11月2日妥当レンジ 22,300円~24,050円
好材料はぼちぼち出尽くしだが、宴はまだ終わらない?

2017/11/07

【「IFIS/TIWコンセンサス225」によるマーケットの妥当レンジの推計】

 

<次期FRB議長はパウエル理事に決定>

■先週は31-1日に米FOMCが開催され、金融政策の現状維持が決定。声明では景気判断を「底堅いペースで成長している」とやや引上げ、12月のFOMCでの再利上げを滲ませた。10月のISM製造業指数(1日)は前月からは低下したものの高水準を維持、ISM非製造業指数(3日)は60.1(9月は59.8)に。10月の米雇用統計(3日)は、非農業部門雇用者数の増加が前月比+26.1万人と予想を下回ったが、9月が速報値の▲3.3万人から+1.8万人に修正された点を考慮すればほぼ予想通り。しかし、平均時給は前年同月比+2.4%と9月の+2.8%から低下した。
■共和党は、2日に詳細な税制改革法案を発表。連邦法人税は初年度から一気に現行の35%から20%へ引き下げる。海外資金の米国還流の税率を引き下げ、グローバル企業には海外課税制度を設けるなど、米国への産業回帰を促す内容である。
■2日にトランプ大統領は、パウエル理事を次期FRB議長に指名。イエレン議長のハト派路線を踏襲すると見られており、NY株式は最高値更新が続いた。
■今週は、中国貿易統計(10月分・8日発表)、機械受注・国際収支(9月分・9日発表)くらいで目だった経済指標の発表がないが、トランプ大統領の訪韓(7-8日)、訪中(8-10日)。ASEAN首脳会談(10-14日)が予定されている。

 

<IFIS/TIWコンセンサス225 は全期間で前週比プラス続く>

■11月2日時点のIFIS/TIWコンセンサス225(日経225のコンセンサスEPS)は、全期間で大きく前週比プラスとなった。プラス寄与が大きかった銘柄は、東京エレクトロン、日東電工、スズキ、ホンダ、資生堂、ソニーなど。コンセンサスDI(前週比プラスとなった企業の比率)は高水準を維持している。
■米税制改革、次期FRB議長指名ともに市場にとってポジティブな形で決着した。2Q決算発表はまだ折り返しで期待感は残るが、好材料は概ね出尽くしたようにも思われる。コンセンサス予想の上方シフトから、現株価水準にはまだ割高感はなくユーフォリアは今暫く続きそうだ。ただし、株価の位置が高まれば、次第にリスクに敏感になってゆくものと考える。

 

◇日経平均妥当水準(レンジ)

22,300円~24,050 (前回21,900円~23,650円)

*「IFIS/TIWコンセンサス225」(11月2日)来期予想ベースEPSをもとに算出

◇IFIS/TIWコンセンサス225(11月2日)

今期予想EPS 1180.45 (前週 1167.28円)
来期予想EPS 1314.88 (前週 1302.28円)
再来期予想EPS 1461.53 (前週 1451.74円)
今期予想PER 19.09 (前週 18.85倍)
来期予想PER 17.14 (前週 16.90倍)
再来期予想PER 15.42 (前週 15.16倍)
来期予想PBR 1.28 (前週 1.27倍)
来期予想ROE 7.46% 前週 7.51%)
来期予想
インプライド・リスク・プレミアム
6.91% (前週 6.96%)

11月2日経平均終値より、PER、PBR、ROE等を算出




図1妥当レンジはさらに上方シフト。中位(平均)は23,175円と23千円超え。ポジティブ材料はやや出尽くし気味であるが、決算発表後半に期待。

 

 

図2来期予想ベースのプラス企業比率は、 61.062.857.1%→58.5%→65.5
再来期予想ベースのプラス企業比率は、65.365.960.758.4%→59.0%。
高水準維持!!

 

 

[注:4~5月は例年、対象決算期変更の影響があるのでイレギュラーな値になることに留意]

 

出所:IFISコンセンサスを基にTIW作成
いずれも2012年1月から表示

「IFIS/TIWコンセンサス225」について
IFIS/TIWコンセンサス225」は、株式会社アイフィスジャパンが集計しているアナリストコンセンサス・データ等を原データとして、2009年4月より株式会社ティー・アイ・ダヴリュが東証株価指数(日経225)に対応するように構成銘柄のEPSを算出・集計したものである。今期予想EPS、来期予想EPSの変化を追うことによって、マーケット全体の業績見通しを確認する。
理論上では株価は、自己資本配当率(ROEと配当性向の積)、EPS成長率、無リスク証券の利回り(国債利回り)、リスクプレミアムの4要素で決定される。株価をこれら構成要素に分解することによって、株価変動の要因について考察するとともにファンダメンタルからの妥当な株価(マーケット)水準を思量する。なお、リスクプレミアムを正確に計測することは、一定期間を経た後でないと困難なことであることから、当レポートではインプライド・リスクプレミアム(株価と他の構成要素からの逆算値)を使用している。
4つの構成要素の内、株価の短期的な変動に最も影響を与えるのがリスクプレミアムである。リスクプレミアムは、無リスク証券の金利に対して投資家が要求する上乗せ金利と定義されるが、投資家心理(マーケットセンチメント)、他の投資対象(金融商品)との利回り格差の変動などによって変化する。長期的な見通しの変化が無い中では、インプライド・リスクプレミアムは一定のレンジ内で推移する傾向にある。日経平均株価の妥当水準を算出には、インプライド・リスクプレミアムの一定レンジからの逆算によって行っている。
〔今期予想ベースEPS、来期ベースEPSにおける“今期”、“来期”の取扱い〕
会計上の業績計測期間ではなく、本決算発表を基準とする。例えば、2011年4月30日現在では、2011年3月期は決算発表前であれば今期、決算発表が行われていれば前期、となる。
〔予想EPS増減社数〕
今期ベースならびに来期ベースを示している。週間(週末値)のデータを基に、前週末に比べてEPSが増加・変化無し・減少した企業の数。
〔予想PBR(今期末)〕
前期末BPS(1株純資産)に今期予想EPSを加えて、予想DPS(1株配当)を控除した値(=予想BPS)で株価を除した数値。中間配当は考慮していない。
〔予想ROE(来期ベース)〕
前述の予想BPSで来期予想EPSを除した値。
〔リスクプレミアム〕
特に断りの無い限りインプライド・リスクプレミアムを表す。計算式は、{ 1-予想配当性向×(1-予想B/Pレシオ)}×予想ROE-無リスク証券利回り

 

株式会社ティー・アイ・ダヴリュ
TIWマガジン「投資の眼」   株式会社ティー・アイ・ダヴリュ
独立系証券リサーチ会社TIWのアナリスト陣が、株式市場における時事・トピックスや業界動向など、取材に基づいたファンダメンタル調査・分析を提供するともに、幅広い視野で捉えた新鮮な情報をお届けします。

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