8月19日妥当レンジ 16,250円~17,550円
イエレン議長講演に注目集まるが、材料難から様子見

2016/08/23

【「IFIS/TIWコンセンサス225」によるマーケットの妥当レンジの推計】

 

<来週の経済指標発表を控えて動きのない週>
■16日にダドリーNY連銀総裁による早期利上げを示唆する発言から一時的に円安に振れたものの、17日に公表されたFOMC議事録(7/27分)では今後の経済指標をチェックするという中立的なスタンスが多勢であり、9月の利上げ期待はやや後退しているようである。
■クリントン民主党大統領候補の「TPP反対発言」を受けて、米国の保護主義が強まるとの見解から、ドル安基調が続くとの見方が強まっている。その結果、日本株は週明けから冴えない展開となっている。
■今週は目立った経済指標の発表がなく、週末(26日)のイエレン議長の講演(ジャクソンホール)と来週からの米主要統計の発表を控えて様子見の展開が続くと考えられる。

<コンセンサス予想EPSは全期間で前週を下回った>
■8月19日時点のIFIS/TIWコンセンサス225(日経225のコンセンサスEPS)は、全期間でマイナスとなった。海運、電機、医薬品などの業種で前週比マイナスが目立った。前週比プラスとなった銘柄の比率は前週からさらに低下しており、(前回のレポートでは終息と述べたが)まだ下方トレンドは終息したとは言えない。しかし、マイナス幅は限定的と思われる。
■現株価は妥当レンジ下限を少し上回る水準。円高懸念が強まっている割には、下方硬直性が感じられるのはバリュエーション面での割安感であろうか。消費関連の国内指標にはやや明るさもあり、ここは内需系を中心に押し目を物色したいところ。

 

◇日経平均妥当水準(レンジ)

16,250円~17,550円 (前回16,500円~17,800円)

*「IFIS/TIWコンセンサス225」(8月19日)来期予想ベースEPSをもとに算出

◇IFIS/TIWコンセンサス225(8月19日)

今期予想EPS 996.64 (前週 999.47円)
来期予想EPS 1071.01 (前週 1073.30円)
再来期予想EPS 1182.76 (前週 1184.90円)
今期予想PER 16.60 (前週 16.93倍)
来期予想PER 15.45 (前週 15.76倍)
再来期予想PER 13.99 (前週 14.28倍)
来期予想PBR 1.09 (前週 1.11倍)
来期予想ROE 7.05% 前週 7.03%)
来期予想
インプライド・リスク・プレミアム
6.96% (前週 6.93%)

*8月19 日経平均終値より、PER、PBR、ROE等を算出

 

 

図1円高局面にありながら株価には下方硬直性があるように見える。バリュエーション面での割安感が理由か?

 

図2来期予想ベースのプラス企業比率は、 33.3%→43.2%→48.0%→46.5%→42.1%。
再来期予想ベースのプラス企業比率は、31.4%→47.3%→53.4%→51.2%→48.0%。

再来期ベースは50%割れ。来期は40%台を維持しているが、やや弱含みに。

[注:4~5月は例年、対象決算期変更の影響があるのでイレギュラーな値になることに留意]

 

 

 

 

出所:IFISコンセンサスを基にTIW作成
いずれも2012年1月から表示

「IFIS/TIWコンセンサス225」について
IFIS/TIWコンセンサス225」は、株式会社アイフィスジャパンが集計しているアナリストコンセンサス・データ等を原データとして、2009年4月より株式会社ティー・アイ・ダヴリュが東証株価指数(日経225)に対応するように構成銘柄のEPSを算出・集計したものである。今期予想EPS、来期予想EPSの変化を追うことによって、マーケット全体の業績見通しを確認する。
理論上では株価は、自己資本配当率(ROEと配当性向の積)、EPS成長率、無リスク証券の利回り(国債利回り)、リスクプレミアムの4要素で決定される。株価をこれら構成要素に分解することによって、株価変動の要因について考察するとともにファンダメンタルからの妥当な株価(マーケット)水準を思量する。なお、リスクプレミアムを正確に計測することは、一定期間を経た後でないと困難なことであることから、当レポートではインプライド・リスクプレミアム(株価と他の構成要素からの逆算値)を使用している。
4つの構成要素の内、株価の短期的な変動に最も影響を与えるのがリスクプレミアムである。リスクプレミアムは、無リスク証券の金利に対して投資家が要求する上乗せ金利と定義されるが、投資家心理(マーケットセンチメント)、他の投資対象(金融商品)との利回り格差の変動などによって変化する。長期的な見通しの変化が無い中では、インプライド・リスクプレミアムは一定のレンジ内で推移する傾向にある。日経平均株価の妥当水準を算出には、インプライド・リスクプレミアムの一定レンジからの逆算によって行っている。
〔今期予想ベースEPS、来期ベースEPSにおける“今期”、“来期”の取扱い〕
会計上の業績計測期間ではなく、本決算発表を基準とする。例えば、2011年4月30日現在では、2011年3月期は決算発表前であれば今期、決算発表が行われていれば前期、となる。
〔予想EPS増減社数〕
今期ベースならびに来期ベースを示している。週間(週末値)のデータを基に、前週末に比べてEPSが増加・変化無し・減少した企業の数。
〔予想PBR(今期末)〕
前期末BPS(1株純資産)に今期予想EPSを加えて、予想DPS(1株配当)を控除した値(=予想BPS)で株価を除した数値。中間配当は考慮していない。
〔予想ROE(来期ベース)〕
前述の予想BPSで来期予想EPSを除した値。
〔リスクプレミアム〕
特に断りの無い限りインプライド・リスクプレミアムを表す。計算式は、{ 1-予想配当性向×(1-予想B/Pレシオ)}×予想ROE-無リスク証券利回り

 

株式会社ティー・アイ・ダヴリュ
TIWマガジン「投資の眼」   株式会社ティー・アイ・ダヴリュ
独立系証券リサーチ会社TIWのアナリスト陣が、株式市場における時事・トピックスや業界動向など、取材に基づいたファンダメンタル調査・分析を提供するともに、幅広い視野で捉えた新鮮な情報をお届けします。

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