6月8日妥当レンジ 9,200円~10,600円
JASDAQ平均が、昨年7月水準をまだ上回っていることの意味

2012/06/12

 【IFIS/TIWコンセンサス225】

先週は、月曜日にTOPIXがリーマンショック後の最安値(692.18ポイント)を記録した後、G7緊急電話会議(5日)、ECB理事会(6日)などが行われたことから週半ばには反発する局面もあった。しかし、実質的に何かが新たに打ち出されたわけではなく、期待されたECBの利下げも行われなかったことから、7日(木)のフィッチのスペイン国債の3段階格下げ(A→BBB)を受けて再び市場心理が悪化した。しかし、週末にスペイン銀行に対して最大で1,000億ユーロの支援が行われることが決定されたことから、週明けは再びやや持ち直す展開となっている。今週は国内では、日銀政策決定会合(14~15日)、消費税法案を巡る政策協議の合意期限(15日)などが予定されているが、仮に前向きなニュースが出ても、来週のギリシャ総選挙(6/17)を控えて、膠着したマーケット展開が続くものと考える。
投資家の不安心理は、米国債(10年国債)の利回りに端的に表れている。6月1日の1.452%を底に先週末は1.65%まで戻した。しかし、1ヵ月前が1.8%台(それ以前はもっと高い水準)にあったことを鑑みればまだ投資家のリスクオフの状態が強いことは明確であろう。

6月8日時点の「IFIS/TIWコンセンサス225」の予想EPSは、今期(1期)702.65円(前週比-3.01円)、来期(2期)798.73円(同-3.78円)、再来期(3期)871.42円(同-0.40円)と先週同様に小幅な変化であるが、全ての期間において前週比マイナスとなった。特定の業種に限らず幅広くマイナスとなる企業が増加している。円高の影響や海外経済の鈍化を徐々に織り込み始めていることはほぼ確実視できそうである。
前週比でプラス・マイナスになった企業数のウエイトは、今期(1期)プラス67社・マイナス92社(変化なし66社)、来期(2期)プラス65社・マイナス90社(変化なし70社)、再来期(3期)プラス67社・マイナス85社(変化なし73社)、分布状況は前週よりもマイナス企業が増加傾向となった。プラス側で目立った企業は、ソフトバンク(9984)、京セラ(6971)、アステラス製薬(4503)、アマダ(6113)など。マイナス側は、キヤノン(7751)、ジェイテクト(6473)、日本曹達(4041)、コマツ(6301)、ファーストリテイリング(9983)、日清紡HD(3105)、など。
今週は、日経平均株価の妥当レンジ(9,200円~10,600円)を据え置くが、トレンドとしては引き下げ方向が続きそうである。

17日のギリシャ再選挙後をどのように考えておくべきか。仮に財政緊縮派の新民主主義党(ND)が勝利し、内閣組成が可能であったとしても、その後の政権運営とギリシャ財政の回復が困難と見られるだけに、株価の反発は一時的なものに留まる可能性がある。また、急進左派連合(SYRIZA)が勝利した場合は、ユーロ離脱の可能性やユーロ圏諸国からの融資の継続が困難と示唆されるだけに、市場の売り圧力は強まることは必至であろう。しかしながら、スペイン、ポルトガルといった周辺諸国への救済が強化されつつあり、ギリシャの(再選挙後の)最悪のシナリオは織り込まれつつあり、パニック的な下落は回避できるものと思われる(希望も含めて)。焦点は次第に、周辺国あるいはユーロ体制の構造改革に移行してゆくだろう。ギリシャが再々選挙に陥った場合は短期的には一番厄介かもしれない。市場はさらに1ヵ月は身動きの取れない状態が続くことになる。

日本株については、ギリシャ選挙の結果によっては一時的に浮揚する可能性はあるものの、本格的な出戻りは期待しづらい。ユーロや米国の金融緩和継続によって、円高圧力が今後も続くことが予想され、新興国や米国の景気減速から企業業績も下方圧力を強く受けることになる。結局は米国経済指標が改善し、円高トレンドの終息と、海外株式市場との比較感(割安)からしか出直る切っ掛けを見出せないのかもしれない。

 さらに悲観的な見方をするならば、企業業績見通しの下方トレンドから現在の株価水準が特段割安では無くなる可能性が考えられる。これも全体相場の頭を抑える方向に働きそうだ。
こうした状況は、昨年8月以降のマーケットに似ている。昨年は、7月下旬に日経平均は10,000円台を記録した後に、年末に8,300円台まで下落する。米国経済指標の悪化や欧州危機の緊迫化、タイ洪水被害の影響で企業業績見通しが下方修正されることが要因であったのであるが、株価は企業業績見通しに大きく先行して下落した。こうした環境下で逸早く底打ちしたのが新興市場(JASDAQ)である。8月からの下落率も1部市場ほどは大きくなく、11月に先行して底入れをしている。

昨年の下落・回復局面は、中長期の株価パフォーマンスには、収益性(ROE)、成長性が最重要の決定要素であることを端的に示している例である、と言える。日経JASDAQ平均(週末値データ)は、5月2日の1,402.75円から先週末(6月8日)1,298.99円までに7.4%下落しているが、昨年7月の高値(7/22)1,287.46円をまだ上回っている。先週末の日経平均が、昨年7月22日の10,132.11円を16.5%下回っていることとは極めて対照的である。
パフォーマンスを期待できる投資対象は、新興市場の好業績銘柄(高ROE、増益、好財務体質)にあることをあらためて確認したい。

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◇日経平均妥当水準(レンジ)

9,200円~10,600円 (前回 9,200円~10,600円)

  *「IFIS/TIWコンセンサス225」(6月8日)来期予想ベースEPSをもとに算出

 

◇IFIS/TIWコンセンサス225(6月8日)

今期予想EPS 702.65 (前週 705.66円)
来期予想EPS 798.73 (前週 802.51円)
再来期予想EPS 871.42 (前週 871.82円)
今期予想PER 12.04 (前週 11.96倍)
来期予想PER 10.59 (前週 10.52倍)
再来期予想PER 9.71 (前週 9.68倍)
来期予想PBR 0.85 (前週0.84倍)
来期予想ROE 8.07% 前週8.03%)
来期予想
インプライド・リスク・プレミアム
 
7.63% (前週7.67%)

*6月8日 日経平均終値より、PER、PBR、ROE等を算出

株式会社ティー・アイ・ダヴリュ
TIWマガジン「投資の眼」   株式会社ティー・アイ・ダヴリュ
独立系証券リサーチ会社TIWのアナリスト陣が、株式市場における時事・トピックスや業界動向など、取材に基づいたファンダメンタル調査・分析を提供するともに、幅広い視野で捉えた新鮮な情報をお届けします。

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