中期3ヶ年売上高、

営業利益目標】

➣中期3ヶ年における各事業年度の売上高、営業利益目標は以下のとおり。

 

 単位:百万円

24/6期

構成比/利益率

25/6期

構成比/利益率

26/6期

構成比/利益率

水産事業

7,400

67.3%

9,400

66.7%

11,800

67.4%

飲食事業

3,400

30.9%

4,300

30.5%

5,270

30.1%

その他事業

200

1.8%

400

2.8%

430

2.5%

連結売上高

11,000

100.0%

14,100

100.0%

17,500

100.0%

水産事業

26

0.4%

220

2.3%

490

4.2%

飲食事業

359

10.6%

480

11.2%

590

11.2%

その他事業

-355

-410

-420

連結営業利益

30

0.3%

290

2.1%

660

3.8%

*単位:百万円。
*その他事業には、本社の間接費及びEC事業、茅場町FACTORY、法人営業等が含まれている。

 

【4-2 戦略の方向性】

全体像と事業別売上、利益目標
➣グループ共通方針をもとに飲食事業と水産事業の両軸経営を推進。水産資源の最大化により日本の産地を活性化させる。

 

単位:百万円

主な施策

26/6期売上

営業利益

飲食事業

 

「金の蔵」の大量閉店により大型空中階不採算店は0。「金の蔵」は池袋1店舗体制コロナ禍で変容した顧客のニーズに合致する「アカマル屋」の積極展開。3年後に41店舗体制農林水産省内の「あふ食堂」が官民一体の取り組みにより全国産地とのハブ機能へ深化。コンセプトはそのままで農林水産省から首都圏マーケットへ飛び出す「東京チカラめし」のリブランディングで都内に旗艦店を出店、海外ライセンス事業を積極展開将来のブランドポートフォリオを見据えてハイエンドブランドを開発。海外を視野にいれ展開水産資源の最大化を目的としたメニュー開発と業態開発

5,272

590

水産事業

漁業 SANKO MEMBERSHIP構想を掲げ、3ヶ年で25隻の船団を構想。漁業者の生活の安定と向上を目指す「育てる漁業」として、養殖への取り組みを開始

56

-107

水産加工 水産資源最大化(付加価値化)を目的に商品開発・加工機器に投資茅場町Factory、沼津加工場、浜松加工場での最大アウトプット。企画開発や加工は提携先へも委託

891

285

水産小売 「サカナタベタイ」「まぐろの海商」(SANKO海商)などグループ総力を結集し鮮魚小売店を展開3年後に9店舗体制オウンドメディアの育成で、水産物の流通を強化

2,214

265

水産卸 世界最大級の豊洲市場をテコに国内流通のみならず海外への水産物輸出を強化全国の産地とのつながりを強化し自社加工商品の流通を促進

8,651

62

補完事業

店舗サポート グループ会社サンヘイとの融合で清掃・消毒除菌等を強化。安定的な収益を確保

199

49

M&A

水産資源の最大化を目的としたM&Aを進める。1に出口強化。2にバリューチェーン強化

本社 バックオフィス機能を統一し、グループ一体経営を支える「小さな本社」を目指す

284

-479

グループ合計(中期計画上の目標数値は丸めた数値で表記)

17,567

665

 

グループ共通方針

■漁業者に適正な対価を支払い生活の安定と向上に寄与する

■水産物の付加価値を最大化する商品を企画開発する

■グループ内で使用する水産物はすべてグループ内で調達する

 

アカマル屋で出店攻勢

➣不採算店舗の更なる撤退を進め、「大型空中階店舗」はゼロとなり飲食事業の構造改革が完了
➣アカマル屋を筆頭に飲食事業が回復、足下の飲食事業の状況は黒字転換
➣家賃が安い郊外型の「アカマル屋」ブランド(「アカマル屋」「アカマル屋鮮魚店」等)にマトをしぼった店舗展開
➣アカマル屋はコロナ禍第7波のピーク時を除き既存店全店がコロナ前(2019年比)を超え、全店黒字
➣アカマル屋モデルは、中期3ヶ年初年度(24/6期)に25店舗体制、26/6期に41店舗体制へ

(同社資料より)

 

出店計画
➣直営飲食店は26/6期に累計66店舗を目指し、コロナ禍で変容した顧客のニーズに適合するアカマル屋を中心に出店、水産資源の最大化を実現する

(同社資料より)

 

➣東京チカラめしでは、これまでの非効率を改善させ、リブランディングを進める
➣24/6期に国内旗艦店舗を1店舗出店、成長を続ける東アジア~東南アジアへ海外ライセンスを積極展開
➣海外ライセンス店は26/6期に累計13店舗を目指し、出店を進める

 

(同社資料より)

 

漁業 
➣SANKO MEMBERSHIPにより漁獲した鮮魚をグループ内外で最大活用をする
➣“漁師をなりたい職業に”するために浮き沈みの激しい漁業者のサラリーを保証する取り組みを開始

(同社資料より)

 

➣また、“育てる漁業”(養殖)にも取り組む
➣天然魚は漁獲量が微減傾向にあるなか養殖は拡大傾向
➣トレーサビリティが可能で顧客に安全安心を提供、持続可能な水産資源の確保する
➣養殖事業者他との連携により養殖事業へ参入

 

水産小売事業 
➣「サカナタベタイ」や「まぐろの海商」(SANKO海商)などグループ総力(強み)を結集し鮮魚小売店を展開
➣3年後にグループ9店舗体制へ。ECを併用し漁業者と消費者を一直線で結ぶ

(同社資料より)

 

水産加工事業 
➣水産資源の最大化を目的に商品開発・加工機器に投資。漁業者へフィードバックできる循環モデルを構築する
➣茅場町FACTORY、沼津加工場、浜松加工場での最大アウトプット。企画開発や加工は提携先へも委託
➣知名度は低いが上手い魚、漁師「ならでは」の食べ方や調理法、漁師しか食べられない部位などに着目
➣外食事業の経験から水産資源の最大化(付加価値化)をマーケットインの視点で企画・開発する

(同社資料より)

 

 

(同社資料より)

 

水産卸業及び海外輸出
➣世界最大規模の水産卸市場、豊洲市場の可能性(圧倒的な集荷力と分荷力)を最大活用
➣綜合食品は豊洲市場の集荷力をテコに海外輸出を強化
下図売上目標は中期経営計画には反映していない

(同社資料より)

 

補完事業 飲食店向けトータルサポート事業
➣ジーエス事業は、コロナ禍をきっかけに30代若手飲食店店長らが発起人となって生まれた社内ベンチャー
➣飲食店向けトータルサポート事業を展開、強みは人財、発足から1年で事業化(利益化)に成功

(同社資料より)

 

その他の成長戦略
➣インプットとアウトプットの両方を拡大。水産物を取り扱う、特徴のある飲食・小売事業者が優先課題
➣M&Aだけでなくアライアンスにより他事業者と連携・提携することでビジネスモデルの循環を加速
下表の成長戦略は中期経営計画には反映していない

(同社資料より)

 

5.今後の注目点

上期は大幅増収、営業損失は少額な減少にとどまった。同社は現在、本社従業員をまかなえるだけの店舗数の確保と6次産業化に向けた投資の真っただ中にある。こうした中、アカマル屋が既存店売上を大きく伸ばしている。利益率も高い水準を維持しており、しっかりと収益の屋台骨に育ちつつある。ただし、出店にはやや遅れが見られており今後早期に出店を進めていきたいところ。下期の目標は黒字体質の定着ということになるだろう。尚、中期経営計画を達成すれば、26/6期にEPSは15円程度が想定される。
長澤社長は18年9月に就任、18/6期が多額の赤字だったため、不採算店舗の改革などに取り組んでいた。その矢先に発生したコロナ禍だったが、むしろ思い切って改革を進める転機になった。これまでに例を見ない水産6次産業化はいよいよ本格化しつつある。数字に見るほど事業展開は苦戦しているわけではない。

<参考:コーポレート・ガバナンスについて>

 

◎組織形態及び取締役、監査役の構成

組織形態 監査役設置会社
取締役 7名、うち社外2名
監査役 3名、うち社外3名

 

◎コーポレート・ガバナンス報告書(更新日:2023年9月26日)
基本的な考え方
当社グループは、次の企業理念及び経営理念を掲げ、社会からの信頼を確立するために、当社グループの持続的成長及び企業価値向上のため、次の基本的な考え方に沿って、コーポレート・ガバナンスの充実に取り組んでまいります。
(1)当社グループは、株主の権利を尊重し、株主が権利を適切に行使することができる環境の整備と株主の実質的な平等性の確保に取り組んでまいります。
(2)当社グループは、「食」を通じて社会に貢献することを理念の中心に据え、「安心・安全」であることの重要性を認識し、株主、顧客、従業員、取引先及び当社グループを取り巻く地域社会や、その他のステークホルダーとの適切な協働に努め、高い自己規律に基づき健全に経営する企業文化、風土を醸成してまいります。
(3)当社グループは、ステークホルダーとの建設的な対話を行う基盤を構築するために、非財務情報を含む会社情報の適切な開示と、企業運営の透明性の確保に努めてまいります。
(4)当社グループは、持続的な成長と中長期的な企業価値の向上に資するよう、ステークホルダーとの間で建設的な対話を行います。
【企業理念】
「価値ある食文化の提案」
【経営理念】
「全従業員の物心両面の幸福の追求」

 

【コーポレートガバナンス・コードの各原則を実施しない理由】
【補充原則1-2-4】(株主総会における権利行使)
当社は、現在外国人株主数とその比率がそれぞれ低いことから、招集通知の英訳は行っておりません。今後、外国人株主数の比率等を勘案しつつ検討してまいります。
【補充原則3-1-1】 当社は、経営理念を当社ホームページ上にて公表しております。以下のURLをご参照ください。
http://www.sankofoods.com/company-2.html
また、当社グループは、2024年6月期- 2026年6月期を対象とする、中期経営計画を策定いたしました。詳細につきましては、以下のURLをご参照ください。
https://www.sankofoods.com/ir/management/plan/
【補充原則3-1-2】(情報開示の充実)
当社は、当社における外国人株主数とその所有比率がそれぞれ低いことから、決算短信、決算説明会資料等について英文での作成は行っておりません。今後、外国人株主数の比率等を勘案しつつ検討してまいります。

 

【コーポレートガバナンス・コードの各原則に基づく開示】
【原則1-4】(政策保有株式)
当社は、政策保有株式について、その保有の意義が認められる場合を除き、保有しないことを基本方針としており、現時点では、政策保有株式を保有しておりません。ただし、今後、事業戦略上の重要性、取引先との事業上の関係の維持・強化を目的として保有する場合があります。その場合は、株式保有は必要最低限とし、毎年取締役会で見直しを行い、企業価値向上の効果等が乏しいと判断される銘柄については、市場への影響やその他事業面で考慮すべき事情にも配慮し、売却を行うことで十分に政策保有株式の縮減につながると考えております。議決権行使に当たっては、投資先企業の中長期的な企業価値、株主価値の向上につながるかの観点等から検討し、総合的に判断した上で適切に行使します。

 

【補充原則2-4-1】(多様性の確保に向けた人材育成方針、社内環境整備方針、その状況)
当社では、従来から性別や国籍に関係なく、能力や実績を重視する人物本位の人材登用を実施しております。
この事業構造の転換、経営環境の多様化にあたり、持続的な成長と企業価値の向上を実現させるためには、多様な視点や価値観を尊重することが重要と考え、経験・技能・キャリアが異なる人材を積極的に採用しつつ、これらの人材が活躍できる職場環境を整備いたします。
当社では、2019年9月株主総会にて、女性社外取締役を選任し、2021年10月には内部昇格により、女性執行役員を登用いたしました。また、2024年3月末までに、常用雇用労働者の女性の割合を35%以上にすることを目指し、中長期の目線で、女性が活躍する環境づくりを進め、ダイバーシティの推進に取り組み、人が活躍できる機会と場を提供してまいります。

 

【原則3-1】(情報開示の充実)
(1)当社の経営理念、経営戦略については、当社ホームページおよび決算短信等で開示しております。
(2)当社のコーポレートガバナンスに関する基本的な考え方および、基本方針については、当社ホームページに掲載しております。
(3)当社の取締役の報酬については、基本報酬と賞与から成り立っております。取締役及び監査役の報酬等については、社内規程において決定に関する方針を定めており、株主総会の決議による取締役及び監査役それぞれの報酬総額の限度内で、会社の業績や経営内容、経済情勢等、職務の難易度を考慮し、社外取締役、社外監査役が出席した取締役会及び監査役会において、取締役の報酬は取締役会の決議により決定し、監査役の報酬は監査役会の協議により決定しております。なお、業務執行から独立した立場である社外取締役及び監査役は、基本報酬のみの支給としています。また、役員退職慰労金制度は、2013年9月25日開催の第37期株主総会の日をもって廃止しました。
執行役員の給与については、社内規程に基づき、会社の業績・経営内容、実績、経験、取締役報酬を考慮し、社外取締役、社外監査役が出席した取締役会にて決定しております。
(4)取締役・監査役候補の指名にあたっては、社内外から幅広く候補者を人選し、優れた人格・見識と高い経営能力を有する候補者の中から、取締役は取締役会で、監査役は監査役会で決定しております。社外取締役は、各分野における豊富な経験・知見を有し、中長期的な企業価値向上に向けて、専門的かつ客観的な視点からその役割・責務を果たすことができる方を指名しております。社外監査役は、各分野における豊富な経験・知見を有し、経営全般を監査して取締役会の透明性を高めるとともに、企業価値の向上に貢献いただける方を指名しております。
(5)新任候補者、社外取締役候補者及び社外監査役候補者の選任理由は、株主総会招集通知にて開示しております。

 

【補充原則3-1-3】(サステナビリティについての取組み)
当社では、中長期的な企業価値向上に向けて、サステナビリティへの取り組みは重要な経営課題であると認識し、基本的方針を策定し、その基本方針に則った取り組みを推進してまいります。 当社のサステナビリティ基本方針は当社ホームページにて公表しています。
http://www.sankofoods.com/company-6.htm

 

【原則5-1】(株主との建設的な対話に関する方針)
当社は、持続的な成長と中長期的な企業価値向上のためには、株主・投資家との積極的且つ建設的な対話が必要不可欠と考え、株主及び投資家の皆様との建設的な対話に努めております。
・当社のIR活動はIR担当役員が担い、財務経理部が担当する体制となっております。IR活動に必要な情報はIRに関連する他部署から収集し、グループ経営推進室がとりまとめ、投資家からの問い合わせに対応しております。なお、株主及び投資家の皆様との対話にあたっては、インサイダー情報を伝達しないことを方針とし、伝達する内容については、IR担当部署が、事前に法務等の関連部署や外部専門家と適宜確認することとしています。
・グループ経営推進室にて個別面談に積極的に対応するとともに、株主・投資家・アナリスト向けに第2四半期・期末に決算説明会を開催し、代表取締役社長又はIR担当取締役が直接説明しております。
・重要なIR活動結果及びそのフィードバック及び株主異動等の情報については、毎月開催される定時取締役会へ報告を行い、取締役や監査役との情報共有を図っております。

 

 

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