3月2日妥当レンジ 9,050円~10,350円
インデックスの上昇はひとまず一服か? ここからは出遅れ好業績銘柄に期待。

2012/03/06

 【IFIS/TIWコンセンサス225】

2月29日に行われた欧州中央銀行(ECB)による第2回目のLTRO(Long Term Refinance Operation=3年物資金供給オペ)は、5,295億ユーロを供給する大規模なものとなった。欧州での流動性確保の取組や米国経済が堅調なこともあって、先週も世界的に株価の上昇基調が見られた。
しかしながら、日経平均株価は29日に9,866.41円の高値を付けた後に上値の重い展開となっている。これまでの上昇が急ピッチであったこと、米国市場(NYダウ)が13,000ドルを挟んで足踏みをしていること、南欧諸国などで財政規律が厳しくなる中でのユーロ圏の成長率鈍化、国内企業業績(ファンダメンタルズ)にとりわけ目立った好材料がないこと、などが理由として挙げられる。

前回のレポートにおいてLTROの影響から『為替(円高)に注意』とコメントしたが、ドル・円はむしろ円安に推移した。完全に予想が外れてしまったように見えるが、ユーロ・ドルはLTRO実施前(2/28)の1.3463ドルから1.3195ドルとユーロ安となっている。ドル・円が円安に振れたのは、2月29日と3月1日に行われたバーナンキFRB議長の定例議会証言でQE3(量的緩和第3弾)についての言及が無かったことが影響しているように思われる(QE3への言及を期待して事前にドルを売っていた向きがあったと考えられる)。米国経済指標は、消費者信頼感指数、自動車販売など好調に推移しており、現時点で追加的緩和の必要性は見られない。このため、ドル・円では円高が見込みづらい状態にあるようだ。
5日(月)に、2月のユーロ圏のサービス部門購買担当者景気指数(PMI)改定値が再び50を下回ったことや、中国が2012年のGDP成長率をこれまで目標としていた8%を下回る7.5%を目標値としたことなど、目先的には懸念材料として取りざたされそうである。

3月2日時点の「IFIS/TIWコンセンサス225」の予想EPSは、前週との比較では今期予想ベース(1期)は引き続きマイナスであった。しかし、来期予想ベース(2期)、再来期予想ベース(3期)はプラスであり、前週比プラス企業数がマイナス企業数を上回って推移している。変化幅はそれぞれ、▲11.08円(1期)、+3.14円(2期)、+4.06円(3期)である。
プラス企業には、ソフトバンク(9984)、KDDI(9433)など通信・スマホ関係や、京セラ(6971)、アドバンテスト(6857)など電子部品関係、一部自動車銘柄が見られる。
今週も来期予想EPSの増加を受けて日経平均の妥当レンジを上方に微調整する。

ただし、一方で株価上昇によってインプライド・リスク・プレミアム(来期ベース)は6.42%へと日経平均の上昇が始まった4週前(6.58%、2月3日)から低下しており、まだ上値が見込める水準ながらも割安感は薄らぎつつある。
この1ヵ月間の株価上昇は先物が先導する主力大型株が中心であったこともあり、ここからは準大型や中小型銘柄に妙味があると思われる。

欧州情勢や中国など新興国経済にはやや不安が残るものの、向こう1年間は穏やかな株価上昇が期待できると考える。
変化の大きな経済環境においては、コンセンサスEPSの数値の確からしさにはやや懐疑的にならざるを得ないものの、再来期予想EPSがプラス方向に変化していることはポジティブに受け止めている。
3月決算企業は4月下旬から5月中旬にかけての本決算を迎えるが、それによって対象決算期が変更される。「来期」⇒「今期」、「再来期」⇒「来期」となり、5月中旬以降は当レポートでは現在の「再来期」を基軸に妥当株価水準を測ることになる。対象決算期については、マーケットがどのタイミングで重心を移行させるかは、マーケットそのものの強弱感によって異なるが、早ければ1Q決算後(8月後半以降)、遅くても2Q決算後(11月後半以降)に例年は移行が行われる(今年度は大震災やタイの洪水被害などの影響から例年よりやや遅い感じがあった)。
さて、現在(3月2日時点)の再来期のコンセンサスEPSは793.26円、増益率は13.2%。これに基づく妥当レンジは9,900円~11,450円と算出される。妥当レンジの下限であれば上昇余地は限定的であり、上限であれば17%程度である(中間で9%程度)。これに対して妙味があると思うか思わないかは投資家のスタンスや資金の性格で異なるのであろうが、マーケットが上向きであることはインデックスの投資家以上にアクティブ投資には重要である。投資資金の流入が続く環境では、主力銘柄以外の銘柄にも光が当り易い。特に中小型銘柄では“流動性の罠”に陥っている企業が多く、IPO市場の活性化も支援材料となり、流動性リスクの解消によって本来の適正価値を大きく下回っている企業群の大幅な水準訂正が期待される。引き続きGrowth With Value銘柄(成長性があるが株価が割安な銘柄)をピックアップしてゆきたい。
【本日発行の「銘柄ピックアップ」も是非、合せてご覧下さい】

◇日経平均妥当水準(レンジ)

9,050円~10,350円 (前回 9,000円~10,300円)

  *「IFIS/TIWコンセンサス225」(3月2日)来期予想ベースEPSをもとに算出

 

◇IFIS/TIWコンセンサス225(3月2日)

今期予想EPS 460.28 (前週 471.36円)
来期予想EPS 701.06 (前週 697.92円)
今期予想PER 21.24 (前週 20.47倍)
来期予想PER 13.95 (前週 13.82倍)
来期予想PBR 1.05 (前週1.05倍)
来期予想ROE 7.52% 前週7.57%)
来期予想
インプライド・リスク・プレミアム
 
6.42% (前週6.50%)

*3月2日 日経平均終値より、PER、PBR、ROE等を算出

株式会社ティー・アイ・ダヴリュ
TIWマガジン「投資の眼」   株式会社ティー・アイ・ダヴリュ
独立系証券リサーチ会社TIWのアナリスト陣が、株式市場における時事・トピックスや業界動向など、取材に基づいたファンダメンタル調査・分析を提供するともに、幅広い視野で捉えた新鮮な情報をお届けします。

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