6月1日妥当レンジ 9,200円~10,600円
コンセンサスEPSに企業業績悪化の兆候か?

2012/06/05

 【IFIS/TIWコンセンサス225】

ギリシャの世論調査で財政緊縮反対派の急進左派連合(SYRIZA)が優勢との報道もあり、ユーロ離脱と無秩序なデフォルトへの懸念が高まっている。先週は、これと前後する形でスペインとイタリアの国債利回りも急騰し、ユーロからのリスク回避が一気に強まっている。ユーロドルは1.23ドル台と2010年春のギリシャ問題が顕在化した際の水準に迫っている。米国10年国債利回りは、ユーロからの資金逃避を受けて、6月1日に1.452%と過去最低記録を更新した。
1日に発表された米雇用統計(5月)は、市場予想の非農業部門雇用者数の増加15万人を大幅に下回る前月比6万9千人増に留まった。また、4月の改定値も当初の11万5千人増から7万7千人増へと大きく引き下げられた。
欧州債務問題の深刻化と米国景気の急速な足踏みを受けて、1日には、ドル円は77円台まで上昇、ユーロ円でも一時95.8円を記録した。インド、中国など新興国経済の減速が顕著になる中で、市場はリスクオフから恐慌的な状態に陥りつつある。6日のECB定例理事会、7日のバーナンキFRB議長の議会証言など海外要人の危機対応に向けたメッセージが待たれるところである。

6月1日時点の「IFIS/TIWコンセンサス225」の予想EPSは、今期(1期)705.66円(前週比-0.12円)、来期(2期)802.51円(同-1.08円)、再来期(3期)871.82円(同+0.95円)と小幅な変化であるが、実質的にはかなり厳しい内容であった。再来期(3期)は前週比プラスとなっているものの、ソフトバンク(9984)1社のプラス貢献が+7.03円寄与しており、これが無ければ大きなマイナスであった。
前週比でプラス・マイナスになった企業数のウエイトは、今期(1期)プラス65社・マイナス83社(変化なし77社)、来期(2期)プラス67社・マイナス82社(変化なし76社)、再来期(3期)プラス69社・マイナス78社(変化なし78社)、といずれの期においてもマイナスとなった企業数の方がプラスを上回っている。マイナスとなった企業群は電機・精密、化学、商社、自動車と輸出企業を中心に幅広い。円高の影響や海外経済の鈍化を織り込み始めている可能性がある。
今週は、日経平均株価の妥当レンジを9,200円~10,600円(前週は9,250円~10,650円)に微調整する。

4月下旬頃からインプライド・リスク・プレミアム(来期ベース)はおおよその妥当範囲上限である7%を越えており、マーケットが割安であることを示していた。その後、さらに市場はリスク回避的な状況を加速させており、前週末時点ではインプライド・リスク・プレミアムは7.67%に達しており、妥当株価水準と現実の株価水準との乖離も大きく広がった。現在の株価水準は著しく割安と考えることもできる。
しかしながら、ここにきて欧州経済の混乱と新興国の成長鈍化、米国景気拡大への急速なブレーキ、さらには一段の円高によって、国内企業業績にも波及する可能性を意識しておかなければならないだろう。
コンセンサスEPSから導き出される妥当株価水準は、一致あるいは遅行性を帯びており、先行指標とは言えない。したがって、将来的にコンセンサウEPSが引き下げられる可能性もあり、現状のマーケットが理論値からみて割安だからと言っても必ずしも楽観はできない(コンセンサスEPSは急激な変化には弱い)。
逆に、現在の株価が妥当となる予想EPSの水準を計算してみると各期において現在から100円程度EPSが減額された水準となる。昨年8月にも株価が割安な時期が存在した。しかし、米国経済の減速を機に企業業績見通しは遅行気味に下方修正され、結果的に株価の方が(その時点の)業績見通しよりも正しいということが生じた。こうした現象が再現する可能性を強く留意しておく必要があるだろう。
多くの投資家が方向感を見極めるため、(短期的には6月17日のギリシャ再選挙までであるが)7月下旬からの1Q決算までは慎重な行動をとる可能性も考えられる。積極的な買い手が不在の中では、投機筋が『売り』を仕掛け易すく、一時的には大きく下押しする局面もあるかもしれない。こうした状況では現保有資産の下落に対してプットオプション(買い)によるヘッジを用意することも有効な手段かもしれません(筆者はオプションの専門家ではないので詳細に関しては言及いたしません)。

株価下落局面に備えておく他の手段としては、財務健全性が高い、高配当利回り銘柄を事前にピックアップしておくことが考えられます。TIWモデルポートフォリオの採用銘柄から具体例を挙げるとするならば、翻訳センター(2483)、DVX(3079)、フロイント産業(6312)、ワークマン(7564)、東海理化(6995)などはネットキャッシュ(現金同等物―有利子負債)が大きくプラスであり、時価総額に対するキャッシュのウエイトも高いので予想配当の実現に信頼感が持てると同時に増配期待も考えられます。 

 

◇日経平均妥当水準(レンジ)

9,200円~10,600円 (前回 9,250円~10,650円)

  *「IFIS/TIWコンセンサス225」(6月1日)来期予想ベースEPSをもとに算出

 

◇IFIS/TIWコンセンサス225(6月1日)

今期予想EPS 705.66 (前週 705.78円)
来期予想EPS 802.51 (前週 803.59円)
再来期予想EPS 871.82 (前週 870.87円)
今期予想PER 11.96 (前週 12.16倍)
来期予想PER 10.52 (前週 10.68倍)
再来期予想PER 9.68 (前週 9.85倍)
来期予想PBR 0.84 (前週0.86倍)
来期予想ROE 8.03% 前週8.09%)
来期予想
インプライド・リスク・プレミアム
 
7.67% (前週7.59%)

*6月1日 日経平均終値より、PER、PBR、ROE等を算出

株式会社ティー・アイ・ダヴリュ
TIWマガジン「投資の眼」   株式会社ティー・アイ・ダヴリュ
独立系証券リサーチ会社TIWのアナリスト陣が、株式市場における時事・トピックスや業界動向など、取材に基づいたファンダメンタル調査・分析を提供するともに、幅広い視野で捉えた新鮮な情報をお届けします。

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