6月15日妥当レンジ 9,250円~10,650円
ギリシャ総選挙終了でひとまずアク抜けであるが

2012/06/19

 【IFIS/TIWコンセンサス225】

17日のギリシャ総選挙(再選挙)では、緊縮財政派であるND(新民主主義党)とPASOK(全ギリシャ社会主義運動)の合計議席が過半数を超え、連立政権を樹立できる見通しが立った。それを受け、月曜日の東京株式市場は大きく反発した。
今後、ギリシャは、EU・ECB・IMFとの緊縮財政の再交渉が見込まれるが、それが難航すると他の南欧諸国への伝播を含めてリスク回避行動が再び強まるとの見方もある。この1ヵ月間を揺るがした最悪のシナリオを回避できたことは意義深いと思われるが、ユーロの構造そのものを再構築して行く大きな流れの中での一歩であり、現在の安堵感はそうしたなかでの一時的な安息にしか過ぎない可能性もある。
今週はG20(6/18~19)、米FOMC(6/19~20)が予定されている。目立った政策発表は見込めないものの、市場の混乱に対して追加的な資金供給の準備があることが再度強調されることでマーケット心理の改善が一時的にはもたらされる可能性も考えられる。しかし、月末にかけて公表される各地域(米国・欧州・新興国)の経済指標において好転することが期待しにくいだけに、マーケットの上値を追う展開には時期尚早と言えよう。

6月15日時点の「IFIS/TIWコンセンサス225」の予想EPSは、今期(1期)708.04円(前週比+5.39円)、来期(2期)800.56円(同+1.83円)、再来期(3期)875.65円(同+4.23円)と前週とは一転してプラスになりました。前週において「円高の影響や海外経済の鈍化を徐々に織り込み始めていることはほぼ確実視できそうである」と述べたこととは矛盾しているように見えるが、プラスの中身を精査すると特定企業の影響が強く反映されている。今週から集計上の方法がIFRS基準に変更となったJT(2914)、住友商事(8053)、アナリストデータの更新が遅れていた東洋製罐(5901)、それにKDDI(9433)の4社が与えた影響(合計)は、今期(1期)6.13円、来期(2期)3.70円、再来期(3期)5.11円、となっている。
前週比でプラス・マイナスになった企業数のウエイトは、今期(1期)プラス66社・マイナス64社(変化なし95社)、来期(2期)プラス57社・マイナス75社(変化なし93社)、再来期(3期)プラス55社・マイナス61社(変化なし109社)。前週よりは改善傾向が目立つものの、まだマイナス企業が優勢な状況である。
今週は、日経平均株価の妥当レンジを9,250円~10,650円へと若干上方に調整する。

ギリシャのユーロ離脱の可能性はひとまずは回避されたと考えられるものの、南欧諸国の財政悪化も含めて、支援の継続が必要になる。このことは(一時的な買戻しの動きはあっても)中期的にユーロが下落圧力に晒されることを意味する。また、米国は大統領選挙を控えて景気浮揚が求められるだけに金融緩和策が強化される可能性が高い。そうした中で、円高圧力が大きく後退することは考え難い。
日本時間の18日23:55現在、米国10年国債利回りは1.577%と金融緩和を視野に入れてか先週末より利回り低下が進行している。ユーロドルも東京時間では1.27ドルとユーロ高に振れたものの、1.26ドルを割り込み再びユーロ安に向かいつつある。どうやら安息の時は短かったようである。

国内では社会保障と税の一体改革関連法案で野田内閣と自民、公明が修正案に合意をした。多くの論者が指摘するように財政改革には殆ど手を付けず、増税だけが決定された形となっている。円高による国内産業の空洞化が加速する中(=法人税・所得税の課税対象の減少)、消費税により税収を賄おうとするものである。過去の回復パターン(=外需依存による回復)が期待できない中で、内需をさらに冷やしてしまう可能性が大きく存在する。解散・総選挙の可能性も指摘されており、混迷は深まりそうだ。欧州問題で危機的状況を回避できたとしても山積した問題がマーケットの頭を押さえつけ続ける状態が続きそうである。

毎回、繰り返しになるがパフォーマンスを期待できる投資対象は、新興市場の好業績銘柄(高ROE、増益、好財務体質)にあることをあらためて確認したい。 

 

◇日経平均妥当水準(レンジ)

9,250円~10,650円 (前回 9,200円~10,600円)

  *「IFIS/TIWコンセンサス225」(6月15日)来期予想ベースEPSをもとに算出

 

◇IFIS/TIWコンセンサス225(6月15日)

今期予想EPS 708.04 (前週 702.65円)
来期予想EPS 800.56 (前週 798.73円)
再来期予想EPS 875.65 (前週 871.42円)
今期予想PER 12.10 (前週 12.04倍)
来期予想PER 10.70 (前週 10.59倍)
再来期予想PER 9.79 (前週 9.71倍)
来期予想PBR 0.86 (前週0.85倍)
来期予想ROE 8.06% 前週8.07%)
来期予想
インプライド・リスク・プレミアム
 
7.60% (前週7.63%)

*6月15日 日経平均終値より、PER、PBR、ROE等を算出

 

 (来週26日(火)は誠に恐縮ですが、お休みとさせて頂きます)

株式会社ティー・アイ・ダヴリュ
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独立系証券リサーチ会社TIWのアナリスト陣が、株式市場における時事・トピックスや業界動向など、取材に基づいたファンダメンタル調査・分析を提供するともに、幅広い視野で捉えた新鮮な情報をお届けします。

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