2月17日妥当レンジ 8,800円~10,100円
インデックスの上昇一服後は「グロース」&「バリュー」銘柄を狙え

2012/02/21

 【IFIS/TIWコンセンサス225】

14日(火)に日銀が示した金融緩和策を受けて株価上昇が続いている。資産買入基金を55兆円から65兆円へ10兆円拡大するとともに、インフレ目標値(「中長期的な物価安定のめど」)を当面1%にする、とした。金融緩和からの円安期待からドル円が79円台半ば(20日)まで円安が進んだことも好感されている。また、15日に予定されていたユーロ圏財務相会合は見送られて電話会議となったものの、20日にギリシャ支援が正式決定する見通しであること(本原稿の執筆時点ではまだ決定されていない)、18日(土)に中国が預金準備率を引き下げたことも世界的な株高の支援材料となっている。
前回のレポートでインデックス投資を否定し、アクティブ投資に対する見直しが起こっていることを強く主張したが、皮肉なことにこの1週間はインデックス投資に圧倒的に軍配が上がった。

2月17日時点の「IFIS/TIWコンセンサス225」の予想EPSは、前週との比較では今期予想ベース(1期)は引き続きマイナスであったが、マイナス幅は大きく縮小した。これは第3四半期決算がほぼ一巡したことと、12月決算銘柄の対象決算期変更がプラスに影響した結果である。来期予想ベース(2期)、再来期予想ベース(3期)は僅かであるがプラスとなった。変化幅はそれぞれ、▲0.16円(1期)、+2.61円(2期)、+1.06円(3期)。

12月決算銘柄で当該週に対象決算期が変更されたのは、トレンドマイクロ(4704)、昭和シェル石油(5002)、横浜ゴム(5101)、ブリヂストン(5108)、東京建物(8804)の5銘柄。コンセンサス予想EPSへのこの5銘柄の影響は、+7.85円(1期)、+1.94円(2期)、▲0.14円(3期)であった。予想EPSの変化は小さいものの、来期予想ベース(2期)、再来期予想ベース(3期)においては、前週比プラスの銘柄数がマイナスの銘柄数を下回った。
来期予想EPSの増加などから日経平均の妥当レンジを8,800円~10,100円に変更する。

過去数回のレポートにおいて、今期予想EPSの下方修正幅が大きいにも関わらず、来期予想EPSの減少が殆ど見られないことに関して、コンセンサス予想の信頼性について言及してきた。また、先行指標として12月決算銘柄の2012年12月期に対するコンセンサスの変動がヒントになると述べてきた。今回、ほぼ出揃ったので検証してみたい。

先週末時点(2/17)と年初時点(1/4)の両方のデータが入手可能な57社の11年12月期本決算の、2012年12月期のコンセンサス予想EPSを比較したのが以下の表である。 

57社の内、25社が決算前よりも増加しており、31社が減少していた(変化なし1社)。
会社の規模がまちまちであることから単純に会社数だけで比較するのも問題があると考えられる。そのため、57社の予想営業利益を合計して決算前と決算後で比較してみると、決算後は決算前と比較して3.25%の減少であった。減少率が比較的マイルドに収まっているのはブリヂストン、住友ゴム工業、キリンホールディングス、アサヒグループホールディングスといった営業利益が1千億円を超える企業の業績(プラス方向の変化)が影響していると考えられる。
12月決算企業を見る限りでは、コンセンサスは決算前に比べて下方修正される可能性が高いと言えるが、減少率はそれほど大きなものではないとも言えそうだ。

前回のレポートで、『主力企業のファンダメンタル企業業績に対する見方はやや楽観的であり、これに対する株価の調整が生じるリスクは意識しておいた方が良いと考える。』と述べたが、先週のマーケット上昇を踏まえてやや見解を改めたい。

マーケットの上昇によって日経平均のインプライド・リスク・プレミアム(2/17時点、6.54%)は昨年の震災前の水準にまで低下してきている。既に来期業績はかなりの部分を織り込んだ水準と考えられる。したがって、来期コンセンサス予想が下方に修正される場合はある程度の調整が生じる可能性が考えられるが、修正幅が5%にも満たない場合には調整は限定的なものにとどまるであろう。マーケットが強気な状態の時には先行的に将来予測を織り込むことを考えれば、3月決算企業の決算発表が一巡した後(5月中旬以降)には再来期(14年3月期)予想に投資家の視線が向く可能性も考えられる。
と言っても現在の水準からマーケット全体がさらに大幅に上昇することを想定しているのではない。現状のコンセンサス予想数値を前提においても再来期のEPS増加率は12.4%である(来期のEPS増加率46.1%を大きく下回る)。現状の期待リターンが続くことを前提においてもここから1年くらいの日経平均の上昇率は12%前後と考えられる(10,500円を中心値に前後600円位の水準)。足下ではかなりの慎重論を述べているので意外に受け止められるかもしれないが、(株雑誌のアンケートにも答えているが)筆者の本年の年末ターゲットがこの水準である。1年を通せば緩やかな上昇を見込んでいる。

1月下旬からの株価上昇はインデックスに大きく軍配が上がった(特に先週は顕著であった)。しかしながら、中長期的には中小型株に妙味が大きいというこれまでの主張は変わらない。以下は、日経新聞のデータに基づき作成した今期予想ベースのインプライド・リスク・プレミアムの東証1部(全体)とJASDAQの差額(スプレッド)である(2010年5月14日~2012年2月17日)。

株式のリスクプレミアムは、無リスク証券の利回りに対して(株式投資に対して)投資家が要求する上乗せ金利である。JASDAQ市場は小規模な企業が多いことから経営の安定性や株式流動性の面から東証1部よりリスクプレミアムが高くなる。その差額は過去21ヵ月において大体0.5%~2.0%の範囲で推移してきた。ところが、1月下旬からスプレッドが急激に拡大し、2月17日時点では3.36%にまで拡大している。これは2つの面から生じている。一つ目は、東証1部においては、株価上昇と今期ベースの予想業績の悪化によってインプライド・リスク・プレミアムが低下したこと。二つ目は、JASDAQの株価は緩やかな上昇トレンドにはあったものの、予想業績の好転によってインプライド・リスク・プレミアムが上昇していること。
来期ベースの数値が取れないことから断定的なことは申し上げ難いが、東証1部とJASDAQのスプレッドがさらに拡大することは考え難い。また、インデックスの上昇率が抑制される状況では次第にスプレッドは縮小に向かう方に動くと考えられる。したがって、ここからは中小型株の方が高いパフォーマンスを得られ易いと考える。

一般的には、成長株に投資する「グロース」と割安株に投資する「バリュー」とは相反する投資戦略に位置づけられている。しかし、グロース株、バリュー株の定義は運用主体によってまちまちであったり、境界線が不明瞭であったりする。グロース銘柄に分類されるものの中にはPERが高いのは成長性が高いのではなく、単に収益力が低い銘柄が含まれていたり、割安銘柄の中には財務状況が悪いことからPBRが安いものが含まれていたりする。
TIWでは、成長性のある割安銘柄への中期的スタンスでの投資を奨めている。グロース&バリューというコンセプトである。この場合の成長性とはROE水準であり、割安とは市場の期待リターンに対するROE水準から見た株価の位置である。本日発行している「銘柄ピックアップ」レポートにおいて「Fモデル」による妥当PBR水準を示しているので参考情報として是非ご参照いただきたい。

◇日経平均妥当水準(レンジ)

8,800円~10,100円 (前回 8,500円~9,750円)

  *「IFIS/TIWコンセンサス225」(2月17日)来期予想ベースEPSをもとに算出

 

◇IFIS/TIWコンセンサス225(2月17日)

今期予想EPS 478.27 (前週 478.43円)
来期予想EPS 698.67 (前週 696.06円)
今期予想PER 19.62 (前週 18.70倍)
来期予想PER 13.43 (前週 12.85倍)
来期予想PBR 1.01 (前週0.97倍)
来期予想ROE 7.50% 前週7.53%)
来期予想
インプライド・リスク・プレミアム
 
6.54% (前週6.63%)

*2月17日 日経平均終値より、PER、PBR、ROE等を算出

株式会社ティー・アイ・ダヴリュ
TIWマガジン「投資の眼」   株式会社ティー・アイ・ダヴリュ
独立系証券リサーチ会社TIWのアナリスト陣が、株式市場における時事・トピックスや業界動向など、取材に基づいたファンダメンタル調査・分析を提供するともに、幅広い視野で捉えた新鮮な情報をお届けします。

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