2月10日妥当レンジ 8,500円~9,750円
アクティブ投資は復活するのか? するならば中小型銘柄が上昇する

2012/02/14

 【IFIS/TIWコンセンサス225】

2001年9月末から10年後の2011年9月末までに上昇した銘柄は1,493銘柄(57%)、下落した銘柄は1,125銘柄(43%)である。これは、先週発刊されたレオス・キャピタルワークスの藤野英人氏が著した『日経平均を捨てて、この日本株を買いなさい。』に示されている。上昇した1,493銘柄の内、75%が時価総額300億円未満の中小型株であるというのは面白いデータである。

筆者(藤根)は、昨年の11月頃から新興市場の好業績銘柄への投資を提案している。
それは、1)全体マーケットのパフォーマンスは投資家のセンチメントが回復しても限定的であると考えられること、2)海外展開はそれに伴うインフラやサポート・サービスが広がることによって大企業だけでなく、中堅企業にも波及してゆくと考えられること、3)変化への対応力は大企業よりも中堅企業の方がトップダウン的に迅速に進められること、4)絶対的な株価水準(=バリュエーション)において中小型銘柄が割安であること、5)インデックス運用への偏重に対しての疑問が呈されており、アクティブ投資への見直しが起こりつつあること、等が理由であった。
藤野氏の著書は、インデックス投資へのアンチテーゼであり、アクティブ投資(あるいはアクティブ型投資信託)を推奨するものである。投資家の皆様は、一度、手にとってその主張を確認・検証してみる価値はあると思われる。

当レポート「IFIS/TIWコンセンサス225」は、日経平均の分析を主軸として行っている。インデックスの分析は、アクティブ投資を推奨することとは矛盾しているように読者の眼には映るかもしれない。しかし、マーケットのコンセンサス(業績見通し)を把握し、その変化の方向性を見定め、合せて投資家のリスク許容度(インプライド・リスク・プレミアム)を推定することは、全体マーケットの位置情報(高いのか安いのか)を認識するとともに、個別銘柄に適用すべき現時点での期待リターンを設定する上では非常に重要である。筆者自身にとっても当レポートは個別企業のバリュエーションを考える上で、羅針盤の役割を果たしている。本日発行の「銘柄ピックアップ~Fモデル~」のレポートと合せて御読みいただきたい。

さて、ギリシャ支援を廻って、市場はくるくると動く情勢に少し振り回されたようである(これからも振り回されそうですが)。EU・ECB・IMFが掲げた3条件(緊縮策関連法案の成立、歳出削減策の明示、与党3党の「誓約書」)に対して、ギリシャは対応を進めたが、最終的には15日(水)のユーロ圏財務首脳会合で融資が決定される。今週も、こうした情勢を睨んで株価は先週の日経平均9,000円を挟んだ神経質な局面が続きそうである。ギリシャの債務削減実施については懐疑的であり3ヵ月毎の追加融資タイミングでデフォルト懸念が何度もささやかれる展開が今後も予想される。しかし、ギリシャが仮にデフォルトしてもイタリア、スペインなどユーロ主要国に対するセーフティネットは整備されつつあり、次第に市場へのインパクトは低減されてゆくであろう。

2月10日時点の「IFIS/TIWコンセンサス225」の予想EPSは、前週との比較で今期予想ベース(1期)が引き続き大幅なマイナスとなった。一方で、来期予想ベース(2期)、再来期予想ベース(3期)は僅かであるがプラスとなった。変化幅は、今期予想ベース(1期)は▲14.31円、来期予想ベース(2期)は+0.92円、再来期予想ベース(3期)は+2.46円である。
なお今回、対象決算期が変更となった12月決算の銘柄は、旭硝子(5201)、昭和電工(4004)、サッポロHD(2501)、アサヒグループHD(2502)、キリンHD(2503)、東海カーボン(5301)の6銘柄であるが、前週からの予想EPS変化に占めるこれら6銘柄の影響は(1期)+2.74円、(2期)+0.29円、(3期)▲0.40円、と軽微であった。
今期予想ベースのマイナスは、(純資産の増加を抑制することから)来期ROEの上昇と、変化率(成長率)にプラスに寄与する。こうしたテクニカルな要因が中心であるが、日経平均の妥当株価レンジを8,500円~9,750円へと引き上げる。

今回、筆者(藤根)の予想には反して、来期予想EPSは今期予想ベースに引きずられて低下することはなく、むしろ若干であるが増加している。先週の当レポートにおいて、来期(2期)予想はまだ十分にEPSの水準訂正が織り込まれていない可能性が考えられることを指摘した(のであるが・・・・)。つまり、その来期予想を前提にした妥当レンジには脆弱性が強いのではないかという主張である。さらに、今後の下方への水準訂正の可能性を検討するに当っては、既に対象決算期が移行した12月決算銘柄の12/12期をチェックすることが、ヒントになるのではないかと指摘した。
今週、対象決算期が変更となった6銘柄に関する2012年12月期の予想の変化(決算発表前との比較)は、サッポロHD、アサヒグループHD、東海カーボンの3社は変化なし、キリンHDがプラス、昭和電工、旭硝子がマイナスであった。まだ、コンセンサスが十分に出揃っていない側面もあり、傾向を分析するには不十分な様子である。

225銘柄以外の主な12月決算で既に本決算の発表が行われた企業の12/12期EPSの変化を下記の通り整理してみた。決算発表後(2/10現在)と1月4日現在を対比した。 

   

傾向としては、例外的にシマノ(7309)など業績好調な企業もあるが、概ね予想EPSは決算発表前と比較して減少傾向にある。企業側が期初においては慎重な会社計画を提示する傾向があり、それにアナリスト予想が引きずられた面もあると考えられるが、同様のことは3月決算企業でも起こり得る可能性があるだろう。

ユーロ/ドルは、1月の1.2657ドルを底に切り返し、現在は1.32ドル半ばで推移している。マーケットのリスク回避姿勢の後退(=リスクオン)を象徴的に示しており、日本株についても足下は堅調な展開が続きそうだ。しかしながら、主力企業のファンダメンタル企業業績に対する見方はやや楽観的であり、これに対する株価の調整が生じるリスクは意識しておいた方が良いと考える。4月下旬~5月中旬の本決算発表において新年度のコンセンサス予想が、上昇修正される可能性と下方修正される可能性のどちらが高いか、は明らかではないだろうか。
他方、冒頭で述べたように中小型の割安な成長企業を個人投資家はポートフォリオの中核にすべきと考える。難しく考える必要はない。「予想最大リスク」に対する「予想収益」を考慮すれば中期的にはどちらに勝算があるかは論を待たないはずである。 

◇日経平均妥当水準(レンジ)

8,500円~9,750円 (前回 8,350円~9,600円)

  *「IFIS/TIWコンセンサス225」(2月10日)来期予想ベースEPSをもとに算出

 

◇IFIS/TIWコンセンサス225(2月10日)

今期予想EPS 478.43 (前週 492.74円)
来期予想EPS 696.06 (前週 695.14円)
今期予想PER 18.70 (前週 17.92倍)
来期予想PER 12.85 (前週 12.71倍)
来期予想PBR 0.97 (前週0.94倍)
来期予想ROE 7.53% 前週7.38%)
来期予想
インプライド・リスク・プレミアム
6.63% (前週6.58%)

*2月10日 日経平均終値より、PER、PBR、ROE等を算出

株式会社ティー・アイ・ダヴリュ
TIWマガジン「投資の眼」   株式会社ティー・アイ・ダヴリュ
独立系証券リサーチ会社TIWのアナリスト陣が、株式市場における時事・トピックスや業界動向など、取材に基づいたファンダメンタル調査・分析を提供するともに、幅広い視野で捉えた新鮮な情報をお届けします。

このページのトップへ