3月9日妥当レンジ 9,200円~10,600円
中小型株市場の水準訂正のインパクトを狙え!

2012/03/13

 【IFIS/TIWコンセンサス225】

ギリシャの民間債務削減は、自発的に参加した83.5%に加えて、「集団行動条項」の強制発動の決定により削減への参加率は95.7%に達した(9日)。また、強制削減の発動に伴って国際スワップ・デリバティブズ協会(ISDA)はギリシャ国債のCDS(クレジット・デフォルト・スワップ)が損失補償の対象となるデフォルトの判定を行った。これについては評価が分かれるところではあるが、CDSによるヘッジが機能しないことになれば他の国債への投資が減衰する可能性も指摘されており、デフォルトの判定は必然的なものと言えそうだ。

9日に発表された2月の米雇用統計は、失業率(8.3%)は前月と変わらなかったものの非農業部門雇用者数は前月比22.7万人の増加と市場予想(21万人)を上回る数値であった。これを受けて米ドルは上昇し、ドル・円は一時82.6円/ドルまで上昇している。

日本株市場はギリシャ債務問題の危機回避(少なくとも短期的には)、米国経済好調、円安などを受けて先週末には日経平均は10,000円を一時的に回復した。
(前回のレポートで「インデックスの上昇はひとまず一服か?」と書いた筆者はひとまずは負けを認めなければならないだろう・・・ちょっと気が早すぎたようだ)

前回も述べたが当レポートも日本株の緩やかな上昇基調を見込んでいる。再来期のコンセンサス予想EPSをベース(本年5月中旬以降の新年度の基準)にした日経平均の妥当レンジは10,100円~11,600円である(前回の9,900円~11,450円よりやや上方修正)。12日(9,889.86円)を基準にして向こう1年間に2~17%の上昇を期待している。ETFなどインデックスの投資家にとってはこれでも十分な期待パフォーマンスかもしれない。しかし、これまでも何度も言及しているが、日本の株式市場は欧米に比べて非効率的であり、中小型株には過大な流動性リスクプレミアムが生じている。マーケットが上昇過程にある中では流動性リスクプレミアムの縮小から非常に大きなパフォーマンスが中小型株には期待できると考えている。

3月9日時点の「IFIS/TIWコンセンサス225」の予想EPSは、前週との比較では今期予想ベース(1期)は小幅ながら引き続きマイナスであった。しかしながら、来期予想ベース(2期)、再来期予想ベース(3期)は今回もプラスであり、前週比プラス企業数がマイナス企業数を上回って推移している。変化幅はそれぞれ、▲2.71円(1期)、+3.07円(2期)、+3.70円(3期)である。
今週も来期予想EPSの増加を受けて日経平均の妥当レンジを上方に微調整する。

13日(火)に米FOMC(連邦公開市場委員会)が予定されており、何らかの追加的な金融緩和が示されるのを期待する向きもあるようである。目新しいメッセージが何も提示されなければ一時的に失望が生じる可能性もあるが、追加緩和が有っても無くても、いずれにしても株式市場にとっては大きな問題ではないと考えている。米国経済が堅調な回復状況にあるのであれば、緩和の必要はない。経済の回復から株価の上昇が期待される。また、景気回復の遅れから追加緩和の必要性があるのであれば、緩和による通貨価値の下落によって商品や株式の価値は相対的に上昇する。

前述したが、まだ、(少なくとも日本市場においては)株式の価値評価が行き過ぎている状況ではない。とは言っても、マーケット全体(特に主力株)は特に割安というほどでもない(来期ベースのインプライド・リスク・プレミアムの水準は中位=6.44%)。しかし、今期ベースで期待リターンは東証1部とJASADAQ市場では3.4%もの開きがある。これが縮まる展開(=中小型の上昇)はまだこれからが本番である。

Growth With Value銘柄(成長性があるが株価が割安な銘柄)という概念を唱えているが、或る方からそれはGARP(growth at reasonable price)戦略ではないか、とのご指摘を受けた。 GARPは市場平均より高い成長性を持つ株式を適正な価値(成長性に比して妥当な水準)で購入するというものである。この場合の投資家のリターンの源泉は、主に企業の成長性である。概ね似ているのであるが、筆者は、市場平均より高い成長性を持つ株式をかなり割安な価値で購入することをターゲットにしている。企業成長と適正価値への水準訂正の両方を獲得するのである。言い換えるならばGAVP(growth at value price)である。「そんな都合の良い話があるのか?」、と思われる方もいらっしゃるかもしれない。しかし、現在の中小型株市場においては意外と多く存在するのである。株式流動化策を推進するコーポレート・アクション(分割・売り出し・市場外分売・株主優待の導入など)には十分に注意を払う必要がある。発表時には反応が低くても業績(成長性)が着実であれば次第に効果が現実化する。

◇日経平均妥当水準(レンジ)

9,200円~10,600円 (前回 9,050円~10,350円)

  *「IFIS/TIWコンセンサス225」(3月9日)来期予想ベースEPSをもとに算出

 

◇IFIS/TIWコンセンサス225(3月9日)

今期予想EPS 457.58 (前週 460.28円)
来期予想EPS 704.13 (前週 701.06円)
今期予想PER 21.70 (前週 21.24倍)
来期予想PER 14.10 (前週 13.95倍)
来期予想PBR 1.07 (前週1.05倍)
来期予想ROE 7.57% 前週7.52%)
来期予想
インプライド・リスク・プレミアム
 
6.44% (前週6.42%)

*3月9日 日経平均終値より、PER、PBR、ROE等を算出

株式会社ティー・アイ・ダヴリュ
TIWマガジン「投資の眼」   株式会社ティー・アイ・ダヴリュ
独立系証券リサーチ会社TIWのアナリスト陣が、株式市場における時事・トピックスや業界動向など、取材に基づいたファンダメンタル調査・分析を提供するともに、幅広い視野で捉えた新鮮な情報をお届けします。

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