6月29日妥当レンジ 9,550円~11,050円
ユーロ首脳会議のポジティブ・サプライズも続かず

2012/07/03

 【IFIS/TIWコンセンサス225】

前回はお休みを頂き、失礼しました。

先週は、欧州連合(EU)首脳会議で1,200億ユーロ規模の資金を成長戦略として投じることを決定された。続いて行われたユーロ圏17カ国首脳会議においては欧州安定メカニズム(ESM)などを通じて各国政府を経由しないで銀行に資本注入を出来るようにする他、南欧諸国の国債買取も具体的に検討する。
スペインの銀行への資本注入の際に問題になったのは、スペイン政府の機関であるFROB(銀行再建基金)に資金を貸し付け、FROBが個々の銀行に資金提供を行うというスキームであった。これは、結局はスペインの対外債務が増えるという問題と、民間債権よりも弁済が優先される可能性に対する不安が指摘されていた。今回の首脳会議では、ESMが直接各国の銀行に資本注入を行うことを可能にすると同時に、民間債権が劣後することはないということについて合意された(スペインに関してもEFSF=欧州金融安定基金やESMによる支援融資には優先弁済権をつけないことが確認された)。
また、EFSFやESMが欧州各国で集めた資金を用いて南欧諸国の国債の買い支えを検討することが打ち出された。

事前に首脳会議については悲観的な見方も多かっただけに、合意内容を受けて、先週末にはユーロが上昇するとともに世界的に株価上昇が見られた。しかしながら、こうした買戻しの動きも長くは続かず、1日発表された中国のPMI(6月、製造業購買担当者景気指数)の低下(5月50.4→6月50.2)など世界景気動向に投資家の眼は向かいつつある。今週末には米雇用統計(6月)が予定されている。前月が市場を大きく失望させたこともあって事前予想が慎重なだけに波乱はないものと考えるが、株価上昇を期待する材料も特に見当たらない状況にある(ECBの利下げも織り込み済み)。一進一退の展開が続きそうだ。

6月29日時点の「IFIS/TIWコンセンサス225」の予想EPSは、今期(1期)703.37円(前々週比-4.67円、前週比-2.84円)、来期(2期)798.33円(前々週比-2.23円、前週比-0.68円)、再来期(3期)873.92円(前々週比-1.73円、前週比-1.20円)とこの2週間は全期間においてマイナスが続いている。
決算の谷間の時期に当るため、前週比で変化なしの企業数が半分以上を占めているが、プラス企業数よりもマイナス企業数の方が多い傾向は続いている。
マイナス企業では、ソニー(6758)、キヤノン(7751)、ファナック(6954)、オリンパス(7733)、ミツミ電機(6767)など輸出関連の電機・精密・機械セクターの企業が多く見られる。
日経平均の妥当レンジは、今回9,550円~11,050円へと大きく上方に引き上げる。コメントとは矛盾しているが、今期(1期)予想が最も減少したことにより、テクニカル的に来期成長率が高まったこと、予想ROE水準が上昇したこと。加えて株価変動に伴うモデル上の誤差(妥当レンジから大きく外れた位置での株価の変動は増幅されやすい)が生じたことによる。

欧州情勢について前進が見られたことにより幾分は投資マインドが改善したと考えられる。しかしながら、今後の情勢変化や新興国経済の成長鈍化や米国経済の回復足踏みなどグローバル経済では神経質な展開が今後も続くことが予想できるだけに本格回復には時間を要するだろう。また、国内企業業績も下方修正リスクが残ることからマーケット全体としては現在の割安感(妥当株価レンジとの乖離)を素直に評価できない状況が続くと思われる(世界的にリスクが高止まりしている状態では、妥当株価レンジの設定水準=インプライド・リスク・プレミアムの適応範囲を再検討することも必要かもしれない)。ただし、欧州情勢で再び不安が増幅しない限りは下値リスクも限定されるだろう。

(毎度同じ結論で恐縮であるが)こうしたマーケット環境では新興株式市場を中心とした個別株に注目が集まり展開が予想される。昨日、『TIWモデルポートフォリオ』の採用銘柄の一部見直しを行ったのでそちらのレポートもご参照下さい。 

 

◇日経平均妥当水準(レンジ)

9,550円~11,050円 (前回 9,250円~10,650円)

  *「IFIS/TIWコンセンサス225」(6月29日)来期予想ベースEPSをもとに算出

 

◇IFIS/TIWコンセンサス225(6月29日)

今期予想EPS 703.37 (前週 706.21円)
来期予想EPS 798.33 (前週 799.01円)
再来期予想EPS 873.92 (前週 875.12円)
今期予想PER 12.81 (前週 12.46倍)
来期予想PER 11.28 (前週 11.01倍)
再来期予想PER 10.31 (前週 10.05倍)
来期予想PBR 0.91 (前週0.89倍)
来期予想ROE 8.07% 前週8.10%)
来期予想
インプライド・リスク・プレミアム
 
7.48% (前週7.57%)

*6月29日 日経平均終値より、PER、PBR、ROE等を算出

 

 (来週26日(火)は誠に恐縮ですが、お休みとさせて頂きます)

株式会社ティー・アイ・ダヴリュ
TIWマガジン「投資の眼」   株式会社ティー・アイ・ダヴリュ
独立系証券リサーチ会社TIWのアナリスト陣が、株式市場における時事・トピックスや業界動向など、取材に基づいたファンダメンタル調査・分析を提供するともに、幅広い視野で捉えた新鮮な情報をお届けします。

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